O5P Dossier: Steel Wolves


氏名: ダニール・ウルフ (Daneel Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
車輌: JES ミサイル・キャリアー
生年月日: 09/03/3104
髪: ダークブラウン
目: ヘイゼル

 ウルフキン・ケシークのダニール・ウルフとその他の少数の車輌操縦士達は、ウルフキン・ケシークの幾人かの同僚達に真価を認められていない少数派である。3050年代に行われた氏族の中心領域への侵攻は、諸兵科連合戦闘――バトルメックと共に車輌、歩兵部隊、気圏戦闘機部隊を配備する――がどれだけ強力であるに違いないかを証明したのであるが、ウルフキン・ケシーク内の多くの者達は、如何なる傾向の氏族人もメックのみを操縦していた日々を思い出すのに十分な程に伝統的なのである。彼等は自分達の部隊に於けるダニールの重要性を認めるのに十分に明敏である。しかし、彼等の魂はかつての時を未だに覚えているのである。そして、これは緊張を引き起こしており、時折、あからさまな喧嘩を誘発するのであった。
 しかしながら、同僚の戦車兵達と同様に、ダニールは堂々としており、自分と、ウルフキン・ケシークが戦闘に入る度に彼が果している重要性に気付いている者を誇りとしている。この静かな誇りと高潔さは、ウルフキン・ケシーク内に多数の賞賛者を彼に勝ち取らせた。そして、ゆっくりと一般に行き渡っている偏見を変え始めたのであった。これはまた、彼の戦場での戦闘能力が幾人かのメック戦士達をも優越して輝く事を助けた。氏族の諸兵科連合への完全転換の取り組みは、長期的には彼等を打ち破るのをより困難なものにするであろう――故に、我々はこの転換の進行を妨害する為の企てを考えるべきである。



車輌: JES 戦術ミサイル・キャリアー

識別番号: SW383-05WV
総重量: 50t
駆動方式: ホバー
動力: 15GM XL
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86km/h
装甲: レキシントンLtd. ハイ・グレード
武装:
3×ホリーSRM VI
4×ホリーSRM IV
1×ディヴァース・オプティックス ER小口径レーザー
1×22mmガトリング・ガン

コメント:
 “JES戦術ミサイル・キャリアー”は、その特殊な市場を奪い返す為のジョイント・エクイップメント・システムズ社(JES社)の試みの産物である。オリジナルの“SRM/LRMキャリアー”を製造していた彼等は、3053年、これらの由緒ある支援車輌の改良型を作る為の入札に敗れていたのである。ワード・オブ・ブレイクの“聖戦”が終結する直前に、JES社は1台の新世代のミサイル・キャリアーを発表した。しかしながら、この設計の低速性と比較的薄い装甲、戦争の終結が複合した事は、このホバークラフトの死滅の運命を定めた。そして、タウラス連合国、カノープス統一政体、マリア帝国の様な“辺境”の国家からの注文のみがこの設計の命脈を保たせたのであった。
 この車輌は600光年に渡る多数の戦場を戦い、“辺境”から共和国へと入った。この車輌は、現在のパイロットであるダニール・ウルフによって“所有の神判”にて獲得された。ダニール・ウルフは、そのオール・オア・ナッシングの設計――重厚な火力の為に万一の時の防御手段がほぼ無い設計――の為に、この車輌を愛している。彼は、この車輌に“ブラックウルフ”と名付けている。



氏名: カル・ラディック (Kal Radick)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: クルセイダーズ
メック: マッドキャットII
生年月日: 07/20/3107
髪: 茶
目: 茶

 ウルフ氏族の“トゥルーボーン(遺伝子生まれ)”で、若干22歳で“ブラッドネーム”とスターカーネル(大佐)の座を勝ち取ったカル・ラディック――スチール・ウルヴズのギャラクシーコマンダー(注:少将〜大将に相当する氏族の階級)、第4宙域司政官――は、熟練の技、強固な肉体、カリスマ性、野心を兼ね備えた人物である。司政官の地位を得た彼は即座に、スフィア共和国が氏族系の人々を2級市民として扱っていると、公の批判を開始していた。
 HPG通信網の崩壊と、その事実が中央政府から共和国全土へと明白になった時、ラディックはウルフの同朋を再結集する機会の到来に躊躇無く跳びつき、クルセイダー派(侵攻氏族派)の征服観を信奉すると共に、指導と栄光を切望している彼と同じ志を持つ戦士達の結集をしたのであった。しかしながら、“ウルフの強大さを取り戻す”との彼の宣言を考慮したとしても、ラディックは氏族の戦士の典型ではないのである――彼は、戦場での武勇よりも、言葉での指導や熟考を好んでいるのである。
 最近になり、ラディックはスチール・ウルヴズ内の幾人かが彼の上記の欠点を認識し、(ウルフに栄光を取り戻す為の彼の軍事行動に於ける指導上の欠陥を見て取り連合した)彼等が自分の指導者としての地位に疑いを持っている事に気がついた。彼への批判者の中でも、クルセイダー星団隊のスターカーネル:アナスタシア・ケレンスキーは、最も強硬に(彼の欠点の)主張をする、最も危険な人物である。



メック: マッドキャットII

識別番号: DS783-19X
総重量: 90t
シャシー: DSCAM エンドー4
動力: タイプ79 360XL
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
ジャンプジェット: グランドスラストMk5
装甲: フォージングZM15 フェロファイバー
武装:
2×タイプX“ショートボウ”LRM-15ランチャー
4×ウィザーラー 大口径ヘビーレーザー

コメント:
 “マッドキャットII”は、ダイヤモンドシャーク氏族(今日ではシーフォックス氏族として知られている)の手により開発された少数の販売用メックの内の1つである。“氏族戦争”の終結と時を同じくして工場の生産ラインより現れたこの重武装・重装甲の強襲メックは、ワード・オブ・ブレイクの狂信者達が彼等の“聖戦”を開始した際に全力で生産が行われ、ブレイク軍への抗戦を行う中心領域の多くの同盟軍の為に戦った。
 カル・ラディックの改良型“マッドキャットII”は、ダイヤモンドシャーク氏族がシーフォックス氏族にその名を戻す前にウルフ氏族へ売却されたものであり、ウルフ氏族のデルタ・ギャラクシーと共に幾つかの戦闘――その中には“ヘスペラスII”での戦闘も含まれている――を戦い抜いて来た機体である。デルタ・ギャラクシーが共和国へ贈られた時に、このメックも共和国にもたらされることとなった。そして、カルは司政官の地位に昇った時に、このメックを授与されたのである。彼は、この機体に“クルセイダーズ・マイト(クルセイダーの力)”との愛称を付けている。



