エアロテック2覚書
戦闘機の設計
エアロテック2に於いて強い戦闘機とは? 旧ルール(エアロテック1)との変更点を、考えてみますと――
まず、目に付くのは射界の変更です。旧版と比べて、圧倒的に翼へ装備した時の射界が狭くなっています。?……これでは装備欄増加による重量増を考えても、武器は機首に装備した方が有利なような気がします。
次は、射程の変更です。武器の射程は、ほぼ一律に設定されました。その結果、中口径レーザー等は、小口径レーザー、マシンガン等への射程の面でのアドバンテージが無くなっています(これにより、二次大戦時のスピットファイアみたいな小口径多銃主義が、(近距離での)射程と総合ダメージの点では少し有利になったかもしれません)
また、致命的命中の判定も変わっています。
エアロテック2では、攻撃が命中した部位の装甲点の1/10(端数切り上げ)より大きいダメージを受けた時に、致命的命中の判定をするようになりました(命中1発ごとに判定。そのターンに受けたダメージの合計では判定しません。マシンガン等では、事実上、クリティカルが発生しなくなったと言えます)
大口径レーザー、AC/10は、これにより価値が増したと言えるでしょう。
(註:エアロテック2リヴァイズド・エディションにて、攻撃命中判定の2D6を振って12の目が出て命中した時やキャピタル・ミサイルが命中した時にも、致命的命中判定が発生する事になりました。また、エアロテック2リヴァイズド・エディションの選択ルール、「装甲値減少に伴うダメージ限界値の低下」を導入した場合、致命的命中に必要なダメージ値が下がり、マシンガン等でも致命的命中判定が行える可能性があります)
SRMはダメージが5点グループ制になった為、価値を大きく減じています(これは、旧ルールの時からですが)
それとは逆に、LRMは非常に有力な武器です――3025年代ではAC/2を除けば、唯一遠距離の射程を持っている兵器だからです。
高速戦闘だと、近距離に相手を補足できるのは稀ですので、装備しといて損は無いでしょう。
以上の事から、戦闘機の武装に関する設計は3極に分かれると思います。LRM等を装備した型か、機首への小火器・集中装備型か、大型火器のみ搭載の一撃必殺型かにです。
(個人的には後者の方がいいように思えます……ロマンがありますし)
装甲は、少なくとも、中口径レーザー、ミサイルでクリティカルが起こらないように、41点以上積む方が良いでしょう。理想論ですが、各部位に71点もしくは、91点積むのがベストです。
(ガウスライフル、AC/20は防ぎようが無いので、あきらめるしかないですね)
エアロテック2での戦闘機
対戦闘機
言うまでも無く、戦闘機同士の戦闘だと、相手の後ろをとった方が圧倒的な優位に立つでしょう。攻撃を命中させやすく、相手からの反撃を受けにくく、最も致命的なエンジンへの損傷を与えられる可能性があるからです。
ならば、どうやって、その体勢に持ち込むのかと言いますと……明確な方法は思い浮かびません。相手の動きを見切るのは至難です。
機会があるとすれば、速度の変更を敵が行った時です。次のターンは、相手は速度の変更が出来ないので、動きが読みやすくなります。
あとは、僚機との連携をうまくやるとかぐらいでしょうか?(サッチ・ウィーブ等)
オーバースラストを使うのは、ここぞという時にしましょう。機体やパイロットが損傷する可能性が高いですから。
(余談ですが、旧ルールの特殊機動が削除されているのは、少し寂しいですね。ただ、エアロテック2でも導入は可能なので旧ルールを持っている人は使ってみるのも一興かもしれません)
地上支援任務での戦闘時は、なるべく高度を維持する機動をした方が良いでしょう。損傷での高度低下による墜落は非常に怖いですので。
特に、襲撃のアプローチ時に、敵戦闘機に狙われるのは致命的と言えます。周囲警戒は怠らずにしましょう。
大気圏内の戦闘では、インメルマンターン、ハイスピードヨー、スプリットS等が使えますので、より相手のバックをとりやすくなっています。
操縦に自信があるのならば、これらを是非とも活用して、優位に立ちましょう。但し、高度には注意しましょう。
通常型戦闘機は、気圏戦闘機より機動力と滞空時間に優れていますので、意外に侮れない存在です。
特に、メックバスター戦闘機は怖い所です。AC/20の射程外から撃破したいですね。
対降下船
軍用降下船は、気圏戦闘機にとっての鬼門です(その防空戦闘力は、まるで、イージス艦です) 一対一だと、まず勝てません。軽量級の戦闘機ならば、1ターンで破壊されてしまいます。必ず、複数の機体で攻撃しましょう。
(註:エアロテック2リヴァイズド・エディションで多少弱体化しましたが、ファイター・スコードロンの選択ルールを使用した場合、戦闘機は非常に強力です。戦闘機の数がある程度揃っている時は、降下船や戦闘艦に対してかなり優位に立ちます。このルールの使用や導入には注意した方が良いかもしれません)
