出典: Technical Readout: 3039

WLF-1 ウルフハウンド

重量: 35t
シャシー: アークロイヤルKH/3
パワープラント: GM210
巡航速度: 64km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: デュラレックス・ミディアム

武装:
  1×セタンタ 大口径レーザー
  4×デファイアンスB3M 中口径レーザー

製造元: ターヘス・インダストリーズ
   主工場: ターカッド
通信システム: O/P Com-22/H47
照準・追尾システム: デジタル・スキャンロック347

WLF-1 ウルフハウンド
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


中心領域


210



10


120

重量

35.0
3.5
9.0



0.0
3.0
3.0
7.5


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

11


装甲値

16/6
11/5
12
16

武器・弾薬

種別
大口径レーザー
中口径レーザー
中口径レーザー
中口径レーザー
中口径レーザー
部位
右腕
右胴
左胴
胴中央
胴中央(R)

装備欄数




重量
5.0
1.0
1.0
1.0
1.0


概要:
 数年前に設計され製造されたハチェットマンが成功を収めた後、カトリーナ・シュタイナー国家主席はライラ共和国の強大な軍事産業複合体群に対し、トップ・ヘビー状態にあるLCAFを悩ます事で知られているクリタの軽量級バトルメック達を追い詰められ打倒できる能力を持ったバトルメックを、デファイアンス・インダストリーズ社によって獲得されたものを利用して作り上げる事を命じた。
 成功を収めたデザートナイト・プロジェクトの例に倣い、3028年初期、当時の国家主席とシュタイナー家に対するその揺るぐ事のない忠誠心で有名な傭兵部隊ケル・ハウンドが試作型バトルメックのテストをする部隊として選ばれた。恒星連邦の傭兵科学者グループからの大規模な助力を得ていたデファイアンス・インダストリーズ社によって製造されたハチェットマンとは異なり、このウルフハウンドはほぼ完全なライラ共和国の原産品であった――その頭部丸ごとのコクピット射出システムだけしか外部からの援助を必要としなかったからである。


性能:
 このウルフハウンドは、長期作戦に対処する為の多数の特徴を備えている。この機体は完全にエネルギー兵器のみで武装されており、この事はこの35tメックが補給の為に戦場から退く必要が全くないのを意味しているのである。1基の大口径レーザーはこの機体に大部分の軽量級メック――その主敵であるジェンナー等の機体――をその距離から叩く事を可能とさせており、また4基の中口径レーザーはウルフハウンドに強力な近距離火力を与えている。その中口径レーザーの内の1基は背面方向に取り付けられており、その伝統的な死角に入り込んだ高速ユニットに対してウルフハウンドが反撃の射撃をするのを可能としている。この設計機は10基の放熱器しか装備していないが故に過熱しやすいが、有能なメック戦士は自分の現在の戦闘距離に応じて単純にその武器の使用量を変えるものである。ジェンナーと対戦する際、ウルフハウンドは一般的に距離を取り続けるが、パンサーと対戦する際には粒子ビーム砲の最低射程内にまで接近をする。
 共同設計機であるハチェットマンと同様、このウルフハウンドも頭部丸ごとの脱出システムを備えており、そのメック戦士に多様な敵対的環境下での安全な脱出を可能としている。射出飛行経路を安全にする為にそのメックへ多少の直立した姿勢を必要とさせるとは言え、この革新的なシステムは既に多数のパイロットの生命を救っているものである。


配備:
 ウルフハウンドは、ケル・ハウンドのテスト・プログラムに加えて、最終的にはウルフ竜機兵団傭兵旅団の隊列内にも行き着く事となった。そして、これら2つの部隊は苛烈な第4次継承権戦争を通してこの設計機のテストをし、そのパフォーマンスは多くの観察者達に感銘を与えた。それらの機体は、ドラコ連合の主要軽量級メックであるパンサーやジェンナーに対して特に優越していたのである。戦後、連邦=共和国同盟は、同盟の両陣営の軽量級部隊へ配備する為に多数のウルフハウンドを発注した。3039年戦争時には、2王家の軍とそれらに最高の忠誠を持っている傭兵部隊にウルフハウンドは普及していた。他の多くの設計機とは違い、ウルフハウンドはこの1年間の戦闘の最中に非常に少ない損害しか受けず、僅か一握りのものしかクリタの手に落ちなかった。ドラコ連合はこの機体に感銘を受けたが、“下等な”王家の設計機をコピーするには余りにもその誇りは高すぎた。それ故に、ドラコ連合は代りにウルフハウンドに対抗する試みに基づいてその全メックを詳細に分析し、そのほぼ10年後には先進的なウルフトラップを開発する事となったのである。

