出典: Dropships and Jumpships
スカウト級航宙艦
重量: 79000t
規模:
全長: 273m
帆直径: 890m
乗員数: 17人、気圏戦闘機操縦士1人
降下船搭載可能数: 1
駆動システム: KF マークIIb
小型船定数: 1
製造年: 2712年
目撃頻度: アンコモン
スカウト級航宙艦 K-F機関強度: 3 エネルギー収集帆強度: 3 位置維持機関: 0.2G ドッキング・ハードポイント: 1 小型船収納室: 1 小型船隔室扉数: 1 重力デッキ: 無し 燃料数(1噴射点/2t): 92 燃費: 9.77t/噴射日 艦橋: 放熱器数: 0+121 |
重量 |
装甲値(8点/t): 320 司令区画 艦首 右側面 左側面 貨物区画 右側面 左側面 機関区画 右側面 左側面 位置維持機関 武装: 無し |
40 |
概要:
“スカウト級”は、今日使用されているものの中で最小の航宙艦である。この船の重量は79000tで、1隻の降下船を運ぶ事が可能である。その小さな搭載能力により、スカウト級は軍用の船となっている――その維持費用と限られた輸送能力はこれを商業に用いるのに非常に効率の悪いものへとしているのである。
このスカウト級は大体273mの全長であり、完全に展開した場合は890mの直径となる跳躍帆を持っている。スカウト級のずんぐりとした形状は、この船のカーニィ=フチダ機関が他の船のものよりも短いとの事実に帰するものである。
この船の前部は球根型の司令セクションとなっており、そこにて乗員は生活と仕事を行っている。そこは18人までの人員を居住させる事が可能で、大規模なレクリエーション施設と医療施設を備えている。その広大な艦橋は、ジャンプ航行に於いて必要な重要な計算を行う為の大規模なコンピューター・ネットワークを備えている。この船の貨物区画は、450tまでの物資と装備を収容可能である。スカウト級の貨物ベイへのアクセスは、この船の下側――降下船のドッキング・ハードポイントの隣――に位置する巨大なエアロック区画を通して行う。この船の側面は、生じる可能性のある接舷攻撃を防ぐ為の1機のシャトルか気圏戦闘機を収納する小型船収納ベイとなっている。
この船の後部の端はエンジン区画となっており、そこには船の核融合エンジン・コア、核融合パワー・プラント、水素燃料タンク、各種パワー・コンバーター、跳躍帆の装備が位置している。この区画は通路が縦横に交差しており、技術者達がダメージを受けた区画にアクセスする事を可能としている。また、通常は人員が配置されてはいないが、ここには小さな機関隔室が置かれている。この隔室は、多数の予備システム用の相当量の監視・制御装置を有している。
この船の全長に渡って走っているものは、カーニィ=フチダ機関を収納した円筒形のシャフトである。そして、主要な制御ケーブル・ネットワークを内包した巨大な通路が、機関制御センターから艦橋までを機関沿いに走っている。
貨物区画の外部に取り付けられているものは、スカウト級に1隻の降下船の接続を可能とする巨大で広大なドッキング環である。このドッキング環は、航宙艦が25000tまでの降下船を接続したまま加速するのを可能とするべく強化されている。その様な事は稀であるが、スカウト級はそれが可能な数少ない航宙艦の1つである。最大推力時、この船は降下船を接続した状態で0.1G、接続していない状態で0.2Gを達成する事が可能なのである。
スカウト級の他の航宙艦に勝る最大の長所は、その比較的小型のサイズと全体的に小さなジャンプの痕跡しか作り出さない事である――これは(スカウト級の)探知を困難にしている。そして、この事は、それを単独の偵察任務や奇襲に理想的なものへとしている。また、スカウト級の持つ小型のカーニィ=フチダ機関のお蔭で、それは標準的なサイズの航宙艦が急速充填に必要とする時間の80%のみしか使わないのである。スカウト級の小さなサイズのもう1つの長所は、その小型の跳躍帆の収納と展開が約10%少なく済む事である。この帆はまた、裂けにくく他の形態のダメージの影響も受けにくいものでもある。
この船は独立した作戦用に設計されたものである事により、非常に立派な医療施設を有している。この施設は利用可能な十分に熟練した医療人員をあてがったのならば、一度に4つまでの緊急手術を扱う事が可能である。
より大型の同種の船とは異なり、スカウト級は重力デッキを持ってはいない。この問題を克服する為に、スカウト級は重力機動として知られているものを実行する。この機動に於いて、この航宙艦は宇宙空間の1点――大抵の場合、3日かそれ以上離れた点――に向かって全力推進での加速をする。一度船がその中間地点に到達したのならば、船は反転し同一のレートでの減速を実施する。その後に船はこの機動を再度行い、その元の位置に向かって帰還をする。この機動の目的は、その乗員に最小限の人工重力を数日間与える事である。これは燃料の浪費に見えるであろうが、乗員の健康と士気に於けるその恩恵はこれを時間を掛ける価値があるものへとしているのである。重力機動を定期的に実行する航宙艦は、多くの場合、貨物ベイに追加の燃料タンクを搭載している。跳躍帆を展開している場合、この機動の実施は不可能である。
この船の大規模な派生型は存在していないが、小規模の派生型は多数存在している。その最も良く知られているものの1つは、リャオ家によって運用されている“ケツァルコアトル”である。航宙艦に通常見られるドッキング環の代りに、この派生型は気圏戦闘機の発進と回収設備を――20機までの重戦闘機用の空間と共に――持っている。この“ケツァルコアトル”は、星系のジャンプポイントに航空優勢をもたらす事を意図している。そして、その貨物区画は追加の燃料を搭載しているのである。この船は、接舷戦闘の試みに於いて余りにもダメージを受けた所為で降下船の輸送能力を失った後に、この型への改装が為されたのであった。