リードアウト: リャオ・インカージョン
(ここには、メックウォリアー:リャオ・インカージョンのユニットの簡易紹介を置いています)


Mech:

ワスプ

 最古の偵察メック――それが、この20tの“ワスプ”である。
 “ワスプ”が最初に作られたのは、地球帝国もまだ初期の実に2471年の事である。時速90kmを越えるその速度と長大なジャンプ能力により、このメックは人気偵察機の地位を不動のものとした。そして、その生産台数は万の大台を越え、今でも生産が続けられている不朽の名機となっているのであった。

 “ワスプ”は各国によって無数の派生型が製作され、存在している(“プロジェクト・フェニックス”による改修が施された型が、現行の主流の機体となっている) 現在では、偵察任務は新型のより高速の機体に譲っているが、軽任務用に重宝されるのは変わっていない。




ブレード

 “ブレード”は、偵察/襲撃機として作られた恒星連邦製の35tの高速メックである。
 高速で適度な装甲を持ち、主武装としてRACとERレーザーを搭載している“ブレード”は、理想的な襲撃メックと言える。特に、中距離に於いて、その攻撃力は凄まじく、数倍の重量を誇る相手をも一撃離脱を駆使して撃破する事が可能である。このメックは、多数の機数を購入しているスフィア共和国の軍内では良く見かけられる存在である。




ダッシャーII

 40tの“ダッシャーII”は、氏族戦争で猛威を振るった“ダッシャー”の重量を増加した改良型である。
 氏族戦争の全期間を通して、“ダッシャー”は160km/hにも達するその最高速度と適度な武装で以って、中心領域に破壊を振り撒いた。しかしながら、その薄い装甲と細い中枢は、このメックを僅かな打撃でも損なわれる貧弱な存在へとしており、交戦後の生存率は低いものであった(氏族の一対一の戦闘への拘りも、この低い生存率に一役買っていた) 故に、氏族の技術者達は戦訓を元に“ダッシャー”の強化を試み、より耐久性に優れた“ダッシャーII”の開発を行ったのである。

 “ダッシャーII”は氏族では余り顧みられていなかった集団戦術と一撃離脱戦術用の機材として、“聖戦”の最中に開発が完了した。武装はERマイクロレーザーが6門と、それ程強力では無い。しかし、他のメックの支援に用いられた時に、400XLエンジンにより発揮される“ダッシャーII”の卓越した速度とこの武装の組合せは真価を発揮し、このメックは素晴らしい牽制/襲撃ユニットとなるのである。原型機と同じく、“ダッシャーII”の装甲も薄いが、重量の増加による中枢強度の向上により、メックの耐久性は多少なりとも改善されている。




タージ

 “タージ”はスフィア共和国の防衛用に、ノースウィンド・ハイランダーズによって“聖戦”終結後に作られた初の中量級40tメックである。
 LRM10を1門、中口径レーザーを3門搭載した本機の火力は中量級としては十分なもので、良好な装甲と機動力もまた有している。更に、MASCの採用により本機の瞬間最高時速は173kmに達しており、大抵の敵機を振り切る事が可能である。しかし、機体の形状から、些か重心のバランスが悪く、操縦が難しいのは、大きな欠点であるかもしれない。




グリフィン

 “グリフィン”は、中量級を代表する55tのバトルメックである。
 長距離火力・装甲・機動力のバランスが良好にとられた傑作バトルメックである“グリフィン”は、あらゆる戦場で見かけられる愛されている存在である。その基本設計は極めて古く、最古のものの1つと言えるが、無数の実戦を経て証明されてきた高い信頼性は他を圧している。故に、本機は無数の派生型を生みつつ改良が続けられ、今日も現役の存在でいるのであった。
 “グリフィン”の武装は、1基の大型エネルギー兵器と1基のLRMの組み合わせたものが主流である。




シェン・イー

 “シェン・イー”は、“聖戦”終結の僅か数年後に出現した65tのポスト・ジハード・メックの先駆け的な存在である。
 大口径レーザーを1門、LRM20発射筒を2基、水準以上の機動力と分厚く敵のセンサーを掻い潜れるステルス装甲、ECM機器を備えた“シェン・イー”は、カペラ大連邦国が誇る恐るべき新世代の重支援メックと言える。事実、本機の出現により、幾つかの古きデザインの機体が第一線から退いた程である。
 このメックの持つ優秀極まりないステルス能力は、幽鬼の如く敵の警戒網をすり抜けて戦線側面や後方からの襲撃をする事を可能とする。また、重囲下でも容易に倒されない頑健さをもこのメックは持っている――正に、あらゆる意味で、“シェン・イー”はカペラ大連邦国の強さを象徴している機体であろう。




