リードアウト: カウンターアサルト
(ここには、メックウォリアー:カウンターアサルトのユニットの簡易紹介を置いています)


Mech:

フェニックスホーク

 45tの“フェニックスホーク”は、偵察/汎用機として制作された中心領域で最も一般的であった中量級メックである。
 優秀な機動力・火力・装甲を持ち操縦のしやすい“フェニックスホーク”は、メック戦士達に愛された。偵察部隊では優秀な通信機器を備えた“フェニックスホーク”は重宝され、しばしば部隊の指揮機として使われた。そして、“フェニックスホーク”はどの様な戦場でも邪魔になる事は皆無で、あらゆる任務にて用いられたのであった。
 一時期は3055年代に相次いで登場した新型機に押されていたが、プロジェクト・フェニックス形式の改良により“フェニックスホーク”は生まれ変わった。そして、各国は自国の戦術ドクトリンに適した仕様の“フェニックスホーク”を大量生産し、戦場に投入してその有効性を改めて確かめたのである。今日でも、“フェニックスホーク”は戦場に健在である。




ティ・ツァン

 “ティ・ツァン”は、カペラ大連邦国では初となる60tの重量級格闘メックである。
 3060年頃に初登場した“ティ・ツァン”は、カペラ大連邦国の威信復活の象徴であった。彼等は、この新時代のメックが装備したTSM、その力強い外観、戦闘力により、恒星連邦に一方的に敗北したと言う過去の悪夢を克服したのである。“ティ・ツァン”に装備された多数のレーザー砲は近距離戦で威力を発揮し、TSMで増強されたハチェットは強襲型メックであっても一撃で粉砕される可能性のある恐るべき兵器である。

 カペラ大連邦国の誇りである“ティ・ツァン”は、32世紀でもその軍内に存在している。




ライフルマン

 2506年、60tの“ライフルマン”は星間連盟防衛軍用の火力支援メックとして開発された。
 “ライフルマン”は信頼性が高く優秀な照準/索敵システムを備えており、火力支援と防空任務に優れている機体である。故に、星間連盟の崩壊後も各勢力――特に恒星連邦――で広く使用され、時代の変化に合わせて改良も重ねられたのである。
 継承権戦争時代の“ライフルマン”は、その薄い装甲と乏しい放熱能力から酷評されていた。しかし、3060年代中盤のプロジェクト・フェニックスにより再設計が行われ、それらの欠点は殆どが解消されている。

 今日の“ライフルマン”の主流は、自由世界同盟と恒星連邦製のものである。




ロングボウ

 2610年に開発されたミサイル支援メックが、この85tの“ロングボウ”である。
 “ロングボウ”はその特化された設計から人気が高くはないが、LRM20発射筒とLRM5発射筒を2基づつ搭載した事によりミサイル・ボートとしての能力は極めて高く、時代を経てもその有効性は損なわれていない。また、優秀な対航空機用の照準/追尾システムを装備しており、部隊に良好な野戦防空能力も提供可能である。
 現行の“ロングボウ”はプロジェクト・フェニックス形式の改良を施されているものが多いが、旧来の武装のままの機体も相当数が現存している。




ユー・ホワン

 “ユー・ホワン”はカペラ大連邦国の“新生”国家再生計画に基づいて開発され、3060年に完成した90tの強襲メックである。
 “ユー・ホワン”は長距離火力は若干不足しているが、XLエンジンとエンドースチール搭載により実現したその最高速度と重装甲は敵機に接近するまで機体を保持するのに十分なものである。そして、一度敵を主力武装のオートキャノンの射程内に捉えたのならば、“ユー・ホワン”はLB 20-Xのクラスター弾とスラッグ弾を併用して破滅的な打撃を与えられるのである。

 “聖戦”後にも、“ユー・ホワン”の生産と改良は続けられて、ウルトラAC/20等を搭載した派生型が出現している。“ユー・ホワン”は、32世紀でもカペラ大連邦国を代表するメックであり続けているのである。




