出典: Technical Readout: 3050 Upgrade
EXT-4D エクスターミネーター
重量: 65t
シャシー: SLスペシャル
パワープラント: マグナ390XL
巡航速度: 64km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: シェヴロンII
ジャンプ能力: 180m
装甲板: フィブロライト・アーマースケイル
武装:
4×エーヴレル・ハイポイント 中口径レーザー
1×デッドアイ-10LRMランチャー
1×バズソー アンチ・ミサイルシステム
1×ダイナテック・マークIII 小口径レーザー
製造元: ジェネラルシステムズ
主工場: カフ(2793年に破壊)
通信システム: AR-12シースド・ディレクショナル・ビーコン
照準・追尾システム: DLKタイプ・フェーズドアレイセンサー
EXT-4D エクスターミネーター 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右腕 左右脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 LRM10 弾薬(LRM)12 2×中口径レーザー 2×中口径レーザー 小口径レーザー アンチ・ミサイルシステム 弾薬(AMS)12 ジャンプジェット ジャンプジェット |
部位 左胴 胴中央 右腕 左腕 頭 右胴 右胴 右胴 左胴 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
エクスターミネーターは、ハンターキラー・ユニットとして徹底的な設計がされたものである。オリジナルのジェネラルシステムズ社のこの設計機――2630年に現役任務に就いたもの――は印象的な兵装を有してはおらず、その装甲もその重量のメックとしては辛うじて満足できると言ったものに過ぎなかった。その最先端のステルス・システムこそが、エクスターミネーターを真に目立たせているものなのである。コムガードが3030年代にその存在を明かすまでは、第1次継承権戦争を生き残れたエクスターミネータは1機も存在しないと考えられていた――継承国家の軍は特別のメック小隊を練成してこれらの戦場の幽霊達を探し出し抹殺したからである。
性能:
エクスターミネーターは、1基のLRM10、4基の中口径レーザー、1基の小口径レーザー、1基のアンチ・ミサイルシステムを搭載している。しかし、その真の強さは、その様々なステルス技術にこそ存在しているものである。かなりの復興したロステックが存在する今日でさえも、エクスターミネーターはヌル・シグネチャーシステム、フェーズドアレイ・センサーシステム、シース指向性通信ビーコン、カメレオン偏光シールドを搭載しているという技術上の驚異なのであった。この防護された通信システム、ヌル・シグネチャーシステムによる熱調整能力、偏光シールドによる偏光特性は、エクスターミネーターを戦場に於ける幽霊へと変えた。
配備:
エクスターミネーターが絶滅させられてから数世紀が経過した事は、このメックに関する詳細を絶望的なまでに不明瞭なものへとしている。コムスターやワード・オブ・ブレイクは少数機を配備しているものの、その超先進的技術を維持しているものは極僅かなのである。星間連盟絶頂期に於ける電子戦技術の発展の頂点を示すこれらのものから鑑みるに、かような零落状態は特に驚くべきものではないであろう。
氏族もこの設計機の実機を所有しているのであるが、彼等はそれの使用をするという様な意向を全く見せてはいない――そして、聞く所によると、かような先進技術の使用は不名誉なものであると考え、黄金世紀の最中にステルス技術の研究を停止したそうである。中心領域はスペクター級バトルメックにてこの技術の幾つかの実機を保持する事には成功していたが、その製造は全く不可能であった。
しかしながら、それらの技術が永遠に失われたままとはならない可能性が存在している。3059年、NAISの研究コーディネーターのゲルハルト・マークス博士は軍事技術に関する星間シンポジウムにて自らの論文を発表し、ヌル・シグネチャーシステムに関する研究を仄めかしているのである。――そして、カメレオン偏光シールドについての作業も確実に行われていると思われるのであった。
派生型:
コムスターは、この古来の設計機にかなり徹底的な改修を加えたものであるEXT-5E型エクスターミネーターを3060年に登場させている。骨になるまで解体されたこの5E型は、エンドースチールを使用して再度組み上げられている。そのジャンプジェットはMASCの為に取り外され、AMSとLRM10はインプルーヴドNARCとC3システムへと置き換えられている。その数トンの装甲の追加は、オリジナルの設計の主要な欠点の1つを修正するのに寄与している。