ウォーハンマーIIC

 重量級メック“ウォーハンマー”を氏族が発展改良したものが、この“ウォーハンマーIIC”である。
 “ウォーハンマーIIC”の重量はオリジナルのものよりも重い80tへと増大しており、堂々たる強襲メックとなっている。武装配置はオリジナルのものと似ているが、氏族製のものとなっている事により、その威力と精度は桁違いである。また、適宜、改良が為されている為、“ウォーハンマーIIC”は最新機にも巻けない戦闘力を未だに有している。




ティアン・ゾン

 “ティアン・ゾン”もまた、聖戦終結後の3090年に出現したポスト・ジハード・メックと言える75tの機体である。
 そのステルス・アーマーの能力を最大限に発揮できるよう設計された本機は、75t級としては良好な機動力と長距離火力を有した長距離支援メックとして完成した。これは、メックのステルス機構を利用して敵を奇襲し、比較的長距離から敵を攻撃する事で、反撃で傷つく危険を最小限にしようとの構想に基づいての事である。
 ガウスライフルを2門、ER中口径レーザーを2門、備えた“ティアン・ゾン”の長距離攻撃能力は、申し分の無いものである。このメックの派生型の中には、ガウスライフルをライト・ガウスライフルに、ER中口径レーザーをER大口径レーザーに換装したものもあり、これも極めて長距離攻撃能力に優れている。故に、本機は出現から数十年が経過した今日でも、デス・コマンドや武家戦士団の様なリャオ家のエリート部隊で愛用されるメックとなっているのであった。




ヘルスター

 “ヘルスター”は、“聖戦”の最中に追放ウルフ氏族とヘルズホース氏族による共同開発で誕生した95tの強襲メックである。
 弾薬の補給無しに長期間の戦闘に耐えられるべく設計されたこのメックは、4門のER-PPCを主武装とし、分厚い装甲と良好な機動力を持った機体へとなった。伝統的な氏族の戦闘法――短時間で激しい火力を叩きつける戦闘スタイル――の思想からは乖離した存在であるが、本機は氏族が本来は苦手としていた長期戦闘に良好に用いる事が可能であり、戦争用機材としては相当な成功作と言える(尚、伝統的にメックを諸兵科連合部隊での重支援機と位置付けているヘルズホース氏族は他の氏族と違い、“ヘルスター”の設計に非常に満足しているとの事である)
 “ヘルスター”は、“シグナス”とは全く対照的な設計であり、氏族の戦闘思想の変化を象徴している機体なのかもしれない。






Vehicle:

ガレオン軽戦車

 “ガレオン軽戦車”は、元々は、星間連盟軍用に自由世界同盟の企業で作られていた30tの装軌式軽戦車である。
 星間連盟の崩壊後、この車輌の多くはドラコ連合や自由世界同盟といった継承国家の手に落ち、数々の戦いで活躍していった。3040年頃、本車は能力不足が指摘されて需要が落ち込む事もあったが、製造企業であるブルークス・インコーポレーテッド社は素早く改良型を(3043年に)開発し、この戦車の命脈は保たれた。
 改良型はオリジナルのICEを核融合エンジンに換装し、大幅な速力の上昇と、装甲の強化を為し遂げている。また、オリジナルの2門の小口径レーザーと1門の中口径レーザーは、それぞれ、中口径レーザー2門と中口径パルスレーザー1門に換装され、大幅に強化されている。些か、オリジナルよりもコストが高くなっているが、本車の有効性は32世紀でも変わらず、依然として生産が続けられているロングセラー兵器である。




レギュレーターIIホバー戦車

 “レギュレーターIIホバー戦車”は、“レギュレーター・ホバー戦車”の改良型の50t戦車である。
 “聖戦”終結後間も無く、カペラ大連邦国のアルディス・インダストリー社はカペラ大連邦国軍の要請に応え、実績のあった“レギュレーター・ホバー戦車”の改良に着手した。アルディス・インダストリーズ社が行った改良は、原型車のシャシーを50t級に増強するのと、装甲を大幅に増す事であった。結果、原型車より最高速度は低下したが、より打たれ強い戦車へとなった。また、本車の主武装のガウスライフルはライト・ガウスライフルへと換装され、重量を軽減しつつ長射程火力を持つ事を実現している。
 “レギュレーターIIホバー戦車”は3083年に完成し、程無く、“聖戦”後のカペラ大連邦国軍で愛される攻撃戦車へとなった。そして、32世紀でも、この戦車はカペラで愛用されているのである。