氏名: ブロール・ウルフ (Broll Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフ・ランサーズ
車輌: JESIII ミサイル・キャリアー
生年月日: 10/11/3101
髪: 黒
目: 黒

 その他の殆どのウルフ・ランサーズの人々と同様に、ブロールはその氏族の外から取り入れられた“アブタカ”である。氏族の習慣では、かような形態で新たな氏族に取り入れられた戦士は自身の過去から自由となり、その時自身を取り入れたその氏族にのみ忠誠を捧げなければならないと規定されているにも拘らず、カペラ大連邦国の裏切り者としてのブロールの過去の話は広まっている。CCAF(カペラ大連邦国軍)からのAWOL(無許可離隊者)となったカペラ大連邦国のメック戦士であるブロールは、市民権と土地との交換を目論み、自身のメックの共和国への密輸を試みた。しかし、彼の貴重な貨物は国境まで至らずに取り戻されたのである。
 ブロール自身は追跡を逃れて、ウルフ氏族が居留している世界へ降り立つ事を為し遂げた。そして、彼はウルフ氏族に対して、ウルフ氏族に加入する為の許可を求めたのであった。この様な志願者達の多くと同様に、彼は戦闘の神判で敗北した。しかし、彼の勝利に対する意欲は、ウルフ氏族に彼をボンズマンとして受け入れるように誘ったのである。
 ウルフ・ランサーズが創設された時、ブロールの水準以下のテスト結果は、メックの操縦権を彼が回復する事を妨げた。しかし、彼は代わりに戦車指揮官としての地位を勝ち取り、スチール・ウルヴズの新たに製造されたばかりの“JESIIIミサイル・キャリアー”の1つを割り当てられたのである。



車輌: JESIII ミサイル・キャリアー

識別番号: ROS0011-412
総重量: 60t
駆動方式: 装輪
動力: LTV160XL 核融合
巡航速度: 32km/h
最高速度: 54km/h
装甲: スターシールドIII
武装:
4×エクソスター・Bシリーズ LRM-15ランチャー
2×GMミニガン マシンガン

コメント:
 “JESIIIミサイル・キャリアー”は極最近に生産が開始されたもので、HPG通信網が崩壊する前に一握りの量産品が惑星“ゼベベルジェヌビ”の組立て工場から共和国軍によって使用される為に出ていたものである。軽量級の“JES戦術ミサイル・キャリアー”と重量級の“JESIIミサイル・キャリアー”の中間に位置するものとして設計された“JESIIIミサイル・キャリアー”は、鈍重であるが、戦場での支援機としてのその役割の為に良好な装甲とより良い武装が施されている。
 一般的に2人の砲手がこの車輌の兵器を操作して、独立しての照準と射撃や集中射撃、統制射撃を可能としている。しかし、識別番号ROS0011-412と記されたこの“JESIIIミサイル・キャリアー”に現在割り当てられているブロール・ウルフは、最大の効果の為に自身の砲手達に同じ目標を可能な限り頻繁に照準させるのを好んでいる。彼の“メックベイン(メック殺し)”との愛称を持つ“JESIIIミサイル・キャリアー”は、通常のLRM弾を搭載して戦場に赴く事はほぼ皆無である。より重装甲のユニット――車輌やメック――を狩る事を欲して、ブロールは自身の“JESIIIミサイル・キャリアー”に特製の徹甲弾を搭載し続けているのである。



氏名: イノーヴァ・ウルフ (Inova Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: クルセイダーズ
メック: マッドキャットII
生年月日: 04/01/3110
髪: 茶
目: 緑

 我々の情報源は、イノーヴァ・ウルフは昔に滅びたスモークジャガー氏族の生れであるとの事実を最近確認した。戦闘での尋常でない獰猛さで有名であったスモークジャガー氏族は、他の全ての特性の中でもとりわけ攻撃性を重んじている――この事実は、イノーヴァの信じ難いほどの激しやすい気質の中にも容易に見られるものである。すぐに立腹し、すぐに腹を立てさせた者に“不服の神判”を宣言しさえもする彼女は、(それがどちらのものであるかに拘らず)戦いで血を流す事をせずに1日を過ごすのが全くできないように見える。しかしながら、この攻撃性は、彼女のスモークジャガー氏族の遺伝的関係から伝えられたものの方が、文化的な関係から伝えられたものよりも少ないのかもしれない。氏族が滅びた事により、大部分のスモークジャガーの血統は無効とされた――この中には、イノーヴァ自身のものも含まれている。これは、彼女は決して、氏族での成功の頂点に位置する“ブラッドネーム”の競合ができない事を意味しているのであった。この事実は、日々、彼女を苦悩させている。



メック: マッドキャットII

識別番号: CW615-17F
総重量: 90t
シャシー: DSAM エンドー4
動力: タイプ79 360XL
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
ジャンプジェット: グランドスラストMk5
装甲: フォージングZM15 フェロファイバー
武装:
2×タイプXV LRM-15ランチャー
2×シリーズ4D-2 大口径ヘビーレーザー
4×シリーズ14a 中口径パルスレーザー

