各勢力軍特徴:


中心領域勢力

カペラ大連邦国

 第4次継承権戦争の終結以降、カペラの統治者達はその国家に対して加えられたダメージが決して2度と降り懸らないのを確実にするべく、不断の努力を行ってきていた。3050年代序盤にスン=ツー・リャオ首相は改革を実行に移し、首相の注意深い監視の下にあるカペラ軍総司令官によって維持される戦略的統制で以って、より良い戦術的な柔軟性を実現する為に、カペラ大連邦国軍の指揮権分散を許可した。カペラの士官団は高度な訓練/教育を受けたプロフェッショナルの集団であり、もはや以前に“絶望戦闘症候群”と呼ばれていたものに悩まされてはいない。高名なカペラの武家は、それを支援する後備機兵団の様な大部隊と共に、より熟達したトラブルシューターへとなった。前線部隊の移動も、同様の熟慮と共に行われている。そして、陰小隊(シャドウ・ランス)の様な技術的に進歩したバトルメック群、それと同様に先進的なオムニメック群の到来は、CCAF(カペラ大連邦国軍)の戦力を第1次継承権戦争以降は見られなかったレベルにまで上昇させた。カペラ人達は数百年間に渡って諸兵科連合を用いてきているが、それらの種別のユニットは新たな戦術ドクトリンの創設へと繋がったのである。それらの増加された小隊の使用は、多くの連隊の指揮官が以前は享受できなかったレベルの柔軟性を付与しているのであった。
 
(注: “絶望戦闘症候群”とは、第4次継承権戦争にてその歴史上最悪の敗北を喫した後のカペラ軍で顕著に見られる様になった行動様式です。第4次継承権戦争後、ロマーノ・リャオは戦闘で確固たる勝利を収められなかったカペラの士官を追放したり軍法会議に掛けたりし、多大なプレッシャーを与えました。この時期は、ちょっとした勝利の方が損害の少ない敗北よりも多くの苦難をその指揮官にもたらす事になる傾向がありました。その結果、カペラの指揮官達は自らがイニシアティブを握るのを厭うようになり、可能な限りその上位者へ伺いを立てる方を選ぶようになりました。また、カペラの指揮官達は諸兵科連合戦術に熟達していましたが、その固有の部隊に上位者が介入して来るのを嫌い、それを滅多に用いなくなりました。こうした要素が絡み合い、カペラの士官達は戦闘が予測し難い状況になると、辛勝した事により粛清される危険を冒すよりは死んで国に殉じた英雄となる方がましであると考え、即座に自殺的な最終決戦へ突撃してしまうようになってしまいました。粘り強い戦闘をして生き残るよりも英雄として死ぬのを選ぶこの傾向は、“絶望戦闘症候群”として有名になりました)

(注: 陰小隊とは、カペラ大連邦国が開発に成功したステルス・アーマーを装備したメックのみで構成されるステルス小隊の事です)
 

ドラコ連合

 DCMS(ドラコ連合軍)はその隣国の軍に恐ろしい様相を見せており、その銃後の者達を鼓舞している。幾つかの防衛管区に沿って編制され、伝統と指揮系統に対する敬意が深く染み込んでおり、数十年に渡って氏族や連邦=共和国に対する戦闘で鍛えられている彼等は高度に中央集権化された軍であり、特に直接戦闘では効果的な存在である。第4次継承権戦争以来守勢に置かれているが、DCMSは攻勢作戦にも同様に優れている。この能力は彼等を“ブルドッグ作戦”の最前線に置く事となり、連邦=共和国内戦の最中の裏切り攻撃に対する報復でライラと恒星連邦の幾つかの世界を奪取した際には彼等に再び有利に働いたのであった。大統領を失脚させる為、その信用を傷つける為に、多数の地下活動が行われているが、DCMSの兵站学に於いては忠義の行為は大きな要素を占めており、しばしば、最も献身的な兵のみが精選された装備――これには捕獲された氏族の装備までが含まれている――を受け取る。この方針は忠義の行為を奨励し、最も高価な補給物資が大統領の意思に応じるのを熱望している兵士達の手の中にある事を確実にしている。ドラコ連合の戦術は、状況の逼迫さや個々の指揮官の古のサムライの訓に対する好み、メック戦士を重要視するか、より実用的な諸兵科連合戦術を重要視するかによって、名誉に溢れたものから陰険なものまで様々である。DCMSの戦略は技術力に中心を置いているが、それだけではなく、その戦士達の技量と献身にも中心を置いている。歩兵部隊と特殊部隊は如何なるDCMSの戦闘序列に於いてもしばしば重要な役割を占めており、彼等はその主力部隊が凄まじい激戦を戦っている時でさえも重要な指揮官/有用な資産の抹殺や捕獲をする為に敵戦線後方への浸透を行うのである。

