リードアウト: ファイアー・フォー・エフェクト
(ここには、メックウォリアー:ファイアー・フォー・エフェクトのユニットの簡易紹介を置いています)


Mech:

クリムゾンホーク

 “クリムゾンホーク”は、宿敵のスターアダー氏族の攻撃から惑星“ヨーク”の自軍の防衛力を高める為に、ブラッドスピリット氏族が開発に着手した25tのメックである。しかしながら、ブラッドスピリット氏族を長年に渡って悩ませている慢性的な資源の不足や内政問題から開発は難航した。故に、彼等はダイヤモンドシャーク氏族(後のシーフォックス氏族)が開発途中の“クリムゾンホーク”に対して所有の神判を挑んできて、自分達がそれに敗北した際に共同開発協定を締結し、様々な問題の解決をしたのである。

 本機はブラッドスピリット氏族の手によるものだけの事はあり、技術的な冒険をあまり行わない手堅い作りで、適度な装甲・火力・機動力を有する凡庸だが“傑作”と言える機体である。軽量級メックとしてはその速度は遅い方であるが、これは本機が速度よりも装甲・火力・搭載量の方をより重視しているからである。本機は通常、ER大口径レーザー2門を搭載しているが、派生型の中には大口径ヘビーレーザーを搭載しているものもあり、戦場では決して無視できない存在となっている。




ウラー

 “ウラー”(氏族での名称は“キットフォックス”)は2890年にクラウドコブラ氏族により開発された軽量級オムニメックで、3050年代の氏族の中心領域侵攻の際にはジェイドファルコン氏族に主に使用されて悪名を高めた存在である。機動力よりも火力を重視して設計されたこの30tメックは、ガウスライフルを装備した型が存在する軽量級としては珍しい設計でもある。
 本機に搭載されたガウスライフルは極めて強力な武器であり、巧みに用いれば重量級メックをも倒す事が可能である。だが、ガウスライフルの搭載は、“ウラー”から十分な装甲を搭載する余力を奪うものでもあった。――結果、その比較的低い機動力と相まって、戦場に於ける“ウラー”の平均寿命は些か短いものとなったのである。

 登場以来、数多の戦場で活躍した“ウラー”は、“聖戦”に於いても、その多くが破壊されながらも多大な貢献をした。“ウラー”は今日でも現役の存在であり、複数の陣営で尚も使用されている機体なのである。




シャドウキャットII

 3060年代後半、ダイヤモンドシャーク氏族の“マッドキャットMk.2”の成功を見て、ジェイドファルコン氏族、ウルフ氏族は“シャドウキャット”を重量級メックとして再設計する事を考えた。そして、この構想により誕生した機体が60tの“シャドウキャットII”である。

 “シャドウキャットII”は、オリジナルの“シャドウキャット”とほぼ同程度の速力を維持しつつ装甲・武装が強化された成功作である。本機の武装はガウスライフルが1門、LRM10発射筒が2基のみで、些かおとなしいものであるが、機動戦では恐るべき存在と言えよう。特に、ウルフ氏族バージョンの“シャドウキャットII”はMASCを装備しており、その最大速度は驚異的なものとなっている。




ヴァルチャー

 氏族の中心領域侵攻時にその各侵攻氏族で(特にゴーストベアー氏族の中で)あまねく姿が見られた、このスモークジャガー氏族によって開発された60tオムニメックの“ヴァルチャー”(氏族名称:マッドドッグ)は、その火力と特徴的な脚・頭部の形状から、“禿鷹”とのニックネームが付けられた。
 火力偏重気味で装甲は比較的薄いが、その2基のLRM20発射筒と多数のレーザー兵器の搭載によりもたらされる外見は、戦場で対戦する中心領域のメック戦士にとっては恐怖以外の何者でもなかったのである。

 今日では、“ヴァルチャー”の幾らかは運用コストを低減する為にオムニメックとしての能力を封印されている。しかし、戦場でのその有効性は全く損なわれていないのである。




トール(ソア)

 “トール”(氏族名称:サモナー)は、氏族の中心領域侵攻時にジェイドファルコン氏族で特に好んで使われた70tオムニメックである。
 高機動、重火力、重装甲――その全てを有するこの機体に単独で対抗できるメックは、当時の中心領域には存在しなかった。“トール”を、「“ウォーハンマー”と“マローダー”、“ヴィクター”を合体させたものである」と評した者も存在した程である(この評は、このメックの外観を的確に表現したものとも言える)

