出典: Dropships and Jumpships

ミュール級降下船

種別: 長球型
重量: 11200t
規模
   全高: 100.4m
   全幅: 158m
乗員数: 20人
積載可能重量、搭載兵員定数: 8450t
武装:
   1×AC/5
   2×SRM−6
   3×大口径レーザー
   8×中口径レーザー
   2×小口径レーザー
   2t、AC/5弾薬
   2t、SRM弾薬
駆動システム: GE2080
製造年: 2737年
目撃頻度: コモン

ミュール級降下船
安全噴射: 3
最大噴射: 5
中枢強度: 10
 
エンジン:
燃料数(6噴射点/1t): 1276
   燃費: 4.22t/噴射日
貨物隔室扉数: 6
艦橋:
放熱器数: 0+58

重量
2080
319
 

84


装甲値(12点/t): 300
  船首
  右側面
  左側面
  船体
  エンジン

武装:
  船首:

    AC/5
    中口径レーザー
    小口径レーザー
    小口径レーザー

  前部側面:
    SRM6
    中口径レーザー
    中口径レーザー

  後部側面:
    大口径レーザー
    中口径レーザー

  船尾:
    大口径レーザー
    中口径レーザー

25
50
60
60
90
40





















概要:
 “ミュール級降下船”は、中心領域に於いて最も一般的に出会う民間の降下船の1つである。11000tを僅かに越える重量のこの輸送船は、8500t近い貨物を輸送する能力を持っている。この船の単純なデザインと保守整備の容易さは、これを相当に手頃で人気のある船の1つへとしている。
 ミュール級のずんぐりとした長球型の船殻は約61mの高さと158mの横幅を持っており、海賊の攻撃と本来の宇宙の危険用に適度な装甲が施されている。この船の小規模な兵器群は、船首にある1基のLRM10、各前部側面に搭載された2基の中口径レーザー、船尾に搭載された1基の中口径レーザーと1基のAC/5、各後部側面のウェポン・ベイに搭載された1基のLRM10と2基の中口径レーザーから成っている。この船は通常、各ウェポン・ベイの傍に設けられた貯蔵庫に4tの弾薬を搭載している。
 ミュール級の内部は、その他の降下船――ユニオン級やシーカー級の様なもの――と似ている。その核融合のパワープラントとエンジン・コアは、船の底から中央までの大体2/3に渡って走っている太い円筒形の区画に収められている。
 ミュール級の下部デッキの外縁にあるリング内は、この船の4基の短くて太いが頑丈な着陸脚を収めた装備区画である。また、このリング内には、この船の主放熱器、燃料タンク、後部側面ウェポン・ベイも存在している。
 装備区画リングとエンジン・コアの間の空間を占めているものは、3500tの貨物――ミュール級の能力の約41%に近いであろう量――を収納できる下部貨物ベイである。このベイの中央付近には、このデッキと船の上部エリアにある貨物ベイ間の貨物移動に使用される4基の200tの能力を持つ貨物エレベーターが存在している。各エレベーターの前方には、4つの巨大な貨物ランプの1つへと続く通路がある。これらの貨物ランプは、多数の発進事故を引き起している。――この船の駆動装置が始動した時、痛烈な噴射炎は即座に船の下面を襲う。そして、ランプが安全に収納されていない場合、噴射炎はランプを引き裂き、下部貨物ベイの内部を激しく傷つけるのである。
 ある悪名高い事件に於いて、1隻のミュール級降下船が傭兵部隊に対して補給物資を配送していた。敵の地上部隊が防御線を突破し、降下船に対して砲撃を開始した時、爆発しやすい弾薬が船の下部デッキから降ろされている最中であった。ここで、その船長は即時の発進を命じた。しかし、複数のランプは収納されたのであるが、1つのランプは完全な収納に失敗していたのである。駆動装置が始動した時、その噴射はランプを引き裂いて貨物を襲った。そして、その結果として発生した爆発は船の内部を破壊し、乗船していた全ての者を殺害したのであった。この事件は直ちに貨物取り扱いの基準と手順の改定をもたらした。そして、それをミュール級の船長と乗組員達の大部分が今日も使っている。
 この駆動装置の噴射問題はまた、ミュール級の着陸脚にも悩みの種を作り出している。エンジンの噴射は着陸脚の内部を相当に炙る傾向があり、ケーブルと多種の操縦系統を焼き焦がしてしまっている。そして、この理由により、ケーブル部品は大体20回の離陸を行った後ごとに交換をする必要があるのである。交換部品が無い場合、操縦系統は故障をし、着陸脚は“上がっている”か“下がっている”位置、もしくはその間のどこかの位置にて停止する事態を引き起すであろう。
 貨物デッキの最上部の上側は、この船の司令セクションを構成している3つのデッキとなっている。最上部のデッキは、船の電子機器、ドッキング・アダプター、前部ウェポン・ベイから成っている。このデッキの下は、船の広々とした艦橋、大型の乗組員用エアロック、水タンク、食料貯蔵庫、個人用装備収納庫、医療施設、広い食堂施設、快適な談話室、乗組員用の20の個室となっている。
 司令セクションの下のデッキの中には、水処理施設、広い水耕菜園、船の洗濯室、生命維持装置、緊急用バッテリーが存在している。また、このデッキには、3つの特別室から成る分離した区画がある。1つ目の部屋は、上部貨物デッキを監視する監視室である。その下向きの角度の大型窓の前には、貨物ベイの下にある拡声器に繋がっている通信パネルが存在している。しばしば、乗組員達はこの部屋を臨時の談話室として使用している――しかし、この部屋の主目的は、顧客とのミーティングや貨物取り扱い作業の調整の為にあるのである。
 2つ目の部屋は、多種の商品やサービス用に地元の交換レートや相場を表示する3つの巨大な壁サイズのスクリーンで構成されている。このスクリーン群は通信システムと接続させられ、惑星のマーケティング機関によって放送される情報を拾い上げる。多くの惑星では大抵の場合、この種の情報へのアクセスができない。それらの惑星に於いては、スクリーン群は既知のものもしくは推定の市場価格と交換レートを表示する。この部屋の中央には、1つの小さなテーブルと2つの椅子が置かれている。この部屋は通常、船の船長によって使用され、船長は大部分の商取引の決定を取り扱っている。
 3つ目の部屋は、惑星動向の追跡と調整の為の中央通信施設である。その通信監視システムは、市場表示室へデータを供給する為に地元の情報放送へ直接に接続される。これらの通信システムはまた、密接に購買エージェントや販売人達との連絡を保つのである。



私的解説:

 ミュール級降下船は、積載能力が高く、中心領域で最も容易に利用可能な民間用の降下船です。同じ民間用のバッカニア級降下船と比べて4倍近くにも達するその大きな積載能力は、中心領域の恒星間貿易を支えるバックボーンとなっています。また、民間用降下船としてはかなりの武装を誇っており、多少危険な宙域でも活動が可能な事も評価できます。傭兵部隊の中にはユニオン級の代りにミュール級を戦場への移動に使用している所もあり、なかなか興味深い所です。
 (しかしまあ、このテクニカル・リードアウトにはミュール級がLRMを装備しているとの事が記述されているのですが、例として掲載されているデータにはSRM装備のものしかないのが些か突込み所ではあります。最新のエアロテック2レコードシートにも、LRM装備バージョンが掲載されていないのは残念です)

 ミュール級降下船は3050年頃にアップグレード版を建造する計画があったのですが、氏族の侵攻で軍用降下船の建造が優先された影響により計画は延期されています。しかし、何時の日か、より強化されたミュール級が宇宙を行き交うのは確実でしょう。

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