出典: Technical Readout: 3085

スフィンクス

重量: 75t
シャシー: バーガン・バージョン6.2 エンドースチール
パワープラント: スターファイア375XL
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: コンパウンド12A2

武装:
  2×シリーズ6b 射程延長型大口径レーザー
  10×シリーズ2f 射程延長型中口径レーザー

製造元: エイヴォン・アルファ
   主工場: エイヴォン
通信システム: ラルドンR1
照準・追尾システム: ダルバンHirezII

スフィンクス
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


氏族

エンドースチール
375XL



23[46]


216

重量

75.0
4.0
19.5



13.0
4.0
3.0
13.5


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

23
16
12
16

装甲値

34/11
23/8
20
30

武器・弾薬

種別
ER大口径レーザー
4×ER中口径レーザー
2×ER中口径レーザー
4×ER中口径レーザー
ER大口径レーザー
部位
右腕
右胴
胴中央
左胴
左腕

装備欄数




重量
4.0
4.0
2.0
4.0
4.0


概要:
 ワード・オブ・ブレイクに対した自分達の教訓から学んだノヴァキャット氏族は、長い持久力を持ち補給線への依存が最小限である重騎兵の設計機としてスフィンクスを開発した。そして、3078年に急遽投入されたこの機体は、その初期の設計段階で意図されていたオムニメックではなく、通常型のバトルメックであった。

性能:
 ブラックホークといった機体の随伴機として構想されたこのスフィンクスは、全てがエネルギー兵器という装備構成を持った高速打撃ユニットとして活動する事を意図されていた。その腕に搭載されたシリーズ6bレーザーは、氏族のメック戦士へ敵手に対して“腕を伸ばして触れる”事を可能とさせる。そのスターファイア375XLエンジンのパワーを使用して間合いを詰めると、その10基のシリーズ2fレーザーの砲列はバトルメックやヴィークルの装甲を切り裂く事が可能である。そして、それらのバトルアーマーに対する効果も同様に印象的なものである。しかしながら、その大量のレーザー射撃は多大な熱という負荷をもたらす。スフィンクスは23基という驚異的な数のダブルヒートシンクを搭載しているが、未熟なメック戦士は数秒でこのバトルメックをシャットダウンに容易に追いやる事ができるのであった。
 大急ぎで製造がされたスフィンクスには多くの近代的な設計の機体が持っている優雅さや上品さが欠けているが、このずんぐりとした不格好な見掛けのバトルメックを深く考えずに撥ね付けるのは愚か者のメック戦士のみであろう。それは無骨で荒削りな外観に見えるであろうが、氏族の技術者達は13t以上もの装甲で良好に防護されたシンプルかつ頑丈なシャシー(ハイランダー強襲型メックのシャシーを想起させるもの)を作り上げたのである。そして、その整備維持の必要性の低さと全てがレーザーであるその武装は、コクピットのメック戦士によってのみ継戦力が制限されるというメックを産み出したのである。また、オムニメックとして始まったその設計の遺産からもたらされた、意図してはいなかったボーナスもあった。その主要な組み立て品とコンポーネントの多くはモジュール特性がそのまま保持されており、その事はそれらの交換と修理を容易な作業へとしているのであった。
 ノヴァキャット氏族が経験した唯一の問題は、自分達のその新型バトルメックの製造がスターファイア375XL――あの恐るべきマッドキャットの修理の為に需要が未だに多大なままである――の供給不足によって妨げられる事のみであった。


配備:
 当初はスフィンクスをその意図された役割で配備する事に満足していたが、ノヴァキャット氏族はワード・オブ・ブレイクとの激しい戦闘に於けるこのバトルメックの成功に非常に印象付けられてその製造数を増加させ、今やスフィンクスは第一線部隊にも姿が見られる様になっている。
 3084年、ノヴァキャット氏族は惑星“ムアラン”でゴーストベアー・ドミニオンの第9PGCの部隊に立ち向かっている第1光の剣連隊を支援する為に第246戦闘星団隊を派遣した。そこの開けた地形は優越した射程を持った高速バトルメックに有利であり、第246戦闘星団隊のスフィンクス星隊はゴーストベアーによって配備されたコディアック、アルカス、グリズリーといったバトルメックに対して素晴らしいパフォーマンスを示した。しかし最終的には、戦闘での優れた能力ではなく、ゴーストベアーの兵站線の崩壊により戦闘は決する事となった。11月の終わりには、ほぼ決着が付いた――第9PGCは惑星“ムアラン”を放棄し、ゴーストベアー・ドミニオン領域に帰還したのである。
 このスフィンクスはまた、氏族の決闘の伝統に良く適合しており、ブラッドネームの獲得を求めるリスター達が不変に好む機体となった。その雄壮な対決の1つにて、スターコマンダー:ラモンとメック戦士サディグはロスのブラッドネームを巡るブラッドライトの神判の最終ラウンドにて全く同一のスフィンクス・バトルメックに乗って対決した。両者は、レクサテック社の製造ラインの残骸を通り抜けながら互いの跡をつけ合った。両者のバトルメックが互いの相手のレーザーの直撃に次ぐ直撃を耐え抜いたが故に、その戦闘は長く激しいものであり両者は互角と思われた。最終的には、ラモンのスフィンクスが右腕のレーザーの動力を失った時に、サディグが優位に立ったかに見えた。ここで好機と感じ取ったサディグは相手の右から接近したが、ラモンが自機のスフィンクスの右腕を上げてサディグのコクピットに依然として機能していたレーザー射撃を叩き込むのを見るだけに終わった。


派生型:
 興味深いスフィンクスの派生型が、3080年にワード・オブ・ブレイク保護領に対する作戦に参加したノヴァキャットの部隊内に出現している。この型は、1基の放熱器と複数の射程延長型中口径レーザーを降ろしている。そして、腕に搭載された射程延長型大口径レーザーは胴中央に移され、複数の射程延長型小口径レーザーが組み込まれている――5基は左胴に、もう5基は右胴に。このスフィンクス2は、右胴に先進的な照準コンピューター、左胴にMASCを装備している。この兵器の組み合わせの変更は原型機の酷い熱問題をより扱いやすいものにしており、また、その照準コンピューターはMASCを使用して急速接近した後にメック戦士へ敵手に対する正確な攻撃を行う事を可能とさせている。



私的解説:

 スフィンクスはメックウォリアー:ダークエイジの中期に登場したメックで、その大きなフィギュアとゴツゴツとした見掛けが記憶に残る様なメックでした。設定上、“聖戦”で活躍したとされているだけの事はあり、スフィンクスの性能は大したものです。そのレーザー・オンリーの武装は有力なもので、レーザーもこれだけ数があると通常歩兵部隊にもそれなりに通用しますし、意外と汎用性を持ちます。問題は、ブラックホーク系列の設計思想から来るその過大な発熱です。ER大口径レーザーは特に発熱が大きいですから、使い所を間違えないよう注意が必要ですね。

 スフィンクスは急速開発された割にはこれと言った問題もない機体で、しかも比較的安価な事から大量に製造されて広く使用されています。リソースに余裕があるのならば似たような性格の機体である70tのオムニメック、ノヴァキャットを本来は量産したい所でしょうが、“聖戦”後の軍縮ムードと軍事予算削減はそれを許さなかったのでしょうか。貧乏とは辛いものですね(笑)
 それはともかくとして、スフィンクスはノヴァキャット氏族にとって素晴らしいメックでした。信頼性の高さで言えば、後に登場するノヴァキャット氏族のケーヴライオンやウェンディゴよりも遥かに上でしょうから、32世紀でも前線で重宝されている様です。

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