レパード級等のエアロダイン型降下船ならば射界に大きな死角がありますので、そこに回り込んで攻撃をしましょう。概ね楽に勝てる相手です。
オーバーロード級、フォートレス級等の球状降下船には死角がありません。武装の少ない部位に行き、そこを連続して狙えば勝機があるかもしれません。しかし、降下船の移動フェイズに「ロール」をされ、別の部位を向けられたりすると、お手上げなのですが(苦笑)
大気圏内での戦闘の場合、オーバーロード級、フォートレス級等の球状降下船は機動が非常に制限されています。戦闘機側は自由に距離と方向を選んで攻撃できますので、それを生かした戦闘を行うと良いでしょう。
降下船攻撃に使用する武器の中では、ミサイル系は余り効果的でないかもしれません。降下船に装備された近接防御火器により、無効化される場合があります。ミサイルは他の武器に積み替えた方がいいかもしれません。
最終手段に「突撃」がありますが……戦闘機は100%壊れますので、お勧めではありません。しかし、もし、突撃するのならば、正面から行きましょう。相対速度が大きいと、ダメージも上がりますので。
対航宙艦
アレス条約で航宙艦への攻撃は禁止されていますが……やるのならば、ジャンプセイル・アタックをしましょう。これにより、移動の阻止ができ、破壊もしなくてすみますので。
ウォーシップ(戦闘艦)と戦闘する場合も、基本戦法は降下船の時と同じです。しかし、(ファイター・スコードロンでない限り)まず勝てないので逃げましょう(笑)
ただし、大型戦艦クラスだと、逆にチャンスです。このクラスは対艦戦闘に特化している事が多く対空武装が比較的貧弱なので、一方的に痛めつけられます。後は、爆弾槽に対艦装備を積んで出撃するのがベストです。エアロテック2・リヴァイズド・エディションで導入された対艦爆撃ルールにて、敵艦に痛打を与えられますから。
対メック
一部のメックを除いて、気圏戦闘機側がメックに対して全般的に優位に立っています――戦闘の選択権は、常に気圏戦闘機側にあり、不利であれば容易に逃げる事が可能ですから。しかも、爆装時の破壊力は凄まじいものがあります。普通にやれば、まず負けません。
(旧ルールと新ルールでは爆弾の搭載限界が多少違いますが、各種のルールのコンバートは可能です。エアロテック2で威力100の爆弾も一応、使えるかもしれません)
メックに対して、最も有効な攻撃方法は、爆撃です。爆撃は目標の地点を狙うので、命中判定時にメックの移動修正・地形効果を無視する事が出来ます。そして、外れたとしても大して目標からずれません。クラスター爆弾だと事実上、絶対命中です。
爆撃方は2種類――水平爆撃、急降下爆撃があります。
お勧めは、水平爆撃です。これは最も安全な爆撃方です(高度修正を掛ける事により、対空砲火の脅威が減少します) この爆撃方は、地雷、インフェルノ焼夷弾をバラ撒くのにも、有効です。
急降下爆撃は1箇所に多数の爆弾を投下できる爆撃方なので、強固な目標の撃破に非常に有効です。しかし、ライフルマン系の対空メックは目標に選ぶのを避けた方が良いと思います――元々、この攻撃方法は対空射撃が命中しやすいのに、それらを相手にすると更に当たりやすくなるのでリスクが大きいのです。
他の攻撃方法としては、掃射・襲撃があります。
掃射は、レーザーしか使えないので打撃力に欠けますが、複数攻撃が可能です。襲撃は、全ての武器が使用可ですが1機しか狙えない、と一長一短です。
両方とも全般的に、爆撃よりも危険な攻撃方法です――低高度飛行が必要で、その上、対空射撃が命中しやすいですから。
(エアロテック2、エアロテック2・リヴァイズド・エディションでは、掃射のルールが改訂されている事に注意しましょう! 掃射が適用されるHEXの幅が3HEXから1HEXへと狭くなっています。エアロテック1での凶悪さは無くなっています)
上級戦闘ルール
上級移動ルール、上級主導権ルールの2つがあります。導入すると、よりシビアなゲームができます。
上級移動ルールだと、航空機は複数のベクトルを持ち、それから移動方向、移動HEXが割り出される事になります。
やり方によっては、後退しながらの射撃が航空機で可能です。処理が煩雑ですが、導入すると面白そうです。
上級主導権ロールは、パイロット個々の技量が直接、イニシアチブの修正に反映されます。
“腕のいいやつが勝つ!”という風になりますね。ただ、降下船の操縦士の腕が良いと、戦闘機の方が先に移動をするという事態も発生してしまいますが。
ベテランとターキーの差が大きくなりますので、導入には注意した方が良いかもしれません。
気圏戦闘機用追加装備(BattleTechnology誌より)
小説等で記述されていますが、航空機には追加兵装が存在しています。何故か、エアロテック・ルール本体には掲載されていませんが……?