コディアック

 “コディアック”は、ゴーストベアー氏族を象徴する100tのトーテム・メックである。
 オリジナルの“コディアック”は100tメックの限界に近い65km/hの最高速度を持ち、ウルトラAC/20を中心とした近距離兵器を装備した継戦能力の短い防衛/駐留部隊用の近距離決戦型の機体であった。この型は、近接戦闘では非常に優れていて敵に非常に恐れられていた反面、遠距離戦闘に使える武装が非常に少なくかつ搭載弾薬も少なく長期戦闘には適さないと言う欠点があった。また、装甲も限界まで搭載されてはいなかった。
 3095年に開発が開始された“コディアック”の改良型はウルトラAC/20を取り外し装甲を増強し、ER−PPCとLRMを搭載してバランスの良い兵装を持ったものである。32世紀では、この改良型が“コディアック”の主流となっている。




マローダーII

 “マローダーII”は、高名な傭兵部隊であるウルフ竜機兵団が“マローダー”を基に開発し独占していた100tの強襲メックである。
 “マローダーII”の初期型は、3010年代にウルフ竜機兵団とブラックウェル社によって開発が為された。戦闘に投入された“マローダーII”はその重装甲とジャンプ能力、シンプルだが破滅的な威力を持った武装で以って評判となり、各所から購入を求める打診が舞い込む事となった。しかし、ウルフ竜機兵団はそれらの申し込みを全て断り、自らが使用するのみに限定したのであった――彼等がその方針を変えたのは、第4次継承権戦争後の事である。その時、彼等は壊滅的損害を受けた自部隊を再建する為の資金を必要としており、同盟傭兵部隊に対しての販売を開始したのであった。そして、3060年代中盤には、“マローダーII”は大規模な改良が施された後に(特定の相手を除き)より広範な販売が為され、人気機種となったのである。
 “マローダーII”の火力は強大で、特にヘビーガウスライフルを搭載した型は恐るべき存在である。如何なるバトルメックも“マローダーII”から数斉射を浴びて無事ではいられず、ジャンプジェット装備によるその機動力は予想外の場所からの攻撃を可能としている。

 “聖戦”によりブラックウェル社の工場が破壊された後も、他社にて“マローダーII”のライセンス生産は続けられた。そして、今日でも“マローダーII”は戦場で畏怖され続けているのである。






IndustrialMech:

レイダー

 “レイダー”は、HPGネットワーク崩壊以前の3131年からジェイコブ・バンソンの直接指示の下に開発が開始されたハイブリッド・メックである。
 3131年、ジェイコブ・バンソンは自分の計画の為に、秘密裏に新たなバトルメックを開発する事を目論んだ。そして、彼は身寄りのいない技術者達を雇い、僻地の秘密施設にて禁止されているメック製造の研究を行わせたのであった。研究は順調に進んだ。装甲、マイアマー、機体中枢、ジャンプジェット、武装は、軍用と同水準のものが完成した。しかしながら、エンジン部分だけはトラブルが相次ぎ、爆発事故を起こすに至って開発は完全に停滞した――僻地の限られた設備では、軍用核融合炉の密造は不可能であったのである。最終的に、技術者達は核融合エンジンを諦め、通常の内燃エンジン(ICE)をパワープラントとして搭載する事を選択した。
 こうして、“レイダー”は当初の計画とは異なるICE装備のハイブリッド・メックとして完成したのであった。しかし、計画通りのものではないとは言え、“レイダー”は他のどの改造型インダストリアルメックよりも強力で、軽量級バトルメックならば優位に戦闘を進める事もできたのである。このメックは妥協の産物であるが、成功作と言えるであろう。




レイダーMk2


 “レイダー”を発展改良したものが、“レイダーMk2”である。“レイダーMk2”は、マイアマーをより強力な3重強化筋肉に交換し、武装もRAC等のより洗練されたものを搭載している。より強力になったこの“レイダーMk2”は、正に“ミニ・バトルメック”的な存在である。正規軍や他勢力でも使われている事こそが、“レイダーMk2”の価値を証明していると言えるであろう。






