出典: Technical Readout: 3050 Upgrade

ZEU-9S ゼウス

重量: 80t
シャシー: チャリオット・タイプIII
パワープラント: ピットバン320
巡航速度: 43km/h
最高速度: 64km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: グラスゴー・リミテッド・プリモ フェロファイバー with/CASE

武装:
  1×デファイアンス1001 ER PPC
  1×サイクロプスXII 射程延長型大口径レーザー
  2×デファイアンスP3M 中口径パルスレーザー
  1×コベントリー・スターファイアー LRM−15ミサイルラック

製造元: デファイアンス・インダストリーズ
   主工場: ヘスペラスII
通信システム: ターヘス・カリオペZE-2
照準・追尾システム: ターヘス・アレス-7

ZEU-9S ゼウス
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


中心領域


320



17[34]


197(FF)

重量

80.0
8.0
22.5



7.0
4.0
3.0
11.0


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

25
17
13
17

装甲値

26/8
25/6
22
24

武器・弾薬

種別
ER PPC
ER大口径レーザー
LRM15
弾薬(LRM)8
CASE
中口径パルスレーザー
中口径パルスレーザー
部位
左腕
左胴
右腕
右胴
右胴
胴中央
左胴(背面)

装備欄数






重量
7.0
5.0
7.0
1.0
0.5
2.0
2.0


概要:
 ライラの軍事力と工業力のシンボルであるゼウスは、第1次継承権戦争が始まった2787年にそれが製造ラインから歩み出て以来、ライラ軍の誇りであり続けている[エディターズ・ノート:以前の出版物では誤りを犯し、不可解にも、この年を2411年――最初のバトルメック・マッキーより以前の年――であると表記していた] ゼウスは3世紀近くに渡りライラ軍の隊列を満たし、今日でさえもライラ同盟中の貴族と士官達によってその名声と伝統は尊ばれているのである。

性能:
 強襲型メックとしては良好な地上速度、強固な装甲、長距離と近距離の両方にて有力である多様な兵器群を持つ事により、ゼウスは乱戦に向いた機体である。3048年に初登場したこの9S型は再発見された技術――フェロファイバー装甲、CASE、パルスレーザー、ER PPC、ER大口径レーザー、ダブルヒートシンクを、大いに誇って装備している。技術的には、これらの新機軸は由緒あるZEU-6S型の装備をアップグレードしただけのものに過ぎないのであるが、それらはゼウスの致死性と耐久性を劇的に向上している。

配備:
 ライラを象徴するメックであるが故に、ゼウスは連邦=共和国軍首脳部によって合併したシュタイナー=ダヴィオン国家の隅々にまで行き渡らせる機体、その同盟の象徴性を更に強化する為の機体として選出された。しかし、多くのゼウスがかように行き渡る一方で、ダヴィオンの誇りはシュタイナーの機体の多くを後衛任務に追いやってしまったり、更には雇用した傭兵に売り出してしまったりする傾向があったのである。そして、分裂した連邦=共和国の2つの半身の間に敵愾心が芽生えた時、恒星連邦の編成内に存在したライラ製のゼウスの大部分は物珍しい機体へとなってしまったのであった。