ダナイ支援車輌

 “聖戦”の中期の3073年に登場した“ダナイ支援車輌”はカペラ大連邦国とカノープス統一政体の共同開発車輌であり、同盟に従いカノープス統一政体が“聖戦”を戦うカペラ大連邦国へ援軍を派遣した事への報奨的な意味合いを持つものでもある。
 この45tの車輌は間接砲に高機動力を持たせ、戦場に素早く火力支援を送り込むのを可能にするとの目論みの下に製作されている。自走砲としては高速なこの車輌は素早い機動が可能であり、如何なる状況に於いても火力支援を提供する事が可能である。また、本車はサンパー間接砲を1門、ER中口径レーザーを2門搭載しており、必要十分な火力を有している。その構成部品を2国間で供給し合っている本車は、カペラ大連邦国とカノープス統一政体を代表する軽支援車輌と言える。




グローリー重火力支援戦車

 内戦による開発の遅延により、“ゴブリン戦車”をベースに大型化して開発されたこの85tの“グローリー重火力支援戦車”が登場したのは3067年となった。登場時は運用面での柔軟性が上であった“エージャックス・オムニ戦車”の方が高い評価を集め、本車の存在は不必要であるとの声が多かったが、大部分のオムニ車輌よりも遥かに安価な事と、連邦=共和国内戦で大損害を負った恒星連邦の装甲部隊の再建に多数の車輌が必要とされた事から“グローリー重火力支援戦車”の大量生産は続行された。
 “グローリー重火力支援戦車”は恒星連邦の新型戦車らしく、主武装にはRACを採用して中距離での火力は申し分のないものである。また、LRM15を2基搭載した事によって長距離攻撃能力もかなり備えており、本車の鈍重さを射程面で幾らか補っている。恒星連邦で多数生産され、“聖戦”で活躍した本車は、32世紀でもスフィア共和国や恒星連邦の軍内で良く見かけられるものとなっている。




マーズ強襲戦車

 100tの重量を持ち、分厚い装甲と武器庫の如き武装を搭載している“マーズ強襲戦車”は、氏族の拠点防衛部隊にて使用されているものである。
 11.5tの装甲、ER大口径レーザー1門、ガウスライフル1門、LB-10Xオートキャノン1門、LRM15発射筒3基、ストリークSRM6発射筒2基、マシンガン2門を搭載する100tの車輌……“マーズ強襲戦車”は、まさに、動く鋼鉄の城と言った趣である。その最高時速が32km/hという鈍重さ故に、機動的な運用は全く不可能であるが、本車の火力はそれを補って余りあるものである。
 “聖戦”を生き残った“マーズ強襲戦車”は、今でも多くが氏族の軍内にて任務に就いている。特に、ヘルズ・ホース氏族は、この戦車を愛し、改良型を作りつつ今日でも生産をコンスタントに続けている。




スプリント偵察ヘリコプター

 10tの“スプリント偵察ヘリコプター”は、氏族戦線の偵察用に3052年に作られた高速ヘリである。
 機首にビーグル探査装置とTAGを搭載し、核融合エンジンの搭載により最高速度が216km/hにまで達しているこのVTOLは理想的な偵察用の機材である。元は連邦=共和国で使われていたものだが、3050年代後期にドラコ連合に大量に売却された事を切っ掛けに、このVTOLは中心領域に広く普及した。
 このVTOLには様々な派生型が存在している――兵員輸送型、C3ユニットを搭載した型、中口径レーザーを搭載した攻撃型等々。ただ、その速度を防御の頼みとしていて、装甲が極めて薄い本機の被弾時の生存率は、余り高いものではない。




ドナール強襲ヘリコプター

 21tの“ドナール強襲ヘリコプター”は、氏族の一般的な攻撃ヘリである。
 この“ドナール強襲ヘリコプター”は、VTOLとしてはかなりの重装甲が施されており、大抵の武器の一撃に耐えられるようになっている。そして、氏族の優秀な技術でもVTOL特有のローター部分の構造的弱点は解消できなかったが、このVTOLに施された重装甲と機体強度は墜落時の衝撃からそのパイロットをかなりの率で生存させる事も可能としているのである。
 “ドナール強襲ヘリコプター”の主武装は、長大な射程を誇るER大口径レーザーとストリークSRM2である。この両兵装はマスト搭載型の優秀なセンサー・システムと連動しており、ベテランが使った場合は恐るべき効果を発揮する。また、2重反転ローターの採用により、このVTOLの機動性能は非常に良好でもある(特にER大口径レーザーを用いた掃射実行時に、この機動性は効果を発揮する) 故に、32世紀でも、このVTOLは然程の改良が行われずに使い続けられているのであった。






