出典: Technical Readout: Prototypes、Experimental Technical Readout: The Clans

マッドキャットIII

重量: 55t
シャシー: DSAMエンドー6-コンポジット
パワープラント: 核融合330XL
巡航速度: 64km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: Zk15フェロファイバー

武装:
  2×タイプXX“グレートボウ” LRM20ランチャー
  4×シリーズ2b 射程延長型中口径レーザー
  6×ムスタング4.5 射程延長型マイクロレーザー

製造元: マニュファクチュアリング・プラントDSF-IT1
   主工場: イタバイアナ
通信システム: コムセット1
照準・追尾システム: J−トラック52 with/アルテミスV

マッドキャットIII
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


氏族(アドヴァンスト)

エンドーコンポジット
330XL



10[20]


163(FF)

重量

55.0
4.5
12.5



0.0
3.0
3.0
8.5


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

18
13

13

装甲値

20/8
19/7
15
22

武器・弾薬

種別
2×ER中口径レーザー
LRM20
アルテミスVFCS
弾薬(LRM)12
2×ERマイクロレーザー
2×ERマイクロレーザー
LRM20
アルテミスVFCS
弾薬(LRM)12
2×ERマイクロレーザー
2×ER中口径レーザー
部位
右腕
右胴
右胴
右胴
右胴
胴中央
左胴
左胴
左胴
左胴
左腕

装備欄数










重量
2.0
5.0
1.5
2.0
0.5
0.5
5.0
1.5
2.0
0.5
2.0


概要:
 マッドキャットという名称は、中心領域に於いては常に衝撃と畏怖を受けるものであった。ダイヤモンドシャーク氏族のマッドキャットIIの披露も、それを変える事はなかった。そして、より多くの利益をという思いに駆り立てられ、機動力のある強力な中量級メックの市場を見据えたダイヤモンドシャーク氏族は、このマッドキャットIIIの開発を開始したのであった。
 マッドキャットIIの非常に短かいものであった開発期間とは反対に、マッドキャットIIIの開発は非常にゆっくりとしたものになった。3076年に開始され、その後に間もなくして最初のモデルが完成に向かった事は開発チームを何よりも喜ばしたのであるが、最初のプロトタイプ機と共に最初の問題もやってきた。どういう訳か、そのミサイルランチャーは正しく機能しようとせず、フレームには装甲を取り付けるのが殆ど不可能であった。そして、彼等がミサイルランチャーの配線を修正してメックのフレームに幾つかの変更を加えると、今度は腰駆動装置が故障し始めたのである。
 それは技術者と不具合との戦いというものになった――そして、不具合は技術者達よりも常に一歩先を進んでいた。彼等が1つの問題を修正すると、何処からかまた1つの問題が出現する様に見えるものであったのである。この事は、マッドキャットIIIを繰り返されるジョーク的な存在へとした。しかし、ダイヤモンドシャーク氏族は、この設計機を見捨てる事はできなかった(見捨てるつもりもなかった)――そのプロジェクトには余りにも多大な期待と資金が既に投入されてきており、その設計者達は数年前に自分達が約束したものを果たさなければならないという面子に縛られていたのである。そして、彼等は3085年に不具合のないバージョンの製造をする事に最終的には成功し、その半年後である3086年2月後期にそれの製造は開始されたのであった。


性能:
 55tであるマッドキャットIIIは、その元々の原型機よりも20t軽量である。それにも拘わらず、経験を積んでいない眼にはその2つのメックを別個の対象として識別する事は極めて困難である。その最初の戦闘に於いては、幾つかの戦闘コンピューターでさえも混乱を起こしてマッドキャットIIIをマッドキャットの新型の武装構成のものとして識別したが、この問題は次のアップデートにて比較的早期に処理された。
 その搭載兵装は、オリジナルのマッドキャットの主武装構成と非常に良く似ている。そのタイプXX20連装長距離ミサイルランチャーはアルテミスV射撃管制装置でアップグレードされており、それには各2tの弾薬が供給されている。その腕には依然として2基のレーザーが搭載されているが、マッドキャットIIIのものはシリーズ2b 射程延長型中口径レーザーとなっている。そして、それらの兵装は、他ならぬ6基のムスタング4.5 射程延長型マイクロレーザー(これはより小型の目標や歩兵を倒すのに非常に効果的である事が証明されている)によって完結されているのであった。
 その97km/hという印象的な最高地上速度は、一度そのミサイルランチャーを射耗した際には素早く敵に接近したり危険な戦闘から撤退したりするのをマッドキャットIIIに可能にさせている。この設計機の唯一の欠点は、些か低いその装甲防御力にある。僅か8.5tのフェロファイバー装甲の為に、このメックは現代の戦場では防御力が不十分であると思われる。