(注: 3050年代後半から、ドラコ連合内ではセオドア・クリタが進める改革に反対する保守派がその抵抗運動を激化させています。ブラック・ドラゴン等に代表される保守派はドラコ連合を旧来の覇権主義的な国家に戻そうと様々な陰謀を企んでいます――セオドア・クリタ暗殺の試みだけで主なものが3つも存在しています。また、アルシャイン・アヴェンジャーズを煽動してゴーストベアー氏族との戦争を勃発させたり、ドラコ連合とノヴァキャット氏族の離間を進めたりもしています。中でも一番大きな事件はDESTの総司令官も荷担したセオドア・クリタ暗殺計画です。この暗殺計画は阻止されたものの、これにより多数のDESTメンバーがパージや処刑をされ、3060年代初期はDESTの戦力が大きく落ち込みブルドッグ作戦の実施に支障を来たす所でした)
 

恒星連邦

 AFFS(恒星連邦軍)は長年、既知宇宙で最もプロフェッショナルかつ有能な軍隊であると賞賛されている。恒星連邦は軍事独裁政権ではないが、その指導力はAFFSと親密な関係にある。もちろん、国王が軍で勤務する必要があるとの法令がある事からすると、この親密性は驚くべきものではない。
 AFFSは伝統的にその国王から大きな干渉が加えられる事は無い――近年の内戦に於いても。境界域司令官達――3つの境界域の指導者達――は、国王の方針の遂行と国家の防衛をする最終的な責任を負っている。戦闘作戦を個人で担当するよりも、これらの高級士官達はその戦場の指揮官達に彼等が適していると思った通りの命令を遂行する為の権限を授ける事の方を選び、成功に必要な物的・人的な支援を彼等にもたらしている。これを実行する為に、全ての戦域は最低でも1つの主要な兵站補給廠を持っており、また、臨時の補給廠が侵攻やその他の重要な戦闘作戦の支援をする為に戦線近くに設置されるのである。
 AFFSは諸兵科連合部隊を大規模に使用しており、かような部隊を事実上全ての戦闘作戦に参加させている。その下級士官と上級士官達は諸兵科連合戦術に精通しており、可能な最高の軍事教育を受けている。AFFSは中〜重量級のバトルメック軍団を擁しており、その大部分はアップグレードされている。何かを挙げるとするのならば、その最大の弱点は戦闘部隊支援用の航宙艦の数量が不足している事であろう。

(注: 恒星連邦は3057年にライラ同盟によってその航宙艦の多くを持ち逃げされてしまった事により、それ以降は航宙艦の不足に悩んでいます。造船所で航宙艦の建造が進み、後にヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンが多数の航宙艦を引き連れて“ニューアヴァロン”に帰還した事により、この不足はある程度は埋められました。3067年に開始されたライラ同盟との航宙艦返還交渉が纏まれば、この航宙艦不足は完全に解消されるかもしれません)
 

自由世界同盟

 現在は単一の指揮機構の下に一体化されているが、FWLM(自由世界同盟軍)は調整の取れた大規模作戦の経験が不足しており、それよりも個々の指揮官のイニシアティブとその戦域の司令官の命令に重きを置いている。この制度は、歴史的に多くの指揮/統制問題を引き起した権限分散制度の遺産である。3057年の“ゲレロ作戦”は自由世界同盟が十分に調整の取れた攻勢を開始できる事を証明したが、このパフォーマンスを良好な準備をしている敵手に対して繰り返す事ができるかどうかは定かではない。自由世界同盟軍は良好な訓練が為され中心領域で最先端の兵器・ヴィークル・防御装備で以って武装されているが、数十年間に及ぶ比較的平和な期間は自由世界同盟軍をその他の勢力よりも全体的に低い経験レベルへとしてしまっている。自由世界同盟は特定の部隊に割り当てはせず、莫大な支援物資を中央の補給廠に保持している。敏捷性で優越している中量級のヴィークルとバトルメック、中心領域で最も強力な海軍を含む航空宇宙部隊は共に、自由世界同盟の機動戦形態――敵の攻撃に適応でき自由世界同盟軍にそれ独自の適切な目標に対する電撃戦を可能にするもの――に対する好みを促進している。彼等は、正確に狙いをつけたナイフの一突きの方がハンマーによる多数の打撃よりも効果的であると信じ、その目的を達成するのに奇襲と未精錬の火力に大いに頼っている。

(注: “ゲレロ作戦”とは、ヨシュア・マーリックの死に関連する連邦=共和国の背信行為に激怒した自由世界同盟が行った報復の軍事行動です。この作戦では、自由世界同盟軍は大軍を見事に運用して見せました。この作戦の際の様に共通の目的を見出した時や防戦には、自由世界同盟は大きな力を発揮しますが、普段はその構成国の権限と独立精神が強く、連携の悪さが目立つ傾向があります。歴史的に、自由世界同盟軍は機動防御戦と電撃戦は得意ですが、大戦力の運用と火力戦は余り得意ではありません。これが、長年、自由世界同盟がライラ共和国に対して若干旗色が悪かった主な理由でしょう――ライラ共和国は大軍の運用と火力戦には優れていますので)
 

