出典: Technical Readout: 3085 Supplemental
BLD-XL ブレード
重量: 35t
シャシー: ヘッセン・ライトMK 1
パワープラント: GM245XL
巡航速度: 75km/h
最高速度: 118km/h
ジャンプジェット: 無し
ジャンプ能力:
装甲板: スターガード フェロファイバー
武装:
1×ミドロン・トルネード ロータリー・オートキャノン/5
2×ディヴァース・オプティックス 射程延長型中口径レーザー
製造元: ニューヘッセン・ワークメックス
主工場: ニューヘッセン
通信システム: ニール6000
照準・追尾システム: オクタゴン・タートラックシステムC
BLD-XL ブレード 技術基盤: 総重量: 機体中枢: エンジン: 歩行MP: 走行MP: ジャンプMP: 放熱器数: ジャイロ: 操縦席: 装甲値: |
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重量 |
頭部 胴中央/背面 左右胴/背面 左右腕 左右脚 |
中枢値 |
装甲値 |
武器・弾薬
種別 ロータリーAC/5 2×ER中口径レーザー 弾薬(RAC)60 CASE |
部位 右腕 右腕 右胴 右胴 |
装備欄数 |
重量 |
概要:
このブレードは、元・スフィア共和国元帥ヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンによって定められた軍標準化プロトコルの一環として製作をされたものである。“聖戦”の終結でスフィア共和国軍へと変わった連合軍は、プリミティブな“戦争の時代”の設計機から数世紀を経た生き残りの機体、最新鋭かつ最先端の新型の量産機が存在するごった煮的なものとなっていた。その軍標準化プログラムでは、維持するのが困難な機材、RAF(スフィア共和国軍)のミッション・ロールの外にある機材、使用を継続するには余りにも数が少なすぎる――そして無駄があり過ぎる――機材を淘汰する事が掲げられた。
この元帥の軍標準化プログラムのもう1つの側面としては、重要なミッション・ロール技術への信頼できるアクセス権を確保するという目的も存在していた。中心領域のあらゆる隅々から補充兵と装備が来た事により、最初期のRAFのTO&Eは成立したスフィア共和国の国境外にある装備で構成されていた。そして、ニューヘッセン・ワークメックス社――ワークホースであったルークの製造企業――が、スフィア共和国外にある企業にも拘わらずブレード・バトルメックで以てその軽量級打撃メックの契約を勝ち取ったのであった。
性能:
ブレードの開発に於いては耐久性と整備の必要性の低減が可能な限り追求されたが故に、それにGMXLエンジンが選択された事について最初は疑問を持つであろう。しかし、ブレードは“速度が命”という格言で以て生存をするのである。その100km/h以上に達する速力は、それに速度という耐久性を与えるのであった。切り詰めたルークのシャシー、ルークの電子機器、更にはかの重量級メック・ルークと全く同一のコクピット一式といった、ルークの戦場での試練に耐えたコンポーネントの多くを再利用した事は、容易な整備性と耐久性という両方の要求を満たしている。平坦な装甲板を取り付けた事は、この軽騎兵の設計機にインダストリアルメック的な外観を与えているが、それにより装甲の交換時間が50%まで短縮されるという利益を得ている。また、ブレードは如何なるビジュアル・デザイン賞も獲得する事はないであろうが、それは素早く接近して自らの火力を叩き付ける能力を持った頑丈なシャシーである。
その火力は、1基の非常に信頼性のあるミドロン・ロータリー・オートキャノンと2基の良好な実戦証明のされているディヴァース・オプティックス射程延長型中口径レーザーで構成されている。ロータリー・オートキャノンには3tの弾薬が供給されており、それは高レートでの射撃の際にも戦場にてまずまずの継戦力を持つ事を可能にさせている。その3基の兵器全ては右腕に搭載されており、この設計機への批判者達はそれを危険なものであると即座に指摘している。しかしながら、ニューヘッセン社の設計者達はその問題を認めると同時に等閑に付しているものである。
ブレードのその兵器の腕は、通常型シャシーにオムニ・レベルの整備必要性の低減を達成させる為の試みのものである。氏族のモジュール技術を取り入れ、右腕全体は自立したものとなっており、肩駆動装置と装甲化された兵装、動力伝達装置のみがメイン・シャシーに接続されている。これによる利点は、腕のコンポーネントの何れが損傷したとしても、技術者達は弾薬供給機構を分離して肩の接合部から腕を完全に取り外すだけで済む事である。そして、その後に交換品を取り付け、その間、損傷した腕には地上で作業に取り掛かれるのであった。