追加兵装は、主に対空装備と対地装備の2種です(全ての航空機――VTOL、通常型航空機にも搭載可です)
その他には、追加でコンテナ等も装備できます。コンテナに収納/搭載する事でカーゴスペースが無くても荷物の運搬が出来ます。ただし、搭載したものの重量1トンにつき、0.5点の推進力が減少します。
以下はそれらの装備の簡単な説明です。
落下増槽……0.5トン分の燃料の入ったドロップ・タンクの事です。航続距離の延長に役立ちます。
ミサイルポッド……翼下・胴体に搭載する対地対空・両用ミサイルです。SRMとLRMの2種類があります。
マシンガンポッド……マシンガンと弾薬が1つのパックに収められた物です。弾数は100発分です。
追加兵装は前面に射撃可能です。また、射撃の際に熱は発生しないようです。装備していたら、攻撃力の面で圧倒的に有利でしょう。
装備の投棄は何時でも可能です。投棄したら推進点の減少は無くなります。
名称 |
減少推進点 |
MK5 SRMポッド(SRM5) | 0.1 |
MK10 SRMポッド(SRM10) | 0.1 |
MK15 SRMポッド(SRM15) | 0.1 |
MK20 SRMポッド(SRM20) | 0.2 |
MK5 LRMポッド(LRM5) | 0.1 |
MK10 LRMポッド(LRM10) | 0.1 |
MK15 LRMポッド(LRM15) | 0.1 |
MK20 LRMポッド(LRM20) | 0.2 |
マシンガンポッド | 0.5 |
0.5t ドロップ・タンク | 0.3 |
MK-5 爆弾(威力5点) | 0.1 |
MK-10 爆弾(威力10点) | 0.2 |
MK-15 爆弾(威力15点) | 0.3 |
MK-25 爆弾(威力25点) | 0.5 |
これらの装備ルールは旧ルールのものです。ですので、エアロテック2へ導入するには不適当かもしれません。
メックウォリアー
エアロテック2は、メックウォリアー・シナリオの幅を広げるのに役に立つと思います。
メックの行動できない、空、宇宙空間での冒険は、シナリオのアクセントとして有効でしょう。
また意外に、気圏戦闘機はメック部隊よりも酷使されている面があります。どうやら、稼動状態ならば、常に駆り出されて、
基地の周囲の哨戒、航路の護衛、対地支援、偵察、訓練と休む暇が無いようです(弱小部隊ほど)
エアロテック2自体は、メックウォリアー3rdでの使用を考えてデザインされていますが、1stや2ndでも十分使えます。
ですが、1stでは宇宙空間用の技能が欠けていますので、技能の面で少し寂しいものがあります。
しかし、実は1stにも、追加技能ルールが幾つか存在しています。以下は、“1619 DropShips & JumpShips”よりの抜粋です。
ゼロG (Zero-G)
無重力環境では、全ての敏捷を基本とする技能(運動、格闘等)は、ゼロG技能が無いと制限を受けます。
全ての敏捷を基本とする技能の目標値は、最高でゼロGの技能目標値と同じ値になります。
例えば、格闘の技能目標値が4で、ゼロG技能の技能目標値が6だった場合は、6になってしまいます。
(この技能を持っていると、宇宙酔いにも耐性がつくそうです。メックウォリアー2ndに於いては、この技能が無いと、無重力状態での全ての敏捷・体力を基準とした技能は、+4のペナルティが付きます)
低重力下(0.1G〜0.5G)でも、行動は困難です。
この事を反映して、低重力環境における最終的な技能目標値は、使用技能とゼロG技能の目標値の平均になります。
戦術/気圏戦闘 (Aerospace Tactics)
全ての航空戦闘に有効な技能です。
所有していると、イニシアティブにレベル分の+ボーナスがつきます(無線が通じている、レーダー、もしくは目視で観測できるのが条件)
この技能を使用できるのは、一陣営につき、1人までです。
降下船の設計
航宙艦の設計