出典: Technical Readout: 3050 Upgrade

ON1-M オリオン

重量: 75t
シャシー: カーリーヤマ・シャシーズ
パワープラント: ヘルメス300XL
巡航速度: 43km/h
最高速度: 64km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: ヴァリアント・ラメラー with/CASE

武装:
  1×カーリーヤマ・ウェポンズインダストリーズ LB 10−XAC
  1×カーリーヤマ・ウェポンズインダストリーズ タイプV LRM20
  1×イリアン・ウェポンズワークス クラス4 SRM
  1×オクタゴン・ミサイルマグネット NARCミサイルビーコン
  2×イリアン・ウェポンズワークス 中口径レーザー

製造元: カーリーヤマ/アルファード・トレーディングコープ
   主工場: ケンダル、カーリーダーサ
通信システム: イリアン・オーレイター-5K
照準・追尾システム: ワサト・アグレッサー・タイプ5

ON1-M オリオン
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


中心領域


300XL



11[22]


224

重量

75.0
7.5
9.5



1.0
3.0
4.0
13.0


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

23
16
12
16

装甲値

36/9
22/10
21
32

武器・弾薬

種別
LB 10−X AC
弾薬(LB−X)20
CASE
LRM20
弾薬(LRM)12
CASE
SRM4
弾薬(SRM)50
NARCミサイルビーコン
弾薬(NARC)12
中口径レーザー
中口径レーザー
部位
右胴
右胴
右胴
左腕
左胴
左胴
左胴
左胴
胴中央
左胴
左腕
右腕

装備欄数











重量
11.0
2.0
0.5
10.0
2.0
0.5
2.0
2.0
3.0
2.0
1.0
1.0


概要:
 500年以上も前の製品であるにも拘わらず、その火力と柔軟性の組み合わせが多様なメック戦士達に気に入られた為に、オリオンは自由世界同盟の重量級メック部隊の主力の座に留まり続けている。数世紀間に渡り無数のその機体が製造ラインから送り出されているのであるが、復興した技術をオリオンに組み込んだ事はオリオンへFWLMの軍事輸出品の最先鋒に躍り出るのを可能とさせたが故に、ここ20年間はオリオンにとってのある種のルネッサンス的なものに見えるものである。

性能:
 アルファード・トレーディングコーポレーション社によって先鞭が付けられたこのオリオンの再設計では、以前の型の気分屋であったオートキャノンをLB 10−Xに交換し、オクタゴンNARCミサイル・ビーコンと連結して作動する能力を持った複数のミサイルランチャーで補強がされている。そのXLエンジンと2倍効率の放熱器は、オリオンに過熱の心配を殆どさせずにその兵装を使用する事を可能にさせている。
 この新構成の実戦での洗礼は、3057年の連邦=共和国に奪われていた惑星群を解放する最中にもたらされた。しかし、その最初の意義深いテストは、その1年後のジェイドファルコン氏族による惑星“コベントリー”侵攻の最中にもたらされたものである――そこにて、多数のその輸出モデルはライラ人達によって使用されたのであった。


配備:
 数世紀間に渡りFWLMの主力であるオリオンは、その設計の起源が星間連盟にあるにも拘わらず自由世界同盟以外で見掛けられる数は限られていた。しかし、それは氏族侵攻の最中に惑星“アウトリーチ”にて妥結された交渉により変わる事となった――それに於いて、自由世界同盟の軍産複合体が(氏族侵攻という)危急存亡の時期には他の王家の軍を支援する事についての合意が定められたのである。この協定はカーリーヤマ社やアルファード・トレーディングコーポレーション社と言った企業を星間連盟の崩壊以来見る事のなかった黄金時代に導き、莫大な富と製造経験をそれらの自由世界同盟の企業達にもたらした。

派生型:
 オリオンの広範な普及の副次効果の1つは、その多数の派生型が出現してきている事である。その多くは機体に極僅かな変更――野戦修理で現地のコンポーネントを使用したり個人的な好みに合う様に兵器の再配置を行ったり等々――を加えたものに過ぎないが、その他のものは基本型から劇的に懸け離れた型になっている。アルテミスFCSを選んでオクタゴン・ランチャーを降ろした型、LRMランチャーとSRMランチャーを別のもので置き換えた型(DCMSではMRMを装備した型がある)、重いLB−Xを降ろしてそれを軽量のガウスライフルやロータリーキャノンに交換した型、等々。
 その唯一の受注製造品の派生型が、発熱の少ないON2-M型である。それはオリオンの兵装を徹底的に改め、以下の変更を行っている――オートキャノンのあった箇所には1基のガウスライフルが見られ、SRMランチャーと既存のレーザーを置き換えた3基の中口径パルスレーザーが近接火力支援を提供している。そのLRMランチャーは15連装のものにダウングレードされているが、その有効性はNARCビーコンシステムから交換されたアルテミスIVFCSによって強化されている。これらのアップグレードの全てを促進する為に2M型の放熱システムは僅かにダウングレードされたが、通常の作戦状況ではこの派生型は過熱をする事はないであろう。


