出典: Experimental Technical Readout: Succession Wars
WSP-2A-X スーパーワスプ
実地試験要約: プロトタイプ・ワスプ・シャシーの改修とテストベッド
製造者/場所: フリーデン航空宇宙廠、ホフ
監督技術者: ジョージ・ベラスコ博士
計画開始年度: 3020年
非製品版装備分析: スーパーチャージャー
WSP-2A-X スーパーワスプ 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右腕 左右脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 2×中口径レーザー スーパーチャージャー SRM2 弾薬(SRM)50 ジャンプジェット ジャンプジェット ジャンプジェット ジャンプジェット |
部位 右腕 胴中央 左脚 左胴 右脚 右胴 左胴 左脚 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
[思い掛けない幸運により、一度に2つのユニットを発見する事ができた。これらは、極最近になり公開された幾つかのNAISの文書――機密規定等々により約60年経過した後に機密が解除された――から明らかになったものである。 ―クリストファー・アウバーン、3082年]
“ハルステッド・コレクション”から収集された知識を基礎に作り上げられた、NAISとチーム・バンザイによる初期の力作であるこの“スーパーワスプ”は、実験的技術を使用してかの証明のされている戦争マシンを完全に組み直して再設計する事を試みたものである。活気のない惑星“ホフ”上のフリーデン航空宇宙工廠をその基地としたスーパーワスプは、手製のシャシーを備えており、その前身となった機体の性能に匹敵・凌駕するべく組み立てられていた。
原型のワスプより5t重くなっているこのスーパーワスプは、(原型機より)30%以上増加した装甲を搭載しており、2つ目の腕搭載型のディヴァース・オプティックス・タイプ2中口径レーザーを装備してその火力を(原型機の)2倍にしてもいる。当然であるが、その最も野心的な追加要素は、スーパーチャージャーの組み込みである。それは人工筋肉加速信号回路網(MASC)――この当時はMASCは継承権戦争による犠牲者となり遥か過去に忘れ去られていた――と同等の爆発的速度を与えられる能力を持っていたものの、幾度も使用するとエンジン損傷の危険がある為に、その技術の広範な使用は抑えられていたものであった。
それらの2機のスーパーワスプと1機のスーパーグリフィンは、全くのデモンストレーション用のユニットとして組み立てられたものであった。しかしながら、3022年、5月13日、クリタ家とウルフ竜機兵団が惑星“ホフ”を襲撃してきた時、これら3機のメックの全ては砲火の洗礼を受ける事となった。ダヴィオンの防衛部隊が撤退した事により、ブラック・ウィドウの偵察小隊はかの研究施設では僅かな抵抗にしか遭わないであろうと予想していたが、工廠がプロトタイプ機とその実験的技術によって守られているのに気付き驚愕する事となった。そして、それらの機体の普通ではない装備構成と複数の矛盾するアフターアクション・レポートは、今日でも根強く残っている、この出来事に関する様々な憶測を生じさせるに至ったのである。
ブラック・ウィドウのバトルメック達により射撃で勝られてしまったが、スーパーワスプ達は見事な働きをしてウルフ竜機兵団のスティンガーを行動不能にした――メック戦士アニー・ブレイズのスーパーワスプがスーパーチャージャーの破裂によりエンジン遮蔽に深刻な損傷を受けるまでは。熱でどうしようもなくなった彼女のメックは、ブラック・ウィドウ達にとっての容易な目標となった。彼女の同僚のスーパーワスプ・パイロット、メック戦士オスカー・メギーは戦いを続け、敵のフェニックスホークを倒す事に成功しかけた――ウルフ竜機兵団のライフルマンによって撃たれた大口径レーザーが彼のメックの左胴をくり貫き、SRM弾薬を爆発させ、彼のプロトタイプ機を完全破壊するまでは。
3機の実験機の全ては破壊されたが、彼等の遅滞戦闘はダヴィオンの科学者達が成功裏に施設から逃亡するのに十分な時間を稼ぎ、クリタ家に獲得する価値があるものを少ししか残さなかった。スーパーワスプのパイロットの両人共に戦闘を生き残り、最終的には彼等は身代金が支払われてダヴィオン家に返された。
私的解説:
スーパーワスプは、シナリオ集“ブラック・ウィドウ”に登場したユニークなメックです。原書版ではスーパーワスプは25tメックでルール的には一見問題がないものでした。しかし、その装備重量の計算をしてみると1tオーバーウェイトとなっており、実はルール違反の機体でした。それ故に、日本語版ではローカライズの際に修正が加えられ、スーパーワスプは30tの機体となり当時のルールに合致するものにされて掲載される事になったと思われます。
その後、スーパーワスプはスーパーグリフィンと同様にテクニカル・リードアウトにも未収録で放置されていましたが、近年にまさかの復活掲載を遂げ、日の目を見る事となりました。この新たな修正版ではスーパーチャージャーが装備されており、スーパーワスプは同世代のメックの中では比類のない加速力を誇る機体となっています。スーパーチャージャーはMASCと違ってロステックになっておらず、メックの機動力を向上させる手段としては継承権戦争を通して利用可能でした。しかし、その使用の際に貴重な核融合エンジンを傷付ける可能性がある事から、些か廃れていた装備でした。この様な物をわざわざ引っ張り出して新型機で試してみようとしたのは、技術的冒険を恐れないNAISらしい姿勢ですね。やはりと言いますか、正史ではスーパーチャージャーが爆発してエンジンを傷付けた事がスーパーワスプの喪失原因の1つとなりました。エンジン直結型の装備は怖いという良い例ではありますね。
スーパーワスプは、3025年代では極上の機動性能を持っています。軽量級では当然のものですが、ボードゲーム上では常に走り回りヒット・アンド・アウェイをするのがその基本戦法となるでしょう。そのスーパーチャージャーは危険ですが、素晴らしい装備ではあります。しかし、それの連続使用の際には、エッジか経験点の使用を考慮した方が良いと思われます。