PERSONALITY: Janos Marik


名前: ヤノス・マーリック
称号/階級: アトレウス公、“ザ・マーリック”
地位: 自由世界同盟総帥
生誕地: 惑星“マーリック”
年齢: 68
性別: 男性

略歴:
 ヤノスは、現在の5つの継承国家の軍指導者の中で最年長である。彼が実父のステファンから継承した自由世界同盟は全く異なる公国と人物達により細分化されている獣であり、その各々が独自の目的に基づいて同盟議会を動かす事を試みているものであった。並外れた外交能力と展望を持つ1人の人物のみが、これらの争い好きの個人達を結び付けて結束した一団へとしているのである――そして、ヤノスは辛うじてその様な人物であり続けているのであった。かなりの能力を持つ行政官かつ有能な戦術家である彼は、毒舌家で、短気で、傲慢な人物であり、この事は(彼の実弟のアントンを含む)多くの者達を離反させている。自分の領土内の広範囲に渡る世界群を直接的な官僚政治管理下に置くという彼の野心的な政治計画は、確固とした成果を余り収められてはいない。彼の努力の最終結果は、失敗したクーデター、失敗した暗殺の試み、失敗した血腥い反乱、という一連のもので終っているのである。そして、それらは全世代のメック戦士達の力を消耗させ、マーリック家の一族の富を減少させてもいる。
 ヤノスが持つ主な具体的な業績の1つは、 “カプテイン協約”――マーリック家、クリタ家、そして自由世界同盟の長年に渡る宿敵で多産なリャオ家との間での協約――の調印であり、これはカペラ大連邦国国境沿いでの戦争の脅威をともかくも一時的に取り除きはしたものである。しかしながら、この行動でさえも、マーリック家に最も伝統的に忠実である支持者達からの政治的反抗を引き起した。オルロフ公国とシリウス連合から選出された同盟議会議員達は、カペラ戦線の終結は戦利品や領土を獲得する為の自由世界同盟にとっての最高の機会を無にするものである、と声高に主張したのである。
 ヤノスはその2人の妻との間に10人の子を儲けている(そして1ダース以上の非認知の私生児が存在していると噂されている)が、この豊富な継承者の存在は、ヤノスの後継者についての疑問を明らかにすると言うよりもむしろ曖昧なものにしてしまっている。彼の長男のマーティンは、3018年に暗殺されている。彼の次男のジェラルドは、アントン公の反乱の共謀者として裁判に掛けられ処刑されている。今日も生き残っている6人の子の内、現在の所はダガン・マーリックのみが自由世界同盟の政治社会や軍事社会に於いて著名であり、彼が総帥の責務の継承者になるのではないかと多くの者達に思われている。しかしながら、ヤノスはダガンの権利主張に対しては何の公的支持もしておらず、この事はヤノスの甥であるダンカン・マーリック将軍等々の他の者達が玉座に対する彼等独自の野心を宣言するという勝手を許させてしまっているのであった。

性格:
意欲/欲求/目標:

 “カプテイン協約”に署名して以来、ヤノスはその新たな“同盟者”への監視の目を維持すべくリャオ国境沿いでのSAFEの活動を拡大させている。彼は、1つの国境域での戦争行為の中止と自らの敵の敵(クリタ家)との公的な結び付きが、近年のシュタイナー国境沿いでの自分の多数の軍事的敗北を終らせる為の最高の機会を与える事を信じている。

様子
 ヤノスは自分の支持者達の誠実性の欠如に深く苦しめられてきており、自分が未だに信頼できる親友達――オリエント公クリストファー・ハラス、同盟議会議長ヘクター・スチュアート、同盟総務議員“左手”イーストウィック、影響力を増しつつある自分の情人のブロンウェン・ラフサーニ――の小集団の中に引き籠もっている。

特技/能力:
 ヤノスが実際には後継者を選んでいる――現在、司祭かつ技術者としてコムスターで任に就き自由世界同盟外に存在している彼の第7子のトーマス・マーリックを選んでいる――のを知っている、もしくはそれを疑っているのは、一握りの人々しか存在していない。この決定を公表する事は、ヤノスが死亡する前にそれが為されたか死亡した後にそれが為されたかに拘らず、多くの者達を仰天させると思われる――そして、更なる内戦を誘発させる可能性が大いにあるものである。



私評:
 第48代自由世界同盟総帥であるヤノス・マーリックは、苦難に満ちた人生を歩んでいます。彼はそれなりの能力のある政治家かつ軍人でしたが、分裂傾向のある自由世界同盟を完全に纏める事はできませんでした。青年時代には友と兄弟に囲まれ覇気と活力に満ちていた彼も、次々と裏切りに襲われるにつれ、段々と人が変わっていきました。そして、人が変わった後のその強い保守的傾向・独断的性格・陰気な物腰・内向性は人々から好意を得られるものではなく、対立相手との和解を阻む障害にもなったのです。
 過去に様々な裏切りを経験してきた彼は自分の一族も信用する事はできず、息子のトーマスを後継者と定めた後は継承権を持つ他の子供と親族達を互いに争わさせる事で時が来るまで力の均衡を保とうとしました。しかし、このやり方は逆効果となります――3030年にヤノス・マーリックが心筋梗塞で倒れた際、アンドゥリエン公国のキャサリン・ハンフリーズはマーリック一族内の不和を見て自分の自由世界同盟からの独立の企てを止める力はないと確信してしまったのです。結果、自由世界同盟最大の危機となるアンドゥリエンの独立宣言と後の“アンドゥリエン戦争”は勃発する事になりました。
 心筋梗塞で倒れて以降、彼は療養に専念して不屈の意志で以て3035年には奇跡的に健康を回復し、当時摂政を務めていたトーマス・マーリックから再び実権を取り戻します。そして、一族の主要メンバーを集めた戦略会議を開催した際に、その会場に仕掛けられていた爆弾の爆発により命を落す事になります。
 後の自由世界同盟の歴史家達は、もし、ヤノスがより長く生きていたのならば結果的に自由世界同盟の内戦状態はもっと長く続いたであろう、との見解を出しています。ヤノスにとって不幸な事に、爆弾テロは彼の名声が以後に損なわれるのを救ったかもしれない側面があります。彼は、バトルテック世界の時代が次の世代へと移っていくのを表す象徴の1つだったのでしょう。


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