ライラ同盟

 ライラ同盟の工業力にも拘らず、シュタイナーの軍は伝統的にその隣国と比較する際には力量が劣っている。この貧相な状況は主に、一般的に良好な装備と訓練が為された軍が、圧倒的多数の“社会的な将軍達”――その地位を才能よりも縁故のお蔭で得ている士官達――によって率いられている事に由来している。この制度は軍の指揮系統を弱め、重くがっしりとしたバトルメックとヴィークルを使用する傾向がある指揮官達・パイロット達・LAAF(ライラ同盟軍)補給部による視野の狭いアプローチを助長させている。
 恒星連邦との30年間の同盟はこれらの問題を幾つかうまく処理し始めており、より柔軟性のある指揮と軽量級のメックとヴィークルの使用を促進している――特に諸兵科連合であるRCT編制に於いては。しかしながら、近年のシュタイナー=ダヴィオン内戦とその前に起った政治的な緊張はこれらの“ダヴィオン主義的”軍改革を深刻に弱体化させており、少なくとも幾つかの地域に於いて、その柔軟性が彼等にその戦役での成功をもたらしたのを忘れて時計の針を第4次継承権戦争前に戻す事を考えている“オールド・ガード(守旧派)”の士官達を再出現させている。ライラ人にとって幸運な事に、彼等の最上級士官――アダム・シュタイナー――と彼の支持者の多くはこの後退を許しはせず、改革と軍の力の保持をするべく取り組んでいる。
 しかしながら、連邦=共和国内戦と近年のジェイドファルコンの侵攻はその士気を打ち砕き、そして、現在、3060年代の開始時に享受していた勢力の回復をする為の困難な闘争に直面しているLAAFのマテリアルを激減させており、氏族侵攻前の強さを求める事を阻害している。恐らく、ライラ同盟の経済は再びこの挑戦に立ち上がるであろう――しかし、ライラ同盟の敵は彼等にその機会を与えるのであろうか?

(注: RCTとは“Regimental Combat Teams”――連隊戦闘団の略称で、恒星連邦との同盟によってライラ共和国にも導入された編制です。ライラ同盟へと変わった後もこのRCT編制はそのまま受け継がれ、LAAFの主力部隊となっています。RCTは1個メック連隊を中核に編制される諸兵科連合部隊です。通常のバトルメック連隊とは違いRCTには永久的にそれ固有の支援部隊が付属されており、高い柔軟性を持っています。LAAFのRCTは通常、1個バトルメック連隊、3個装甲連隊、5個歩兵連隊、2個航空大隊、1個間接砲大隊で編制されています)
 

(新)星間連盟防衛軍

 現代のSLDF(星間連盟防衛軍)は、その戦術ドクトリンの多くを尚もその軍の大半を占めているエリダニ軽機旅団から受け継いでいる。素早い機動と迅速な攻撃はエリダニ軽機隊の戦闘スタイルを特徴付けているもので、現在、旅団が相当な量の回収した氏族装備を得た事でそれは更により効果的なものへなっている。第1近衛バトルメック連隊はその向う見ずなメンバー達が部隊に持ち込んできた複数の戦闘スタイルを1つに纏め、それを柔軟性のある危険な部隊へとしている。その兵士達は“ハントレス”戦役の戦訓を良好に学び、全てのメック戦士は技術者・衛生兵・歩兵としてクロス・トレーニングを受けており、第1近衛連隊に支援部隊無しに長期間の作戦を行う事を可能にしている。全SLDF部隊の中でもロイヤル・ブラックウォッチ連隊は最も敵手に面と向かって対決する傾向を持っており、そこから操縦と砲術の圧倒的なショーで以って敵を殲滅するのである。他のSLDF部隊と異なり、ブラックウォッチは氏族技術によるアップグレードは用いていない。
 

コムスター/ワード・オブ・ブレイク

 コムスターは星間連盟の物質上の優位を受け継いでおり、数世紀に渡ってその経験の欠如を補う為にこの優位を使用してきた。第4次継承権戦争以後の数十年間はこの技術的な優位が低下している様に見え、軍事活動に於けるより公然とした作戦の実行や関与をする事によって相殺が為された。しかしながら、“ツカイード”に於けるその偉業にも拘らず、コムガードは集団ではうまく機能せず、大隊や連隊レベルを越えた作戦では僅かな経験しか有していない。しかしながら、彼等は他の如何なる軍よりも小規模の作戦に適性を持っており、最も基本的なレベル――大体に於いて半個中隊レベル――で諸兵科連合戦術に熟達している。
 首座司教シャリラー・モリの即位以降、コムガードはその神秘主義的な虚飾の多くを失っているが、その作戦には慣習的な儀式が残り続けている。コムガードは3052年に発生した分派ワード・オブ・ブレイクによって幾つかの力を失ったが、この組織にとってこの10年間で最も激しい損害はヴィクター・シュタイナー=ダヴィオンを軍司教へと物議を醸す指名をした事によってもたらされものである。以降、多くの兵士達が組織を離れ、元々困難であったその再建の努力を阻害しており、コムガード内部の測り知れない数の者が忠誠がその疑わしい状態にある。しかしながら、その地上部隊が相次ぐ分裂と離反に苦しむ一方で、コムガードの海軍は中心領域で最大かつスノーレイヴン氏族にさえも匹敵する有力な部隊であり続けている。
 構造的にワード・オブ・ブレイク市民軍はコムガードと全く同じであるが、その15年間に及ぶ自由世界同盟との結び付きは機材の使用に於いて決定的な相違を生じさせている。コムスターがその独自の工場(“地球”の喪失以来その大いなる問題となっている)を頼みにしようと努めているのに対して、ブレイク教徒達はその取得可能な如何なる機材の使用も自分達が厭わない事を示しており、彼等が呼ぶ所の“異端者達”よりもパッチワーク的な構成になっている。大抵の状況に於いて、コムガードとワード・オブ・ブレイクは同一の戦術を使用する。しかしながら、コムスターがその戦士達が受ける包括的な訓練に重きを置く一方で、ブレイク教徒達――近年その軍は急激に成長している――はその兵士達の狂信的態度と忠誠に重きを置いており、コムガードの優雅さよりもむしろ野蛮な力によるアプローチの方を採っている。