 現在(3133年)でも、その性能は健在であり、変わらない姿で“トール”は戦場を闊歩している。




ブラックナイト

 遥か古の星間連盟時代を象徴するメックである“ブラックナイト”は、重武装、重装甲、高機動の全てを兼ね備えた重量級メックの最高峰と言える存在である。
 “ブラックナイト”は、75tのメックとしては機動力があり、エネルギー兵器のみを搭載した事により継戦能力が高い機体である。また、その搭載されている通信機器/索敵装置の性能は他を圧しており、重装甲を有している事と相まって理想的な指揮ユニットとなっていた。それ故に、星間連盟が滅びた後にも“ブラックナイト”は生き残り、各軍部隊で好んで使われた……高名な部隊である“ナイツ・オブ・ジ・イナースフィア”や“エリダニ軽機隊”、“ノースウィンド・ハイランダーズ”、“ブルースター・イレギュラーズ”に在った本機の姿は正に“黒き鋼鉄の騎士”であった。

 今日でも“ブラックナイト”は戦場にその姿が在る。大部分の機体は“プロジェクト・フェニックス”により外観が変化しているが、その象徴するものは全く変わってはいない。




マッドキャットII

 “マッドキャットII”は、ダイヤモンド・シャーク氏族(現在はシーフォックス氏族に改名)によって中心領域への輸出用に大量生産された90tの強襲メック“マッドキャットMk.2”の発展改良型である。
 本機が工場の生産ラインから出たのは“氏族戦争”終結後の事である。しかし、程無くワード・オブ・ブレイク教団による“聖戦”が勃発して本機の需要は大いに増し、ワード・オブ・ブレイクの軍勢に立ち向う同盟軍の主力として中心領域全土に拡がっていったのであった。
(ウルフ氏族やジェイドファルコン氏族は、(心理的要因から)本機の採用を当初は全く考えてはいなかったが、“聖戦”の苛烈な現実を前に採用を行ったのであった)

 今日でも“マッドキャットII”は強力な存在であり、改修を受けつつ第一線に留まっている。特に、過去に大量に“マッドキャットII”を購入したノバキャット氏族では良く見られる存在である。現行の型には原型機のガウスライフル2門をER大口径レーザー4門に交換したものが存在している―これは真に継戦能力に優れた機体であると言えよう。




シグナス

 3060年代に被った屈辱への復讐戦の為に中心領域へと帰ってきたヘルズホース氏族であるが、3072年にはウルフ氏族に対するその攻勢も限界に達し息切れしていた。疲弊したヘルズホース氏族が戦力補充の為に急遽開発したのが、この95tの強襲型メック“シグナス”である。この機体の設計の基本方針は、“簡潔性”と“生存性”、そして何にも増して“破壊性”を重視すると言うものであり、急速開発の為にウルフ・イン・エグザイルとの共同開発を行うとの従来ではあり得ない方針を執った事で著名でもある。
 この“シグナス”には“マサカリ”と“ダイシ”の特徴が随所に見られ、両機を混合した機体に見えるものである。“シグナス”が戦場に現れたのは3075年の事であり、ウルフ・イン・エグザイルとの同盟に基づき彼等にも供給され、“聖戦”でワード・オブ・ブレイクを粉砕する為の一大戦力となった。

 本機に搭載されている武装は、2門のウルトラ・オートキャノン/20(もしくはウルトラ・オートキャノン/10)、4門の中口径パルスレーザーであり、正に“シンプル”そのものと言った趣である。長距離兵器を一切搭載しない思い切りの良さが、本機の威圧感をより増しているのかもしれない。






IndustrialMech:

アグロ・メックMk2

 “アグロ・メックMk2”は、アーケルナル・インダストリアル・メック社の“アグロ・メック”の軽量化バージョン(30t)である。
 その軽快な機動性は普通の“アグロメック”が難渋するような起伏の多い地形でも行動する事を可能にし、装備された鋭利なクローと起重機は巨礫を排除するのに極めて効果的であり、効率的に農地を開拓する事を可能としている。
 しかし皮肉な事に、重作業用に頑丈に作られた本機は無改造でもある程度の戦闘に耐える事が可能であり、軍に徴収される事が多い機体となっているのであった。




