O5P Dossier: Banson's Raiders


氏名: ステファニ・エーリ (Stefani Ehli)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: スカージ
メック: ゼウス
生年月日: 07/03/3103
髪: 茶
目: 茶

 ライラ共和国の国境線の世界――崩壊した自由世界同盟の残骸の至近に位置する場所――で生まれ育ったステファニ・エーリは、その人生の大部分をスフィア共和国外で過ごしてきた。そして、彼女は“スカージ”内の大抵の者よりも遥かに多くの闘争を見てきたのである。“聖戦”後、スフィア共和国の政策に追随して、5王家は各自の軍を削減していった――しかし、これは海賊や傭兵、更には氏族による絶え間のない襲撃・侵略を防ぐものとはならなかったのであった。
 外縁世界で生き残る為に、エーリは地元の傭兵部隊である“カークパトリックズ・インベーダーズ”に加入した――彼女の周囲を取り巻く混沌を幾らかでも制するのを望んでの事である。それから続く5年間、彼女は“カークパトリックズ・インベーダーズ”に仕えて、ライラ共和国とマーリック家の国境線沿いで多くの戦役を戦った……これらは、バンソンが広い範囲に放っている“人材スカウト”の1人が、より実入りのいい契約を持って彼女に接近してくる以前の時の話である。バンソンの申し出は、エーリと彼女のメックを“カークパトリックズ・インベーダーズ”から引き抜く事を成功させ、そして、現在、彼女は彼のエリート軍団の打撃小隊を率いているのであった。
 疑いもない実用主義者であるエーリは、注意深く戦闘――それが武器を用いるものか言葉を用いるものかに関わらず――を選択し、如何なる状況下でも、(どのようなものでも)行動をする前に勝算についてを熟考する人物である。



メック: ゼウス

識別番号: LCS6701-33M
総重量: 80t
シャシー: アドヴァンスド・チャリオット・タイプV
動力: ピットバン320 ライト
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: グラスゴー・リミテッドX with/CASE
武装:
1×ドゥームバッド LRM-20 with/アルテミスFCS
1×ノース 射程延長型PPC
1×デファイアンスP5M 中口径パルスレーザー
1×シリーズ3 射程延長型大口径レーザー

コメント:
 長い年月の間にシュタイナー家のライラ共和国の極印となったメック――重厚な武装と装甲を持つ“ゼウス”は、最大限の有効性と生存性を体現すべく作られた存在である。数世紀間に渡って戦場に在るこの強力な機体は多くの改修と改良を経てきており、今日でも依然として多数が作戦に就いている事は非常に評価できるものであろう。
 “スカージ”のステファニ・エーリに操縦されている識別番号LCS6701-33Mは、実に3030年――シュタイナー家とダヴィオン家の王国が公式に合併して連邦=共和国となってから間もない時――に製造されたものである。そして後に(ライラ共和国によって)改良が施されたのであるが、連邦=共和国内戦の期間中にもこのメックは誇り高く連邦=共和国軍に属して働いたのであった。経歴の初期に“カークパトリックズ・インベーダーズ”へ仕えたエーリは、バンソンの“スカージ”への加入と共に、このメック――彼女は“バンディット・キラー”との愛称をこれに付けている――を持って来た。もっとも、彼女がこのメックを持ち出す為の許可を求めて得たのかは未だに不明確であるのだが。



氏名: アニバル“フィンガーズ”リッター (Anibal 'Fingers' Ritter)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: バンド・オブ・ファイブ
車輌: ショーデン強襲車輌
生年月日: 06/08/3105
髪: ブロンド
目: 茶

 その戦場でのニックネームが泥棒猫としての過去の人生を指し示しているにも拘らず、アニバル・リッターは実際の所はバンソンズ・レイダーズの多数の熟練した殺し屋の1人である。全く正直な所、彼の才能は天性のもので、それは彼がバンソン・ユニバーサル・アンリミテッド社の“保安部隊”の一員となる前は彼をティバルト・マフィアと結び付けていた。彼の明白な雇用は正に、共和国の億万長者と犯罪組織の間にある結び付きの可能性を強調するものである。リッター自身は彼の多数の異常者達の中でも最悪の人物の1人で、そのニックネームを“自分の犠牲者達から人差し指をコレクションする”という習癖から得ている。悪名高きバンド・オブ・ファイブの車輌指揮官として、彼はこの不気味で恐ろしい習慣を可能な時は常に継続して行っており、しばしば破壊された残骸や無力化された敵の所に入り込んでは全ての生存者達を“清掃”し、指を切り取っている――各犠牲者達から1本ずつ。最後に数えた時点では、リッターは自身のコレクションの中に70本以上の指を持っており、それぞれが愛情を込めて彼が常に携帯している特製のケースの中に保存されている。



車輌: ショーデン強襲車輌

識別番号: NC200-011A
総重量: 70t
駆動方式: 装輪
動力: 核融合 260
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
装甲: コンパウンド・ベータ
武装:
3×タイプ9・シリーズ1 アドヴァンスド・タクティカル・ミサイル
4×シリーズ2C ライト・マシンガン

コメント:
 ノバキャット氏族の“ショーデン強襲車輌”は、3062〜3063年の“第1次ドラコ連合=ゴーストベアー・ドミニオン戦争”の後に全く不意に出現した――その時、この装輪のミサイル運搬車は惑星“イレース”の新しく完成したバルセラ・ベータ工場の組立てラインにて最初に作られたのである。アドヴァンスド・タクティカル・ミサイルの3連ラックと4連のマシンガン、それに加えて危険な強打に良く耐えられる装甲により、“ショーデン強襲車輌”は防御作戦と強襲作戦の両方に長じている。
 “聖戦”の際には、ノヴァキャット氏族はワード・オブ・ブレイクの狂信者達に立ち向う中心領域とデヴリン・ストーンの連合軍を積極的に助ける最初のケレンスキーの末裔となった。そして、NC200-011A(“クローズ”)は、ノヴァキャット氏族が自分達のデルタ・ギャラクシーと共にその目的の為に派遣した装甲支援部隊の中に含まれていたのである。戦争後、車輌と乗員は両方共にストーンについて行き、建国されようとしていた彼の共和国に加入した。そして、HPG網が崩壊した時には、この車輌はスピリット・キャッツによって徴発されたのであるが、その直後にバンソンズ・レイダーズによって捕獲されたのであった。