(注: コムスターの“師団”は2個連隊規模の部隊で、大抵の場合に於いて諸兵科連合部隊となっています。平常時は基本的に、師団を構成する各部隊は各地に分散して駐留しており1箇所に纏まってはいません。コムスターの軍部隊はコムスター施設の防衛用に編制されたその歴史的経緯から、小規模部隊の運用には優れているものの大規模部隊の運用は一般的に不得手です。しかし、通信技術に優れているので、その部隊間のデータリンクは強固で、指揮官はその指揮能力の全てを反映する事が可能です。指揮官が優秀な場合、コムスターの部隊は恐ろしい存在と化します。特に、“ツカイード”の時の様にヴァーチャル・リアリティ指揮システムが存在している所では、コムスターが部隊の指揮/統制でミスをする事は殆どあり得ません)
 

自由ラサルハグ共和国

 “ローニン戦争”が新たに誕生したラサルハグ共和国を荒らしている際には半分さえも組織されていなかった“クングス・アーメ”(自由ラサルハグ共和国軍)は、ドラコ連合とライラ共和国の双方からもたらされた戦術ドクトリンを採用していった。しかし、氏族はその全てを変えた。技術的に進んでいる侵略者達に対して通常の戦術が役に立たないのが証明された事により、ラサルハグ軍は自分達がドラコ連合の占領に対する長年の闘争の際に使用していた言わばゲリラ戦術へと回帰したのである。氏族達はその様な戦術に適応し始めているが、その技術的なギャップも同時に縮まっている。氏族との戦闘に於ける航空宇宙部隊の有効性と操縦士ティラ・ミラボーグの勇敢なる自己犠牲が示された後、“クングス・アーメ”はその航空宇宙兵器のアップグレードと増強をするべく努力しており、これにより多くの航空中隊が通常の2倍の戦力で活動をしている。ラサルハグのバトルメック部隊は長距離兵器――特に弾薬に依存している兵器システムを大規模に使用している。“クングス・アーメ”の火力小隊にはしばしば5機目もしくは6機目のメックが存在しており、通常は弾着観測機としての行動や火力の増強をする為に付属している。

 

辺境勢力

外世界同盟

 外世界同盟は常に、地上部隊を気圏戦闘機部隊の二の次のものと見なしてきている。外世界同盟軍は主に防衛軍として活動しており、戦術も航空優勢の獲得と維持を中心にしているのである。外世界同盟航空宇宙軍のパイロット達は評判によると全国家中で最高のものであり、攻撃者は彼等が防衛している如何なる世界に対する降下にも高い犠牲を払う事を予期するであろう。また、地上での活動でも気圏戦闘機部隊の大規模な使用が影響を与えており、これにより、外世界同盟地上防衛軍が重要な場所を防衛するか敵軍をその場に抑え込む間に、気圏戦闘機部隊が激しい爆撃や掃射攻撃を実施するのである。攻勢の際(外世界同盟の部隊にとっては稀な出来事である)にもまた、気圏戦闘機部隊が大部分の行動に於いて見られる事になる。再三再四の空撃が目標を粉砕した後にようやく、地上部隊は動くのである。外世界同盟はその部隊用に使用している連隊(regiment)と航空隊(wing)の呼称を置き換える事により、標準的な編制からは逸脱している。中心領域の1個気圏戦闘機連隊(regiment)が各3個航空中隊の3個航空隊(wing)で構成されているのに対して、3個航空連隊(regiment)――この各航空連隊は3個航空中隊で構成されている――が外世界同盟の1個航空隊(wing)を構成しているのである。この編制機構の採用は、敵を混乱させる事を意図した試みのものである。

(注: 外世界同盟の“航空隊”は9個航空中隊+1個指揮航空中隊、計60機の気圏戦闘機で構成されています。中心領域では“wing”は航空大隊に相当する語句なのですが、外世界同盟では航空連隊に相当する語句として扱われています)
 