アグロ・メックMk2-Mod

 “アグロ・メックMk2-Mod”は、30tの“アグロ・メックMk2”を戦闘用に改造したものである。
 オリジナルのものが装備していた起重機を火炎放射器に変え、軍用の装甲を装備したこの機体は、戦闘用としては有効な存在である。――本機は、うまく用いれば、バトルメックをオーバーヒートさせる事も可能なのである。




アグロ・メックMod-B

 “アグロ・メックMod-B”は、35tの標準的なアグロ・メックを戦闘用に改造したものの発展型の1つである。
 以前のものの改造経験をフィードバックして火力と装甲を高めたこの型は、ロータリー・オートキャノン/2の搭載に成功しており、戦闘力と生存性の増加に成功している。また、元から装備している農業用のロータリー・ソーはより硬度のたかいものに換装されており、近接戦闘能力も増加している。




マイニング・メックMod-B

 “マイニング・メックMod-B”は、製作メーカーであるド・ヴァルト・インダストリー社、自らの手によって戦闘用に改造されたものである。
 本機は、“マイニング・メックMod”に装備されていた割岩機をパイル・ドライバー(杭打ち機)に換装して、格闘戦での打撃力をより増している事に特徴がある(Modの武装はそのままにしてある)






Vehicle:

テイマーレイン攻撃艇

 20tのホバー車輌である“テイマーレイン攻撃艇”は、有名な“サバンナマスター”ホバー戦闘車と同様のコンセプトで以って開発された、一撃離脱用のユニットである。
 “聖戦”の中期にカノープス統一政体で開発された本車はそのメンテナンスの容易さと有効性から程無くカノープス統一政体とカペラ大連邦国にて採用され、両軍の機動軍の一翼を担う事となった。本車の欠点は、コンパクトに作り過ぎた為に居住性が犠牲となっている事である(特に長身の者が乗る際にそれは問題となった)
 中口径レーザー2門、SRM4発射筒を1基装備する重量の割に強武装の“テイマーレイン攻撃艇”は、今日でも使用されているベストセラー車輌である。




サクソンAPC

 “サクソンAPC”は、戦場で使われる兵器の進歩により低下しつつある歩兵輸送車輌の生存率を上げるべく開発された35tの重装甲ホバー兵員輸送車である。
 “聖戦”初期の3069年にライラ共和国のサイクロプス社によって開発された本車は、武装を犠牲(搭載している武装はマシンガン1門のみ)にして積載量と装甲を増やし、歩兵の輸送に特化したものである。その160Kmに達する最高速度と重装甲は、必要とする場所に素早く安全に1個分隊の歩兵を送り込む事を可能にしている。故に、各国家にライセンスされた本車は程無く標準的な軽輸送車輌の地位を獲得し、今日でも使われているのであった。




ギギンスAPC

 “ギギンスAPC”は、その内部を守る為の装甲を何よりも重視した40tの装輪兵員輸送車である。
 本車は、“サクソンAPC”と同じく搭載武装を犠牲(搭載している武装はマシンガン2門のみ)にして装甲を施す事により、内部の貨物の生存性を高めている。また、ホバーの代わりに装輪式の駆動機構を採用しており、最高速度は落ちているが、“サクソンAPC”では進入が難しい森林地帯での作戦能力を本車は有している。




ベローナ戦車

 “ベローナ戦車”は、ヘルズホース氏族が中心領域への再進出に備えて“速度こそが最高の防御である”との哲学に基づき不整地戦闘用に開発した中量級のホバー戦車である。
 この45tの車輌は電撃戦ドクトリンに従ったものであり、数回の戦闘に十分な程度でしか弾薬を搭載していない。しかし、その砲塔に装備しているクラス10のウルトラ・オートキャノンの射程と威力は侮れないものであり、“ベローナ戦車”は前進と後退の両方の戦闘に於いて戦力価値を持つ車輌となっている。特筆すべきは、この車輌に装備されている多数のライト・マシンガンと火炎放射器である。ヘルズホース氏族は辺境ならではのローテクな戦闘を経験していた訳ではないが、当時はヘルズホース氏族がウルフ氏族を殲滅した後に中心領域の軍と対峙する可能性が真面目に考えられており、将来を見越して中心領域の歩兵戦術への対抗策が“ベローナ戦車”には盛り込まれていたのであった。
 些か先走り過ぎていたとは言え、この考えは“ベローナ戦車”にとって幸運に働き、“聖戦”後の比較的平和な時代でもその柔軟性により“ベローナ戦車”の価値は減じなかった。