EXT-5F型は、5E型の直接的な野戦改修型として出現したものである。4基の射程延長型中口径レーザーとiNARCを、2基のライトPPCと1基の射程延長型小口径レーザー、2tの弾薬付きの1基のMML−7ラックに置き換えたこの5F型は、入手可能な最新兵器を徹底的に活用したものである。
惑星“サーモポリス”のカロン・インダストリーズ社は3006年にエクスターミネーターの部分的な青写真を発見しており、それを使用して自社の古びたウルバリーンを置き換えようとした事がある。カロン社はその全設計のコピーをしたのであるが、先進技術のコピーはできなかった。325Vox通常型核融合エンジンと通常型放熱器を使用したこのEXT-4A型は、AMS――これはマシンガンに交換された――を除いたオリジナルの兵装の殆どを保持する事ができていた。しかし、この派生型はメック戦士の多くがウルバリーンの方がより効果的な存在であるとの評価を下した為に、カロン社の期待に応える事には失敗した。故に、2期分の製造が行われた後、その製造は停止されたのであった。
著名なメック戦士
アンドリー・ケレンスキー
その死が数世紀も前であるにも拘らず、全ての時代を通じて恐らくアンドリー・ケレンスキーこそがエクスターミネーターの最も高名なパイロットであろう。このニコラス・ケレンスキーの弟である人物については殆どが知られていないが、SLDF最後の司令官であるアレクサンドル・ケレンスキー将軍と氏族の創設者であるニコラス・ケレンスキー……その両者との彼の血縁は、熱狂的な信奉者達をこの余り多くの事がわかってはいない男に獲得させている。最近になり発見された氏族の“黄金世紀”初期の時代の怪しげな文書は、アンドリーの事を“ニコラスの良心”と称している――しかし、この文書の作者は不明であり、その真実性も現時点では立証不可能である。詰まる所、氏族の間で本当にわかっている事は、アンドリーが“クロンダイク作戦”の終盤、まだ生まれたばかりの氏族が内戦に苦しむペンタゴン・ワールドを制圧した時に、死亡したという事だけなのである。氏族が彼を殺したのである、と中心領域人の彼の熱狂的な信奉者達は言うであろうが、真実は決して明らかになる事はないであろう。しかし、彼と彼が操縦していたメックの名は、来る未来に於いても繰り返し語られるものであると思われる。
デーヴ・ボーマン司教XI
第28師団の指揮官であるボーマン司教――第45シャドウ師団による支援を受けた――は、3070年に惑星“バックミンスター”のウルフ竜機兵団デルタ連隊に対する攻撃を率いた。しかしながら、ウルフ竜機兵団はワード・オブ・ブレイク軍を容赦なく叩き、第45シャドウ師団指揮官のタンリーダ司教を殺害したのであった。ボーマン司教は総崩れを引き起したタンリーダ司教を呪いつつも攻撃部隊全軍の指揮を執り、惑星外への水際立った戦闘後退を完遂している。
私的解説:
エクスターミネーターは高度な技術が使用されたステルス・メックで、スカウト任務、ヘッドハンター任務、ハンターキラー任務等々に優れた存在でした。ただ、その存在が余りにも脅威であった為に対抗手段も研究され発達し、第1次継承権戦争の終結時には絶滅させられてしまいました。また、そのステルス・システム自体が技術衰退期の中心領域では維持が困難だったのもエクスターミネーターにとって不利に働きました。――ステルス能力を欠いたエクスターミネーターは、普通に対処可能な単なる高速メックに過ぎませんでしたから。 (余談ですが、3007年代にカロン重工は高度技術を廃したダウングレード型のEXT-4A型を開発し、これをウルバリーンの置き換え機にする事を目論んでいたりします。しかし、“Technical Readout: 3039”によりますと、この試みは惨憺たる失敗に終り、僅か25機を製造した所で製造が打ち切りになったそうです。不幸ですね)
一方、氏族の方ではステルス技術が“卑怯な技術”とされた為に、エクスターミネーターの存在は否定される事となりました。これはアンドリー・ケレンスキーが活躍しすぎたせいなのかもしれません。小説“Wolverin Saga”の記述からするとニコラス・ケレンスキーは結構嫉妬深い性格でしたので、アンドリーの名声に嫉妬したニコラス・ケレンスキーがステルス技術を禁止する事でアンドリーを歴史に埋もれさせようとした可能性は大いにあります。
しかし、“聖戦”期にはカメレオン偏光シールドやヌル・シグネチャーシステムの再生を試みる研究が成功を収めますので、エクスターミネーターの真価が発揮されると思われます。同じステルス機のスペクターやステルス型のラプターIIと言ったメックとヘッドハンター小隊を編成する新型エクスターミネーターの恐怖が戦場で見られる日も近いかもしれません。