Vehicle:

ペガサス軽ホバー戦車

 第1次継承権戦争の初期に登場して現在も使用されている歴戦の古強者が、この35tの“ペガサス軽ホバー戦車”である。
 登場以来、“ペガサス軽ホバー戦車”は中心領域の全ての勢力で愛用されてきた。その強靭かつ柔軟な車体、頑丈な装甲、高速力、搭載している優秀な偵察機器は、“ペガサス軽ホバー戦車”を理想的な偵察車輌にしていたのである。そして、技術の復興した3050年代に“ペガサス軽ホバー戦車”は大規模な改良が行われ、その能力が更に高められた。
 改良により火力が増大した“ペガサス軽ホバー戦車”は以後も活躍を続け、“聖戦”でも他の新型車輌群に伍するパフォーマンスを見せた。故に、“ペガサス軽ホバー戦車”は32世紀でも各勢力で使用されているのである。




アサ中対空車輌

 “アサ中対空車輌”は、“聖戦”後にウルフ氏族が駐留部隊の防空力増強用に作り上げた55tの車輌である。
 機動性を余り重視せず拠点防御任務に特化して開発された事により、“アサ中対空車輌”の価格は相当に低いものとなった。また、長射程かつ弾薬効率の良い4連装のLB 2-Xオートキャノンの採用とその重装甲はこの車輌を長期戦に良く耐えられるものへとし、正に防衛部隊にうってつけの存在へとなったのである。しかし同時に、火力の不足とその低い機動力から不満を持つ者もいるのであった。




ファルクラム重ホバー戦車

 良好なセールスを記録した“J・エドガー戦車”の後継車輌として3056年にロールアウトしたものが、この50tの“ファルクラム重ホバー戦車”である。
 “ファルクラム重ホバー戦車”は“J・エドガー戦車”の持つ、高速力、高機動力、高い耐久力、メンテナンスの容易さ、といった長所を受け継いでいる。充実した武装と装甲を搭載したこの車輌は“J・エドガー戦車”よりもかなり重量が増しているが、XLエンジンの採用によりその高機動性は保たれている。また、敢えて最新型ではなく信頼性が証明されておりかつ入手が容易である兵器のみを採用している事から、“ファルクラム重ホバー戦車”はどこで運用しても予備パーツの確保には困らない。そして、“ファルクラム重ホバー戦車”は適した機器さえ揃っているのならば3時間以内に核融合エンジンの交換も可能という、高い整備性を誇っているのである。
 “J・エドガー戦車”よりも遥かに高価であるが、“ファルクラム重ホバー戦車”は人気を集め、ロングセラー車輌となった。ライラ共和国では、今日でも“ファルクラム重ホバー戦車”は愛用されている。




ショーデン強襲車輌

 ノヴァキャット氏族が中心領域の戦術への適応を目指して3060年代に開発したのが、この70tの“ショーデン強襲車輌”である。
 3060年代のノヴァキャット氏族の副族長サンティン・ウェストは、ゴーストベアーとの戦争とその後に行われたドラコ連合との軍事演習にて、ノヴァキャット氏族の将来の為には中心領域の戦術に対応した新型車輌が必要であるとの思いを深めていた。そして、彼の主導により、“ショーデン強襲車輌”は反対勢力を出し抜く形で素早く開発されたのである(尚、本車の名称は、仏教の護法神の1つである“聖天(歓喜天)”に因んで名付けられた)
 “ショーデン強襲車輌”は当時新兵器であったATMを採用し、遠距離と近距離の双方に適した戦闘能力と大火力を実現している。また、近接防御用に4基の軽マシンガンを装備し、歩兵対策も充実している。そして、“ショーデン強襲車輌”は、やがてその戦績で以って保守派にも徐々に受け入れられていき、新生ノヴァキャット氏族が“聖戦”を乗り切る原動力の1つとなったのである。
 “ショーデン強襲車輌”は今日でもノヴァキャット氏族を護り、彼等の領地にてその雄姿を見せている。




