出典: Dropships and Jumpships

マーチャント級航宙艦

重量: 120000t
規模:
   全長: 320m
   帆直径: 950m
乗員数: 18人、小型船操縦士2人
降下船搭載可能数:
駆動システム: KF マークV
小型船定数:
製造年: 2503年
目撃頻度: コモン

マーチャント級航宙艦
K-F機関強度: 3
エネルギー収集帆強度: 3
位置維持機関: 0.1G
ドッキング・ハードポイント: 2
小型船収納室: 2
小型船隔室扉数: 1
重力デッキ: 1
燃料数(1噴射点/2t): 85
   燃費: 19.75t/噴射日
艦橋:
放熱器数: 0+98

重量
110000
45
1440
2000
400

50
85

300


装甲値(6点/t): 240
  司令区画
    艦首
    右側面
    左側面
  貨物区画
    右側面
    左側面
  機関区画
    右側面
    左側面
    位置維持機関
  武装:
    無し

30

20
30
30
 
45
45
 
25
25
20
 
 

概要:
 “マーチャント級航宙艦”は、独立商人・企業・傭兵部隊によって使用されている最小の航宙艦である。これは未だに使用されているものの中で2番目に小さな航宙艦で、2隻の降下船を輸送する事が可能である。また、この船の名称は、これが設計された当時に意図していたそのマーケットから与えられたものである。
 マーチャント級の重量は12000tで、丁度320mの全長を有している。完全に展開した時、その跳躍帆は直径1kmに僅かに足りない程にまでなる。この船の2つのドッキング・ハードポイントは船のおおよそ中央部、貨物区画の強化された部分沿いに位置している。また、長い円筒状の貨物区画には2つのドアが設置されており、そのドアはそれぞれドッキング・ハードポイントの1つを向いている。そして、その各ドアの後部は、独立した3つの貨物ベイ――それぞれ200tの貨物を収容できる能力を持つ――に続いているエアロックとなっている。貨物区画の何れかの側は、小型船ベイとなっている。これらのベイは完全に独立しており、標準の移動通路によるものを除いては繋がってはいない。
 貨物区画の直ぐ前方は、重力デッキとして知られている円筒状の区画である。このデッキは船殻から独立して回転しており、乗員に擬似的な重力の感覚を供給している。この重力デッキは大体、5mの幅で40mの直径のものである。乗員/乗客は、船の機関が停止しているか、単なる位置維持モードになっている時にのみ、重力デッキを使う事ができる。如何なる大きな加速もそのモーター・ベアリングに過大な負荷を掛け、重力デッキに機能不全や多大なノイズや振動を伴う回転を引き起こさせるのである。この重力デッキ自体は本質的に、巨大な談話室かつ娯楽センターである。少数の乗員しか有していない幾つかの船に於いては、この区画は乗員用の住居として使用する為に独立した部屋に分割される。そして、通常、マーチャント級は20人しか乗員を載せていない事により、この重力デッキは特に広々としている様に見えるのであった。
 マーチャント級の先端は、著しく広々とした艦橋となっている。この壁に取り囲まれた大きなドーム型の区画は、大型のヴューポートのセットである。艦橋の中央部には、船長の指令卓と監視コンソールが搭載された一段高いプラットフォームである。船長の台の下の周囲は、操縦士の配置位置、機関監視ステーション、多種の追跡モニター等々である。
 このマーチャント級は、未だに使用されているものの中で最も古い設計の1つである。これのオリジナルの船は2倍の乗員を擁しており、現在は貨物区画の一部となっている場所は、以前は乗員用の居住施設で占められていた。また、オリジナルのものの艦橋は、6人の乗員と1人の船長用に設計されていたのであった。現在のバージョンの艦橋は配線が為直され、その結果、この船の運用は2人で――1人がパイロットの配置につき、もう1人が航法の配置につくというもので――可能となっている。
 第1次継承権戦争の時代以降、マーチャント級を悩ませている1つの問題は、この航宙艦のパワーコンバーター用の交換部品の不足である。この事はマーチャント級のリチャージ時間を他の全ての船よりも10〜20%増加させており、太陽エネルギー収集過程と急速充填過程の双方を遅延させている。
 マーチャント級の大部分が個人的に所有・運用されている事により、それらが搭載している施設は非常に多様なものである。――これらの施設は、多種の部屋の改装から船の内装の全面的な再構成の範囲にまで渡っているのであった。
 最も一般的なバリエーションの1つは、船の貨物区画に取り付けて、貨物ベイへのアクセス用のハッチが付いた気密空間を作り出す簡素なモジュールである。20〜100tの重量しか有していないこのモジュールは、追加の談話室、乗員用住居、制御された環境室、等として使用する事が可能である。これの標準的な複合モジュールは100tの重量のもので、娯楽室、大型の個室、独立した生命維持システム、予備電源、他の貨物区画にアクセスする為のエアロックを含んでいる。
 継承国家の全域で多数のマーチャント級が活動をしているが、最もマーチャント級が集中しているのはライラ共和国内である。全マーチャント級航宙艦の40%が、現在、ライラ共和国の領域内で活動していると推定されている。


私的解説:

 スカウト級航宙艦に汎用性が欠けている為、マーチャント級航宙艦は、事実上、個人や傭兵部隊が運用する船の中では最小のものとなっています。しかし、他の船より些か小型であったとしましても、マーチャント級の性能に不満点は少なく、それどころか居住性や使い勝手では他に優越してさえもいます。また、3025年代でも比較的、建造隻数が多いので、(特にライラ共和国内で)利用可能率が高いのも良い点でしょう。

 時代が変化しても常に中心領域の貿易を支え続けているマーチャント級は、偉大な汎用船と言えるかもしれません。

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