コメント:
 “マッドキャット”の非常に強力な強襲型への改良は、中心領域全てのそれの敵手の多くに完全なる恐怖をもたらす事で有名な1つのメックを作り出す事となった。大量の武装と装甲が施された“マッドキャットII”は、より軽量のメックや車輌を単独で容易く根絶するのに十分な素の力を誇っている。しかしながら、この力は代償を生じさせるものでもある――その重兵器の砲列は、機体の限られた放熱器を容易に圧倒してしまえるのである。
 元々はウルフ氏族のタウマン用(軍用)に作られたイノーヴァ・ウルフの“マッドキャットII”は、多くのウルフ氏族の戦士達がデヴリン・ストーンの緒についたばかりの事業への自分達の支援の誓いを履行した際に、共和国軍にその道を見出した。このメックの“聖戦”後の改良は、その強力なガウスライフルをヘビーレーザーに換装するというもので、僅かだがより大きなダメージを与えられ、戦場での持久性がより良くなっている。不思議な事に、イノーヴァは自身の機体に、氏族本国の獰猛な肉食動物に敬意を表しての事か、或いは、その名を戴いていた滅びた氏族を追憶しての事か、“スモークジャガー”との愛称を付けている。



氏名: リーサベット・ウルフ (Lisabet Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフ・ランサーズ
車輌: シミターMkII
生年月日: 10/29/3109
髪: ダークブラウン
目: ヘイゼル

 リーサベット・ウルフは、元はリーサベット・ジェイムズという名であった。そして、13歳の誕生日まで、彼女と彼女の家族は第3宙域の惑星“プロセルピナ”に居住していた。養殖場を経営する一家であった彼等は、ブラガディン大陸の湿地の縁に住む事で間に合わせていたのである。彼女が13歳となった日、彼女は吸血性のカサガイ(blood limpet)によって、父親、母親、そして唯一の兄弟姉妹を失った。通常、これらの半爬虫類の生物は不注意であった時のみ襲われるものであるが、時候にそぐわない雨がちの夏は生物を育て自然の個体数を爆発的に急増させており、彼女の家族を死へと導いたのである。
 養殖場を保持するものが何も残らなかった彼女は、ゆっくりと首都の“コンカラーズ・プライド”へと移動し、惑星外へ出る為の支払いをするのに十分な仕事を見つけるのに成功した。そして、数年間の放浪は彼女を惑星“チコノフ”へと導き、そこにて、彼女は初めて氏族の文化を紹介されたのであった。
 氏族の様式がもたらす組織と社会は、彼女には魅力的であった。そして、彼女は即座に、スチール・ウルヴズのウルフ・ランサーズに受け入れられる為の請願を始めたのである。彼女の年齢と訓練の欠如を理由として、彼女の請願は拒否された。しかしながら、18ヶ月もの粘り強い測定の後に、ウルフ・ランサーズの指揮官は彼女の粘り強さは強さであると感じ、彼女の粘り強さを受け入れ、彼女がウルフ・ランサーズでテストされるのに必要としていた訓練を与えたのである。



車輌: シミターMkIIホバー戦闘車

識別番号: WC437-33AB
総重量: 35t
駆動方式: ホバー
動力: 175オムニ
巡航速度: 108km/h
最高速度: 162km/h
装甲: スターガードII
武装:
1×ホリーSRM IV
2×ジョンストン・ミニガン
1×ディヴァース・オプティックス ER小口径レーザー
4×ディヴァース・オプティックス・タイプ10 小口径レーザー

コメント:
 “シミターMkIIホバー戦闘車”は、100年以上もの間、数多の王家の軍内に存在した由緒ある“シミター・ホバー中戦車”の改良型である。“シミターMkII”は車輌自体の最高速度が増加したのみならず、原設計の重いオートキャノンを引き換えにした事により車輌の武装を増やす事が可能となり、車輌としては珍しい5つものエネルギー兵器を内蔵している。
 WC437-33ABはウルフ・ランサーズ内の多くの車輌達と同様に、共和国内の到る所で忘れ去られている戦場から回収されたものである――スチール・ウルヴズは己の価値を証明した中心領域の戦士達を受け入れているが、この事は彼等が受け入れられた戦士達に優れた氏族の技術を供給する事を意味はしていないのである。この“シミターMkII”の現在のパイロットは、リーサベット・ウルフであり、彼女は車輌に“ブラッド・リンペット(吸血カサガイ)”と名付けている……彼女の家族を殺したこの生物に不穏なオマージュを込めての事である。



氏名: セシル・ウルフ (Cecile Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
メック: ゴースト
生年月日: 06/07/3107
髪: 赤
目: 灰

 表面上は物静かで控え目なセシル・ウルフは、実際にカル・ラディックの最新のシブコから“階級の神判”を通過して戦士階級の地位を得た9人の戦士の中の1人である。しかしながら、ラディックとは違い、当初、彼女の戦闘能力はかろうじて戦士の地位を得るのに間に合うだけのものに過ぎなかった。従って、この事は、スフィア共和国のウルフ氏族の包領での地位を上昇するのに彼女に相当な時間を費やさせたのである。そして更に、彼女はグランド・メレーでの敗北により、ラディックのブラッドネーム神判の席(出場枠)を得るのにも失敗したのであった。これらの短所にも拘らず、その間ずっと諺にあるラディックの“陰”の中で生活しつつも、彼女は自身の技能を磨き続けている――そして、彼女はしばしば自身の能力を疑っている。彼女のウルフキン・ケシークへの配属は、彼女がエリートの戦士として自身の本領を発揮した事を確かに証明している――しかし、彼女は未だに内心で、この配属がカルのシブキン(遺伝子兄弟)である事からもたらされたのではないかとの疑念を抱いているのであった。



メック: ゴースト

識別番号: RS045-42N
総重量: 50t
シャシー: GST-ライト エンドースチール
動力: デファイアンス300 ライト・フュージョン
巡航速度: 65km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: デュラレックス・ヘビー with/CASE
武装:
2×ターヘス・サンダーボルト12 大口径パルスレーザー
1×デファイアンスE5L 射程延長型小口径レーザー

コメント:
 ワード・オブ・ブレイクの“聖戦”終結の直前に出現した50tの“ゴースト”バトルメックは、人気機種の“グリフィン”を補足するものかつ融通の利く襲撃機として考え出された。卓越した地上速度と恐るべき中距離兵器の砲列は、このメックをハンター/キラー任務や強襲に理想的なものとした。そして、“ゴースト”は“聖戦”の末期の日々に使用されただけでなく、共和国建国後の激動の日々に於いても広く使われるのが見られたのである。
 識別番号RS045-42N(“ラビッド・スペクター”との愛称が付けられている)はその建国の正に直後にスフィア共和国用に製造され、ほぼ20年間、新たに組織されたハスタティ・センチネルズに配備されていた。その後、惑星“ソーリン”の惑星市民軍に移譲されたこの機体のミサイル・パックは、兵站上の必要性を最小限にする為と森林戦闘演習の際の副次的なダメージの可能性の為にチェーンソーに交換された。そして、HPG網が停止した直後、スチール・ウルヴズは惑星“ソーリン”を襲撃し、容易く駐留軍を圧倒してその大部分の機体を捕獲したのであった。