最後に、そのロータリー・オートキャノンは装弾不良を起こす傾向があり、シャシーの内部スペースは非常に余裕がないものであるが故に、ニューヘッセン・ワークメックス社の設計者達は弾薬供給機構に対して相当の時間を費やした。内部弾薬ベイは単一の弾薬供給機構のみ使用しており、弾薬庫が切り替わった際の装弾不良の機会を減少させている。その全ての弾薬は、肩部品を避けるように経由する装甲化された供給機構を通じて供給される。そして、その脆弱そうな外観にも拘わらず、ブレードの実地試験はリージョネアよりも装弾不良を被る率が10%低いものである事を示しているのであった。
配備:
その最初の3年間の製造分はスフィア共和国軍との契約がされており、また恒星連邦は将来の全ての製造連の50%までを購入する選択権を保有している。しかし現在の所、“ニューアヴァロン”はこの設計機に対する確固とした興味を示しておらず、より重いリージョネアやリリースされて間もないクウィラスを重視している。
RAFのブレードは、主にプリンキペス・ガード向けへの配備、そして脅威に対する素早く耐久性のある反応が必要とされる重要な惑星群の防衛の要とする為の配備が計画されている。
派生型:
その兵器腕の半モジュール機構の特性は、BLD-XLに2つの単純な改修型が出現する事を可能とさせた。その最初のものは、その設計機の全体的な耐久性を増強させる事に加えて、整備維持を更に簡素化するという試みのものである。このXS型はミドロン・モデルB中型オートキャノンを使用し、射程延長型のあった場所には通常型のディヴァース・オプティックス・レーザーを使用している。兵站上での整備維持と支援がより容易であるこの型の主な欠点は、致命的なまでの弾薬の不足である。10射分しか持ってない事により、この型は補給線近くに留まり続ける事を強いられ、特殊弾薬を使用するという如何なる考えも事実上却下されるものへとなっているのである。XX型は、1基のミドロン・エクセル・LB 10−Xオートキャノンの使用で以てブレードの対航空機能力を増強する事が意図されているものである。しかし、搭載弾薬が2tというのはその弾薬選択を注意を要するものにしてしまっており、この事は弾薬供給システムによって更に悪化をしている。設計者達は複数種の弾薬を取り扱う単一のトラック給弾機構を合わせる事ができず、XX型に戦闘で通常弾かクラスター弾の何れかを搭載する事を強いているのであった。
当然の事ながら、製造された3つの型の中でロータリー型が最も普通のものであると思われており、現在のRAFの注文の全てはXL型に向けられている。
私的解説:
ブレードは設計コンセプトが明確で、運用方法もわかりやすいメックです。とにかく動き回り一撃離脱に徹するのが正当な運用方法でしょう。しかし、35tでは最大の装甲値を保有している機体でもありますので、敵に大打撃を与えるのを狙い、ロータリーACの威力を信じて静止射撃をするのも面白いと思います――些かリスクは大きいですが。
ブレードの弱点は、ジャンプジェットの欠如です。適度に障害物のある地形では活躍しやすいと思いますが、山岳部や湖沼地帯などの脚が止められる地形では幾ら移動力が高いと言ってもその機動は制限されるでしょう。その様な場所には、ブレードは投入しない方が良いでしょうね。
ブレードは、設定的には多少優遇されているメックです。まず、部分的なモジュール構造の採用により、腕の部分はオムニメック的な能力を持っています。そして意外な事に、あのやたらと目立つ給弾ベルトもシグナスのものと同じで故障が少なく耐久力もあって余り弱点にはならないそうです。そして、整備維持の容易さ、低い調達コストと、その長所は多いです。一見旧式メックに見える外観とは違い、質実剛健ですね。
3085年の時点では、恒星連邦はブレードに対して余り興味を示していないと書かれていますが、ダークエイジの文章では3090年代後半からそれなりの数を購入している事が窺えます。その恒星連邦により購入された型の中には、派生型の項で余り良くは書かれていないXX型もありますから、時代が後になると給弾機構の問題は解決されたのかも知れません。
さて、個人的な所感ではありますが、ダークエイジ小説ですとブレードはちょっと哀れなメックとなっています。何せ、ブレードは裏切り者の“ブラック・パラディン”エゼキエル・クロウの乗機で、小説内で無様を晒していますから。エゼキエル・クロウへの印象が悪すぎる所為で、ブレードの印象も非常に悪くなっています。今後、ブレードにもう少しマシなパイロットが乗るのを期待したい所です。基本は悪くない機体だと思いますので。