氏名: カール“クラン・キラー”アリアス (Karl 'Clan-Killer' Arias)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
車輌: アサ中対空車輌
生年月日: 11/15/3101
髪: 茶
目: 茶

 彼の愛称が示している通りに、カール・アリアスは病理学的な範囲を相当に逸脱して、氏族の全ての事物を憎悪している中心領域至上主義者である。HPGネットワークの崩壊直後にアリアスがワイルド・ジョーカーズによって見出された時、彼は惑星“ノーファー”上のスフィア共和国の官憲から逃走中であった――そこにて、彼は主にゴーストベアー氏族のコミュニティーから来た7人の市民を殺害した事で起訴されていたのである。そして、これの以前、地元の警察は、その全てがアリアスが10代であった時にまで遡って続いている、多数の反氏族暴力活動――5件の襲撃行為と15件の重大な破壊行為――が含まれた彼の記録を持っていた。彼の憎悪の原因となったものを示す物件が何も存在しないにも拘らず、アリアスは数十年前にスフィア共和国の陰の中で組織された反氏族ヘイト・グループである“ボーン・フリー・ブラザーフッド”のメンバーとして有名であった。ワイルド・ジョーカーズとして、アリアスは今日もケレンスキーの子孫に対する自身の私的な戦争を行っており、それを近い内に取り止める如何なる徴候も見せてはいない。



車輌: アサ中対空車輌

識別番号: WX0962-104B
総重量: 55t
駆動方式: 装軌式
動力: オムニ165 核融合
巡航速度: 33km/h
最高速度: 54km/h
装甲: フォージングOTR20d with/CASE
武装:
4×タイプ・シエラ LB 2-Xオートキャノン

コメント:
 この氏族製の“アサ対空車輌”はウルフ氏族の占領地域全体の2線級防衛軍の包括的な増強の一環として、3096年にウルフ氏族の生産ラインで最初に作られた。空中からの襲撃者に対する安価な解答として、単に防御任務で役立つ事のみが意図されたこの戦車は、中量級の車輌としては限定された機動力しか所有していない。しかしながら、分厚い装甲、CASEシステムによって内部での弾薬爆発から防護されている事、4連装の長射程かつ弾薬消費の効率が良い軽高射砲により、この“アサ対空車輌”は非常事態に於いて印象的な機動砲台となっているのである。
 WX0962-104Bはウルフ氏族から入手した図面を用いて、惑星“アークロイヤル”の(追放)ウルフ氏族によって実際は製造されたものであるが、3120年代にシーフォックス氏族経由でスフィア共和国に売却された。そして、スピリット・キャッツと対しての交戦の最中に、カール・アリアス自身は自らの乗車を犠牲にしつつも、バンソンズ・レイダーズの為にこの車輌を捕獲したのであった。彼は、この“アサ対空車輌”に、“デスクラウド”と愛称を付けている。



氏名: “マグパイ”ウェブスター ('Magpie' Webster)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: バンド・オブ・ファイブ
車輌: フォックス装甲車輌
生年月日: 09/05/3108
髪: ブロンド
目: 青

 “マグパイ(カササギ)”ウェブスター――バンド・オブ・ファイブの多くの者達と同様に、彼女のファーストネームは不明である――が、そのニックネームを奉られたのは、彼女が“光り物”――彼等の武器、ナイフやコイン(金や宝石を好んでいる)を愛しているからである。彼女の可愛らしい眼、ブロンドの縮れ毛、新しく光り輝く何かを見つけた時に発する少女のような笑い声は、君を見たら即座に君の咽を切り裂くであろう彼女の本質を誤認させている。バンド・オブ・ファイブのメンバー達は、一般的に不道徳で、卑劣で、監獄に入っているのが相応しい連中であるが、“マグパイ”は特殊な事例と断言できる。我々(O5P)のプロファイルは、もし、過去一年、もしくはそれ以上の“ダガー・ダイ”ジョーンズとの姉妹的な交際が無ければ、恐らく彼女が無差別殺人鬼になっていたであろう事を示唆している。交際により、彼女は、より悪賢く、精錬された殺し屋となった――彼女によって負わされた傷であると彼女の敵が明確に知覚した時には、死につつある時なのであった。子供のような眼と外観を持つ彼女の背後に、このような悪魔が潜んでいる事実は、しばしば人々に彼女を過小評価させるべく誘導するものである。
 バンド・オブ・ファイブの多くの者達とは違う、完全なる彼女の良心の欠如は、結社(O5P)には役立つものであろう。そして、それ故に、彼女への調略の試みは開始されているのである。



車輌: フォックス装甲車輌

識別番号: FW378-20OP
総重量: 20t
駆動方式: ホバー
動力: 195ニッサンXL
巡航速度: 151km/h
最高速度: 227km/h
装甲: 2スタースラブ
武装:
2×フェルカーズ200 マシンガン
1×ディヴァース・オプティックス ER中口径レーザー

コメント:
 “フォックス装甲車輌”は、敵の数度の攻撃にも耐えられる装甲を備えた前方偵察車輌として、また、戦術的な後退に際して素早い配置転換・戦闘を可能とするスピードを持つように設計されている――車輌の連装マシンガンと中口径レーザーは、車輌が場を立ち去るまでの間、容易に敵の頭を押え続けられるのである。車輌に搭載されたXLエンジンは車輌の価格を劇的に増大させるものではあったが、ほぼ200km/hに達する最高速度は、その法外な値札よりも価値が上であると考えられている。
 戦争(の脅威)が切迫する前の谷間的な時期に、ジェイコブ・バンソン自身が欲した観測機材という事で、現行の設計は有名となった――(当時)そのような最初の戦争の1つは、HPG通信網の崩壊に続いて起こるであろうと考えられていたのである。ドラゴンズ・フューリーのアマテラスの小規模な分遣隊はこの車輌と遭遇し、そして、2時間の追跡の果てに、追跡部隊の手を避けて車輌が逃走する事を許す羽目になった。この事実は、現在のパイロットである“マグパイ”ウェブスターを、車輌に“ドラゴンズ・ベイン(竜殺し)”と名付けるように誘ったのである。



