出典: Technical Readout: 3039、Technical Readout: Succession Wars

SDR-5V スパイダー

重量: 30t
シャシー: ニューハート1200
パワープラント: ピットバン240
巡航速度: 86km/h
最高速度: 129km/h
ジャンプジェット: LFT−10
ジャンプ能力: 240m
装甲板: デュラレックス・ライト

武装:
  2×アバードヴェイMk III 中口径レーザー

製造元: ニマカチ・フュージョンプロダクツLtd.
   主工場: テマタギ、テマタギ・マイナー(ラピダII)
通信システム: O/P 500A
照準・追尾システム: O/P TA1240

SDR-5V スパイダー
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


中心領域


240

12

10


56

重量

30.0
3.0
11.5



0.0
3.0
3.0
3.5


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

10


装甲値

8/4
6/2

武器・弾薬

種別
2×中口径レーザー
ジャンプジェット
ジャンプジェット
部位
胴中央
右胴
左胴

装備欄数


重量
2.0
2.0
2.0


概要:
 400年以上もの時を経ているこのスパイダーは、2650年に特殊作戦部隊で使用するべく星間連盟によって要求が為されたものである。この時、ニューハート・インターステラー社は既にスパイダーを設計しており、星間連盟は素早く彼等に契約を与えた。スパイダーは多数が製造されたという訳ではないが、その製造工程の迅速さはそれを良好な装備を持つ偵察部隊にとっての人気のあるユニットにした――2776年にアマリスの軍勢が惑星“ニューアース”のニューハート社の工場群を破壊するまでは。新規のスパイダーというものが皆無となり、また予備部品が数少ないものとなった事により、彼等の数は次第に減少していき、そして、スパイダー用の部品を強奪する為だけの攻勢作戦が実施されるのも当たり前の事となった。
 自由世界同盟はスパイダーの技術概略図を地球帝国の廃墟から確保する事を為し遂げ、ニマカチ・フュージョンプロダクツ社がスパイダーの技術データを独占的に保有する事と引き換えに、ニマカチ社にこの設計機の製造を任せた。そして後に、ニマカチ社はドラコ連合に於いてもこの設計機を製造すべく、そのドラコ連合内の惑星“ラピダII”の施設も拡張する事となったのであった。


性能:
 第3次継承権戦争に於ける如何なるバトルメックよりも高速であるこのスパイダーが持つ最大の強みは、地上と空中の両方を駆け抜けるその速力にあり、それは平地や不毛の砂漠以外の如何なる場所でもスパイダーにシカダやローカストより遥かに良好な機動力を持つ事を可能にさせている。最高の機動力を有するべく、そのジャンプジェットは(そのコンピューターがメックに最終的な着地点への進路を維持させつつ)空中でも向きを変える事が可能なものとなっている。その敵パイロット達がスパイダーに対して言及する所のこの空中での“落ち着きのなさ”は、大抵の場合に於いてスパイダーを非常に捉え難い目標へとしている。更に、融合炉の隣に収められるというそのデュアル・レーザーの配置はメンテナンスの必要性を最小限にしており、そのパイロット本人よりも長い時間をサポートなしで稼働するのが可能となっている。その3.5tのデュラレックス装甲はより小型の兵器に対しては程々の防護を提供するものであるが、パイロット達は速力こそが敵火力に対する遥かにより良い防御手段であると感じているものである。
 スパイダーが優良な偵察ユニットである、とこれ程までに過大視されている理由の1つは、そのO/Pセンサーと通信のパッケージにある。1個の大型システムとしてそれは完全に統合されており、その事はそれに音声の通信と共にセンサーの測定信号を送信する事を可能とさせている。また、それにはエンターテインメント・ユニットも組み込まれており、それは自らの機体の中で待機するのを強いられた際にそのパイロットに少しばかりのリラックスをする事を可能にさせてもいるのである。しかし、この素晴らしいコンピューターシステムは1つの欠点をもたらしている――コンピューターシステムと頭部装甲配置の関係で、その操縦席には脱出装置がなく、緊急時には脱出が遅いものにならざるを得ないのであった。パイロット達の大部分は、この事実を不承不承受け入れている。しかしながら、弾薬に依存する兵器を持っているスパイダーに乗る極少数のパイロット達は、しばしば、余暇に自分達のメックからの脱出を練習するのが見られるものである。