氏名: エローラ・ウルフ (Elora Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
メック: ファイアスターター
生年月日: 12/11/3107
髪: 赤
目: 緑

 若く、美しく、そして、致死的なエローラ・ウルフは、まだ“ブラッドネーム”を獲得してはいないが、機会が与えられたその時に、彼女が獲得に成功をするのはほぼ疑いの無い事である。野心と自尊心が、このトゥルーボーンの氏族の戦士を駆り立てており、短い戦闘経験にも拘らず、彼女は既にウルフキン・ケシークの指揮星隊に地位を得る事を為し遂げている。
 惑星“チコノフ”のウルフ氏族の小規模のシブコで生まれ、育ち、訓練を受けたエローラは、彼女のシブキンの中で1機の撃墜を為して“階級の神判”を通過した唯一の人物である。彼女の戦争への(氏族の)教科書的取り組み方から、彼女の格闘戦闘への軽蔑の念は明白である。そして、彼女の(メックの)優越した速力と距離の見事な使用法は氏族の戦術の教則本を実地で示すものであり、この事は彼女の上官からの賞賛を引き出し、彼女に名声のある地位と完全なバトルメックをもたらしたのであった。
 彼女の“ファイアスターター”の操縦席内での実績は模範的なもので、この報告書の製作中にも戦場で1ダース以上の撃墜を挙げている――ところが一方、メックの外に出ている時の彼女は陸に出た魚の如き様である。彼女は孤独の中にほぼ引き篭り、同僚の戦士達とさえも付き合う事は稀なのである。その代わりに、任務外の際には、彼女は技術的な打ち合わせ、身体の訓練、絶え間の無いシミュレーター訓練で、自分を忙しくしているのであった。



メック: ファイアスターター

識別番号: FS961-78K
総重量: 35t
シャシー: ファウンデーション・ウルトラライト エンドースチール
動力: GM210XL
巡航速度: 64.8km/h
最高速度: 97.2km/h
ジャンプジェット: ルクソール・ロードリフターズ
装甲: デュラレックス・ノヴァ
武装:
3×ホットショット フレーマー
1×ミドロン・モデルRA ロータリー・オートキャノン2

コメント:
 “ファイアスターター”は、中心領域のほぼ全ての主要勢力――特にシュタイナー家によって使用されている古典的なメックである。この機体は主に、火炎放射と対人任務、前方偵察の為に開発されたのだが、それらの能力を向上させるために様々な改修型が現れてもいる。
 エローラ・ウルフの“ファイアスターター”は、軽量のロータリー・オートキャノンを搭載する事で戦場での長射程能力を与えられたダヴィオン家の派生型である。エローラは、その役割上で犬の様な行動をするこの機体に“ファイアフォックス”との愛称を付けているが、非常に興味深い事に、彼女は戦闘で機体の3連の火炎放射器を使用するのを嫌っている。氏族の射撃戦闘への偏愛は彼女に余りにも深く浸透しており、彼女は火炎放射器よりも、オートキャノンを用いてより遠距離で餌食に向かって打撃を与える事を好んでいるのである。そして、それ故に、この事は彼女の射撃術を洗練させたのであった。この戦術は彼女に機動をする為のより広い空間を与え、そして、オートキャノンの一斉射撃の弾幕を切り抜ける為に、敵に非常に愚かな接近をさせるのを強いるものである。



氏名: グウィン・フェトラドラル (Gwin Fetladral)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
メック: クーガー
生年月日: 07/13/3100
髪: ブロンド
目: ヘイゼル

 自らの役割の為に育てられ訓練が為された“トゥルーボーン”の戦士であるグウィン・フェトラドラルは、彼女と彼女の追撃星隊を幾度も繰り返し救い、“対等の環”(Circles of Equals)での無数の勝利を自分にもたらした鋭利な戦術的知力を有している。コクピットの内外双方での彼女の素晴らしい軍事能力は成功を加速するのに十分に一体となっており、若干25歳で彼女にブラッドネームを勝ち取らせるのを可能とした。更に、彼女は偉業――“トゥルーボーン”の氏族の戦士全ての人生の目標――を果したのと同じくらい早く、戦闘で名誉の死を遂げる事以外の残りの全ての目標をやがて為し遂げるであろうと思える。
 フェトラドラルはギャラクシーコマンダー:カル・ラディックの最も熱烈な支持者達の内の1人であり、スチール・ウルヴズはクルセイダー派としてのウルフ氏族のルーツにもう一度戻るべきであるとの彼の信念を全霊を傾けて奉じている。しかしながら、この彼女の支持は、自分の道が正しい道であると感じている者のものというよりも、忠実な従属者としてのものなのである。その見事な特性にも拘らず、フェトラドラルは戦略や政治の事柄に対しては非常に単純にしか気を配っていなく、責任ある地位にいるどのような人物にも自分の忠誠を捧げるのであった。現在、その人物はカル・ラディックである――しかし、ラデイックが失墜した際に彼女の忠誠がどこに変わるかを見るのは興味深いものであろう。



メック: クーガー

識別番号: JF4194-75A
総重量: 35t
シャシー: JF3ライト エンドースチール
動力: 175W00 エクストラ・ライト
巡航速度: 55km/h
最高速度: 86km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: コンパウンドWC フェロファイバー
武装:
2×シリーズ4D2 大口径ヘビーレーザー
2×Mk23 タイプI LRM-10ランチャー