氏名: バート・ブラッドショー (Bart Bradshaw)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: スカージ
メック: アーバレスト
生年月日: 01/29/3103
髪: レッド・ブロンド
目: 青

 バート・ブラッドショーは歩くのに十分な年齢に達した瞬間から、手に収めるのが可能なもの全てをいじる事を始めた。幼年時代の初期――他の少年ならおもちゃ、さもなければ恐らく時計の分解をするであろう時期には、バートはホロ・ビデオや他の電子工学に進んでいた。10代の初期には、彼はホバーカーへ取り組み、それを分解しただけでなく元の状態に組み立て直し、以前よりも良い状態にした。彼は愛情のある家庭で育ったが故に、何が彼に現在のような人生を選ばせる要因となったのかを、我々が推し量る事は不可能である……ともかく、16歳の時には、彼は既に自動車の窃盗と破壊行為で投獄されていたのである。また、彼にはガールフレンドを殺害したとの有力な証拠――彼は決して有罪と宣告はされなかったのであるが――も存在している。釈放後、彼は素早く短い時間で、自分が誕生した世界の犯罪組織に於いて極めて良いセンスを有している事に気がついた。そして、電気に関する彼の比類なき専門的技術はどのような組織でも非常に貴重な価値のあるものであり、彼は人生で唯一の本当の望みであったもの――バトルメックの操縦法を学習する事を報酬として与えられたのである。よって、多種の犯罪、(自分に)関係のある仕事で、幾つかの世界を巡る彼が、バンソンズ・レイダーズの“スカージ”に入ったのは全く自然な事だったのであった。



メック: アーバレスト

識別番号: NC333-89X
総重量: 25t
シャシー: スターリーグNCX
動力: ヴィラー125
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: イレース・スタンダード
武装:
2×Mk.46 タイプII LRM-10ランチャー
2×シリーズ2a Mk.5 射程延長型中口径レーザー

コメント:
 バート・ブラッドショーは、単純に自分の幸運を信じる事はできない。彼は遂にバトルメックを操縦しているのみならず、現在の乗機はドラコ連合内のノバキャットの飛び領土の組立てラインから最近に出たばかりの新品の氏族による設計機なのである。その著しい火力と長射程は、このメックのサイズにしては比較的遅い速力を埋め合わせている。彼はこのメックを“フィスター”と名付けている。
 彼は(上記の事に対して)どのような質問もしてはいないが――(君は“スカージ”に対して質問をしてはならない。そして、彼は“過ち”によって自分の乗機を失う事はしなかったのである)――、この機体がどこから来たのかに思いを巡らす必要があるであろう。これは、彼が聞いたというバンソンが“氏族”も含むほぼ全ての勢力にまで及ぶ大規模のブラック・マーケットを支配しているとの噂に信憑性を加えるものかもしれない。



氏名: バージル“ジ・エッジ”コザカ (Basil 'The Edge' Kozaka)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: スカージ
車輌: J-37兵器輸送車輌
生年月日: 12/30/3097
髪: 黒
目: 灰

 長身で、濃い肌で、長い皮のコートとミラーシェードを好むバージル・コザカは、ナイフとあらゆる種類の剣をコレクションするのに取りつかれている事で“ジ・エッジ”との愛称を奉られている、人を畏怖させる男である。彼はまた、バンソンズ・レイダーズでの自身の経歴を終えかけている男でもある。ジェイコブ・バンソンの部隊の数少ない実際に良心の所在を見せるメンバーの1人として、コザカのバンソンズ・レイダーズでのメック戦士としての経歴は最近、彼の連隊長からの直接命令に反抗し、彼が男を冷酷に殺すのを拒否した際に、停止させられた。しかし、バンソンは、この才能のあるメック戦士を銃殺/処刑する代わりに、彼に尊敬を学ぶ為の稀な2度目の機会を与える事にしたのであった。どうやらバンソンは、車輌の兵站部に彼を再配属する事によって、没収される苦痛とより従順なスカージのメック戦士に仕えるのを強いる事が、コザカに忠誠の重要性を伝えるのを望んでいるようである。



車輌: J-37兵器輸送車輌

識別番号: CC0157-11D
総重量: 50t
駆動方式: 装輪
動力: 80VOX
巡航速度: 54km/h
最高速度: 86km/h
装甲: スタースラブ/3
武装:
1×チスコンプ32 小口径レーザー

コメント:
 セレス金属社によって製造された“J-37兵器輸送車輌”は、忘れ去られたアークミー・ウィジェット社によって製造された“J-27兵器輸送車輌”のより新しく、より重い改良型である。前のものよりも多くの弾薬をより安全に運ぶべく開発された“J-37兵器輸送車輌”は拡張されたフレームを備えており、それにより、脆弱で剥き出しのトレーラー・システムの必要も無しに素晴らしい積載能力を実現している。この大きなペイロード能力はまた、車輌に最前線との往復回数を少なくする事を可能にしており、車輌が敵の砲火に晒されるのを最小限にしている。
 バージル・コザカによって指揮されているこの“J-37兵器輸送車輌”は、バンソンの持つ車輌部隊の多くの様にカペラ大連邦国をその起源としている。殺人命令を拒否した事への懲罰として車輌に配属されたにも拘らず、コザカはこの危険で揺れる目標である車輌にあっても幸福な様に見える。彼の貨物を満載した輸送車輌は、しばしば、奔放なドライブに懸命な10代の若者の速度と不注意さで以って運転されているのが見られる。



氏名: ビル・メインロフ (Bill Maignlov)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: バンド・オブ・ファイブ
メック: アグロメックMOD-B
生年月日: 12/07/3102
髪: 無し
目: 茶