著名なメック戦士:
アレクサンドル・ケレンスキー将軍
 疑いもなく、今までに存在した最も有名なオリオンのパイロットであるアレクサンドル・ケレンスキーは、辺境の戦役とアマリスに対する戦役を通してその機体を使用した。その自分のオリーブドラブ色の機体に乗り、将軍は“地球”のアマリスの最後の要塞に突撃し、そこにて彼はかの簒奪者とその一族達を捕虜にしたのである。しかしながら、自分のオフィスを引き払い“エクソダス”を策定した後、ケレンスキーはこの由緒ある機体を放棄し、辺境に立ち去る前にそれを艦隊から投げ捨てていった。そして、それはドラコ連合の回収チームに発見されるまでの2世紀以上に渡りスクラップの間で孤独に忘れ去られていたのであった。

セオドア・クリタ大統領
 若きセオドア・クリタは、父親から与えられるドラゴンに搭乗して自分の軍歴を開始する事を期待していた。従って、自分の大叔母のフロリメルから由緒ある星間連盟時代のオリオンという贈り物を受け取った際に、彼は衝撃を受けた。このメックはその若き士官にとって素晴らしい贈り物であったが、それを他よりも傑出した存在にしたものはその由来にあった――このメックはケレンスキーが使用していた機体に正に他ならなかったのである。“ニューサマルカンド”のアステロイドにて発見されたこのメックはロステックの部品が除去されるか台無しになっているかしていた事により、ドラコ連合の最高の技術者達によって修理されるまでは不完全品に過ぎなかった。セオドアによって“レヴナント”と名付けられたこのメックは、続いての10年間に渡り(惑星“マルフィク”のヴェガ軍団と彼が共にあった時期には特に)セオドアに良く役立った。このメックは、第4次継承権戦争の初期の数週間の最中にLCAFがかの王子を捕らえようとした際に、惑星“マルフィク”にて破壊されたと伝えられているものである。しかし、セオドア自身は逃れられ、ライラ共和国への反撃の指揮を執ったのであった。




私的解説:

 オリオンは自由世界同盟で特に愛用されているメックで、他の継承国家では数が少ないものになっていました。さすがの商業国家の自由世界同盟でも、軍事製品だけは輸出の規制と監視が厳しく(ライラ共和国に対しては特に厳しく)されており、他国への輸出は不可能を可能とする自由世界同盟の自由商人達でさえもかなりの苦闘をする羽目になっていました(それでも、幾らかの軍事製品が他国に流れていましたから、それが規制と監視を潜り抜ける自由世界同盟商人達の手練とバイタリティの一種の証明にもなっていました) この状況が変化したのが、3050年代の氏族侵攻です。それにより危機的状況に陥った継承国家の首脳達は“アウトリーチ”に集まり協議し、氏族の戦禍を受けていない自由世界同盟に中心領域の武器庫となる事を求め、自由世界同盟は紆余曲折を経てそれに応じました。そして、自由世界同盟は輸出規制をそれなりに解除して各国に兵器の友好価格での大量販売を開始したのです(ちなみに、連邦=共和国はこの時にその代金を3110年に償還する予定で大量の兵器を自由世界同盟から購入しましたが、“聖戦”勃発やその後の自由世界同盟の崩壊から購入代金を全て支払ったかどうかは定かではありません。それなりの金額を踏み倒している可能性は高そうです)
 かくして、オリオンは各国にかなりの数が渡る事となり、その後の戦役で活躍しました。防御力が高く、どの距離でも戦える兵装を持ったオリオンはメック戦士達に好まれ、その販売に後押しされて自由世界同盟では様々な派生型が開発されました。そして後には、オリオンを基礎にオムニメック・ペルセウスを自由世界同盟は開発していますから、自由世界同盟のオリオンへの愛は相当なものがありますね。

 さて、著名なパイロットの項にありますが、ケレンスキー将軍のオリオンは何故か“エクソダス”の際に捨てられており、数百年の時を経てセオドア・クリタの手に渡る事になります。バトルテック小説でも今の所はこの捨てていった理由は明かされておらず、ちょっとした謎になっています。ケレンスキー将軍のオリオンは星間連盟末期の先進技術が使われたカスタム機で、スナブノーズPPCやガウスライフルを装備したなかなかの機体でした。完全な状態で手に入らなかったのは、セオドアにとって惜しいものだったでしょう。第4次継承権戦争にてセオドアのオリオンは脱出の為の囮に使われてライラ共和国軍に撃破されますが、完全破壊はされませんでした。その後の機体の行方は明かではありませんが、惑星“ソラリスVII”の軍事博物館にケレンスキー将軍のオリオンのコクピットと称されるものが飾られているとの記述がソラリス・ボックスセットでありましたから“ソラリスVII”にある可能性があります。バトルテックRPGにて、“ソラリスVII”でケレンスキー将軍のオリオンを探してみるのも一興でしょう。

 ON1-M型オリオンのバトルテック・ゲーム上での運用は、万能射程型の重量級メックの定石に則ったものがベストでしょう。その兵装の多様さを生かして、相手に優位に立つ距離を維持して射撃をしましょう。ただ、XLエンジンの為に見掛けの装甲よりも時として耐久力が脆弱ですから、側面から射撃を受けない位置取り、危ない時は躊躇わずに下がる思い切りの良さが必要です。

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