コメント:
 ジェイドファルコン氏族は、悪名高い自分達の“アダー”(中心領域の戦士達の間では“ピューマ”として知られている機体)の重武装代替物として“クーガー”を設計した。“コベントリー戦役”で最初に存在が明らかになった“クーガー”はすぐにジェイドファルコンの前線部隊内に多数出現し始めた。そして、中心領域や他の敵対氏族との神判を通じ、やがて他国の軍内にも見られる数が増加したのであった。
 識別番号JF4194-75Aは、聖戦の際にブレイク教徒の軍からの惑星“コベントリー”の解放を助力したジェイドファルコンの部隊で実際に用いられ、それから、“地球”近辺の世界を解放する為の連合軍に同行した。そして、惑星“リギル・ケンタルス”での苛酷な戦闘の後、都市メソポタミア近辺の戦場回収品の中からこのメックが発見された時、デヴリン・ストーンの部隊はこのメックの所有権を主張したのである。戦闘では、フェトラドラルはその精度が荒く極端に熱いヘビーレーザーの代わりにこのメックのミサイル・ランチャーを使う事を好んでおり、自分の熱のレベルを低く保ちつつ、良く照準された執拗なミサイルの斉射で以って自分の敵を叩いている。



氏名: クリス・ウルフ (Kris Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフ・ランサーズ
メック: クリムゾンホーク
生年月日: 12/25/3095
髪: ブロンド
目: 青

 クリス・ウルフはスフィア共和国のウルフの包領に加わる為の最初の入札で敗北をしなかった、数少ないスチール・ウルヴズのウルフ・ランサーズ採用者の1人である。シュタイナー家の世界かつ長きに渡り亡命をしているウルフの戦士達(ウルフ・イン・エグザイル)の故郷として有名な惑星“アークロイヤル”の出身であるクリスは、ケル・ハウンド傭兵部隊の中隊と守護派ウルフ氏族の中で自身の時間を過ごしてきていたと思われる。クリスは自身が両集団についてどれだけ知っているかの事についてや、自身が傭兵として彼等に仕えていた事について全く率直でなかったのではあるが、彼女はスフィア共和国のウルフ氏族の集団へ加わる為の神判にて非常に目覚しい戦闘能力を見せつけ――決闘にて古参の戦士を打ち負かした――、彼女は即座にウルフ・ランサーズ内の指導的地位を勝ち取った。そして、それ以来、彼女のウルフ氏族への奉仕は非の打ち所がないのであるが、何が秘密主義で寡黙なクリス・ウルフをスチール・ウルブズへ加わらせたかについての噂は多数が存在しているのであった。



メック: クリムゾンホーク

識別番号: SF771-09C
総重量: 25t
シャシー: ヨークII XT
動力: 125ヨークXL
巡航速度: 55km/h
最高速度: 86km/h
ジャンプジェット: クラン・シリーズ タイプ1・ライト
装甲: コンパウンド6A
武装:
2×シリーズ7J ER大口径レーザー

コメント:
 僅か25tの重量を持ち、その重量の多くを火力と装甲に振り向けた、この“クリムゾンホーク”の速力は、他の軽量級メックと比較すると制限されている。しかしながら、このハンディキャップが氏族の中でのこの機体の人気を衰えさせる事は少しもなく、しばしば建て込んだ地形(市街地)にて用いられた――そこにて、そのジャンプ能力は、他の車輌ならば迂回をしなければならないような障害物をそれに無効とさせるのを可能としたのである。その上、2基の射程延長型レーザーは敵に重大なダメージを与える事が可能であり、その長大な射程は彼等の致死的な攻撃から逃れられるであろう数少ないユニットにさえも脅威なのである。
 SF771-09C(現在のパイロットであるクリス・ウルフによって“アンフォーギブン(容赦のない、執念深い)”との興味深い愛称が付けられている)は元はシーフォックス氏族によって製造され、3110年にスフィア共和国にその市民軍用に売却されたものである。それ以来、数多の部隊に配備されてきたが、HPGの停止後に勃発した惑星“ノースウィンド”でのスチール・ウルヴズとハイランダーズの激突までは、このメックは本当の戦闘を経験する事は無かったのであった。



氏名: カイル・ウルフ (Kyle Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: クルセイダーズ
メック: アグロメックMkII
生年月日: 11/14/3102
髪: ブロンド
目: 灰

 カイル・ウルフは、最近、30歳を越えて生きる為に無作法になっているフリーボーンのウルフ氏族の戦士である。結果として、彼は、伝統的に若い戦士――特に、鉄の子宮で生れた者達――に価値を置く彼の社会の考えの中にて2重に面汚しとなっている。しかしながら、純粋な決断力と戦闘での武勇は、カイルにメック戦士としての人の羨む地位の取得と保持を可能とさせているだけでなく、彼に偵察星隊の一員としてのベテランのクルセイダー星団隊の地位をももたらしているのである。
 しかし不幸な事に、この地位を得て以来、彼のより日和見主義者の多くの同僚達は、この年寄りの“フリーバース”を除け者の何かと見なすようになり、彼の地位に価値を置かず、貴重な栄達のポテンシャル(踏み台)として扱い始めたのである。自身に価値がある事を証明する為に、カイルは彼の席を奪う事を模索する同僚のウルフ氏族の中の人々に対して、神判につぐ神判に自身が従事するのを見出す事となった。そして、現在まで、彼は彼等の全てを打ち負かしたのであった。しかしながら、余りにも多くの個人的な決闘へのその身体的な代償は、戦場での彼のパフォーマンスの中にも見え始めているのである。そして、彼の――真のバトルメックではなく――未改修の“アグロメック”への割り当ては、スチール・ウルヴズでのこの戦士の経歴が終りに近づいている事の兆候かもしれないものであろう。



メック: アグロメックMkII

識別番号: IMC-02068/1
総重量: 30t
シャシー: IMミディアム・デラックス
動力: GM120クラシックICE
巡航速度: 43.2km/h
最高速度: 64.8km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: レイバーヘビー/1
武装:
1×ディナポリST4 ヘビーデューティ・スラッシャー
1×クラスIV ヘビーデューティ・ユーティリティー・クロー