 大きく、筋骨たくましく、人間的な慈悲の心を全く欠いた人物であるビル・メインロフの求める名声は、自身の犠牲者を処刑するのを、それも特に残忍な方法で処刑するのを彼が好んでいる事についてのものである。そして、この残忍な方法は、彼の陰で、同僚達の多くが彼に“シュレッダー”とのあだなで呼ぶようにしているのであった。彼を野蛮なまでのレベルに駆り立てているのが何であるかについては、誰もが想像を巡らすものである――記録は、惑星“オザワ”の打ち捨てられた都市のスラムで彼が生まれ育ち、彼がまだ幼い時に彼の両親が剣を使った強盗によって残酷に殺された事を示しているのではあるが……。
 惑星の首都“サッポロ”の郊外の採掘を営んでいる一族の孤児を預かる家庭に置かれたビルは、インダストリアルメックの操縦法を学び、普通の人生を過ごすかの様に見えた。これに続いて何が起きたのかは殆ど解かっていないが、ともかく惑星“オザワ”のメインロフへの逮捕状は未だに有効であり、“サッポロ”の北の鉱山にて、口論と思われるものの最中に彼の養子関係の兄弟が残虐に殺された事と繋がっている。
 メインロフは滅多に話をせず、彼の過去を明るみに出せたり、何故、彼が戦闘で自身のアグロメックの残虐なコンバインを余りにも頻繁に使うのかを説明したりするような如何なる友もバンド・オブ・ファイブ内に持ってはいない。



メック: アグロメックMOD-B

識別番号: IMC-01943/5a
総重量: 35t
シャシー: IMヘビー
動力: コンリー105ICE
巡航速度: 32km/h
最高速度: 54km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: スタースラブ/3
武装:
1×ゼネラル・モーターズ・スーパーノヴァ2 ロータリー・オートキャノン
1×ディナポリ “グラウンドホッグ”強化型コンバイン

コメント:
 この“アグロメックMOD-B”は、先のベーシックな“アグロメック”の戦闘改造型を次の論理的な段階に運ぶもので、耐久力と戦闘での有効性を増す為にその装甲と火力を改良している。先進的で高回転のロータリー・オートキャノンを備え、厳しい乱戦に用いる事を意図してコンバインを強化したこの“アグロメックMOD-B”は、より強力なパンチとダメージへの優れた耐久性を誇っている。
 ビル・メインロフの“オールド・ペインレス”との愛称が付けられた“アグロメックMOD-B”は、彼がバンド・オブ・ファイブに加わった時からずっと彼のものであり続けている。自身の好みの武器――コンバイン――を早く見舞う事を熱望しているメインロフは、“一歩先んじたスタートをして敵へ接近する事ができる”との望みの下に後退命令を無視して、しばしば味方の隊列より前に飛び出す。一度、戦闘に加わったのならば、彼は敵に接近するまで止める事無くオートキャノンを射撃し続け、そしてその後に、その不運な敵に対して自身のコンバインを再利用可能な僅かな残骸さえも全く残さないようにするまで使う事で有名である。



氏名: シータ“ファム・ファタール”モレノ (Cita 'Femme Fatale' Moreno)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: バンド・オブ・ファイブ
メック: サンダーボルト
生年月日: 07/01/3106
髪: ブロンド
目: 黒

 長身かつ優雅で、長く豊かな髪、眩しいばかりの微笑み、鋭く人を惹き付ける眼差し、男性の心を蕩かし女性の血を凍らす声を持つ、シータ・モレノは、見かけだけは正に“ファム・ファタール(危険な魅力を持つ女)”との彼女の愛称に相応しい生活をしている。しかし、彼女の美貌の下には、宇宙空間と同じくらいに黒く冷たい心臓が存在しており、彼女が犠牲者に落とす欲望は常に流血への欲望である。破綻した家庭で生れ、幼少時に苦しんだモレノは、ほぼ宗教的狂信さで以って全ての男性を憎むようになっていったのである。以来、彼女は自分が出会った全ての成人男性の心臓(と首)を破壊する事に自分の人生を捧げており、それぞれの殺しの為に自分の美貌とハスキーな声を(誘惑の)餌として使用している。今の所は、彼女の餌食の決定には何らかの選択が存在している様であり、モレノが持つ数少ない男性の友人と同僚達は皆、彼女の危険な魅力に抗せる程には十分に賢明なのであった。



メック: サンダーボルト

識別番号: LC1603-14E
総重量: 65t
シャシー: アースワークスTDRII エンドー7
動力: マグナ260
巡航速度: 43.2km/h
最高速度: 64.8km/h
ジャンプジェット: チルトン465 ジャンプジェット
装甲: スターシールドA with/CASE
武装:
1×デファイアンス1001 射程延長型PPC
1×デルタ・ダート 長距離ミサイル15-ラック
3×ディヴァース・オプティックス 射程延長型中口径レーザー
1×ディヴァース・オプティックス 射程延長型大口径レーザー

コメント:
 65tの重量、分厚い装甲、強力な火力、ジャンプジェットの機動力を持ち、シータ・モレノによって操縦されているこの“サンダーボルト”重量級バトルメックは、紛うことなき脅威である。このライラの派生型――ワード・オブ・ブレイクの派生型を元にしたもの――は、“聖戦”の際には惑星“スカイア”の解放や“ポールスボーの大虐殺”を含む幾つかの戦闘に従事した。そのパイロットは、デヴリン・ストーンについて行き彼のスフィア共和国に入った。そして、自身の戦傷が共和国のメック戦士としての経歴を不可能なものとした事が明らかになった時に、彼はこの機体を引き渡したのである。このメックは、3100年にスクラップにされたと思われていた。しかし、どの様にして事を為したのかは未だに不明なのではあるが、HPGの崩壊直後にバンソンズ・レイダーズはこれを表に出してきたのであった。
 モレノは、この“サンダーボルト”に“スカーレット”と愛称を付けている。戦闘の際、彼女は決まって開かれた通信周波数上にて自分の敵を嘲弄し、人を惹き付ける自分の挑戦に応じる最初の男性の声を聞くべく耳を澄ます。それから、彼女は、それらの英雄志願の者達を選び抜いて射殺する事を大いに楽しむのである。



氏名: チャック“タッカー”オレス (Chuck 'Tucker' Oles)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: バンド・オブ・ファイブ
メック: マングースII
生年月日: 02/07/3095
髪: 赤
目: 茶