タウラス連合国

 その独立性に対して狂信的であるタウラス連合国は、血腥い“再統合戦争”後に最初の星間連盟への加入を強要された(これは、この国家が再結成された星間連盟に自発的に加入した事を些か皮肉なものにしている) アレス条約に調印をしなかった数少ない国家の1つとして悪名高いタウラス連合国は過去に於いて、化学兵器、生物兵器、更には核兵器にも訴えていた。
 (タウラス連合国に於いて)通常部隊は常に大黒柱であり、予備役要員の大規模なプールの存在がこれらの通常部隊を支持している。この大規模な軍はタウラス連合国の攻勢能力を制限している一方で、タウラス連合国の世界を防衛するのに役立っている。今日、(タウラス連合国の)多くの世界は、大規模な防御施設を持った武装キャンプの様相を呈している。しかし、恒星連邦による侵攻、という錯覚に基づいた脅威に対するこの数世代に渡るパラノイアの産物――建設やタウラス連合国の防衛維持の費用は、一度ならずこの国家の経済を破滅の脅威に晒しているのである。
 中でも特筆すべきものは、タウラス特殊部隊である。これらのエリート部隊は自らの他の任務以外にハデス星団の防衛配置に就く責任を負っており、戦術核兵器から携帯兵器に渡るあらゆるものを以ってしての宇宙船との交戦に備えている。
 タウラス連合国の“三国同盟”への参加は、TDF(タウラス防衛軍)に先進技術への大量のアクセス権をもたらした――しかし、タウラス連合国からのカルデロン保護国の離脱はその軍内に深い分裂を作り出しているのであった。

(注: カルデロン保護国はジェフリー・カルデロンの私生児であるエリック・マルテンス=カルデロンを名目上の統治者として擁立して、3066年にタウラス連合国より離脱して成立しました。この時、タウラス連合国の第VI軍団もカルデロン保護国と共に離脱しており、タウラス連合国にとって大きな打撃となりました)

(注: タウラス連合国の病的なまでのパラノイアは、不必要な戦闘を生む傾向があります。タウラス連合国に来た傭兵部隊ファイティング・ウルクハイを侵攻軍と誤認してそれに攻撃を仕掛けたのは、これの代表的な例の1つです。また、大規模破壊兵器の使用に対する忌避感が薄いのも問題です)
 

カノープス統一政体

 カノープス統一政体は、辺境の全国家の中で最大かつ最も技術的に進んでいる軍を配備している――この後者は“三国同盟”を通してのカペラ大連邦国との提携のお蔭である。その始まりからカノープス統一政体軍(MAF)は外部の脅威、特に辺境の世界を絶えず苦しめる海賊やその他の襲撃者から、国家を防衛する事に専心している。
 幾つかの点に於いて、MAFは氏族宙域外で最も堕落した軍である。必ずしも賞を受けるに値する者達ではない、代価を工面できる者達が、昇進を得るのである――これはカノープス統一政体がその淫らな巡業サーカス(適切な金額で何でも持つ事ができた場所)により最も有名であった時代からの名残である。この“役の為に金を払うシステム”にも拘らず、MAFはその上層部に於いて適度に有能な統率力を持っている――無能な士官達は大抵の場合に於いて、軍に何らかの重大な損害を与える前に辞職させられるのである。
 辺境の軍で最も先進的ではあるが、MAFは多くの分野に於いて――特に恒星間輸送に於いて、深刻な不足が存在している。その国家の規模にしては、カノープス統一政体は全く一握りの降下船と航宙艦しか持っておらず、その軍務に於ける要求の多くに答える事ができないのである。結果、MAFは他国への侵攻が殆ど不可能なのであった。同様に、軍の支援には数週間が掛かる事により、中心から遠く離れた場所にあるカノープス統一政体の惑星群は襲撃者から自分達自身を守る為に層を為した部隊を作り上げなければならないのである。
 カノープス統一政体は惑星“デトロイト”を支配しており、これが彼等のメック部隊がアップグレードされている主な理由の1つとなっている。通常装甲部隊と気圏戦闘機部隊は、主に古い旧式の装備を配備している。

(注: “デトロイト”は、3050年代後半に大発展した新植民地の工業惑星です。“三国同盟”の協同開発により、様々な軍需工場が建設され、辺境に於ける要地の1つとなっています)
 

マリア帝国

 かつては一蛮王国に過ぎなかったが、数十年間の経過により、マリア帝国は真のプロの軍隊を持った本格的な国家へと変った様に見える。マリア帝国の“レギオン”(軍団)は集権的指揮機構に従っており、それが全軍を一般的に統括している。伝説のローマ軍と同じ様に組織されたこの“レギオン”――3個以上の“コーホート”(各々が1個大隊とほぼ同等の戦力)で構成されている――は、マリア帝国軍の基本的な編制である。
 ユリウス・オレリィのマリア帝国皇帝としての即位により、この国家の軍隊は質とプロフェッショナリズムの面に於いて相当な向上を得ている。“レギオン”は概して“コーホート”以上の戦力で陣形を組んで戦闘を行う傾向がある。そして、この事は、彼等の数少ない熟練した士官達が多数の比較的未熟な兵士達――その多くが徴集兵である――を成功裏に率いるのを可能としているのである。
 マリア帝国は辺境国家である事により、その装備の質は些か貧相なものであるが、その“レギオン”は最新装備での増強を最近になり受けている。同様に、予備装備の備蓄も――特に、コンパス座連邦への侵攻が失敗に帰した後は――些か乏しいものである。しかし他方では、マリア帝国の“レギオン”は、ライラ/自由世界同盟の辺境国境で最大かつ最強の軍隊を体現している。かつて、無法者と犯罪者がそのほぼ全てを占めていたマリア帝国の“レギオン”は本物の軍隊へと生まれ変わり、辺境をその故郷としている襲撃者や海賊達による略奪を追い払うのに十分な程に強力である事に間違いはないのである。
 