コメント:
 “アグロメックMkII”はベーシックな“アグロメック”の軽量型バリエーションで、機体が前進するのにより厳しい世界での作業用に設計されたものである。完全な関節を有しているそのクロー・ホイストは、食料生産用に土地を綺麗にする為に必要とされる、大きな丸石の除去から損傷した車輌や建造物の移動までの全てに申し分が無い。戦闘は想定されていないのであるが、“アグロメックMkII”の産業用装甲と強化された作業用装備は、かなりの防御能力と不注意な敵に重大な損害を与えるのに十分な攻撃能力をそれにもたらすのに役立っている。それらの(マシンの)低い技術と格闘攻撃への依存に対する伝統的な氏族の偏見にも拘らず、(現状での)必要性はスチール・ウルヴズにこの様な機体を配備する事を強い、そして、これらのメックは今や、この氏族のタウマン(軍)の全ての連隊に現れているのであった。
 “ヴィンディケイター(守護者)”と愛称がつけられた識別番号IMC-02068/1は、カイル・ウルフに割り当てられている。彼の通常は小心な戦術は、至近距離に於いては狂戦士の熱狂に取って代わられる。修理優先度リストでこの種のメックのランクが極めて低くなって以来、この機体は過去の作戦からの多数の傷跡を帯び続けている。



氏名: サディア・ウルフ (Sadia Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: クルセイダーズ
メック: カタパルト
生年月日: 09/03/3104
髪: ダーク・ブラウン
目: ヘイゼル

 サディア・ウルフはクルセイダーズの指揮官であるアナスタシア・ケレンスキーの熱烈な支持者で、共和国内に居住するウルフ氏族の住民が安全の為にその心を売ってしまったと信じている。彼女はまた、臨床上では、完全に気が狂っている人物でもある。
 サディアは、氏族のイメージ増幅移植手術――最も過激なクルセイダーズのみがこの危険な手術を受けている――を受けた中で最も若い者の1人である。このEI神経インプラントは、広範な一連の電子センサー、接続ポイント、被移植者の皮膚の直下に植え付けられ中枢神経系に接続される光ファイバーのワイヤーで以って構成されている。EIは無線の神経ヘルメットとして機能し、その戦士に即座にバトルメックと通じるのを可能としており、劇的に反応速度を増加させる。しかしながら、EIは既知のどの機構でも匹敵できない戦闘能力レベルをもたらすのではあるが、重大な副作用も持っているのである。インプラントを持つ全ての既知の個人は、僅か数年で正気ではなくなる――サディアが手術を受けたのは4年前である。
 それにも拘らず、狂狼の如く、狂気が彼女を傷つけているのではあるが、彼女の手綱はアナスタシアによって堅く握られている。彼女は、自身の邪魔になるであろう如何なる人物にも、この最高に危険な人物の束縛を解くのであった。



メック: カタパルト

識別番号: TR590-09M
総重量: 65t
シャシー: ホリス・マーリックIII エンドースチール
動力: マグナ260XL
巡航速度: 43.2km/h
最高速度: 64.8km/h
ジャンプジェット: アンダーソン・プロパルション21
装甲: デュラレックス・ヘビー
武装:
2×フェデレーテッド・15-ショット LRM-15ランチャー
2×デファイアンス・シュレッダー LB 2-Xオートキャノン

コメント:
 サディア・ウルフは、彼女のイメージ増幅インプラントで機体との完全な交流を可能とするように配線された中心領域のメック――彼女はそれを“テディスレイヤー”と呼んでいる――を選択した。この事は、彼女の狂気の証拠となるのに全く相違はないものである。更に、アナスタシア・ケレンスキーがこの計画を支援した事は、アナスタシアの計画に彼女がどれだけ大切なのかを一際明快に証明するものでもある。
 この“カタパルト”について言えば、これは比較的新しい機体で、3037年に配備され、連邦=共和国が数世紀間に渡る宿敵を倒そうと動いてドラコ連合を攻撃した“3039年戦争”にて最初の交戦が見られたものである。そして、この機体はジェイドファルコン氏族に対抗しての戦闘と、同様に連邦=共和国内戦の際にはシュタイナーとダヴィオンの両方の側の為に戦っているのが見られた。驚いた事に、この機体はワード・オブ・ブレイクの“聖戦”の全ての期間に於いて戦闘した様子が見られない――しかし、共和国に加入したウルフ氏族の部隊の手の中にこれは存在していたのであった。



氏名: ユーリ・ウルフ (Yulri Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: クルセイダーズ
メック: ブラックホーク
生年月日: 01/04/3105
髪: 黒
目: 茶

 ユーリは、コントラスト(対照的)な考究をしている。彼は卓越した戦術家である……しかし、酷い戦略家でもある。氏族の一員としては、彼は熟達した文章の書き手であるが、会話をする時には知性に欠けた態をとる事も可能である。彼は不器用に歩くが、しかし、彼のブラックホーク――“ウルリック”と名付けている――は戦場に於いては踊っているかの如き様である。彼は熱烈なクルセイダー派の戦士であるが、しかし、彼のバトルメックの名前は“ウルリック・ケレンスキー”――ウォーデン・ウルフ(守護派ウルフ氏族)の、歴史上、最も偉大な指導者であり、クルセイダー・ウルフ(侵攻派ウルフ氏族)なら正にすぐさま忘却したいであろう人物の1人――にあると思われるのである。全く不可思議な事に、彼は最近、戦闘で同朋のウルフの戦士――“ターサ・ケイ”――の虜囚となり、非常に異常極まりない事に、彼女のボンズマンとなった。我等が結社(O5P)は、これらの矛盾した事実が真のものか案出されたものかを検証するのに失敗している。ともかく、上記の文で、この表面上は“シンプル”な戦士の奥底へ非常に近づけたのに間違いはないであろう。ターサ・ケイが獲得している力を鑑みて、彼女に非常に近い何者かの秘密を知る事は非常に望ましい所である。



メック: ブラックホーク

識別番号: 不明
総重量: 50t
シャシー: タイプ2・スタンダード エンドースチール
動力: 250XL
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86.6km/h
ジャンプジェット: グランドスラストMk3
装甲: スタンダードYM17
武装:
1×タイプXX“グレートボウ”LRM-20ランチャー
1×ミドロン・エクセル タイプ5 オートキャノン