マキシムMk2輸送車輌

 “マキシムMk2輸送車輌”は、オリジナルの“マキシム兵員輸送車”の搭載武装を削減して積載空間と装甲を増加し、より多くの貨物をより安全に運べるように再設計したものである。
 本車の搭載量は大きく、完全編制のバトルアーマー1個小隊、もしくは歩兵1個中隊を輸送する事が可能である。また、洗練されたそのホバー機構は時速120Km以上に達する速度を発揮し、戦場に素早く兵員/装備を輸送する事も可能としている。しかし、指揮官の中には、搭載武装が1門のストリークSRM2のみと、火力が大幅に減少したこの設計を批判している者もいるのであった。




サンパー間接砲車輌

 “サンパー間接砲車輌”は、星間連盟の“トール”間接砲戦車をベースに開発され、自由世界同盟の工廠で2734年から製造されていた由緒ある車輌である。これには“聖戦”の最中に新技術でアップグレードされた型が出現し、それが以後のスタンダードとなっている。
 この60tの自走砲には、サンパー間接砲1門と、全周囲をカバーするように自衛用の小火器多数(ER小口径レーザー2門、マシンガン4門)が搭載されている。また、“サンパー間接砲車輌”は12.5tの装甲とCASE、ECMを装備しており、従来型よりも遙かに強化された防御力を有している。それから、本車は移動の最中であっても、正確さを減じる事なく間接砲撃を行う事が可能であり、“聖戦”に於いて有力な存在となった。
 そして今日、この自走砲は、中心領域で用いられる標準的な支援砲撃車輌となっていのであった。




JES IIIミサイル・キャリアー

 極最近に、JES社の手により開発された“JESIIIミサイル・キャリアー”は、“JESミサイル・キャリアー”と“JESIIミサイル・キャリアー”、両車の中間ともいうべき60tの車輌である。
 本車は、“JESIIミサイル・キャリアー”よりも機動力が高く、“JESミサイル・キャリアー”よりも装甲と射程に勝っている(4基のLRM15を搭載) また、独立した2つの火器管制装置の搭載と人員配置により、柔軟な火力の運用が可能である。“JESIIIミサイル・キャリアー”は、支援戦車として成功した存在と言えよう。




スナイパー間接砲車輌

 “スナイパー間接砲車輌”は、星間連盟の“マークスマン”間接砲戦車をベースに恒星連邦で開発された自走砲である。
 この重い80tの車輌には、スナイパー間接砲が1門と精密な射撃管制コンピューターが搭載されており、強力な支援砲撃を行う事が可能である。また、本車には、自衛火器としてER小口径レーザー2門とマシンガン2門が搭載されている。




ロングトム間接砲車輌

 “ロングトム間接砲車輌”は、巨大で鈍重な自走砲である。
 その95tの車体には、戦場で最も恐るべき兵器の1つであるロングトム間接砲が1門搭載されており、強力極まりない支援砲撃を行う事を可能としている。現行の“ロングトム間接砲車輌”は、長大に過ぎたオリジナルの車輌をよりコンパクトなものに再設計して纏めたものである。恒星連邦によって最初に製作されたこの型も、鈍重さはオリジナルのものとあまり変わってはいないが、車体がコンパクトになった分、機動力と運用効率は改善され、より有力な存在となっている。