Infantry:

インフィルトレイターMk.II・バトルアーマー

 “インフィルトレイターMk.I・バトルアーマー”を発展改良したものが、この“インフィルトレイターMk.II・バトルアーマー”である。
 “インフィルトレイターMk.I・バトルアーマー”の改良は資金問題からゆっくりと進められていた。3057年、グレイ・デス軍団が古の星間連盟の“ナイトホーク・バトルアーマー”を発見・回収した事から革新的なバトルアーマー・ステルス技術が連邦=共和国にもたらされた。そして、この技術はNAISに伝えられ、“インフィルトレイターMk.II・バトルアーマー”の開発に生かされたのであった。
 “インフィルトレイターMk.II・バトルアーマー”は、“インフィルトレイターMk.I・バトルアーマー”よりも人型に近く設計されており、機動力・ステルス能力・柔軟性の面で前者を凌駕している。また、より戦闘能力を重視して設計された事により、装甲や武装の面でも優れている。特に、このバトルアーマー用に新規に開発された“マグショット”ガウス・ライフルの性能は素晴らしく、他に比肩するもののない火力精度をもたらしている。
 “インフィルトレイターMk.II・バトルアーマー”の姿は、今日でも戦場で見られるものである。




サラマンダー・バトルアーマー

 “サラマンダー・バトルアーマー”は、ファイアーマンドリル氏族によって開発された火炎放射器を装備したバトルアーマーである。
 ヘルズホース氏族の開発した“ノーム・バトルアーマー”に触発されたファイアーマンドリル氏族は、市街戦と対歩兵戦闘に適したバトルアーマーの開発を行った。そして、自氏族のトーテムを模したデザインにした事により、この新型バトルアーマーは火炎放射器を主武装とし、対メック能力も併せ持ったものとして完成したのであった。
 “サラマンダー・バトルアーマー”の主武装は、メック・サイズの火炎放射器2基である。この兵器は歩兵部隊に心理的な恐怖を与えるのに非常に効果的で、メックに熱を与える事も可能である(尚、サラマンダーの装甲は対歩兵戦闘を更に有利なものにすべく、歩兵に与える心理的恐怖を増大する様にデザインされているとの事である) その各腕には頑丈なマグネット・クローが搭載されており、歩兵戦闘やメックへの取り付きに効果を発揮する。更に、肩部にはインフェルノSRMも1発が搭載されている。しかしながら、重武装と軽快な機動性を両立する為に“サラマンダー・バトルアーマー”はその装甲を犠牲にしており、“エレメンタル・バトルアーマー”の7割程度の耐久力しか有してはいない。ただ、この装甲は特殊で、火/熱には極めて高い耐久性を備えている――“サラマンダー・バトルアーマー”は、熱で傷つく事はほぼ無いのである。
 今日でも、“サラマンダー・バトルアーマー”は各勢力の軍内に健在で、その威圧的なフォルムを戦場に誇示している。




ファ・シー・バトルアーマー


 “ファ・シー・バトルアーマー”は、カペラ大連邦国が3060年に開発した最初の中バトルアーマーである。
 当時、氏族との戦闘経験が無かったカペラ大連邦国がバトルアーマー技術に不慣れであった事から“ファ・シー・バトルアーマー”の開発速度は遅く、プロトタイプが完成したのは3060年となった。“ファ・シー・バトルアーマー”は、1つの例外的な特性――地雷敷設/除去能力を除いては、適度な装甲とジャンプ能力を持った標準的な中バトルアーマーと言える。
 地雷の利用を重視するカペラ大連邦国軍の独特な戦術ドクトリンから“ファ・シー・バトルアーマー”は特別の地雷散布装置を背部に装備しており、短時間で多数の地雷を敷設する事が可能なのである。また、地雷を探知する為に優秀な電子センサーと金属探知機を装備しており、地雷除去能力にも優れている。更に特製のマグネット・ハンドでオムニメック以外にも取り付く事ができ、如何なるバトルメックとの連携にも不安はない。
 “ファ・シー・バトルアーマー”はカペラ大連邦国を代表するバトルアーマーであり、32世紀でも広く使用されている。




BACK