出典: Technical Readout: 3050 Upgrade
UM-R63 アーバンメック
重量: 30t
シャシー: リパブリック−R
パワープラント: リーネクス60
巡航速度: 21km/h
最高速度: 32km/h
ジャンプジェット: ピットバン6000
ジャンプ能力: 60m
装甲板: デュラレックス・ミディアム
武装:
1×ミドロン・エクセル LB 10−Xオートキャノン
1×マグナ200P 小口径パルスレーザー
1×ハーモン 小口径レーザー
製造元: オーガス・インダストリーズ
主工場: マーカス(2837年に破壊)
通信システム: ダルバン・インターアクト
照準・追尾システム: ダルバン・アーバン
UM-R63 アーバンメック 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右腕 左右脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 LB 10−X AC 弾薬(LB−X)10 小口径パルスレーザー 小口径レーザー ジャンプジェット |
部位 右腕 右胴 左胴 左腕 胴中央 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
星間連盟の都市群を防衛する為に作られたこの慎ましいアーバンメックを継承国家は駐留任務に指定していた。従って、同時代の機体の多くとは異なり、アーバンメックは継承権戦争の戦役から逃れられたのである。オーガス・インダストリーズ社が破壊された後でさえも、多数のアーバンメックは現役状態で残っていた。そして、大抵の場合に於いて軽量級メックはアップグレード予定リストの下位で無視されるものなのであるが、カペラ大連邦国のCCAF(カペラ大連邦国軍)では、悲惨な第4次継承権戦争を生き残れた数少ないバトルメックの改良に血道をあげて取り組んでいた。――そこでは、低級なアーバンメックでさえも先進技術の導入を受ける事となったのである。
性能:
標準型のカペラの野戦改修キットは、インペレーターBオートキャノンをミドロン・エクセルLB 10−Xオートキャノンに置き換え、アーバンメックの有効射程と命中率を強化するものであった。また、この軽量兵器は、歩兵制圧用のマグナ200P小口径パルスレーザーの追加を可能とした。この両変更はアーバンメックの市街戦機としての役割に於ける能力を更に強化した。しかしながら、この設計機の根本的な欠陥――うんざりする程の低速――は処理されなかったのである。
アーバンメックは、都市部の環境で作戦する限りは、中量級や重量級バトルメックに面した時でさえも良い戦績を挙げるのが予測された。しかし、開けた地形に於いては話は別であった――愚かな指揮官もしくは自暴自棄になった指揮官のみがそれらの地形に於いてこのメックを攻勢作戦に配置するものであろう。
配備:
カペラ大連邦国のアーバンメックの大部分は、大連邦国後備機兵団とカペラ防衛軍に配備されている。セントアイヴズ槍機兵隊もまた多数のアーバンメックを所有しており、それらは特別な都市部戦闘部隊に集中されている。
中心領域のあらゆる所に存在しているアーバンメックは、通常は市民軍編成の中に追いやられている。恒星連邦カペラ境界域市民軍は、それが鹵獲したカペラの装備で大部分が編成されているが故に、リャオ宙域以外では最も高い集中度でこの機体を配備している。
派生型:
他国では異なる改修が為されていると推定されているが、その如何なる型もアーバンメックの速度の不足を解決してはいない。軽量エンジンを追加する技術はより広く行き渡っているが、かような改修は単純な野戦改修からは遥かに逸脱するものである。カペラ大連邦国でさえもかようなアップグレードを実行するのに必要なリソースを使うのを避けている。それ故に、現在の野戦改修は兵器システムと装甲の改造に制限されている。
クリタ家の野戦改修キットは、オートキャノンを完全に除去するものである。代りに、このUM-68型は1基のシグンガMRM−30ランチャーと2tの弾薬を搭載している。この新武装によって与えられた大きな打撃力は、それと最初に交戦した際、ゴーストベアー氏族の戦士達にとって大いなる驚きとなった。