コンパス座連邦

 全ての面に於いて蛮王国であるコンパス座連邦は、100年前にはほぼ正統的であった国家の単なる抜け殻に過ぎない。コンパス座連邦の小規模な軍隊は、第3次継承権戦争後半の最中に邪悪な方面に落ちて行った、常に近隣世界を襲撃し略奪する為に存在する部隊であった。そして、第3次継承権戦争終結時には、コンパス座連邦の人々の大部分は奴隷的な住民であり、国家は農業を第一のものとして保持し続けているにも拘らず富は少数の者達の手の中にあったのである。
 同様に、その軍の規模と質は過去数十年間で急激に低下していた――そして、これがH・R“リトル・ボブ”マッキンタイア大統領へ直接に帰す事ができるものであるのは確たる事実である。かつてはその辺境の一角に於いては強力な軍隊であったコンパス座連邦軍は、ユリウス・オレリィ皇帝とそのマリア帝国軍が攻撃を仕掛けて来た時には、烏合の衆に過ぎなかった。外部勢力の介入のみが、この国家の崩壊を防いだのである。
 コンパス座連邦軍は、未だに、主に未熟で士気が低く未訓練な人員で占められている、辛うじて有効である軍隊に過ぎない。その装備は永続的に破損状態であり、予備の装備の獲得は非常に困難である。しかし、比較的小規模な軍である、と貶されているという事は裏を返せば、ともかくも十分な量の降下船と航宙艦のサポートを有しているという事を意味してもいる――これが、コンパス座連邦軍の唯一のアドバンテージである。
 しかしながら、近年、“秘密の軍”がコンパス座連邦内で活動していると思われる。恐らく外部勢力により雇用されている傭兵と思われるこれらの部隊は比較的良好な訓練と装備が施されており、最近に製造された装備を配備し、かつ優秀な技術支援と兵站支援を所有しているのである。

(注: コンパス座連邦は勢力を伸ばしつつあるマリア帝国に危機感を覚え、3063年頃から外部勢力との交渉を行っています。そして、3066年にはワード・オブ・ブレイクからの支援を得て傭兵部隊の雇用と“プロジェクト・フェニックス”メックの大量配備に成功し、これにより攻め込んできたマリア帝国軍の撃退に成功しました。これ以後もワード・オブ・ブレイクはコンパス座連邦内にメック工場を建設したりと様々な支援を行い、両者の蜜月関係は続いています――これは、3067年の粛清によるブラック・ウォリアーズ離反の痛手を補って余りあるものです。また、コンパス座連邦の内外では古のSLDF補給基地が発見され、コンパス座連邦軍の増強に役立っています。コムスターの極秘調査では、3067年のコンパス座連邦軍はワード・オブ・ブレイク型編制の3〜5個師団に達している可能性があるとの事です。コンパス座連邦の3067年時の指導者であるカルヴィン・マッキンタイア司教は、ワード・オブ・ブレイクの“マスター”に繋がる秘密組織“6月6日”の一員であるとも噂されています)

 

氏族

侵攻ウォーデン派

ダイヤモンドシャーク氏族
 強力な軍を保持してはいるが、この氏族の強さはそのトゥマン(軍)ではなく、その通商と情報収集組織に存在している。ダイヤモンドシャーク達が軍を使用する時――それは非常に稀である――、彼等はそれを正確かつ破壊的な様式で以って用い、自分達の意思の熱心さの度合いと同じくらいに自分達の敵に対して警告を発する。現在、中心領域の市場を開発しているこの商人指向の氏族は、新たなマテリアルとリソースを入手している。彼等のライバル氏族達は、氏族技術の製品を市場に売り出している事から、彼等が氏族を“裏切っている”、と非難している

ゴーストベアー氏族
 現在、中心領域と一体化し、着実にそのネイティブ・ラサルハグ人口の心を掴んでいっているゴーストベアー氏族は、全ての侵攻氏族の中で最も堅固な支援ネットワークを誇っている。しかしながら、彼等の戦略は、非氏族的とも言える慎重さと荒々しい“オール・オア・ナッシング”の性向が合わさり、剥き出しの力と圧倒的な火力を際立たせたものとなっている。ゴーストベアーの兵の多くは“ゼルブリゲン”の訓を守っている――しかしながら、傭兵、海賊、中心領域の幾つかの部隊との戦闘に於いては如何なるものであってもそれの例外である。

ノヴァキャット氏族
 ノヴァキャットの戦術ドクトリンは伝統的に各銀河隊が独立して戦闘する事を許しているが、この選択はゴーストベアーが“イレース県”に攻撃をしてきた際、彼等がその“イレース県”を効果的に防衛する能力を妨げるものとなった。戦後、ウェスト族長は自分達が責任を持つ宙域をより良好に防衛する為にはノヴァキャットの全トゥマンが戦術的・戦略的の両面から作戦をするのを学ばなければならない事を理解した。そして、この目的の為に、アルファ、タウ、デルタ銀河隊は統合的にタウ・クシー、ラムダ銀河隊と、大規模部隊機動での技能を磨き部隊間の相互支援を星団隊レベルにまで徹底する事を意図した演習を数回に渡って行っている。

