出典: Technical Readout: 3058 Upgrade、Technical Readout: Clan Invasion

ハンチバックIIC

重量: 50t
シャシー: シリーズIII エンドースチール
パワープラント: 200XL
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
ジャンプジェット:
ジャンプ能力: 120m
装甲板: シリーズAb

武装:
  2×デヴァステイター ウルトラ20オートキャノン
  2×シリーズ7J ER中口径レーザー

製造元: 多数
通信システム: キルケー・スペシャル・ミリコム
照準・追尾システム: デッドアイ・スーパーロック18K

ハンチバックIIC
技術基盤:
総重量:
機体中枢:
エンジン:
  歩行MP:
  走行MP:
  ジャンプMP:
放熱器数:
ジャイロ:
操縦席:
装甲値:


氏族

エンドースチール
200XL



12[24]


96

重量

50.0
2.5
4.5



2.0
3.0
3.0
6.0


頭部
胴中央/背面
左右胴/背面
左右腕
左右脚

中枢値

16
12

12

装甲値

18/4
12/3

12

武器・弾薬

種別
ウルトラAC/20
弾薬(ウルトラ)5
ウルトラAC/20
弾薬(ウルトラ)5
2×ER中口径レーザー
ジャンプジェット
ジャンプジェット
部位
右胴
右胴
左胴
左胴
胴中央
左脚
右脚

装備欄数






重量
12.0
1.0
12.0
1.0
2.0
1.0
1.0


概要:
 スモークジャガー氏族によって開発されたこのハンチバックIICは、中心領域のオブザーバー達が考えていた様な、自らの失敗した経歴の逆転を試みる戦士や戦場で素早く名を揚げるのを試みる戦士達向けに意図されたものではなかった。むしろ、それは、「浪費しなければ、窮乏する事もない(節約と節制)」という氏族の精神から鑑みると非常に異例な推移をした事態の中で、次の戦闘がその最期になる事が予定される程に不興を被った戦士達向けに意識的に製造がされたものなのであった。その生存性に関して全く努力は払われなかったが故に、そのリソースの全ては、「戦闘で倒れる前に少なくとも1機の相手の機体を倒す事によって、そのパイロットへ尊厳に類似したものを抱きつつ死ぬのを可能とさせる」為に注ぎ込まれた。ハンチバックIICを割り当てられる事は、死刑宣告とされていたのである。
 しかしながら、このイメージは、3015年、そのバトルメックを装備した1個星隊が、惑星“キルケー”にて最近になり製造されたバトルメックの一群を巡っての所有の神判を遥かに大規模のジェイドファルコンの部隊を相手にして戦った時に変化した。その時以来、氏族のメック戦士達の多くは、この二線級の設計機を幾らかの敬意を込めた目で見始めているものである。


性能:
 ハンチバックIICを目にした全ての者が素早く気付くであろうが、それの主兵装は2基の巨大なウルトラ・オートキャノンである。その2基の大口径砲の間には10射分の弾薬しか存在していないが故に、その継戦能力はメック戦士が1度にそれを1基しか使わない(このハンディキャップは大部分のものにとって許容できないものである)のでなければ驚く程に短いものとなっている。また、近距離集中攻撃の補強用に胴中央に2基の射程延長型レーザーが存在してはいるが、それらは戦場にいる際にはしばしば忘れ去れるものとなってしまっている。
 軽装甲であるハンチバックIICは、飛来する砲火を回避する為の速力を持ってはいない。ジャンプジェットは内蔵されているが、それらも、そのオートキャノンを射撃するのに最上の距離を得るのを手助けする為だけに設置されているものの様に見える。中心領域のパイロットの多くは戦場から回収された未改修のハンチバックIICを操縦する事を拒否しており、より多くの装甲とその他の兵装の為に少なくとも1基のウルトラ・オートキャノンを除去するものである。


配備:
 その単一用途しか考えてない構造にも拘わらず(或いはそれの所為か)、ハンチバックIICは氏族中の一線級星団隊と二線級星団隊の両方で人気を保っている。中心領域のオブザーバー達による人気メックに関する概要研究は、全ての氏族に於いてその全バトルメックの約3%がハンチバックIICモデルである事を明らかにしている。この研究は3061年以降は毎年行われており、氏族の戦士達の高い回転率(離職率)にも拘わらず、その統計値は殆ど変動していない。オブザーバー達は、このパーセンテージは、栄光ある一か八かの戦闘にて自らの経歴の逆転を試みる程に死に物狂いになっている氏族の戦士達の存在数に近似したものではないか、との仮説を立てている。
 現在、その最初の地位の神判を戦う事となるジェイドファルコンのシブキンの多くは、その自らの最初の試練用にはこのバトルメックを選んでいる。最高速にセットされたそのハイスピード・キャノンを用いて、それらのメック戦士となる者達は神判が開始される前から自らの対戦相手を素早く撃破する事を試みているのである。より古参の戦士達には酷く嫌われており不名誉なものと見なされているが、それは若き戦士達に血を流させて氏族の軍列を素早く埋めるのに寄与している。


