解放部隊
このサミュエルの治世に於ける重要な遺産は、かの総帥が創設したものではなく、SAFE秘密作戦副補佐官のエリン・マーデン=スマイスの手により生まれたものである。失機メック戦士一族の一員であった彼女は中心領域中の自分達の様な集団に蔓延っている不満(特に、彼等が抱いている自らの政府に対する不満)を正確に認識しており、ライラ宙域とカペラ宙域内に存在するかような一族で不正規部隊を作る事を提案したのである。彼女は限定的な予算を獲得し、惑星“カリソン”と惑星“シャイロー”にて2グループの男女達を勧誘し、それらの不正規部隊を“解放部隊”と名付けた。その隊員達へはリャオとシュタイナーの惑星群のインフラストラクチャーを混乱させる事が奨励され、また、その隊員達はもし自由世界同盟軍がその後に目標とした惑星を解放した場合には多大な報酬(これには彼等の失機者の身分からの救済も含まれていた)を与えるとの約束で以て嗾けられた。解放部隊の指導者達は特別な訓練――爆発物取扱い・小火器・宣伝・心理戦・暗殺と破壊工作実行などの技能訓練――が施され、それらの技能を自分の部下達へ伝える事ができる様にされた。この試みは文句の言いようのない成功を収め、解放部隊群によって引き起された混乱は自由世界同盟軍の作戦に大いに寄与した。そして2930年が終る頃には、半ダースの追加の解放部隊が自由世界同盟の敵に対する活動を開始していたのであった。彼等は、氏族の侵攻が開始されるまでは自由世界同盟の軍事行動の要であり続けた――“ツカイード”後の緊張緩和の期間中に、彼等の大部分は撤退させられるか休止状態にされる事となった。 |
(↑“35019 Handbook: House Marik”からの抜粋)
自由世界同盟の独特の不正規部隊である“解放部隊(Liberation Units)”についての記事です。地位回復を餌に敵国の失機者達を取り込んで、自分達の手駒にすると言う発想から生まれた部隊です。これはかなり効果的なやり方に思えるのですが、不思議な事に自由世界同盟以外ではこの種の部隊の編成を国家的かつ恒常的にやったという記述が少ない様に見えます(ライラ共和国ですと、第4次継承権戦争の前にラサルハグ人の秘密部隊“ティール”を創設したのがこれに近い例でしょうか)
他国に比較すると貴族制度が非常に緩く中心領域で最も自由な国家である自由世界同盟だからこそ手広く編成できる部隊なのかも知れませんね。