DIモーガン戦車

 “DIモーガン戦車”は、重武装(3門のERPPCを搭載)かつ重装甲で、“シュレック戦車”の置き換えとなる複数の目標を一度に狙える性能を持つ重戦車として、デファイアンス・インダストリー社によって開発されたものである。この100tの重戦車にはライラ産にも拘らず、異例な事に恒星連邦の英雄である“モーガン・ハセク・ダヴィオン元帥”の名の一部が冠されている――この戦車の計画者が自分が尊敬している偉大なる将軍に敬意を表した為である。
 この戦車は、“ヘスペラスII”がワード・オブ・ブレイクとの戦闘から解放されてすぐにデファイアンス・インダストリー社の生産ラインから姿を現した。そして、程無く“DIモーガン戦車”は高価であるとの欠点を抱えつつも軍内での信頼を獲得する事となった。しかし、戦闘で大損害を受けたデファイアンス・インダストリー社には、軍の需要を満たすほどの生産余力は残されていなかったのである。結果、デファイアンス・インダストリー社は“DIモーガン戦車”をライラ同盟内の他社にライセンスし、それは“聖戦”の初期の戦闘で大損害を被っていたライラ同盟軍の戦力再建への一助となったのであった。
 “DIモーガン戦車”は、3133年でも各軍で使用されている。3条の人工の雷を途切れる事無く放つ本車は、未だに恐るべき存在なのである。






Infantry:

カゲ・バトルアーマー

 “カゲ・バトルアーマー”はドラコ連合によって開発された、中心領域で最高のジャンプ能力とステルス能力を持つバトルアーマーである。
 “カゲ・バトルアーマー”は廃案となったオリジナルの“ライデン・バトルアーマー”にDESTスーツのステルス能力を持たせた、偵察・特殊作戦用の機材として開発が行われた。ドラコ連合の誇る特殊部隊であるDESTの古参兵の意見を採り入れ、このバトルアーマーは理想的な偵察機材となる予定であった。しかし、問題は起こった……このアーマーの特色である長大なジャンプ能力をテストする際に、プロトタイプの機体がコントロールを失い高速で墜落し、テスト・パイロットを死亡させたのである。そして、この問題の解決には数年の歳月が必要であった。最終的に、隠蔽式の翼とフィン状のスタビライザーを取り付ける事によって問題が解決した量産型が完成したのは3056年の事だったのである。
 “カゲ・バトルアーマー”のジャンプ能力は他を圧しており、クラウドコブラ氏族の開発した“シルフ・バトルアーマー”のみが唯一その能力を凌駕している。また、このアーマーのDESTスーツ譲りのステルス能力は素晴らしく、ベテランが使用した際には至近距離でも敵にその存在を気づかせない程である。

 32世紀でも、“カゲ・バトルアーマー”は改良が為されて現役で使われている。その仕様上、装備可能な重火器は限られており、攻撃能力は低いが、このアーマーの持つ偵察・特殊任務への有効性はそれらを補って余りあるのである。




ライデン・バトルアーマー

 3050年、氏族の中心領域侵攻初期に捕獲した“エレメンタル・バトルアーマー”をドラコ連合は逆設計しようと試みた。そして、3052年、プロトタイプを完成するに到ったのである。当時、中心領域のバトルアーマー開発競争は。最初のバトルアーマー開発に成功した連邦=共和国が先端を走っていると思われていた。しかし、ドラコ連合のプロトタイプ・“ライデン・バトルアーマー”は、連邦=共和国が開発したものよりも遥かに優れていた。連邦=共和国のバトルアーマーが欠いている能力――エレメンタル・バトルアーマーに匹敵する速度、ジャンプ能力、中口径レーザーやミサイル数発の直撃にも耐えられる装甲――その全てを、プロトタイプ・“ライデン・バトルアーマー”は有していたのである。更に、プロトタイプ・“ライデン・バトルアーマー”はSRM発射筒までも装備していた。

 しかしながら、時のドラコ連合大統領セオドア・クリタは、プロトタイプの性能に満足できなかった。彼にはプロトタイプの装甲が十分なものではないと思えたのである。故に、セオドア・クリタは直接に開発責任者に対して、「大口径レーザーの直撃に耐えられる装甲をバトルアーマーに付与する事と、1年以内に改良型の実戦テストを可能にする事を期待する。――その際には、開発主任自身がバトルアーマーを着てテストを行うように」と伝えたのであった。
 9ヵ月後、改良型の“ライデン・バトルアーマー”は完成した。改良型からは、プロトタイプの装備していたSRM発射筒は取り外されたが、装甲は増強され要求の通りに大口径レーザーの直撃に耐えられるものとなっていた(尚、テストの際には、当時70歳であった開発主任がバトルアーマーを実際に着用して臨んだ。バトルメックの大口径レーザーの直撃にバトルアーマーは良く耐え、老科学者は5箇所の骨折と1ヶ月の入院で済んだとの事である) そして、“ライデン・バトルアーマー”は、ドラコ連合を代表する一般的なバトルアーマーとして普及していく事となったのである。

