出典: Technical Readout: Project Phoenix
SCP-12S スコーピオン
重量: 55t
シャシー: デファイアンスSLAM エンドースチール
パワープラント: エドアシシュ330ライト
巡航速度: 65km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: マクシミリアン100 with/CASE
武装:
1×デファイアンス・シュレッダー LB 10−Xオートキャノン
1×ハーヴェスター20K SRM−6ランチャー
製造元: デファイアンス・インダストリーズ
主工場: フリロ
通信システム: ニール6000-g
照準・追尾システム: RCAインスタトラック・マークXXII
SCP-12S スコーピオン 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右前脚 左右後脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 LB 10−X AC SRM6 弾薬(LB−X)20 弾薬(SRM)15 CASE |
部位 右胴 右胴 左胴 左胴 左胴 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
最初の製品版4脚メックとして開発されたスコーピオンは、不幸な事にメック戦士にとって今までに配備された中で最も不人気の配属機となった。その販売不振に直面したブリゲイディア社は、第1次継承権戦争が開始される前にこの設計機の製造を停止した。そして、スコーピオンは記憶の彼方に霞んでしまい、中心領域に於いてその存在も消えていった。
3065年、惑星“ヘスペラスII”での激戦により、長い間忘れ去られていた貯蔵庫――放棄されたスコーピオンLAM計画の記録とプロトタイプが収められていた――が発見された。デファイアンス・インダストリーズ社は、最初は過去の重役達が(文字通り)葬った実現不可能であった計画を甦らす事には全く興味を抱かなかった。しかしながら、そのプロトタイプにて行われていたシャシーの再設計は、スコーピオンをあれ程までに不人気機種へとしてしまったお粗末な処理を直せる見込みがあった。最終的には、タランチュラとバーゲストの成功、ヴィコア・インダストリーズ社の古典的な設計機の改造に於けるその主導の成功が複合した事が、デファイアンス・インダストリーズ社にこのデータを使用してかの伝統的なバトルメックを製造する事をさせたのであった。そして、ライラ商人達の伝説的な狡猾さにより、デファイアンス・インダストリーズ社は(もちろん、自分達の発見を伏せて)ブリゲイディア社から(これまで)嘲笑されていたスコーピオンを製造するライセンスを二束三文で取得したのであった。
性能:
(放棄されたLAM計画の遺産である)サスペンション・システムの再設計と幾つかのコンポーネントの簡素化は、スコーピオンの輪郭を相当に変えている。そして、文字通りの“跳ね回る野生馬”に自らが乗る事になるのを予想していたメック戦士達は、その素直な操縦性と新型のコクピット・モジュールの快適さに嬉しい驚きをする事となった。また、そのライトエンジンの組み込みは価格を安く抑えると同時に、PPCがあった場所にそれよりも重いLB10−Xオートキャノンを搭載する事も可能とした。SRM6ランチャーと組み合わされたこれはスコーピオンに対車輌/対バトルアーマー作戦に申し分のない武装を与えている。この両ウェポン・システム用の弾薬は、機体の左側のCASEで防護されているマガジンに収納されている。
批判者達は、スコーピオンのユニークな機動力は非常に大きなアドバンテージであるが、全ての4脚設計が抱える問題点――胴体に装備した武器の射界が制限されているという問題点――を持ったままである、と指摘している。また、腕を欠いているスコーピオンは、歩兵部隊や車輌が最も真価を発揮する狭隘な場所では非常に無防備である。
配備:
4脚設計は受け入れられてはいるが、デファイアンス・インダストリーズ社はスコーピオンの過去の評判を克服するのに尚も苦闘をしている。ライラ連隊が喜んでその電撃中隊用のプロダクション・ランを受領するという形に持っていくのに、彼等は予備部品を割引するという色をつけた取引をせざるを得なかったのである。しかし、彼等は、コストを重視する傭兵部隊にこの比較的安価な設計機を販売するのに於いては遥かに大きな成功を収めている。
