出典: Technical Readout: 3075

ミュール級“ポケット戦艦”降下船

種別: 軍用長球型
用途: Qシップ
技術: 星間連盟
製造年: 3068年
重量: 11200t
BV: 14123

寸法
   全長: 158m
   全幅: 158m
   全高: 100.4m

燃料: 319t(9570)
重量(t)/噴射日: 4.22
安全噴射:
最大噴射:
放熱器数: 160[320]
中枢強度: 10

装甲
  船首: 176
  両側面: 154
  船尾: 132

貨物:
  第1隔室: 積荷(354t) 扉数1
  第2隔室: 戦闘機(6)   扉数1

救命艇数:
脱出ポッド数:
乗員数: 士官3人、下士官/兵員4人、砲手11人、隔室人員12人

弾薬: キラーホエール×40(2000t)、ホワイトシャーク×40(1600t)、バラクーダ×40(1200t)、AC/5弾薬40発(2t)、SRM6弾薬30発(2t)

注: 36tの通常型装甲を装備

武装:
船首(発熱6)
  1×AC/5(40発)
  1×中口径レーザー
  2×小口径レーザー
左/右前方舷側(発熱90)
  4×AR/10(KW10発、WS10発、B10発)
  1×SRM6(15発)
  2×中口径レーザー
左/右後方舷側(発熱13)
  1×大口径レーザー、1×中口径レーザー
船尾(発熱13)
  1×大口径レーザー、1×中口径レーザー

概要:
 策略/欺瞞というものは、常に戦争の構成要素の1つである。海上戦闘に於ける古代の策略/欺瞞とは、武装船を商船に偽装したり、通常の商船に隠し兵器を搭載して武装させたりする事であった。そして、かような艦船は、Qシップと言う名で知られた。継承権戦争に於いては複数の条約により海賊のみがかような戦術を用いるものであるという事が保証されたが、“聖戦”に於いてはワード・オブ・ブレイクは数々の実証済みの戦術を使わないままで放置する様な事は殆どなかったのである。
 ブレイク教徒のQシップは商船輸送の襲撃に使用され続けていたが、ブレイク教徒は戦闘航宙艦の護衛や軌道爆撃を提供するのにそれらを使用する事を増しつつある。このブレイク教徒のミュール級――星間連盟の余り世に知られていないミュール級Qシップをベースにしたもの――は同様のやり方で用いられているが、彼等が商船を攻撃する頻度は減少しつつある様に見える。“アークロイヤル”と“ベンジャミン”での最近のミュール級Qシップ群の展開と合わせて鑑みると、これはブレイク教徒の宇宙海軍戦力に余力がない事、もしくはミュール級の損害率が彼等の製造能力/改修能力を超えている事を指し示している可能性がある。最近になり星間連盟期のミュール級の姿が見掛けられる事、それにバラクーダ・ランチャーとホワイトシャーク・ランチャーが備えられている事は、この説を補強している様に思える。その駆動システムと機動スラスターは明らかに破損状態であり、それらの船は戦闘を挑まれた際には碌に力を発揮しないのであった。
 このミュール級Qシップの配置調整はまた、意図的な戦略上の選択である可能性もある――今や、ミュール級達による奇襲攻撃を厳格に抑える為の防衛対策は広範囲に及ぶものとなっている。中心領域全体で継続されているそれらの対策は通商に負担を掛けており、その数の減少した攻撃でさえも不均衡の影響を維持するのに十分なものなのである。
 この船の8基のAR10ランチャーは上部の貨物隔室に取り付けられており、そのそれぞれの貨物扉に2基ずつが隠されている。その下部の貨物隔室はミサイル弾薬庫の大部分を収納しており、また、それは1個中隊の戦闘機と支援要員用の駐機スペースと居住区を提供してもいる。この1個中隊は下部の貨物扉の内の1つ――戦闘機の発進と回収用の適正な改修が施されている――を使用しており、一方、他の扉はこの船に残されている貨物室へのアクセスを提供している。この船の装甲は質量で2倍以上となっており、それは他の戦闘降下船に匹敵する装甲防御を提供している。その増強された装甲は離れた距離で看破するのが困難なものであり、この船のAR10ランチャーが未展開な際には、この改修型ミュール級は通常のミュール級と殆ど見分けがつかない。ブレイク教徒の改修されたミュール級の大多数は装甲のアップグレードがされないままである一方で、敵性惑星に長期展開されるものや戦闘航宙艦の護衛に配備されるミュール級の殆ど全ては完全なアップグレードが為されている。


私的解説:

 ミュール級“ポケット戦艦”降下船は、ワード・オブ・ブレイクによってミュール級降下船を改装して作られた船で、主としてQシップ的に運用される事が想定されたものです。意外な事に、これの概念は古いものであり、星間連盟が2756年にこれのベースとなるものを建造したとされています。この星間連盟期のミュール級QシップのSLDF内での運用ドクトリンがどの様なものだったかは定かではありませんが、強大な戦闘航宙艦の大艦隊を保有していたSLDFが降下船でのポケット戦艦の構想を試していた節があるのは興味深い事だと思います。
 ワード・オブ・ブレイクは“聖戦”に於いてミュール級“ポケット戦艦”降下船を効果的に使い、中心領域の通商を妨害してなかなかの成功を収めました。“聖戦”後も、分裂した自由世界同盟や辺境にてミュール級“ポケット戦艦”降下船は使用され続けています。“聖戦”でダーティーなイメージがついてそうですが、こうして長く使われているのを見ますとミュール級“ポケット戦艦”降下船にはそれを補う戦力価値があるのでしょうね。

 バトルテック・ボードゲーム上では、ミュール級“ポケット戦艦”降下船は同時期のポケット戦艦の中では搭載弾薬が多い方で、キャピタル・ミサイルを長時間射撃できます。また、AR10ランチャーを採用しているお蔭で、状況に合わせて射撃するキャピタル・ミサイルを変更できるのも強みです。ただ、それ以外の武装は貧弱ですし、装甲も凄く分厚いものとは言えません。距離を置いて戦うのがミュール級“ポケット戦艦”降下船の基本となるでしょう。

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