コメント:
 その通常の武装構成では、“ブラックホーク”は多用途性に満ちた有力なユニットである。ユーリ機の武装搭載空間は長距離火力に重点が置かれているが、その一方で、彼自身の技能と獰猛さにより、このメックは近接戦闘に於いても危険な対戦者で在り続けている。ユーリは自機のオートキャノンを正確無比な精度で用いている――彼は見た所では不可能な距離で、極普通に敵を狙撃するのである。



氏名: ジャマール・ウルフ (Jamal Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: クルセイダーズ
車輌: BE701ジョースト戦車
生年月日: 12/14/3107
髪: 無し
目: 黒

 抽象的なテクノ・タトゥーに覆われた彼の傑出した体格と波打つ筋肉により、大部分の人々はジャマールの事をスチール・ウルブズの狂信的なエレメンタル兵達の1人であると推測してしまう。しかしながら、徹底的な調査は、氏族の危険極まりないエンハンスド・イメージ・インプラント(イメージ増幅インプラント)に見えるものが、恐ろしげな第一印象を作り出す為にデザインされたもので、それ以上の意味は持たない、単なる化粧に近いものである事を明らかにした。その上、ジャマールは実際にはウルフ氏族の精鋭のエレメンタルの1人として働く為に育成されたのであるが、訓練にて早期に適性テストに失敗した事は、彼を代わりに車輌の指揮官としての経歴に転じさせていたのであった。この地位の下落の結果は彼の同僚のクルセイダーズ達に彼を避けるようにさせており、同僚達からの尊敬を幾らか取り戻す為に彼が広めているイメージが無駄な努力である可能性は極めて高いものである。それどころか、タトゥーと荒々しい表現を除けば、この戦士は実際に厳密な信用問題に悩まされるかもしれない。また、彼は他のクルセイダーズ達の熱狂的な献身さを欠いてもいる。



車輌: BE701ジョースト中戦車

識別番号: JF611-091F
総重量: 40t
駆動方式: 装軌式
動力: 200スタンダード
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86km/h
装甲: アドヴァンスド・コンパウンド・ベータ
武装:
8×シリーズ2C ライト・マシンガン
1×シリーズ7N ER大口径レーザー
1×タイプX“ショートボウ”LRM-10ランチャー

コメント:
 この氏族製の“BE701ジョースト中戦車”は、火力・装甲・速度を巧みに調和する事で以って万能機的に作られた強力な中量級車輌のデザインである。レーザーと実弾兵器――その全ては幅広の砲塔に搭載されている――の組み合わせは、この車輌に一度に複数の敵ユニットを捕捉して目標にする事を可能としており、如何なる距離でも敵に対して力強いダメージを与えられる。
 JF611-091Fは、元は“聖戦”の後期にジェイドファルコン氏族によって配備されたもので、ヘルズホース氏族がジェイドファルコンの宙域に独自の襲撃を開始した時に捕獲されるまでは、ジェイドファルコン氏族の占領地域にて駐留軍の一部として使われていた。そして、ヘルズホース氏族の部隊がデヴリン・ストーンの狂信者達に対する最後の攻撃に加わった後、そこに留まる事を選択してストーンが新たにスフィア共和国を建国するのを助けた部隊の中に、この車輌とその乗員達は含まれていたのである。その現在の指揮官であるジャマールは、この戦車にその出自を称えて“スチール・スタンピード”との愛称を与えている。



氏名: ミコス・ウルフ (Mikos Wolf)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
車輌: マキシムMk2輸送車輌
生年月日: 05/07/3109
髪: 無し
目: 緑

 巨大な男――ミコス・ウルフがかつて氏族のエレメンタルのシブコに属していたのは誰にも明らかであり、そこにて、彼はエリートの遺伝学的に作り出された装甲歩兵の地位を満たす為に訓練されていた。不幸な事に、ミコスの経歴は、実弾演習が彼に2年間もの危うい麻痺を残した際に、残酷に短く断たれた。そして、彼の戦士としての地位を取り戻す為の神判での人々を失望させる成績は、彼を車輌用の支援派遣――年代物の“コンドル戦闘戦車”を担当する地位へと、格下げさせたのであった。
 自身の経歴の死の認知と共和国の理想の下のウルフ氏族の無力化は、ミコスに燃え盛る自己嫌悪の念を残した。そして、彼は、ウルフ達に与えられた僅かな戦闘の機会に自殺的な熱情と共に飛び込んだ――しかし、惑星“アルゴット”上のカペラの襲撃者達との戦闘で、自分の戦車とその乗員の大部分を失ったのみで成功を収めたのであった。この盲目的な向う見ずさは、氏族の様式では非常に典型的なもので、実際に彼の上位者達から賞賛と、彼の歩兵戦闘の知識を認めての“マキシム兵員輸送車輌”への再配置を引き出した。この賞賛にも拘らず、ミコスは依然として自身を失敗者と考えており、戦場でさえもその姿勢は明白である。



車輌: マキシムMk2輸送車輌

識別番号: RSM0127-505
総重量: 50t
駆動方式: ホバー
動力: パワーテック165・ハイリフト
巡航速度: 86.4km/h
最高速度: 129.6km/h
装甲: アークシールド・ヘビー
武装:
1×ホバーテック ストリークSRM-2

コメント:
 スカイアのサイクロプス社によって共和国用に考えられた重ホバー輸送車輌である、この改良型の“マキシムMk2輸送車輌”は、厚い覆いと1個小隊のバトルアーマーか1個中隊の通常歩兵部隊の収容能力を持つのに十分な広さの積載空間の為にオリジナルの型の武装を交換している。誹謗者達は、この“改良型”とやらは“マキシム輸送車輌”からそのオリジナルの価値――ピンチの際にも戦線でより重いユニットを助ける際にも相当な火力支援を提供可能なその能力――の半分を剥ぎ取ったものだと述べている。しかしながら、設計者達は、武装の欠如は“マキシム輸送車輌”の指揮官を戦場で不必要な危険――過去の戦争で多くの“マキシム輸送車輌”の乗員とその乗客達を死へと到らしめた危険――を冒す事から守る誘因になっていると反論しているのであった。
 “マキシムMk2輸送車輌”、RSM0127-505を指揮しているミコス・ウルフは、戦場で彼の見せる熱意の欠如によって証明される様に、前者の陣営へ属しているものである。ゆっくりと運転をし、ほぼ常に用心をしている、この不機嫌な氏族の戦士は、彼の車輌が砲火を受け始める時にのみ再び生命が吹き込まれているように見える。