配備:
 追放ウルフ氏族、ノヴァキャット氏族、ダイヤモンドシャーク氏族を除き、このマッドキャットIIIは氏族に全く疎んじられている様に見えるものである。ジェイドファルコン氏族のサマンサ・クリーズ族長は主張している――「……最先端の氏族技術を中心領域の野蛮人達に販売する事は、ニコラス・ケレンスキーが守り我々に教えたものの全てを踏みにじるものである」と。ダイヤモンドシャーク氏族は、興味を持つ全ての買い手達――ライラ共和国、ドラコ連合、スフィア共和国を含む――にマッドキャットIIIを喜んで販売している。それらの3国の全ては、このメックを多数購入しているものである。

派生型:
 防御力の不足に関する不満を聞き取ったダイヤモンドシャーク氏族は、最近になり0.5tの装甲を追加したマッドキャットIIIの派生型の販売を開始している。その6基の射程延長型マイクロレーザーは複数のパルスレーザーに置き換えられ、その長距離ミサイルランチャーのあった場所には(アルテミスV射撃管制装置を保持しつつ)短距離ミサイルランチャーが置かれている。その腕に搭載されていた2基のレーザーは、1基のパルスレーザーに置き換えられている。



私的解説:

 マッドキャットIIIは、メックウォリアー:ダークエイジのロゴにもなっており、その初期展開の顔と言えるメックでした。特に、メックウォリアー:ダークエイジの初期ユニットとしては貴重であった対人能力の特殊能力を持っていた事と大会賞品であるが故に非常に入手難易度が高かったユニークであった事から、メイソン・ダンのマッドキャットIIIは印象に残っているメックウォリアー:ダークエイジのプレイヤーの方も多いでしょう。もっとも、レアすぎてAoDで非ユニークになるまではマッドキャットIIIを主力として使えた事は殆どなかったでしょうが――その点では残念なユニットとも言えます。面白い事に、メックウォリアー:ダークエイジの小説でもそれは同じで、マッドキャットIIIは設定的には各勢力に結構普及している筈なのに小説内での登場頻度は(“Ghost War”を除き)かなり少ないものでした。リージョネアとかツンドラウルフは小説内でやたらと出てくる印象があるのに、このマッドキャットIIIの存在感のなさは私的に奇妙に思った事があります。もしかして、マッドキャットIIIは或る意味で不遇のメックなのかも知れませんね(笑) (その出し惜しみの反動かどうかはわかりませんが、後に登場する系列機のマッドキャット Mk IVは後期の小説では主役機として活躍しています)

 メックウォリアー:ダークエイジの話はさておきまして、テクニカル・リードアウトの記述を読みますと、マッドキャットIIIの開発には意外な程に難航しているのが窺えます。“Experimental Technical Readout: The Clans”でのマッドキャットIIIのプロトタイプ機の項には非常に景気のいい記述ばかりがありましたが、“Technical Readout: Prototypes”では一転して開発に苦闘する様子が書かれています。両者を読み比べてみるのも面白いものでしょう。開発難航を隠し通して3081年からマッドキャットIIIの売り込みを図っていたダイヤモンドシャーク氏族の防諜能力は大したものです。
 バトルテック・ボードゲームのユニットとしては、マッドキャットIIIは性能的に悪くはありません。その遠近両用の武装は大抵の相手には有効なものであり、多数装備したマイクロレーザーのお蔭で対歩兵部隊にもそこそこの能力を持っています。不満な点はジャンプ能力がない事と装甲不足ぐらいでしょう。プロトタイプ機のマッドキャットIII-Xはフェロラメラー装甲搭載でかなり頑丈だったのですが、製品モデルではそれが削除されたのは惜しい所です。しかしそれでも、マッドキャットIIIは有力な機体です。氏族メックで同重量のリョウケンよりは安価なので、マッドキャットIIIで部隊を組むのも高級志向の軍ならば魅力的な選択だと思います。

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