出典: Handbook: Major Periphery States
プリンセス級降下船
種別: 民間長球型
用途: 定期船
技術: 中心領域
製造年: 2657年
重量: 11800t
BV: 1041
寸法
全長: 117m
全幅: 117m
全高: 125m
燃料: 850t(25500)
重量(t)/噴射日: 4.22
安全噴射: 3
最大噴射: 5
放熱器数: 60
中枢強度: 10
装甲
船首: 87
両側面: 75
船尾: 71
貨物:
第1隔室: 小型船(4) 扉数2
第2隔室: プール・デッキ(1400t) 扉数0
第3隔室: アース・デッキ(950t) 扉数0
第4隔室: 積荷(952.5t) 扉数4
第5隔室: ポンプ/循環装備(50.5t) 扉数0
第6隔室: 積荷(450t) 扉数0
救命艇数: 35
脱出ポッド数: 15
乗員数: 士官10人、下士官/兵員40人、砲手3人、船客サポート人員70人、警備員8人、隔室人員20人、1等船客100人、“高級”船客75人、“超高級”船客25人
弾薬: マシンガン弾薬600発(3t)
注: 18tの通常型装甲を装備、“高級”の居住部重量は1人につき15tで計算、“超高級”の居住部重量は1人につき20tで計算
武装:
船首(発熱8)
1×大口径レーザー
2×マシンガン
左/右前方舷側(発熱3)
1×中口径レーザー
2×マシンガン
左/右後方舷側(発熱3)
1×中口径レーザー
2×マシンガン
船尾(発熱3)
1×中口径レーザー
2×マシンガン
概要:
27世紀後期、“王の如き生活を”というキャッチフレーズは、“王女の様な旅行を”というキャッチフレーズによる挑戦を受ける事となった。この超豪華客船のプリンセス級が有する名声とは、かようなものであった。惑星“ニューアース”のニコラス・スペースクラフト社によって製造され、後にカノープス統一政体のマジェスティ・メタルズ&マニュファクチュアリング社にライセンスされた、このプリンセス級定期旅客船は、中心領域の豪華旅行にとってのプラチナ・スタンダードを定めた。より有り触れた存在であるモナーク級定期旅客船の2倍の質量を持つこのプリンセス級は、より少ない旅客しか運べないが、それを非常に贅沢かつ豪華に遂行する事ができた――そして、それは地上のリゾートに匹敵し凌駕する程のものであったのである。旅客降下船の大部分が旅客達をその目的地に快適に運ぶのを重視している一方で、プリンセス級はしばしばその存在こそが目的地となるものであった。
モナーク級に主に取って代わられてしまっているが、極少数のプリンセス級定期旅客船は今日も現役に留まっている。この船は平均で200人の旅客しか運べない――この乗客定員は一般的にはこれの半分の規模の船にてしばしば見られるものである。しかし、この様に居住部の部屋数を少なくする事で以て技術者達は質の高い居住部を作り上げており、その最小の居住部(乗組員やスタッフ達のものを除く)でさえも大部分の他の船の1等個室以外では見られない快適さを提供する。より高い名声を持つエリートの船客は、豪華なスイートや超豪華なスイートを望む事ができ、それは更により大きな快適さと生活空間――サーヴァントと給仕スタッフ、この船に特有の“アース・デッキ”の上にある“基底部”バルコニー、ヴィンテージ・ワインのたっぷりと収められている貯蔵庫といったものの24時間無休の利用権――を提供するものである。
しかし、このプリンセス級を真にその競合相手から際立たせているのは、その提供されるレジャーとレクリエーションにある。それらの施設の中で最も著名なもの――その巨大な“アース・デッキ”は、この降下船の中央区画の全体を占めており、それは自然風景・ホログラフィック投影・独特のアーチ型天井建築様式を組み合わせて地上の庭園を模擬再現するものであった。宇宙旅行者達の多くは、展望デッキの冷たい窓から見た宇宙の眺めと比較し、これこそがプリンセス級の最高の特色であると称賛している。
しかしながら、それ以外の者達は、それと同等に大掛かりであるこの船の最下部船客デッキを占めている“プール・デッキ”を特筆する。水のシャワーが最上級の贅沢と見なされる宇宙旅行時代に於いては、ほぼ前代未聞な事に、加速下にてこのプリンセス級のプール・デッキは飛び込み台と日焼け用の人工太陽光を完備した通常のオリンピックサイズ・プールを提供するのである。創意工夫に富んだポンプとパイプ群が環状体となってそのプールへの水路を形成しており、それは微小重力下でもプール・デッキが機能するのを可能にしている。
だが、この豪勢な贅沢は代価を伴うものである。プリンセス級定期旅客船の整備維持と運用の費用は、星間連盟の黄金時代であってさえも、天文学的な金額であった事が証明されている。この船の特別な快適さを提供する為に設計されたその独特の構造は、その船体と機関に予想外の負荷をもたらすものである。そして、これらのシステムを整備維持する上での困難さは、プリンセス級の所有者の多くに標準的な貨物区画の方を選びそれらの豪華設備を取り除く事を促し、プリンセス級を単なる貨物船へと変えさせてしまっているのであった。今日、カノープス宙域にて活動しているプリンセス級のみがそのオリジナルの特色を保持しており、それらはマジェスティ・メタルズ社によって尚も製造されている予備部品によって支えられているものである。プリンセス級を建造していた主要造船所は2805年に失われているが、カノープスの近年の経済的/通商的な地位の向上を反映し、マジェスティ社は最近になりその限定的な建造を再開する事を示唆している。