傭兵部隊の降伏


 傭兵部隊が降伏をした場合、どの様に扱われるのか? ――バトルテック世界を舞台にしたRPGをプレイする際には、これについて悩む事があるかもしれません。しかし、この事について短くですが解説している資料も存在しています。以下は、“Mercenary's Handbook: 3055”より、降伏について解説されている箇所を抜粋したものです。これが何かの参考になりましたら幸いです。



降伏(“Mercenary's Handbook: 3055”より)
 傭兵部隊は優勢な敵部隊に対して降伏せざるを得ない事が時折あります。大部分の継承国家は捕虜取り扱いの問題を回避する為に、捕えた部隊を身代金を受け取って解放する事の方を好んでいます。捕虜となった部隊はその全ての資産を敵部隊に必ずしも引き渡す必要はなく、それらの資産を解放交渉の為に使用する事が可能です。極稀な場合には、その部隊の雇用者が部隊の為に身代金を支払う事もあります。

氏族への降伏
 氏族達は打ち負かした相手を氏族の優秀性を示す生きた証拠と見なし、従って、中心領域の戦士達と同じ様には降伏を受け入れません。氏族達は、身代金を受け取って捕虜達を解放するよりも、むしろ彼等をボンズマンにする方を選びます。
 捕虜は氏族社会に於いてユニークな地位にあります。ボンズマンは名誉ある戦闘にて敗北した敵手であり、その彼/彼女は戦士の地位を取り戻す価値を持っている事を証明する機会を与えられます。しかし、ウルフ氏族のフェラン・ワード族長は氏族でのその人生をボンズマンとして開始していますが、彼の様な急速な権力の増大に並び立てるボンズマンは少数です。中心領域の視点からすると、ボンズマンは奴隷とそれ程変わらないものの様に見えます。
 惑星“アウトリーチ”の雇用ホール内にある銘板は、氏族によってボンズマンにされた傭兵達の名誉を称えています。高い地位を得られる展望と良好な待遇を与えられてはいますが、ボンズマンの生活は面白いものではなく、ゲームマスターはこれを控え目に使うべきでしょう。氏族に捕えられたプレイヤー・キャラクター達に逃亡のチャンスは殆どありません。彼等の戦闘能力が氏族へ彼等をボンズマンにするのに十分な程に感銘を与えられたのならば、彼等は生き残れるでしょう――しかし、大抵の場合、彼等は二線級戦士に留め置かれ、戦闘の機会は余り望めないでしょう。
 星間連盟の遺物等の氏族にとって価値のある何かを所有している部隊が氏族の捕虜となった場合、その部隊はそれを自分達の解放と交換できるかもしれません。その部隊を捕えた氏族の指揮官の気紛れ次第ですが、賢明な部隊は氏族から比較的無傷で立ち去る事ができるかもしれません。

中心領域への降伏
 中心領域に於ける降伏は、伝統的な身代金や賠償金の支払いの慣習に則っています。
 大抵の場合、身代金は100000〜1000000Cビルの範囲に渡っており、時折、王家の軍は戦場での損失を置き換える為に捕虜とした部隊に装備を引き渡す事を強要します。ドラコ連合は最も過酷な身代金を課します――通常、捕虜とした部隊の全ての装備を要求し、それと同様に部隊のメンバー1人につき100000Cビルを要求します。その部隊の雇用者が前金を手渡していないのであれば、ゲームマスターは捕虜とした部隊のリソースに適していると思われる身代金を何であろうとも遠慮なく指定するべきでしょう。
 また、傭兵部隊は同業の傭兵部隊に降伏する事があるかもしれません。大部分の傭兵部隊は、戦闘での損失の何%か(通常25%)の賠償金を要求します。この慣行は、その捕虜を取った部隊が継承国家の為に働いている時でさえも保持されます。降伏がどの様に感じられるものであるのかを熟知している大部分の傭兵部隊は、可能な限り互いに痛みの無いようにする事を試みます。
 一般常識に於いては、海賊への降伏は死による終焉となります。しかし、一般常識の大部分と同じ様に、この考えは常に正しいというものではありません。幾つかの海賊集団は捕えた敵を殺害しますが、大部分はその傭兵部隊の装備を持ち去る事で手を打ち、彼等を置き去りにするのです。当然の事ですが、傭兵部隊は自分達が遭遇した海賊の種類が何であるかは全く識別はできず、これにより海賊への降伏は危険な選択となっています。
 

自由の値段

 私が好きなビールが、私を氏族から生きて逃れさせられた。私は、連邦=共和国との契約下にあり惑星“シャウラ”をウルフ氏族から防衛するのを支援している傭兵部隊ダーティ・ペアの一員だった。その戦闘は、ウルフ達が容赦のない攻撃をしてきた為に、短く激しいものだった。そして、第1ライラ防衛軍は進撃する敵から後退をした際に、ダーティ・ペアに撤退を命じてきた。我々は我々の所有する降下船群に向かって疾走したが、氏族の連中がその周辺の至る所を這いずり回っているのに気付いた――全く当然の事ながら、我々は降伏した。氏族の大物――コナル・ワードという名の男――は、我々の部隊全てをその胃に収めてしまう気でいる様だった……我々の隊長が狂気の沙汰の提案をするまでは。隊長はワードに、自分達を見逃してくれたら自分が思う中心領域の最高の品を差し出す、と彼に述べたのである。我々は、その途轍もない図太さに驚嘆せざるを得なかった――私が思うに、コナル・ワードも同じく驚嘆し、それについて話し合いをする為に彼と隊長を向かい合わせに座らせる理由となったのであろう。そして、隊長は私に交渉の進行を楽なものにする一助とする為に“ティンビクウィ・ダーク・ビール”を6本取ってこさせた。連邦のネズミ野郎達からの呼び出しを受けた際、ダーティ・ペアはこの有名なビールを6000箱ほど輸送中であり、“シャウラ”に上陸した時にも我々はそれを持ったままだったのである。そして何とまあ、ミスター・ギャラクシーコマンダー・ワードは、隊長が我々の自由とビールの交換を提案した時にはその飲み物の味わいに非常に感銘を受けており、彼はその提案に応じたのだった。我々は6000箱全てをウルフ氏族デルタ銀河隊に引渡し、そこから立ち去った。私が聞いた所では、彼等の偉大かつ無敵の大族長殿も“ティンビクウィ・ダーク”の口当たりの良い味わいを気に入ったそうだ。更にとんでもない事に、その製法を入手するだけの為に彼が惑星“ティンビクウィ”の奪取を望んでいる、という話も私は聞いた事がある。“ティンビクウィ・ダーク・ビール”が氏族の大族長をも満足させる程に良いものであるのならば、それはきっと同じく私にとっても最高に良いものである、と私は考えているよ。

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