配備:
 スパイダーは少数にて、全ての大王家とより大規模の傭兵部隊にてその姿を見せている。自由世界同盟とドラコ連合が、それらを最多数で保有しているものである。第4次継承権戦争の前には、ウルフ竜機兵団はこの星間連盟の設計機を多数保有していたが、それ以降は彼等は再建するのに連邦=共和国の製造業者達に主として頼っている。

派生型:
 スパイダーの公式の派生型は2つしか知られていない一方で、その所有者による個人的な改修型は多数が存在している。その内の1つ目が、恒星連邦によって主に使用されているSDR-5D型である。その5D型は、1基のレーザーを除去して右腕に1基のアーカム火炎放射器を追加している。SDR-5K型(ドラコ連合の派生型)は2基のジャンプジェットと1基の中口径レーザーを除去して各腕に1基のマシンガンを搭載しており、そしてその弾薬が1tフルで融合炉に危険なまでに近い位置に置かれている。これらの型の両方共に、市民軍部隊で使用されたり、(メック戦士達の大部分が対歩兵戦闘は高性能機の浪費である、と見なしているが故に)対歩兵戦闘の一環で使用されたりしている。

著名なメック戦士
グウェンドリン・スネディカー中尉
 最近になりエリダニ軽機隊の第151ダークホース連隊の打撃小隊の指揮官に昇進したグウェンドリンは偵察と襲撃の両方に対する才能を示し続けているが、彼女は命令を出すのには未だに慣れていない。重い蜘蛛恐怖症に悩まされている彼女は、自分がスパイダーを割り当てられてそれを運用する才能を持っていた事だけでなく、部隊のナターシャ・ケレンスキーとの複数の戦闘に於いて自分がその最前部に立ち続ける羽目にもなった事について皮肉を感じている。

ロンダ・スティルストン大尉
 アディックス・ドラコ境界域市民軍の偵察中隊を預かるスティルストン大尉は、20年間に渡りドラコ連合との国境に於いて無視できない影響力を持った存在であり続けている。彼女――その金色でハイライトされた鮮紅色のスパイダーで以て存在が容易に識別する事ができる――は、自分のメックの重量の2倍を超えるユニットと交戦する事にも逡巡せず、その優越した機動力を用いて一撃離脱で戦う。少佐への昇進リストに載っている事は彼女の獰猛さをある程度は和らげているが、彼女の中隊は彼女が常に敵の上手に立ち続ける事を助けているものである。




私的解説:

 スパイダーは星間連盟期に特殊作戦部隊向けに作られた軽量級メックで、3025年代だと最高峰の機動力を持った存在です。その機動力は非常に頼もしいもので、殆どどんな地形でも容易く踏破する事ができ、高速で情報を収集してくれます。その大きな欠点は、脱出システムを搭載していない事でしょう。これは不利な特徴を再現するルールを導入しない限りはフレーバー以上の影響はないとはいえ、RPG的にはちょっと気になる所です。3067年に開発されたSDR-7K型以降のスパイダーはどうやら脱出システムの搭載に成功しているらしいので、時代が進んだ際にはできればそれらの新型に乗り換えたいですね。
 ダークエイジ〜イルクラン期でもスパイダーは製造が続けられており、SDR-9M型がその主流の最新型になっていると言えます。このSDR-9M型は敢えて氏族スペック兵器は導入せず、安定志向的にVSPレーザーを搭載しているのが面白いと思います(ただ、SDR-9M型は脱出システムを搭載しないというその古き欠点が先祖返り的に再発してしまった機体でもあります。スパイダーと脱出システムとの相性は、余程悪いものなのでしょうか。何ともはやです)

 バトルテック・ボードゲームでは、スパイダーは基本的には戦場を飛び回るものとなるでしょう。その機動力を活かし、機会を捉えては相手の背面に回って攻撃とプレッシャーを与えたり、観測機として各種攻撃を誘導したり、と。また、TAGを活用してみるのも有効でしょう。

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