派生型:
3067年初期、ワード・オブ・ブレイクの使節は、改良型スコーピオンにデファイアンス・インダストリーズ社が行ったのと同様の革新を導入するという計画をブリゲイディア・コーポレーションに持ち掛けた。このSCP-12C型はエンドースチール中枢の代りにXLエンジンとフェロファイバー装甲を使用している。オートキャノンは1基のマグナ・ファイスターER PPCと1基のER小口径レーザーに置き換えられ、SRM6とCASEが占めていた場所は空となっている。ブレイク教徒達は受け渡しがされた後に、iNarcランチャーとC3iを搭載するものと思われる。
何故、ワード・オブ・ブレイクが更に別のバトルメック設計を必要としたかは謎である。最近になり創設された第9師団のグランド・イリュージョンIII−ガンマが幾らかのスコーピオンを配備しているが、ブリゲイディア社の生産の大部分は何処かに消え去っている――これは我々の分析員達が推測しているワード・オブ・ブレイクの“秘密師団”の1つへの装備供給の助けとなっている可能性があるものである。
私的解説:
スコーピオンは、史上初の4脚メックです。しかし、その運用実績は芳しいものではなく、乗り心地の悪さでメック戦士の間での評判は悪いものでした。また、胴体下部に存在した弱点を歩兵につかれて容易に撃破されたりするその脆弱性も問題でした。ですが、4脚構造からもたらされる安定性は大したもので武器のプラットフォームとしてはある一面で非常に優れており、適切に運用された場合はかなりの戦果を挙げた事例もあります。スコーピオンの不幸は、運用法の熟成や構造上の欠点の洗い出しや改善を行うのに時間が掛かった事でしょうか。その精神的後継機であるゴリアテが一世紀を費やして4脚メックの名声を高めて星間連盟防衛軍が4脚メックの調達を再検討した時には、ステファン・アマリスによるクーデターが勃発する間際になっていました。そして、その後の大戦争と戦後間もなくして星間連盟が崩壊した事で星間連盟防衛軍の4脚メックの大量調達はお流れとなり、4脚メックが広く普及する事はなくなってしまったのです。
4脚メック構想自体の地位は、スコーピオンのジャイロ/各部の駆動装置を制御するソフトウェアのアップデートが行われて乗り心地や操作性が地味に向上されていった事や3055〜60年代にライラのデファイアンス・インダストリーズ社が製造したバーゲストやタランチュラといったシリーズが活躍した事から復権していきます。そして、連邦=共和国内戦時のスコーピオンLAM計画の再発見により、スコーピオン自体も新型となって復活する事となります(しかし、未完に終わったとはいえ、スコーピオンLAM計画自体は興味深いと思います。スコーピオンLAMはどの様な変形機構を持っていたのでしょうか?) スコーピオンの改良はその後も続けられており、ダークエイジでもそれなりに各軍で使用されています。
この生まれ変わったスコーピオンは、LB 10−XにSRM6と手堅い武装で使いやすいメックです。4脚メックは“Total Warfare”ルール下では様々な強みが与えられていますので、それを生かした運用をすべきです。自分より重く火力に優れた相手には、部分遮蔽や伏せを利用した遠距離砲戦を、軽量級には機動力を生かした接近戦を挑むと良いでしょう。ただ、接近しすぎますと胴体の回転ができないという4脚メックの欠点が問題となる可能性が高くなりますので注意すべきです(特に後方に回り込まれると反撃もできず、一方的に殴られてしまいます) ウルバリーンみたいにジャンプジェットを持ち火力と機動力を兼ね備えているメックが相手にいる場合には特に要注意です。また、その武装の関係から歩兵部隊は難敵といってよい存在です。歩兵部隊との交戦は避けるべきです。交戦する場合は、LB 10−Xにクラスター弾、SRM6に破片弾頭かインフェルノ弾頭を積むべきでしょう。
意外な事に、この新型スコーピオンは傭兵部隊への売れ行きは好調だそうです。傭兵部隊と戦う時には、スコーピオンと遭遇する可能性も高そうですね。