出典: House Liao、Hardware-Handbuch 3031、Technical Readout: 3039
RVN-1X レイヴン
重量: 35t
シャシー: ヘレスポント・タイプR
パワープラント: オムニ175
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: スターシールド
武装:
2×セレス・アームズ 中口径レーザー
1×ハープーン 6−SRMランチャー
製造元: ヘレスポント・インダストリーズ
主工場: シーアン
通信システム: セレスコム・モデル-22-A
照準・追尾システム: C−アップル・チャーチル
RVN-1X レイヴン 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右腕 左右脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 2×中口径レーザー SRM6 弾薬(SRM)15 EW装備 |
部位 右腕 右胴 左胴 左胴 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
自由世界同盟と恒星連邦の間に押し込まれた小さな存在であるカペラ大連邦国は、第3次継承権戦争の終結後、戦力を倍増させる要素を死に物狂いで探求していた。その内の1つの研究/開発計画は、遥か昔に失われた星間連盟時代の電子戦技術を再現するという大胆な試みであった。しかし、技術的には成功を収めたのであったが、そのプロトタイプは余りにも嵩張るものであり、カペラ大連邦国の現存のどのバトルメックに組み込めなかったのである。
ここでマクシミリアン・リャオはこの有望な技術を諦める事はせず、自らの技術者達にその電子機器を搭載する為のプラットフォームとなる新たな設計機を開発する事を指示した。そして、その成果こそが、このヘレスポント・インダストリーズ社のRVN-1Xレイヴンなのであった。
性能:
軽武装かつ軽装甲のこのレイヴンは戦闘は他のユニットに任し、自らはその主とする任務――他のバトルメック達の為に中隊レベルでの電子戦支援を提供する事、に専念をする。中隊が作戦行動をする間、レイヴンはECMのカバーを提供して敵から中隊の移動を隠したり、その先進的なセンサーを使用し進路を偵察して敵の待ち伏せやその他の奇襲を探査したりする。そして、一度交戦が開始されたのならば、レイヴンは一般的に距離を取り、間接砲撃や間接射撃の誘導を行うのである。
レイヴンは文字通り、セレス・アームズの電子戦パッケージを中心に作り上げられたものである。しかし、その精密なシステムは、それ自身の問題――電子機器へのダメージが他のシステムも混乱させる可能性があるという事実、等々――から逃れられてはいない。大抵の場合に於いて、それは通信システムや照準システムを制限するに過ぎないものであるが、時折、その強力な電磁パルスにより他のシステムを機能停止させてしまうのであった。
配備:
中隊レベルでの支援用に設計されたにも拘らず、レイヴンの恒久的な配備を実際に受けたカペラの中隊は少数である。その代りにリャオ家は大隊レベルでレイヴンを配備しており、一時的な4機目のメンバーとしてその指揮小隊に配属させている。大隊指揮官は、自分の部隊の中隊や小隊へ必要に応じて電子戦支援を提供するべく、特定の任務用にレイヴンを派遣するのである。名声のある部隊内の幾つかの偵察小隊には、レイヴンが恒久的に配属されている。
第4次継承権戦争の最中、ダヴィオン家の軍勢はカペラ大連邦国に切り込んだ際に多数のレイヴンを鹵獲した。これらの鹵獲されたバトルメック群の幾つかは逆設計用にニューアヴァロン科学大学に送られたが、それ以外の大多数はそれらを鹵獲した部隊の戦闘での損害を埋める為にそのまま保持された。かようにレイヴンはAFFSにて一般的に見掛けられる存在となった為に、民間のオブザーバーの多くはこの設計機を新型のダヴィオンのメックに違いないと誤解をした。
レイヴンの最初の配備の1つは、“イントルーダーズ・コミュニオン作戦”に参加する部隊へ電子戦カバーを提供する為のものであった。2機のレイヴンが、惑星“ベセル”の秘密のNAIS研究所を襲撃するべく送り込まれたチームの支援をした。そして、ダヴィオン軽近衛隊による頑強な抵抗に直面したこのカペラの奇襲チームは、1機のレイヴンの喪失と引替えに、新型の強力なマイアマーのプロトタイプと共に成功裏に逃亡できたのであった。
派生型:
恒星連邦は、その鹵獲した多数のレイヴンに存在していたカペラの気分屋の電子機器を交換している。RVN-2X型と名付けられたこの派生型はEW装備を大口径レーザーに交換し、2.5tの追加装甲を加えている。
カペラ大連邦国は、ベセル研究所から奪取した3重強化筋肉をいじるのを継続している。リャオ家がこの技術に存在した欠陥に気付くのは遅すぎるものであった――彼等はその新型マイアマーが触媒となるガスに最初に触れた際にバトルメック群が急に炎上するという光景を見る為だけに、バトルメックをアップグレードするという時間とリソースを浪費してしまったのである。しかし、この不名誉な始まりにも拘らず、リャオ家はその新型マイアマーの実験を続けている。RVN-3X型は、このオリジナルの3重強化筋肉で以てその地上速度を増加させている。この機体は直接的戦闘を意図してはないが故に、マイアマーから得られる利点がその危険よりも勝っているのである。
カペラの2つ目の派生型であるRVN-4X型は、そのシャシーを純粋な戦闘ユニットへと変える事を試みたものである。EW装備を除去したこの4X型は、5期のジャンプジェット、2基のマシンガンと1tの弾薬という装備を施されている。また、装甲防御はそのシャシーの限界にまで増強されている。
著名なメック戦士
ジョーダン・ワイス少尉(副指揮官)
リャオ家へ熱狂的に忠誠を誓っているワイスは、カペラ戦闘部隊に配属されている熟練の偵察員である。新型のレイヴンの操縦を任されるという名誉を与えられたジョーダンの喜びは、惑星“ベテルギウス”にて傭兵連隊トゥース・オブ・イミルとの戦闘を経験した後には多少冷めてしまっている。
十字砲火に捉えられたワイスのレイヴンは、数発の命中弾を受けた。ここでそのEWシステムはオーバーロードし、彼の操縦システムの全てをショートさせた。また、更なるダメージはキャノピーを故障させ、ワイスを戦闘の真っ只中で停止してしまったバトルメックの中に閉じ込めてしまったのである。そして、彼は暗闇の中で、ショートした電子機器からの電気ショックを受けつつ、機能不全となった役立たずの制御システムと戦いつつ、自分の無力化したメックを誰も射撃しない事を祈りつつ、続いての30分間を過ごしたのであった。
私的解説:
3025年代、全般的に劣勢であったカペラ大連邦国が開発した新型メックの内の1機がこのレイヴンです。カペラ大連邦国が起死回生の一手として開発した電子戦機材を搭載したレイヴンは、当時としては珍しい存在かつ十分に革新的な機体だと言えるでしょう。3025年代にこの様な電子戦装備を開発できたカペラ大連邦国の技術力は、侮れないものがあると思います。ただ、後年のテクニカル・リードアウト:3050では、この電子戦装備は“戦闘に影響を及ぼす程の優位は発揮できなかった”と評されていますので、ガーディアンECMやビーグル・アクティブプローブに匹敵する様な性能を持っていなかったみたいですが。また、その搭載した電子戦機器に起因する不具合も初期型にはあった様で、これもレイヴンが第4次継承権戦争で大活躍できなかった理由の1つななのかも知れません。
レイヴンは、テキスト上では直接的な戦闘を想定していない様な事が書かれていますが、その武装は近接戦闘に十分に適したものとなっています。間接射撃/砲撃用の観測をしつつも機会があればその火力を近くの敵に叩きつけるのがレイヴンの基本戦術になるでしょう。