 チャック・オレス(彼はまた、タッカーの名前にも返事をする)は、恐らくバンド・オブ・ファイブよりもワイルド・ジョーカーズに適した候補者と成り得たであろう――戦闘の狂熱の中で、彼の2つの主要人格が殺人狂じみたものになるとの事実が無ければだが。しかしながら、精神分裂病者で躁鬱病者である事が証明されていたとしても、最初にバンソンによって“発見”されたオレスのメックを操縦する能力は考慮すべきものである。想像上の“兄弟”(彼等の明白な違いは度外れた叫び声の悪態の好みのみである)と完全な会話をする彼の持つ習癖は、彼がメック戦士として訓練を受けた時には単純に見逃されたのであった。
 戦場で時々起こる、彼のチャックとタッカー間での人格の交替は彼の同僚達を混乱させる傾向があるが、両者が共に破壊へ非常な喜びを覚えるという事実により、どちらの人格が彼を支配したにしてもオレスが有力な脅威で在り続ける事を“彼等”は確実にしているのである。



メック: マングースII

識別番号: CS354-11R
総重量: 40t
シャシー: アルシャイン・タイプ69-40S
動力: 320ピットバンXL
巡航速度: 86km/h
最高速度: 130km/h (173km/h with/MASC)
ジャンプジェット: 無し
装甲: スターシールド・スタンダード
武装:
1×ディヴァース・オプティックス・サンビーム 射程延長型大口径レーザー

コメント:
 コムスターの古き“マングース”の改良は、オリジナルよりも頑強で、速く、より一層効果的な偵察機にするものであった。隠れた敵部隊の発見と、その敵部隊への効果的な火力の集中を補助する為に作られた事は、“聖戦”の際にこのメックを理想的な“追跡メック”にした。しかしながら、この型は、その操縦者がデヴリン・ストーンの共和国に加入して間も無く、内部の高度な通信装置を精密な照準コンピューターと交換したのであった。このコンピューターは、“マングースII”が所持しているレーザーに強化された精度を与えている。
 チャック・オレスは自分の“マングースII”に“リッキー”との愛称を付けているが、伝えられる所では、タッカーはその名前を酷く嫌っているとの事である。戦闘時には、チャックは敵を素早く撃破する事を望み、敵部隊を発見すべく機体のセンサーを使い、敵の側面へ回り込む事を好んでいる。タッカーは、より直接的な方策を好んでいる――彼は敵を強く掴まえ続けて致死的な打撃を与える為に、高速で接近をし、機体の優秀な近接戦闘能力を使うのである。



氏名: “ダガー・ダイ”ジョーンズ ('Dagger Di' Jones)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
メック: ハチェットマン
生年月日: 04/04/3112
髪: 赤
目: 茶

 “ダガー・ダイ”ジョーンズの本当の名は、ダイアナ・ジョーンズである――しかし、彼女をその名で呼ぶのは賢明ではないと言えるであろう。スフィア共和国がその革命的な理念・経済の結果として、国内に貧困世界は無いと喧伝するのを好んでいたとしても、真実がどこで明らかになるのかを探すのは十分に容易な事である。ジョーンズは、この現象に全く十分に合致した存在であり、彼女がスフィア共和国でもひどく貧しい世界――第10宙域の惑星“ヨリイ”……皮肉な事に最も貧しい世界であった――のメイン・ストリートで育った事はまた、人類の“黄金”の揺篭に最も近い世界の1つが我等が結社(O5P)から失われた訳ではない事を示すものである。
 自分自身を唯一の拠り所とするジョーンズは、その孤高の姿勢のみならず、彼女自身の生存能力により、急速に名を揚げていった。彼女がダガー(短剣)を使う事が最初に知られたのは、12歳の時である。その時、酔っ払いは小さな子供へ自分の“流儀”を実行できると考え――自身の腹を切り裂かれた事により、別の“流儀”を学ばされたのであった。そして、彼女のダガーを使う才能は、程無く彼女のニックネームへと到ったのである。
 ワイルド・ジョーカーズを編制する為の召集が発せられた時、ジョーンズは既に第4宙域に入っており、素早くこの寄せ集めの部隊に適応していった。異性に対して全くの軽蔑を抱くのが彼女の常の傾向であったが、彼女は部隊へ入隊した殆んど直後からジャック・ファレルと激しい結び付きを持つようになった――我々(O5P)は、彼等の悪名高い諍いの内の1つは、ジャックの現在のニックネームである“隻眼”へ直接に通ずるものであると確信している。他に判明している唯一の彼女の関係は、“マグパイ”ウェブスターとのものである――彼女等が姉妹であるとの噂が幾つかあるが、その信憑性は薄いものである。

(訳注: “Di”は、“Diana”の短縮形です)



メック: ハチェットマン

識別番号: TR248-22X
総重量: 45t
シャシー: チャリオット・タイプII
動力: GM180XL
巡航速度: 43.2km/h
最高速度: 64.8km/h
ジャンプジェット: ルクソール 2/Q
装甲: デュラレックス・ミディアムスタンダード
武装:
1×デファイアンス3BM 射程延長型中口径レーザー
1×インペレーターオートマチック ウルトラ-10オートキャノン
1×デファイアンス・タイプG3 メック・ハチェット

コメント:
 鋭利な全ての物に対して抱かれる自身の情愛により、最初に“ダガー・ダイ”ジョーンズがバトルメック“ハチェットマン”を見た時に起きた事象は単純であった――彼女は一目惚れをしたのである。そのメックを占有していた前任者はメックの操縦権維持に関心を持っていたが、しかし、彼女は素早く、多くの血と幾らかの皮膚と共に、彼の所有権への概念が間違いである事を納得させたのであった。
 良好に完成された中量級メックである“ハチェットマン”は、3023年に生産されて以来、有力な設計機として知られている。劣化ウランの刃を持ったハチェット・ブレード――彼女は既に、メックの頭部もバターにホットナイフを入れるが如く切り裂ける事を証明している――の為に、彼女は他の型のメックを操縦する事を想像できずにおり、如何なる計画も持ってはいない。もし、彼女の“ダガー”が死ぬ時があれば――そう、彼女も共に死ぬのである。



氏名: ジョイナー“ジャブ”シムス (Joyna 'Jab' Simms)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: バンド・オブ・ファイブ
メック: マッドキャットII
生年月日: 04/04/3098
髪: 黒
目: 黒