 32世紀でも、このバトルアーマーは改良が加えられつつ現役に留まっている。レーザー反射装甲を装備した改良型は、レーザー兵器が主体のメックには厄介な存在であろう。




フェンリル・バトルアーマー

 3057年、キャサリン・シュタイナーは、連邦=共和国からの離脱とライラ同盟の成立を宣言した。そして、彼女は敵対国家の優秀な第2世代バトルアーマーに対抗する為とバトルアーマー技術のギャップを埋めるべく、新たなバトルアーマーの開発を命じたのである。
 ライラ同盟の技術陣が最初にしたのは、連邦=共和国が開発した第1世代バトルアーマーである“スロース・バトルアーマー”の分析であった。貧弱な装甲、ジャンプ能力の欠如等の欠点はあるものの、“スロース・バトルアーマー”の4脚構造により搭載可能となった火力は、彼等には魅力的であると思えたのである。かくして、“フェンリル・バトルアーマー”は、“スロース・バトルアーマー”の長所を更に発展させたものとして開発が始められた。
 そして、3060年、“フェンリル・バトルアーマー”は完成した。このバトルアーマーは、4脚構造により背の部分に頑丈で余裕のある搭載空間を有しており、背への旋回式の砲塔の搭載を実現している。360度の旋回ができるこの砲塔は、モジューラー機構を採用する事により、状況に応じてSRM4から中口径パルスレーザー、3門ものマシンガンといった多様な兵装の選択を可能としている。また、“スロース・バトルアーマー”の欠点であった速度の遅さは改善されており、通常型のバトルアーマー以上の走行能力を“フェンリル・バトルアーマー”は有している。このバトルアーマーは、一撃離脱ユニットとしては非常に優れていると言えよう。しかし、大火力の搭載をする為に、このバトルアーマーの装甲は貧弱なもの(特に脚部の装甲が薄い)となっており、受身に回った際に些か脆いという欠点を生じさせているのは大きな問題であろう。

 しかし、“フェンリル・バトルアーマー”の持つ火力は戦場で非常に魅力的なものであり、伝統的に火力を重視するライラ共和国(3084年にライラ同盟から改名)はこのバトルアーマーを高く評価している。故に、今日でも、“フェンリル・バトルアーマー”は、各戦場にあるのであった。




突撃兵(ショック・トルーパーズ)

 “突撃兵”とは、個人用のジャンプジェットと軽火器、メック登攀用のマグネット・ハンド、神経ヘルメットの暗号解読装置を装備し、メック捕獲用に編制された特殊部隊である。
 大抵の場合、志願兵によって編制されるこの種の部隊は練度と士気が高く単独で戦況を変える事も珍しくない、戦場に於いて最も危険な歩兵部隊の1つと言える存在である。




エリート歩兵

 “エリート歩兵”は、各種の特殊技能――隠密移動、夜間戦闘、近接戦闘術、各種火器の扱い――を習得した精鋭歩兵部隊である。
 正規歩兵戦力の切り札とも言えるこの種の部隊には高級装備が優先的に与えられるのが常であり、充実した防御装備/各種火器/通信・索敵機器を保有している。




SRM隊

 “SRM隊”は、個人携行用のSRM発射筒を持ってチームを編制して、集中攻撃を目標に対して行えるように訓練された重火器歩兵部隊である。
 この種の部隊の集中攻撃時の打撃力は侮れなく、メックでも注意すべき存在となっている。




レーザー隊


 “レーザー隊”もまた、分隊支援火器サイズのレーザー砲を装備して、集中攻撃を目標に対して行えるように訓練された重火器歩兵部隊である。
 部隊によって装備の質もまちまちであるが、今日ではERレーザーやパルスレーザーを装備している分隊も珍しくなく、軽車輌・軽メックなら短時間で撃破してしまう打撃力に優れた存在である。




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