キャバルリー攻撃ヘリコプター

 “キャバルリー攻撃ヘリコプター”は、3054年に初登場した25tの攻撃VTOLである。
 “キャバルリー攻撃ヘリコプター”はSRM6発射筒1基、SRM2発射筒が3基との重武装を誇り、VTOLとしては十分である装甲を持っている。また、最高時速162km/hにも達するその速度は、本機を理想的な襲撃機にしている。しかし、搭載している弾薬は少数であり、長期戦では“キャバルリー攻撃ヘリコプター”は非常に脆弱な存在である――製造企業のマイケルソン重工は“キャバルリー攻撃ヘリコプター”を一撃離脱戦用として開発していたのである。
 しかしながら、“キャバルリー攻撃ヘリコプター”は幾多の戦場でその価値を証明している。特に、3055年のスチールヴァイパー氏族との戦闘では、僅か1個小隊の“キャバルリー攻撃ヘリコプター”が敵の進撃を押し止めて1個連隊以上の歩兵部隊の退却を成功させ、その真価を見せ付けている。
 長い間、“キャバルリー攻撃ヘリコプター”は恒星連邦にほぼ独占的に販売されていたが、最終的には全ての者に対しての販売が為された。そして、各勢力で使われる事になったのであった。




ギャロット超重輸送機

 “ギャロット超重輸送機”は、30tの重輸送ヘリである。
 “ギャロット超重輸送機”は軍専用に開発されたものではなく、ブルドッグ・エンタープライゼス・オブ・プロセルピナ社の“スカイスター貨物ヘリ”を軍仕様に改修したものである。その紙の如き薄さの装甲、形ばかりの武装、鈍重な機動性により、本機は戦場への輸送任務には全く不向きである。しかしながら、貨物搭載量は素晴らしく、後方での兵站輸送には非常に適した機体である。






Infantry:

偵察ATV隊

 “偵察ATV隊”は、悪路の走破性に優れている3輪バイクを装備した歩兵部隊である。この種の部隊は速度でホバーバイク隊には一歩を譲るものの、ホバーが適していない地形の偵察に威力を発揮している。また、バイクに搭載している小火器による一斉攻撃は侮れない火力であり、奇襲攻撃にも役立つ存在である。




特殊部隊

 “特殊部隊”は、一般的ではない任務を遂行する為に編成される部隊である。情報収集、攪乱、偵察、潜入、拠点制圧、破壊工作、救出等々、その任務は様々である。バトルメック戦闘が行われる戦場に姿を現す特殊部隊は一般的に、対バトルメック戦とその捕獲/奪取を専門にしているものである。高度な訓練と装備が与えられた彼等は、恐るべき存在であろう。




迫撃砲隊

 “迫撃砲分隊”は、射程は短いが軽便で取り扱いの容易である迫撃砲を装備した歩兵部隊である。この種の部隊は通常歩兵にとって最も身近な火力支援部隊と言えるものであり、戦場では頼りにされる存在である。敵陣地の攻略や対バトルメック戦闘では、この部隊の働きが成否を分ける事もある。熟練した部隊は毎分20発以上の射撃をする事も可能であり、直撃すればバトルメックにも無視できない傷を与えられるのである。




戦闘工兵隊

 “戦闘工兵隊”は古くから存在する、歴史のある兵科である。時代が進むと共に彼等の任務は増えて多少の変化もしているが、本質は32世紀に於いても変化はしていない。戦場での急速建設から輸送、通信、破壊工作、障害物の除去等々、戦闘工兵の役割は多岐に渡っている。彼等が存在しなければ、戦場で多大な不利益を被る事もあるであろう。