派生型:
 ハンチバックIICの複数の派生型が、幾つかの氏族のトゥマンに存在しているのが観測されている。これらの“スウェイバックIIC”はそれの氏族の使用観に適した武装構成を持っているが、その全てが短時間の強力な兵器の集中射撃を重視したものとなっている。
 ブラッドスピリットとスターアダーの場合では、その派生型は両胴に2基のヘビー大口径レーザーを搭載している。オリジナルとは異なり弾薬に依存しておらず追加の放熱器が加えられているものの、その発生する膨大な熱はこのバトルメックを急速にシャットダウンさせ、それを数分の間脆弱な存在へとしてしまう――これは激しい戦場に於いては致命的な問題である。
 その他の型は、スノーレイヴン氏族とコヨーテ氏族によって使用されている。そのオートキャノンとレーザーは、3つのATM12ランチャーと4tの弾薬に置き換えられている。そのパイロットは一発の大きな打撃ではなく、敵の弱点を攻撃して“ラッキー”ヒットで以て重要な装備を破壊する事を試みるものである。


著名なメック戦士
スター・オブ・レイジ(憤怒星隊)
 率直であった5人の守護派メック戦士達は惑星“キルケー”の製造工場を防衛する星団隊に再配置され、彼等には最早その氏族に歓迎されない存在である事を指し示すものとしてハンチバックIICが与えられた。3015年、ジェイドファルコンが最近になり製造された1個星隊のバトルメックを求めての所有の神判を起こした時、その駐留守備部隊の指揮官は(ジェイドファルコンの)一線級オムニメックの2個三連星隊に対する防戦にその5人を送り出した。これに、それらの守護派のパイロット達は狂戦士的に怒り狂った――戦闘は10分を経ずして終了し、その5人の防衛者達は戦死した。しかしながらその一方で、5人の戦士達による精選された照準とウルトラ・オートキャノンの潜在能力が最大限に発揮された事により、ジェイドファルコンの部隊の大部分は壊滅させられていたのであった。

メック戦士ステファニー
 ステファニーはハンチバックIICを使用して自らの地位の神判を勝利したが、その勝利後にこのメックを割り当てられる羽目になった。これに激怒し、彼女は自分の指揮官に対して不服の神判を挑戦した。しかし、彼女はそれに手酷く敗北した。そして、ステファニーは、その敗北と感じられる侮辱に憤慨しつつも、惑星“ラックホーヴ”のPGCに配備された。アイスヘリオン達が襲来しその惑星を求める所有の神判を発した時、彼女はそれにチャンスを見出した。彼女はアイスヘリオン達に対して向こう見ずに身を投じたが、アイスヘリオン達の軽量級メック群が彼女を速度と機動で上回った為に恥辱を被るのみとなった。彼女が自機の弾薬庫を一度空にするや否や、彼女のメックは残骸へと変えられたのであった。ジェイドファルコン達がこの惑星を最終的に奪還した後には、彼女は再びPGCに追いやられ、別のハンチバックIICを与えられる事となった。

スターキャプテン:ジャクソン
 第6臨編駐留星団隊のスターキャプテン:ジャクソンは、3057年に惑星“トワイクロス”にてナターシャ・ケレンスキーの第13ウルフガードと戦った。彼は自機のハンチバックIICを彼女が行動不能にするまでの間に、彼女のダイアウルフに対して殆ど結果論的にかすめる打撃を与えた事で名を揚げた。しかし、彼のその名声は短いものに終わった――(その後)彼はケレンスキー・スレイヤーのジョアンナとソラーマ部隊にて一緒になってしまったが故に。




私的解説:

 ハンチバックIICですが、その機体構成から予想されるよりも遥かに酷い歴史を実は持っていました。初期に於いては、このメックを割り当てられる事は死刑宣告を受けたのと同義であるとされています――これは、氏族の一般的な特徴の1つである節約と節制の精神からすると極めて異例なものです。この様な初めから生還を期さない機体を開発するに至った出来事が何であったのかは定かではありませんが(ハンチバックIICの開発年度は2856年とされていますので、それより以前の出来事が関係しているものと思われますが……)、きっと血腥いものであったでしょう。
 その開発経緯はともあれ、ハンチバックIICは自分にとっても相手にとっても等しく“死刑宣告”を与えるバトルメックとなっています。そのウルトラAC/20×2の素の威力もさることながら、それには血気に逸っている若手のメック戦士か華々しく散るのを決意している死兵が基本的には搭乗しますので、相手にするのには本当に厄介かつ危険な存在ですから。一方、中心領域のメック戦士は、無理もありませんが、未改修のハンチバックIICに乗るのは拒否するそうで、中心領域の部隊を相手にするのであればハンチバックIICの純粋な恐ろしさを感じる事は余りないと思えます。ハンチバックIICは、侵攻派氏族にあってこそ最大に活用されるメックなのかも知れませんね(余談ですが、ダークエイジでも侵攻派氏族の幾つかは未だにハンチバックIICを使っていたりします)

 ボードゲームに於いては、ハンチバックIICの運用に関しては特に言うべき事はないでしょう。その火力を最大限発揮できる様に動かすのみです。機体を改造する場合は、ER中口径レーザーを削って弾薬を増やすも良し、エンジン出力を上げてターボハンチバックIICにするのも良し。スウェイバック型にするのも面白いでしょう。

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