 漆黒の衣服の好み、常に乱れた髪、野性的な瞳、レールの様な細さの肉体――これらによって、背筋の凍る禁忌が覆い隠されているジョイナー・シムスは、群衆の中から見つけ出すのは容易でないであろう。しかし、刺青によって部分的に隠された儀式の傷跡と彼女の左脚に代わって取り付けられたタイプIVの義足は、“カーリー”――“サギー教団”(インド系の暗殺教団)の一員として彼女が公然と崇拝する死の女神――の名に於いて彼女が為した苦痛と犠牲の生涯を明らかにするものである。バンソンの保安軍の一員になりバトルメック訓練を受ける前は、シムスは裕福な家庭で育ち、自分の故郷である惑星“ウェイ”の格式ある大学に通っていた。いつ、どのようにして、彼女が凶暴なサギーの信仰へと改宗したのかは未だに不明であるが、彼女の戦場での振舞は彼女が狂信的にそれに帰依している事を明瞭に実証している。バンド・オブ・ファイブの同僚の戦士達でさえも、ジョイナー・シムスを酷く恐れて避けている。



メック: マッドキャットII

識別番号: WX001-04X
総重量: 90t
シャシー: DCSAM エンドー4
動力: タイプ79 360XL 核融合
巡航速度: 43km/h
最高速度: 65km/h
ジャンプジェット: グランドスラストMk5
装甲: インプルーブド・ブラスターズ・モデルX2
武装:
1×タイプ・フィー ウルトラ-20・オートキャノン
1×シリーズ4D-2 大口径ヘビーレーザー
1×シリーズ6A 中口径ヘビーレーザー

コメント:
 “氏族戦争”の終結から間も無く、シーフォックス氏族(旧名ダイヤモンドシャーク氏族)は、他氏族への販売用にオリジナルの“マッドキャットII”強襲型メックを作り上げた。この重武装/重装甲の機体は“聖戦”の全期間を通して全力で生産され、ワード・オブ・ブレイクに対抗する同盟軍の軍事作戦の多くで役立った。ジョイナー・シムスによって操縦されているこの1機は、しかしながら、機動力増加の為にその伝説的な火力を犠牲にしてジャンプジェットと熱処理能力を改良した、ウルフ氏族の極最近の実験的な改良型である。
 我々の調査は、WX001-04XがHPG網の崩壊後すぐにウルフ氏族の包領に対して行われて成功した襲撃の際に、バンソンに忠実な傭兵部隊によって実際に捕獲されたものである事を示している。自身の神を崇めてこのメックに“カーリー”と名付けたシムスは、機体を破城槌の様に用いるのを好んでおり、前方に突進し、敵ユニットと一般市民にも同様に、全力の一斉射撃の“ジャブ”の攻撃を放つのであった。



氏名: ララ“デッドアイ”ヤニク (Lara 'Deadeye' Janik)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
車輌: DIモーガン強襲戦車
生年月日: 06/15/3111
髪: 黒
目: 緑

 ララ・ヤニクはバンソンズ・レイダーズの新人の戦車指揮官である――しかし、すぐに彼女は正確無比な射手の1人として、ワイルド・ジョーカーズ連隊で名声を勝ち取った。彼女は古い弓から現代のオートキャノンと粒子兵器までの様々な形態の武器の訓練を受けた射撃の名手であり、娯楽と名声の為に多くの異世界にてエキゾチックな動物相を狩ってきていた。更に、ララの技能は、共和国全域の大物狙いのハンター達用に多くの地方局へ配信されるホロ・シリーズをも勝ち取らせていたのであった。
 最近、ララは、バンソンズ・レイダーズ――新たに創設されたワイルド・ジョーカーズ連隊を完全にするのを目指していた人物――の注目を捉えた。多くの地方局に配信されるスポーツ・ウーマンとしての職がHPG網の崩壊により急に終らされた事により、ララは彼等の申し出を受け入れた。そして、最小限の訓練で強襲戦車の砲手は作り出され、その強襲戦車は惑星“アディックス”で5機のメック撃墜を記録した時に彼女の所有物となったのであった。
 戦車乗員の指揮官としてのララは、際立った戦術家には程遠い事が証明されている――しかし、この欠点にも拘らず、自分の武器の通常の有効距離を遥かに越えて目標に命中させる能力により、彼女は依然として注目に値する存在である。



車輌: DIモーガン強襲戦車

識別番号: LAT111-DM1a
総重量: 100t
駆動方式: 装軌式
動力: GM300XL 核融合
巡航速度: 32km/h
最高速度: 54km/h
装甲: デュラレックス・スーパー・フェロファイバー
武装:
3×デファイアンス1001 射程延長型PPC
2×コベントリー・ライトオートガン マシンガン

コメント:
 一度に複数の敵ユニットを目標にする為に、重武装、重装甲、装備が施された“DIモーガン戦車”(モーガン・ハセク=ダヴィオンに敬意を表して名付けられた)は、惑星“ヘスペラスII”がブレイク教徒の“聖戦”から解放されてすぐに、惑星上にあるデファイアンス・インダストリー社の工場ラインから出現した。しかし、ライラ同盟で最大の軍の製造施設であるデファイアンス社は戦闘によって大損害を被っていた。故に、彼等はシュタイナー家の大打撃を受けた軍隊を再武装するのに必要とされたメックと車輌の驚異的な需要に対処する為に、自分達の設計の多くを他のライラの工場にライセンスしたのである。
 スフィア共和国の成立の際、これらの車輌の幾つかはデヴリン・ストーンへの忠誠を宣言したシュタイナーの部隊の一部であった。識別番号LAT111-DM1aは、惑星“ヘスペラス”のデファイアンス・インダストリー社の製造工場から直接に来た少数の“モーガン戦車”の1つであり、その1回の斉射で放つ事が可能な3条の人工の稲妻に関連して現在の乗員達から“トリプル・ボルト”との愛称を奉られている。



部隊: バーンズ・キラークラウンズ (Burns' Killer Clowns)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
ユニット種別: 特殊部隊