自由世界同盟は、自らの改良型であるUM-69型にクラス10のミドロン・エクセル・ウルトラ・オートキャノンを活用している。それは通常型の放熱器を10基しか搭載していないが、その熱レベルが問題になる事は稀である。しかし他方で、そのウルトラ・オートキャノンの凄まじい射撃速度は、その10発のマガジンを不安を抱かせる程のレートで空にしてしまうのであった。小口径レーザーをER型にアップグレードした事でさえも、そのオートキャノンの僅かな弾薬供給が尽きた際の火力の減少を余り補えてはいない。この型はまた、デュラレックスの装甲を5tのカロンFWLスペシャル・フェロファイバー装甲に交換している。
恒星連邦のカペラ境界域で主に見掛けられるUM-70型は、インペレーターBオートキャノンをミドロン・トーネードRAC/5と2tの弾薬に置き換えている。このUM-70型は小口径パルスレーザーの代りに射程延長型中口径レーザーを搭載している。その腕に搭載された小口径レーザーは射程延長型にアップグレードされ、その装甲はフェロファイバー素材でアップグレードされている。
著名なメック戦士
ポール・ウェルズリー中尉
高名なパトリシア・ウェルズリーの孫息子であるポールは、自分の尊敬する祖母と同じ道を歩み、セントアイヴズ装甲機兵団で軍務に就いた。自らの祖母のメックを操縦しているポールは、自分の愛するセントアイヴズ協定をCCAFとその辺境の同盟者達が併呑しようとした時に彼等と戦った際に祖母の素晴らしい戦闘記録を上回った。セントアイヴズ協定の公式の降伏後、ウェルズリーと彼のアーバンメックは第2セントアイヴズ槍機兵隊が再建される際にそこに組み込まれた。
その義務に縛られカペラ大連邦国の為に戦っているのであるが、ウェルズリーは惑星“シーアン”からのカペラ大連邦国の統治に深い疑念を未だに抱いている。(特にその前任者達と比較すれば)穏健に見えるのであるが、スン=ツー・リャオはカペラ市民の犠牲に対して無関心を見せており、ウェルズリーはそれに深刻な不穏を感じているのである。
リンゴ・ピーターソン
3060年に惑星“トルトゥーガ”でのポーカー・ゲームでその愛する“ベッシー”を勝ち取った後、ピーターソンは強盗稼業に乗り出した。そして、辺境の惑星“ランドールズ・リグレット”に対する成功した強奪活動は、ピーターソンに自分のアーバンメックをアップグレードするのに必要な資金をもたらしたのであった。
“ベッシー”の向上した火力により、ピーターソンは3071年に悪名高い“フーナール銀行、銀行強盗”を実行し、続く6ヶ月を惑星“ヘロタイタス”にて祝賀をして過ごした。その後、ピーターソンと彼のメックは只中から姿を消しており、この事は相反する噂を巻き起している。
私的解説:
歩く炊飯器ともビヤ樽とも揶揄されるアーバンメックですが、そのコンセプトが明確なのと主戦機ではなかった為に継承権戦争を多数が生き延びています。他の機体のメック戦士からは見下される事が多かったそうですが、都市防衛ではその真価を発揮して重量級に伍する活躍をする機体もありました(小説では市民軍のアーバンメックが重量級のカタフラクトを倒した事もあります)
第4次継承権戦争で大敗を喫し、そのバトルメック戦力に途轍もない損害を被ったカペラ大連邦国では、他の国家が顧みなかったアーバンメックの改良に真っ先に取り組みました。このカペラ大連邦国の改良は健全と言えるもので、エンジンや中枢には一切手を入れず比較的安価に性能向上を果しています。3060年代には他国もそれぞれの事情に合わせた改良をアーバンメックに行っていますが、そのどれもがエンジンの換装をしていないのは当然と思いつつも面白い所ですね。
それとは対照的に、氏族のアーバンメックIICはエンジン換装とジャンプジェットの追加を含む、アグレッシブな改良が為されています。節制を尊ぶ氏族的にはこの改良に掛ったコストは余り宜しくないものに見えるのですが、時としてマニアックな方向にに走るのもまた氏族ですから問題はないのかもしれません。
――まあ、色々とありますが、アーバンメックは愛らしい機体ですよね(笑)