派生型:
 新しい設計であるが故に、ウルフハウンドのメーカー製の公式な派生型の存在は確認されていない。しかしながら、メック戦士個人がその背面の中口径レーザーを放熱器に交換している、もしくはその背面の中口径レーザーを正面に向ける様に再配置している、との報告が存在しているものである。

著名なメック戦士
ダニエル・アラード少佐
 高名なケル・ハウンドの一員であるダニエル・アラードは、まだ大尉であった3027年に自らのヴァルキリーが破壊された際に、テスト・パイロットを務めるべく最初のプロトタイプ・ウルフハウンドを与えられた。そして、彼はその後、この部隊の作戦指揮官へと昇進する前に、この機体を使用して多数の有名な戦闘へと赴く事になったのであった。

メリッサ・ベレット大隊指揮官(少佐)
 (氏族侵攻以前で)非連邦=共和国部隊によって使用されている唯一のウルフハウンドは、3039年戦争の激烈な戦闘にも拘らずドラコ連合の旗の下ではなく、それどころか自由世界同盟の旗の下にあるものである。惑星“マーカス”にて第3南十字星部隊の手により多大な損害を受けたにも拘らず、第25マーリック国民軍はその戦役に於いて1つの成功を収めた――当時大尉であったベレットによる陽動攻撃である。彼女の小隊は自らの連隊に対する圧力の軽減を試みて一撃離脱戦を戦い、南十字星部隊戦線後方の補給物資集積所を攻撃する事により、南十字星部隊の軽バトルメックの数個中隊を撤退させたのであった。第25マーリック国民軍の降下船群が最終的に到着した時、ベレットの小隊はその合流地点へと辿り着いた――コクピットが破壊された1機のウルフハウンドを引き摺りつつ。多数の死傷者により生じた空白を埋める為に昇進したベレット少佐は現在、打ちのめされた部隊の士気を上昇させる為の宣伝塔として“スモール・フェイヴァーズ”との愛称が付けられたそのメックを操縦している。




私的解説:

 ウルフハウンドは、ドラコ連合の軽量級メックへの対抗機としてライラ共和国で開発されたものです。敵を翻弄できる機動性・レーザーを主兵装とした火力・そのパイロットの帰還率を高める脱出機構・35t級メックとしては限界に近い装甲と、名機となる条件が揃っており、軽量級メックの質と量で劣っているライラ共和国にとって救世主の様な存在です。弾薬を搭載していないメックの常としてラッキーヒットの一撃で倒すのがかなり難しいメックですので、敵に出てくると厄介でしょう。
 ウルフハウンドの初登場したエピソードでは、ウルフハウンドを操縦したダニエル・アラードが演習にて単機で1個小隊のパンサーに対して撃墜判定を与えています。そして、その後の実戦でも期待通りの戦果を挙げ、ケル・ハウンドの伝説確立への一助となりました。第4次継承権戦争や3039年戦争等でこのメックに苦戦したドラコ連合が後にウルフトラップという(不人気に終った)対抗機を生み出す事になったりと、その敵手にも大きな影響を与えています。ウルフハウンドのもたらした影響は大きいと言えるでしょう。
 3050年以降では、ウルフハウンドの改良は比較的ゆっくりとしたものであり、ライトエンジンやエンドースチールを使用した大規模なアップグレードが施されたWLF-3S型が登場するのは随分と後の事となります。それだけ、原型機の完成度が高かったのかもしれませんね。

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