 もし、ワイルド・ジョーカーズを真にバンソンズ・レイダーズで最もクレイジーな戦士達であるとしたのならば、即ち、そのキラークラウンズ歩兵部隊の“軍曹”ヘラシェル“ドン・ハース”バーンズの指揮下にある特殊部隊こそがクレイジーの中でも最たるクレイジーである。ワイルド・ジョーカーズの多くと同様に、クラウンズは雑多な技能に最小限の正式な訓練を加えた急造部隊であり、その特殊部隊は犯罪者・賞金稼ぎ・傭兵崩れ達の集団に過ぎない。彼等はバンソンによって認められた仮想の私掠許可証の下に働いており、それにより彼等は彼等の緩やかに組織化されたミニギャング集団に於いて自分達の最大限の破壊の才能を思いのままにする事を可能とされているのである。
 非常に驚くべき事に、命令に対する規律が欠如しているにも拘らず、この“特殊部隊”の群れは戦場に於いて極めて有力である。彼等の戦術はしばしば論理を超越しているが、その幾人かの男女達がバトルメック操縦についての基本的な訓練を受けている事と、事実上全員が多様な小火器や爆発物、隠蔽、登攀に熟練している事により、このクラウンズは戦闘の最中に敵のメックを捕獲して奪い取るので非常に有名である。これらの向う見ずな荒くれ者かつ反逆者達は戦場外であらゆる種類のトラブルを引き起こす事になる驚異的に高い損耗率と気質を持っているのであるが、彼等の能力は戦闘に於いて彼等を非常に貴重な資産へとしているのであった。



部隊: キレン・キラークラウンズ (Killen Killer Clowns)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
ユニット種別: 迫撃砲隊

 このキラークラウンズの迫撃砲分隊は、実にぞっとする見掛けである。企業の保安部隊、落ちぶれた傭兵、各種の犯罪者に等しい悪漢達の混合物によって人員が充当させられたこの典型的なクラウンズの迫撃砲歩兵分隊は、銃を持った子供と同じくらいに危険――そして偶に悲惨――である。現在、“軍曹”リチャード“ディッチ・ディガー(溝掘り人)”キレン――“度を超えた熱意”の為に娯楽産業での特殊効果担当の職を解雇された男――によって指揮されているこれらの兵士達は、その結果に殆ど注意を払わずに自分達の仕事を行っている。
 分隊の損耗を予想されるものよりも低くする為には、バンソンズ・レイダーズはこのクラウンズの迫撃砲分隊に、例によって指揮官として兵器の専門家を割り当てたら良い事を知ってはいた。理論上、この事は隊により効果的にその一斉射撃と砲撃をセットアップするのを可能としている――しかし、相対的に正規の訓練を欠いている事とキレンの調整センスの欠乏は、その多くが不正確な一斉射撃となるとの結果に至らせているのである。しかしながら、彼の隊にとって幸運な事に、現在までの所、全ての誤射は敵側の戦線に落下しており、時折、それは予測のできない結果を起しているのであった。



部隊: ベイイン・キラークラウンズ (Bayin Killer Clowns)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
ユニット種別: 戦闘工兵隊

 このワイルド・ジョーカーズ連隊のキラークラウンズは、バンソンズ・レイダーズのその他の最底辺に分類された戦闘部隊と良く似て、緩やかに組織されている、一匹狼・犯罪者・傭兵崩れ達の規律の無い集団である。しかしながら、かような好ましくない者達の中からでさえも1人は才気縦横かつ危険である男性か女性を見つけられる可能性はあるかもしれず、このクラウンズの工兵分隊の中に於いてこそ、それがどこよりも明白なのである。
 元はスフィア共和国軍のエリートであるハスタティ・センチネルズの為の工兵中隊にて訓練を受けて勤務していた“軍曹”カーリャ“ボムシェル(爆弾)”ベイインによって指揮されているこの戦闘工兵分隊は、その作業の危険な性質にも拘らず全てのキラークラウンズの中で最も低い損耗率しか被ってはいない。ベイイン――謎めいた理由により免職された人物――は、自身の部隊内の男女に如何なる好意も抱いていないと公言している。それにも拘らず、自らの隊が砲火の下で可能な限り安全に地雷を除去し、橋を爆破し、堡塁を作り上げるのを可能とするのを確実にする為に、彼女は多大な努力を行っているのである――そして、彼女は大抵の場合に於いて、必要ならば、負傷した戦友を引き出す為に戦場に突入する準備ができているのであった。このプロフェッショナリズムこそが、このクラウンズをワイルド・ジョーカーズの中で最も有力な部隊へとしているのである。



部隊: カッター・キラークラウンズ (Cutter Killer Clowns)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
ユニット種別: 偵察ATV隊

 ワイルド・ジョーカーズのこのキラークラウンズの歩兵部隊が、犯罪者、不運なケースの者、その他の社会の外辺の屑達の集団である事には、誰も驚きはしないであろう。しかし、このクラウンズの偵察分隊への考慮をする時のみは、ジェイコブ・バンソンの勧誘員達の目利きの真の深さの度合が明白になる。このキラークラウンズの偵察ATV分隊は、かつては惑星“ティバルト”の首都かつバンソン・ユニバーサル・リミテッド社の中心地である“マクベス”のストリート・ヴィークルギャング、“ホイール・オブ・ファイアー”として知られていた。HPGが停止した時、大胆なるバンソンズ・レイダーズの勧誘員はそのリーダーの“マッド”マティウス・カッターにアプローチをした――そして、その後については承知の通りである。
 現在、カッターのギャング達は、彼等が育った都市の戦場で彼等がしていたのと全く同じ様に、全員が病的な冒険心と自らの安全でさえも向う見ずに無視して自分達の持つバンソン供与のATVで戦場を駆け巡っている。これらの若い命知らずのドライバー達は、戦場から多くのトラブルを片付けるのと同じくらいにトラブルを引き起こす事を楽しんでいる。通常の歩兵部隊はしばしば、これらの車輪で動き回る過激な戦士達の全くの壮観さによって圧倒されるのであった。



氏名: ケイター・ガオ (Cater Gao)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
メック: ワスプ
生年月日: 09/23/3102
髪: 黒
目: 茶

