出典: Technical Readout: 3050 Upgrade、Technical Readout: Clan Invasion
WFT-1 ウルフトラップ
重量: 45t
シャシー: アルシャイン・クラス580 エンドースチール
パワープラント: ヘルメス270XL
巡航速度: 64km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: デュラレックス・スペシャル・ミディアム with/CASE
武装:
1×インペレーター・コードレッド LB 10−Xオートキャノン
2×ヴィクトリー23R 中口径レーザー
1×シグンガ長距離ミサイル10−ラック
製造元: ルシエン・アーマーワークス
主工場: アビー・アジ
通信システム: サイファー・セキュリティ・プラス2
照準・追尾システム: イーグルアイ400XX
WFT-1 ウルフトラップ 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右腕 左右脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 LB 10−XAC 弾薬(LB−X)20 CASE 2×中口径レーザー LRM10 弾薬(LRM)12 |
部位 右腕 右胴 右胴 左胴 胴中央 右胴 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
その設計者達により元々は“トラ”と呼称されていたこのバトルメック――現在は“ウルフトラップ”との名で広く知られているバトルメックは、元はライラのウルフハウンドへの直接的な対抗機として考えられていたものである。しかし、トラは幾らかの歓呼の声で迎えられつつ登場したのであるが、その設計はDCMS(ドラコ連合軍)のパイロット達の間で真の人気を得る事は全くできなかったのであった。LAW社(ルシエン・アーマーワークス社)の重役達は、自社製品のパンサーやドラゴンにとっての完璧な支援ユニットであると宣伝する事でトラの販売促進を続けた。軍のハードウェアに於いて連邦=共和国に後れを取ってしまったLAW社は、短期間で多数のこのユニットを大量生産したのである。
しかしながら、DCMSによって示された熱意のなさの所為で、LAW社はその残るトラの余剰在庫の大部分を惑星“ガラテア”や惑星“フレッチャー”の傭兵市場へと売り払う事となった。そのドラコ連合での過去と切り離すべく、連邦=共和国が“ウルフトラップ”との愛称を用いているとの事を聞き知った後に、LAW社はそれを公式にウルフトラップと改称した。そして3061年、DCMSはウルフトラップの公式の調達を終了したのであった。
性能:
3051年にウルフトラップが最初に登場した時、それはDCMSのドラゴンとグランドドラゴンを補完するユニットとしての僅かな名声を獲得した。長射程のLB 10−Xオートキャノンは、このユニットにかなり素晴らしい弾着範囲を(クラスター弾の徹底的な使用による打撃火力の減少と引替えに)与えている。また、LRM−10ラックはこのユニットに追加の打撃力を与えている。しかしながら、その胴部位(XLエンジンと弾薬庫を収めていた)の軽装甲は、余りにも容易に利用されてしまう弱点である事を証明してしまった。この新型の設計機と遭遇したスモークジャガーの戦士達は素早くその部位を狙う事を学び、ウルフトラップの弾薬庫を長距離にて爆発させ、このドラコ連合のメックを無力化したのであった。そして、有効な距離を稼ぐ為に必要とされる生存のチャンスを否定されてしまったウルフトラップは、DCMSの大部分の戦士の間で人気を失ったのである。
配備:
惑星“ディーロン”、惑星“ルシエン”、惑星“クエンティン”、惑星“アルナイル”、惑星“ベンジャミン”上に存在していた主要なLAW社のコンビナートがワード・オブ・ブレイクの猛攻の初期段階で破壊された時、この企業の重役達はパニックに陥った。ここでドラコ連合随一の兵器製造企業が崩壊の瀬戸際にあるのを認識した事により、他の中心領域企業との秘密交渉が幾つか持たれた――これはLAW社の精髄を道端に捨て去る可能性のあるものであったが短期の回転資金をもたらすものであり、この企業は幾つかの不安定な足場を再び得る事ができた。かような交渉の内の1つはニンシア県の閑静な惑星“アビー・アジ”にて完全なバトルメック工場を完成する為の資金を賄う助けとなったのである。再建の為の何かを得るのと補給の欠乏したDCMSの部隊の手に届けられるものを望み、LAW社の製造会議は素早くウルフトラップの改修と再製造をする事を承認した。最高の賛意を得られた決定という訳ではなかったが、それにも拘らず、それはDCMS部隊の大部分を強化するのに寄与している――遠隔地にあるLAW社の倉庫内には数百機のウルフトラップが退役状態で座しているからである。
派生型:
公式の派生型ではないWFT-C型は、C3子機を組み込む為の最小限の改修が行われた“貯蔵されていた”ドラコ連合メック群の長大なリストに連なる野戦改修型である。このメックの場合は、先進的なC3装備を搭載する為に1基の中口径レーザーが降ろされている。
公式の派生型は唯一つのみ判明しており、それは新設の“アビー・アジ”のラインから生み出されている。LAW社のオフィシャルは、この新型はまだテスト段階のものであり、オリジナル型の改修機がDCMSパイロット達により良好に歓迎されるのならば、恐らく魅力的なものであろう、とコメントしている。このWFT-2型は新たに獲得した技術を使用している――その弾薬の欠乏に悩まされているLB 10−Xは1基のプラズマライフルに置き換えられ、そのLRM10パックはMML9に置き換えられている。バトルアーマーに対する近接防御用には3連装で並べられたライトマシンガンが右胴に増設されており、それと(左胴の)1基のER中口径レーザーで以てこの設計機の対称性は保たれている。そして、複数のダブルヒートシンクと装甲の再配置が為される事で、この新型は仕上げられているのであった。
最も厄介な可能性を秘めているものは、ディーロン戦線からもたらされたレポートである。そこでは、LAW社のコンビナートがドラコ連合の設計機のブレイク教徒用の派生型を大量生産している、という噂が蔓延っているのである。O5Pのレポートは、ブレイク教徒の派生型ウルフトラップが重量級の追撃部隊と共に時折目撃されている事を指し示している。オリジナルのWFT-1型とこのブレイク教徒の派生型の間にある相違点は、新型の電子機器と思われるものの組み込みの為にLRMシステムをダウングレードしている事である。また、注目するべきものとしては、これらの新型ウルフトラップがより多くの装甲を搭載している様に見えるという事実がある。しかし、この冗長性に欠ける設計機にどの様にしてより多くの装甲防御を持たせるのを可能にしたかについては、現時点では事実よりも憶測の方が多いものである。
著名なメック戦士
ダイタマ・ムラキ
DCMSで軍務に就いていた年月を誤記により“戦死”と公式には記載されてしまっているダイタマ・ムラキは、それにも拘らず、DCMSにて良い働きをしていた――3059年、余りにも熱意に溢れた名誉の決闘が、第4サン・チャン士官候補生隊と第5サン・チャン士官候補生隊の間の銃撃戦へと変わるまでは。DCMSでの彼の公式の地位を鑑みて、大統領はムラキの階級を剥奪する事はせず、ムラキが廃品をあさって集めた部品から再生したくたびれたウルフトラップを付けて彼を(新・星間連盟)第1近衛バトルメック連隊へ送り込んだ。ムラキ大尉は、ブレイク教徒の“聖戦”の勃発時、星間連盟首長の儀仗兵の1人として惑星“ターカッド”にいたのが最後に目撃されている。
ターヒル・シュリキ大尉
第1ロビンソン特戦隊のシュリキ大尉は、連邦=共和国内戦の最中の惑星“アシオ”にて自機のフェニックスホークを失った後に、そのウルフトラップをサルベージした。そのWFT-1型は正常に機能する状態であるが、第1ロビンソン特戦隊の他のあらゆるメックよりも性能が劣っている。彼は自機のウルフトラップよりも良い何かをサルベージするべく死に物狂いとなっており、戦闘で一層の無茶をする様になっていっている。
ラフィア・ショーコツ大佐
ショーコツ大佐は、“聖戦”の最中には第5光の剣連隊の第3大隊を指揮した。彼女は惑星“バルーン・ウルト”にて、個人的に第1プロセルピナ軽機隊の第3大隊の指揮車輌を破壊している。彼女はその戦闘に於いて自機のマローダーを失い、ほぼ1年間を治療に費やした。第5光の剣連隊に復帰後、彼女はウルフトラップの幾つかの実験的な“ベア・トラップ”型の内の1機を割り当てられた。彼女の大隊は、偵察/機動打撃用の再建が為された。彼女は自分の新たなメックを強く嫌っており、その恥辱を晴らす為の切腹をする請願を出す事を考慮している。
私的解説:
ライラのウルフハウンドの対抗機としてデビューしたウルフトラップですが、実戦を経るにつれてその装甲の薄さによる生存性の低さから評判は落ち、3050年代初期に登場したメックの中では珍しく早期の退役を強いられる事となりました。そんなに悪い設計ではないのですが、ウルフハウンドに対抗するのならばXLエンジン搭載の高級機を使わずともK型フェニックスホークで十分な様な気がしますから、そうなってしまったのは当然の結果だったのかもしれませんが。
しかし、“聖戦”の勃発によりDCMSが大打撃を受けた事と、ルシエン・アーマーワークス社の主要工場の大半が壊滅した事により、ウルフトラップは再び表舞台に登場する事となりました。退役してモスボールされていた機体やLAW社に不良在庫が大量に存在していたのが、ウルフトラップの再生への追い風となったのでしょう。
“聖戦”時には、ウルフトラップはグランドドラゴンやジェンナーと並びLAW社とDCMSにとっての貴重な再建機材となっています。新型ウルフトラップはプラズマライフルやMML9を装備して装甲配分も見直されていますので、過去に被った悪評を払拭できるかもしれませんね。