インフィルトレイターMk I・バトルアーマー

 “インフィルトレイターMk I・バトルアーマー”は、連邦=共和国によって偵察任務用に開発された初期のステルス・バトルアーマーである。
 “インフィルトレイターMk I・バトルアーマー”は、捕獲した氏族の“エレメンタル・バトルアーマー”をベースに開発された。しかし、当時の中心領域の技術では偵察用装備とステルス装備を搭載した上で“エレメンタル・バトルアーマー”並みの機動力を持たせる事は不可能であった。更に、それらの装備の重量は、当初に搭載を予定されていた装甲や武装を減じない事には搭載が不可能であった。結果、“インフィルトレイターMk I・バトルアーマー”は、標準的なバトルアーマーよりも鈍く脆弱かつ武装も貧弱な存在として誕生する事になったのである。
 しかしながら、そのステルス能力は期待通りのものであり、待ち伏せ戦術、長距離浸透/偵察任務等で“インフィルトレイターMk I・バトルアーマー”は活躍し、その結果、大量生産が為されたのであった。

 後に開発されたものよりも性能は劣っているが、多数生産された“インフィルトレイターMk I・バトルアーマー”は比較的安価な偵察機材/ステルス襲撃機として、32世紀でも使われている。




グレイ・デス・バトルアーマー

 かつて一世を風靡した傭兵部隊グレイ・デス軍団の手により作り出されたものが、この“グレイ・デス・バトルアーマー”である。
 中心領域への氏族の侵攻が開始されてからしばらく後の3052年、グレイ・デス軍団はNAISから実戦テスト用のプロトタイプ・バトルアーマー(氏族の“エレメンタル・バトルアーマー”のデッドコピー)を受け取った。そして、即座にグレイ・デス軍団の優秀な技術者達は、まだまだ未成熟であったそのバトルアーマーへ軍団用に独自改修を施す事を開始したのであった。
 その革新的な歩兵戦術/運用により有名であったグレイデス軍団は技術者でさえも歩兵に関しては相当な知識と経験を持っており、改修はスムーズに進んだ。このグレイ・デス軍団による改修型は、最終的にはNAISのものよりも洗練された外観を持ち歩兵支援と対メック戦闘に適したものへと生れ変った。そして、あらゆる戦闘に於いてこの“グレイ・デス・バトルアーマー”は価値を証明していったのである。

 グレイ・デス軍団が壊滅して世から消え去った後も、この“グレイ・デス・バトルアーマー”はグレイ・デス・テクノロジー社により生産が続けられ、32世紀でも各勢力にてその姿を見る事が可能である。このバトルアーマーは、かつて偉大な傭兵部隊が世に存在していた事を示す何よりのものかもしれない。




イナースフィア・バトルアーマー


 3050年、氏族の侵攻を受けた中心領域は“エレメンタル・バトルアーマー”と遭遇し、そのパフォーマンスに恐怖した。そして、それらに対抗する為に捕獲したものを研究して急遽開発されたものが、この“イナースフィア・バトルアーマー”と後に呼ばれるようになったものである。
 “イナースフィア・バトルアーマー”は、“エレメンタル・バトルアーマー”の完全なコピー品になる事を目指して開発された。しかし、中心領域の技術は氏族に比べて非常に劣っており完全なコピー品の生産が不可能である事が早々に判明した。“エレメンタル・バトルアーマー”が保有している、ハージェル・システム、SRM装備とジャンプ能力の両立、先進的な応急医療システム、強靭な装甲――その全てが中心領域には再現が不可能であったのである。
 そして、最終的にはどの中心領域勢力も、SRMの搭載、氏族のものと同水準の装甲、先進的な応急医療システム等々の実現を当座は諦め、“エレメンタル・バトルアーマー”の劣化版といったものを無理なく作る事で妥協した。
 しかしながら、実戦に投入されたそれらの急造バトルアーマー群は、運用次第で氏族のものにも十分に対抗可能である事が証明された。また、洗練されてはいないが無理をせずに作られた事により、整備が容易かつ安価でもあった。故に、この型は中心領域全域に広く普及する事になり、“イナースフィア・バトルアーマー”と総じて呼称される事になったのである。

 生産数が並外れて多い“イナースフィア・バトルアーマー”は、32世紀でも戦場で普通に見かけられる存在である。




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