(亡命)ウルフ氏族
 かつて族長会議に於ける明白なリーダーであった亡命ウルフ達は、現在はその同胞氏族達の中で最も氏族らしくないとの芳しからぬ地位を保持している。しかし同時に、彼等は、氏族の創設者――ニコラス・ケレンスキー、アレクサンドル・ケレンスキーに支持された理想を自分達が最も多く保持している、と信じているのである。これらのウルフ達は数的には氏族の中で最も弱小であるが、最良かつ最も熟練した氏族戦士でもある。彼等はケル・ハウンドとケル・ハウンドの補給ネットワークに提携する事によって氏族宙域の喪失――特に製造上のリソースの喪失――の埋め合わせをしており、技術の混交した部隊へとなりつつある。彼等の中心領域戦術への理解は、恐らく彼等を戦場に於ける最も危険かつ予測不可能な氏族へとしている。

 

侵攻クルセイダー派

ジェイドファルコン氏族
 かつては突出していたクルセイダー派氏族であったスモークジャガーの滅亡以来、中心領域に於けるジェイドファルコンの歳月は、かつてはその行動を束縛していた強硬路線の伝統主義を弱めさせるよう彼等を導いている。彼等のウルフ氏族との損害の大きかった戦争、ライラ同盟に対する二度の戦争、スチールヴァイパー氏族の蹂躙は、ジェイドファルコンの決断力と軍事能力を実証したが、同時にこれらの戦争はリソースと人的資源の面で彼等にとって高く付くものとなっており、訓練部隊の加速配備を引き起している。訓練生達は熟練兵よりも一般的に劣っているが、この処置は最終的にはジェイドファルコンに恩恵をもたらすと思われる。訓練生達が他の氏族の新兵と同じ年齢に達する時には、この若きジェイドファルコンの戦士達は既に5年間以上の実戦を経験しており、その身体的全盛期と経験が1つになっているであろう。

ウルフ氏族
 ジェイドファルコン氏族との“拒絶戦役”の後、深刻な定員割れ状態であったウルフ氏族は彼等を以前特徴付けていたものとは全く異なる方法論を採らざるを得なかった。他の大部分の氏族よりも薄く広がっている――特に、守らなければならない中心領域の惑星の数に於いて――ウルフ氏族は、問題に迅速かつ無慈悲に対処する事を可能とする為に、素早く反応を示す者にならなければならなかったのである。彼等の真の長所は、その中心領域の所領からもたらされる莫大な余剰リソースであり、それは彼等に族長会議での交渉力を与えている。強硬路線のクルセイダー派として、彼等は伝統的な氏族の交戦法規を執り行う傾向があるが、その最も憎む敵が来た際にはあっさりとそれを一時棚上げにするものである。

 

本国ウォーデン派

クラウドコブラ氏族
 長年、気圏戦闘機重視の氏族であると見なされてきたクラウドコブラの軍事力は、その戦闘機部隊と海軍部隊の戦力と剛勇に非常に左右されている――他の如何なる氏族(スノーレイヴン氏族は多数のその種のユニットを配備してはいるが、スノーレイヴン氏族もこの中には含まれている)よりも大いに。クラウドコブラの地上部隊は非常に機動力が高く、戦闘降下後はメックとその他の地上ユニットは一般に電撃的な攻撃を行い、自分達の降下船用の着陸地点を確保し、その後に後退して乗船をし、別の地域に更なる襲撃を実施するものである。

コヨーテ氏族
 コヨーテは、戦闘の機会が来た際には未だに忠実な伝統主義者であり続けている。彼等は極端に重オムニメック部隊を配備しており、それに彼等が適切であると見なす所のバトルアーマー支援を付属させている。新型の通常バトルメックの導入で以ってコヨーテのトゥマンを多様化させるとの近年の試みは、コヨーテの戦士達と、彼等と同様に最終防衛の役割以外での戦闘ヴィークルの使用を忌避している者達の相当な抵抗に直面している。ゼルブリゲンはコヨーテの戦士達にとって重要な観念であり、彼等はニコラス・ケレンスキーが規定した個人の名誉の理想を尚も尊重している。

ゴリアテスコーピオン氏族
 個々のメック戦士に対してその独自のビジョンと進路を追求する為の自由余地を与える事へのゴリアテスコーピオン氏族の共感は、その兵站と戦闘に対する分散的なアプローチという結果を生んでいる。戦士達は頻繁に自分達自身の装備を保守しなければならず、また可能な限り効率的に自分達独自の補給物資を獲得し消費するのである。しかし不幸な事に、この独立性は同時に調整の取れた戦術への障害となっており、その兵達を殆ど個人的な戦闘遂行のみに集中させてしまっているのであった。