分隊: トーラズ・レイダーズ (Tora's Raiders)

指揮官: トーラ・スラダック大尉(スターキャプテン)
所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
種別: 混成歩兵部隊
部隊数: 4

 スターキャプテン:トーラ・スラダックは自身の最盛期に達しており、その事に彼女も気付いている。しかしながら、氏族の戦士達の多くの様に自身の限界の悲しみに浸る代わりに、彼女はより一層(職務に)身を捧げるようになったのであった。彼女の身体的な外観は、彼女の若き日々に終わる事の無いトラブルを引き起こした――氏族は一般的に、性的/身体的な偏見は持っていないのであるが、“トゥルーボーン”(特にエレメンタル)は、究極の戦士を作り出す為の氏族の遺伝子操作の努力の結果を誇示するべきものであると考えられているのである。それらの基準への不合格にも拘らず彼女が“ブラッドネーム”を勝ち取ったとの事実は、彼女の献身と武勇の証左となるものである。
 この彼女の任務への献身と驚異的な戦闘での武勇は、彼女に彼女を慕う戦士達を獲得させた。数回の訓練演習――その間、彼女の部隊は非常に僅かな犠牲で、遥かに優越した敵軍を苦しめた――の後、彼女の指揮下の兵士達は自分達の事を“トーラズ・レイダーズ(トーラ襲撃隊)”と呼称し始めたのである。
 通常、この様な個人主義は氏族では眉をひそめられるものであるのだが、カル・ラディックは自身の最高のエリート部隊の華々しい成功に対して褒める事しかできないでいるのであった。



歩兵部隊: ホバーバイク隊 (Tora's Zephyr)

総重量: 3t
駆動方式: ホバー
地上速度: 54km/h
装甲: スタンダード・クラン
武装:
2×ステフラー 重無反動ライフル with/徹甲ロケット
1×XL-970a オートキャノン

コメント:
 “ホバーバイク”は、1人の兵士に非常に少ない費用でホバー戦車の機動性と速度を持たせる事を可能とする共和国の発明である。更に、それは前進しての先導や潜入の能力といった機動性にも結び付いている――この車輌の縮小されたサイズは、正規の車輌が不可能な場所に赴く事を可能としているのである。
 彼女の星隊の成功により、トーラズ・レイダーズの全てが自分達の装備の改造を許されている。例えば、トーラ個人の“ホバーバイク”は、徹甲ロケットと口径漸減技術を使ったプロトタイプ・オートキャノンを装備しているのであった。トーラは日常的に、彼女のバイクの恐るべき火力に無防備となってしまった重装甲の敵手を打倒している。



氏名: ジェフ・ベッカー (Geoff Bekker)

所属勢力: スチール・ウルヴズ
所属部隊: ウルフキン・ケシーク
メック: コディアック
生年月日: 05/01/3102
髪: ブロンド
目: 灰

 ジェフ・ベッカーは、トゥルーボーンの氏族戦士であり、、恒星間通信網が崩壊してスフィア共和国の大部分と中心領域全般の通信を停止させる前は惑星“タイグレス”の僻地に存在するゴーストベアーの包領に移されそこで育っていた。その当時、彼はブラッドネームを勝ち取ったばかりで、前・司政官カル・ラディックの“より強くより攻撃的な共和国軍を”という呼び掛けの支持者達の中でも一際声高な者であった。従って、スチール・ウルヴズの創設を知ったジェフがその新勢力の中での地位を即座に求め、ラデイック自身に対してウルフキン・ケシークでの地位を巡る階級の神判を要求したのは、特に驚きではなかったのであった。ラディックはこの挑戦を拒否したが、この新たな転向者の自分のエリート部隊への受け入れは喜んで行い(ジェフは、その役職に任命されていたスターキャプテン・ラディックを打ち負かした)、自分達が“今までになかったような栄光”に飛び立つ事になるであろう、と約束した。現在でも、ジェフはこの約束を固守している――その約束をした男(カル・ラディック)が死亡しているにも拘らず。



メック: コディアック

識別番号: RD450-65G
総重量: 100t
シャシー: アルシャインLXL エンドースチール
動力: フュージョン400XL
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
ジャンプジェット: クラン・スタンダード・タイプA5
装甲: フォージングAD56・スタンダード
武装:
2×タイプXX“グレートボウ” LRM-20ランチャー
1×タイプX“ショートボウ” LRM-10ランチャー
1×クランMk.XVII 射程延長型PPC
8×シリーズ1 射程延長型小口径レーザー

コメント:
 今までに計画された中で恐らく最も破壊的な氏族のバトルメックであるこの100tの“コディアック”は、ほぼ破壊不可能な1つのパッケージ内に収められた容赦のない火力と良好な機動力を戦場にもたらすものである。ゴーストベアー氏族のトーテム・メックとも言えるこの“コディアック”は、それが生産ラインから最初に出現して以来、中心領域と氏族の戦士に等しく死をもたらすものであり続けている
 しかしながら、そのオリジナルの設計は強力であったが幾つかの分野に於いて欠点があると見なされていた――オリジナルでは十分な長距離兵器が欠如しており、その装備している装甲が得られたような敬意を持たれる事はなかったのである。3095年、ラグナー副族長は技術者階級に対して、圧倒的な長距離兵器の砲列を誇る事になる派生型の開発、という任務を課した。そして、彼等はそれに成功したのであるが、その新設計機はオリジナルの兵装を全く持っていないものへとなってしまったのであった。
 RD450-65G(“ブラック・ベアー”)は、元々は世紀の変わり目の際にレイザルハーグ統制用に製造されたのであるが、所有の神判の際にシーフォックス氏族に取得され、スフィア共和国の防衛軍で使用する為にスフィア共和国へ売却された。皮肉な事に、この機体は暗黒が到来する直前にゴーストベアー氏族の子孫であるジェフ・ベッカーに伝えられ、そして、ウルフキン・ケシークへ加入する為の彼の入札を確実な勝利へとしたのである。



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