派生型:
 原型機のZEU-6S型――通常の装甲、通常の放熱器、通常のレーザー、左腕にデファイアンスAC/5を装備した型――は、改良型である9S型が登場した直後に生産が終了した。また、その時には6T型――オートキャノンを1基のパーティ=キルPPCに換装した型――も製造が停止された。この6T型は、元々はゼウスの基本型となるのを意図されていたものであるが、そのPPCの搭載に関する複数の技術的問題により第1次継承権戦争中は登場できなかった。これらの問題が解決されたのは第3次継承権戦争の終盤であり、これにより6T型は使用が可能になり、やがてそれは継承権戦争中のその2つの型を置き換える事となる9S型の基礎としても役立ったのであった。
 連邦=共和国内戦の前年である3062年、LAAFは軽核融合エンジンを搭載した最初の設計機としてZEU-9T型ゼウスを登場させた。その軽減された(エンジン)重量はデファイアンス社の技術者達へこの設計機に1基のER中口径レーザーを追加し、LRM−15をアルテミスFCSで強化し、ランチャーの弾薬を2倍にし、更にはこのバトルメック全体の装甲レベルを強化する事さえもを可能とさせ、結果、それは以前よりも遙かに致死的な機体となった。しかしながら、惑星“ヘスペラスII”上で行われた戦闘はこの派生型の内戦中の配備をゆっくりとしたものへとし、ワード・オブ・ブレイクの“聖戦”の勃発もまた同様であった。
 3070年、ワード・オブ・ブレイクがデファイアンス社の工場を奪取した際には、最近開発された技術を使用した実験的な新型が作業中であったと伝えられている。複合施設の陥落から6ヶ月後、現地のレジスタンスによれば、その実験的なゼウス――ZEU-10WB型と呼称されるワード・オブ・ブレイクによって作られた型――は演習場に出現しており、それは各腕にヘビーPPCを1基ずつ装備し、4基のER中口径レーザー、1基のER大口径レーザー、XLジャイロ、14tのフェロファイバー装甲で補強されているそうである。しかしながら、この破壊的な新型はその搭載兵器による深刻な熱問題を抱えている様であり、その放熱器システムが他の設計ほどは徹底的に改められていない事を指し示している。


著名なメック戦士
ウルフ竜機兵団ステイシー・チャーチ大尉
 ステイシー・チャーチは、3067年の12月、惑星“アウトリーチ”の大部分と共にウルフ竜機兵団の殆どが壊滅させられて以来、惑星“アークロイヤル”から敢えて出撃をした最初となるウルフ竜機兵団の部隊を指揮している。長年に渡り勤務をしてきたウルフ竜機兵団隊員であるチャーチ大尉は、“アウトリーチ”で生き残った後、3069年に独立中隊を指揮すべく選ばれたのであった。ウルフスパイダー大隊の三連星隊の元・指揮官であるステイシーは、再編成されたブラック・ウィドウ中隊を率いている。惑星“アウトリーチ”で戦闘をし、それから2年後に再び戦う為にそこへ戻った彼女は、殆どの者が及べない程の激情で以てワード・オブ・ブレイクを憎んでいる。
 ステイシーのゼウスであるプロトタイプのゼウス−X型は、中心領域に於いてユニークな存在である。元・テストベッド機であったこのゼウスは、ウルフ竜機兵団が惑星“アークロイヤル”に到着した際にケル・ハウンドから贈与されたものである。ステイシーはこれを更に改修し、ブルーシールド粒子フィールドダンパー、アクチュエーター・エンハンスメント・システムを含む幾つかの実験的な技術を組み込んでいる。それらの内の後者――アクチュエーター・エンハンスメント・システムについては、ブラックウェル社の技術による最後の作品であると噂されている。この強力かつ特徴的なゼウス−Xは程無く、ナターシャ・ケレンスキーの古い黒のウォーハンマーと同じくらいに見分けがつく機体となっている。




私的解説:

 ゼウスと言えばライラを代表する強襲型メックです。ただ、そのライラのイメージが強すぎるせいか、恒星連邦軍内での受けは(その価値を認めつつも)余り良くなく、連邦=共和国時代に折角配備された機体も冷遇されていた様ですが。
 ライラの象徴であるが故に、ゼウスには技術の進歩に合わせて改良が重ねられ、3060年代の新型メックにも負けない性能を有しています。残念ながら、“聖戦”が戦われている3070年にその製造工場が存在している惑星“ヘスペラスII”がワード・オブ・ブレイクにほぼ占領された為に、ライラ軍はゼウスの供給源を当面は失う事になります。
 ちなみに豪華な試作装備の塊であるゼウス−Xですが、ダークエイジ時代にも依然として使用されている所を見ると、試作機なのに意外と安定している機体なのかもしれません。しかし、ステイシー・チャーチ大尉の機体には、ブルーシールド+アクチュエーター・エンハンスメント・システムを装備する、という更なる無茶がされているそうですが、これは大丈夫なのでしょうか? ――ウルフ竜機兵団の今後が少し心配です(笑)

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