スノーレイヴン氏族
 疑いも無く、氏族の中で最も特殊化しているスノーレイヴン氏族は、気圏戦闘機部隊と海軍部隊をその他の全ての戦闘兵科よりも偏愛している。この事は領土を奪取・保持するその能力を制限しているが、その所有物に対する極めて断固とした挑戦以外の全てを阻止する事を彼等に可能とさせている。最近の10年間はこの姿勢を緩和し、スノーレイヴンのトゥマンにプロトメック――その倹約家の性質と気圏戦闘機操縦士の優勢さに非常に適合しているユニットである――を加える事によってその地上部隊を強化している様に見える。彼等の外世界同盟との戦略的な協調はこの氏族のリソースを更に強化し、彼等を本国氏族の大多数から抜きん出させると思われる。

スチールヴァイパー氏族
 以前は侵攻氏族であったスチールヴァイパーは、占領政策の失敗、ジェイドファルコンの手によるその軍事的敗北、という2つの打撃により面目を失っている。幾つかの発議はスチールヴァイパーのトゥマン――本国氏族の中で最も戦闘で鍛えられておりかつリソース的に富裕である――を強化しようと努めているが、その待ち望まれている強みをもたらすものは何も存在してはいない。装甲歩兵部隊、非装甲歩兵部隊は、尚もスチールヴァイパーの戦闘力の中心であるが、それは彼等の防衛能力強化していると同時に彼等の攻勢力を制限しているものでもある。

 

本国クルセイダー派

ブラッドスピリット氏族
 ブラッドスピリットを特徴付けるものがあるとするのならば、それは自分達に類を及ぼした不正義――現実のもの、もしくは彼等がそう見なしたもの――に対する、如何なる他の企図も排除する程の彼等の本能的な復讐への欲求であろう。――これは、“バロック氏族の吸収”に於ける彼等の介入と、その結果として起きたスターアダー氏族との血腥い確執によって証明されている。リソース的に貧乏である彼等は、存続する為には同盟者からの内密の支援に頼らざるを得ない。その結果として、彼等の銀河隊は相当な数の所謂二線級のマシンを配備する事となっているが、彼等はプロトメックを大規模に採用した最初の氏族の1つでもある。獰猛で危険な戦士である彼等は、しばしば、彼等が見なす所の真の敵に対しては伝統的な名誉ある戦闘を適用しない。しかしながら、その依存性にも拘らず、彼等の訓練と復讐への欲求により、戦士の中の戦士であるブラッドスピリット氏族を氏族宙域に於ける最良であると主張しても差支えはないであろう。

ファイアーマンドリル氏族
 ファイアーマンドリル氏族を氏族の相互関係力学の縮図であると呼ぶのは、控え目な表現である。如何なる他の氏族よりも、ファイアーマンドリルとその“キンドラー”達は常時盛衰を繰り返しつつ力と信望を巡って互いに闘争をしているのである。この事実は、彼等が氏族内で如何なる種類のリーダーシップを執る事も妨げているが、その戦士達は他氏族よりも概して経験を積んでいる。彼等の相互協力作業に於ける無能力は、大部分の共同しての試みが失敗に終る事を意味している。同様に、彼等のゼルブリゲンに対する強固な信奉は、彼等が素早く変化する戦場の状況に適応する能力に乏しい事を意味してもいる。

ヘルズホース氏族
 ヘルズホースの諸兵科連合への愛好は、一般市民階級の部隊によって管理される驚く程巨大かつ複雑な兵站ネットワークという結果を生んでいる。この理由により、ヘルズホースの攻撃部隊は、しばしば、氏族の標準よりも並外れて大規模になる――実際の戦闘に於いて極少数の戦闘部隊のみしか交戦をしない時でさえも。機械よりも戦士の方を重要視しているへルズホースは、戦闘に過度の数の歩兵部隊と通常装甲部隊を投入してメックをそれらの支援に付ける傾向がある。この姿勢はまた、通常の氏族の交戦法規を重視しない結果を導いてもいる。

アイスヘリオン氏族
 しばしば、アイスヘリオン氏族は気圏戦闘機氏族と見なされるが、この見方は誤りである。気圏戦闘機パイロットがアイスヘリオンのトゥマンの中での重要な権力の地位を多数占めているのは、真実である。しかしながら、この氏族の軍事的な構成は非常に均等に発展しているのである。アイスヘリオンにとって速度は重要な概念であり、星団隊の大多数はそれに沿って構成されている。近年、主にアイスヘリオン氏族の他氏族と比較しての相対的な弱さにより、彼等は多数の戦闘ヴィークルの星団隊をその編成表に追加しており、その柔軟性と共に軍事力を拡張している。

スターアダー氏族
 現在、最も強力な本国氏族であるスターアダー氏族は、軍事ドクトリンに於いても最も実用主義的である。バトルメックはスターアダーの銀河隊に於いて名誉ある位置を占めており、それらはバトルアーマー部隊による相当な支援と共にこの氏族が作り出せる限りの超新星隊編成で一纏めにされている。航空優勢を維持し、近接航空支援を提供する為に、戦闘機群は中心領域の軍隊に良く似た方式で使用されている。ヴィークル群――特に多数存在する間接砲――は大抵の場合に於いて戦場での支援任務に留め置かれているが、スターアダーの指揮官達は一般的に側面攻撃部隊・急襲部隊として(ヴィークルの)高速の機甲部隊を展開するものである。


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