 背が低く、恰幅が良く、騒々しく、自分と同じくらいの頻度にて戦場で敗北を経験する人に対しては非常に友好的であるケイター・ガオは、恐らく、ワイルド・ジョーカーズという精神病院に全く相応しい人物の1人であろう。黒い肌と黒い髪をしたサンタクロースに似た性格により、ワイルド・ジョーカーズがこの奇妙な男とのトラブルに直面する様な事態はまだ起ってはいない。ガオの経歴内には、何故、彼がこの様になってしまったのか、という事に何らかの説明を提供できるものは殆どない――彼の以前の経歴は僻地の惑星“デーヴィッド”でのインダストリアル・メックの操縦であり、そこで彼に心的外傷や特徴的な出来事が起きた様には見えないのである。彼はまた、一般的な食べ物でない限りは耽溺する事はなく――これは彼の不健康な巨体についての説明には全くならないものである――、規制薬物や麻薬に全く興味を示さない事で知られている。しかしながら、その冴えない戦闘技能から、ガオの快活さが実際には他とは異なるその脆弱な自我の為の防護機構である、との可能性が存在するものである。



メック: ワスプ

識別番号: CF6170-45E
総重量: 20t
シャシー: ヘレスポント・タイプW エンドースチール
動力: マグナ140
巡航速度: 75.7km/h
最高速度: 113.5km/h
ジャンプジェット: ヘレスポント・リーパーズ
装甲: デュラレックス・スペシャル・ヘビー
武装:
1×マーテル 中口径レーザー
1×マクシミリアン・デスシャワー ロケットランチャー10-ラック

コメント:
 元は25世紀後半に地球帝国用に開発された“ワスプ”は、今までに製造された最古の偵察メックである――そして、この由緒正しい機体はまた、最も長く生産され続けているものでもある。かような次第でこれには数世紀の間に無数の派生型が出現しており、その中にはより大きいエンジンと多少限定的なものとはいえ手堅いダメージを与えられるコンパクトなロケットランチャー・システムを搭載したこの昨今の型も含まれている。
 CF6170-45Eは、元は“聖戦”の終盤に滅亡させられた辺境国家のコンパス座連邦にて製造されたものである。この捕獲された機体はデヴリン・ストーンに忠誠を誓う部隊によって所有が主張され、3081年のスフィア共和国軍の創設時にその軍内に組み込まれた。しかしながら、HPG網が機能を停止した後、この機体はどの様にしてかバンソンズ・レイダーズの手に落ち、そこにてワイルド・ジョーカーズに配備された。ガオはこの機体を“ジョリー・ロジャー”と名付けており、これは恐らくこの機体の出自と彼の個人的な世界観を洒落たものだと思われる。



氏名: スージー“クッター”ファルソン (Suzie 'Qutter' Falson)

所属勢力: バンソンズ・レイダーズ
所属部隊: ワイルド・ジョーカーズ
メック: ゴースト
生年月日: 11/02/3102
髪: 黒
目: ヘイゼル

 スージー・ファルソン(“カッター”を“クッター”と発音したあだ名で通っている)は疑いも無く、ワイルド・ジョーカーズ連隊で最も不安定なメック戦士の1人である。幼少時代に何らかの形態のトラウマ被ったと思われるファルソンは、あらゆる形態の刃物や切断道具に心配な程に取り付かれているのである。この強迫観念は彼女に古風な手斧からアンティークのハサミ、現代的なチェーンソー、装甲切断用のプラズマ・トーチまでにも渡る約5000個の別々の切断装置の個人的なコレクションを集めるようにさせている――そして、彼女はそれらの全ての扱いに熟練しているのであった。HPGが消滅した時、ファルソンはバンソン・ユニバーサルの主催の下、惑星“ティバルト”の森林地帯で働いている伐採メックのパイロットであった。何が彼女のレパートリー内により致死的な武器を加えるのを彼女の上司に強いさせたかは誰にもわからないものであるが、今日、彼女はバンソンズ・レイダーズの中で最も多彩で危険な個性を持った人物となっており、自分のバトルメックのチェーンソーで以って敵のメック/戦車/歩兵を切り刻む為に戦闘の真っ只中に飛び込むのがしばしば見られている。実際に出会った事は一度もないが、バンソンズ・レイダーズ内の噂により発生したライバル心は、スージーと“ダガー・ダイ”ジョーンズ(刃物を趣味で使用しているバンソンズ・レーダーズのもう1人の派手なメック戦士)との間で火花を散らしている――これは我々(O5P)の目的に適している際には利用するべきものであろう。



メック: ゴースト

識別番号: BU145-23A
総重量: 50t
シャシー: GST-ライト エンドースチール
動力: デファイアンス300 ライト・フュージョン
巡航速度: 65km/h
最高速度: 97km/h
ジャンプジェット: 無し
装甲: デュラレックス・ヘビー with/CASE
武装:
2×ターヘス・サンダーボルト12 大口径パルスレーザー
1×デファイアンスE5L 射程延長型小口径レーザー

コメント:
 ワード・オブ・ブレイクの“聖戦”の後期に登場したこの50tの“ゴースト”は、ハンター/キラー任務用に開発されたものである。その卓越した地上速度と恐るべき中距離兵器の砲列、軽量エンジンと軽量内部中枢の使用により可能となったその設計、より多くの重量を装甲と兵装へ割り振った事は、致死的かつ耐久性のあるバトルメックを作り上げたのであった。
 識別番号BU145-23Aは、バンソン・ユニバーサル社の所有する私的な保安部隊によって使用する為に実際に製造されたものである――しかしながら、一般的なインダストリアル・メックに偽装する為に、それにはそのレーザー砲群に加えてチェーンソーがこれ見よがしに装備されている。HPGが停止する正に直前に、この本物のメックはつや消しの黄色と一般的なフォレストリィ・メックの警告色の縞模様を派手に塗られていた。チェーンソーと3連の対装甲レーザーの両方を装備したこの“ゴースト”は、その現在のパイロットのスージー“クッター”ファルソンと彼女の個人的な近接戦闘のスタイルに特に適している。ファルソンは、このメックに“ミート・グラインダー(肉挽き器)”との愛称を付けている。



BACK