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第4次継承権戦争: ホイール戦


ホイール
 “ホイール”は、戦争が技・思いやり・名誉で以て戦われた場所であった。LCAFはトゥース・オブ・イミル(イミルの牙)に防衛されている“ホイール”を奪取する為に、2つの傭兵連隊――ナーハル機兵団とハンセン荒くれ機兵団を送り込んだ。
 この惑星の通常歩兵/戦車連隊群は、1ヶ月前に首都ハブにて爆発した爆弾が大統領の内縁の妻の1人を殺害した為に、その姿を消し去っていた。調査は、駐留部隊を(犯行主として)指し示していたのである(爆弾は実際には“ティール”の工作であったのであるが) そして、更なる調査が犯罪グループの特定に失敗した時、激発し極端な馬鹿げた考えを抱いた大統領は、サブハッシュ・インドラハア自らが兵士達に真実を“おだてて”聞き出す事ができるよう、全駐留部隊の“ルシエン”への移動を命じたのである。
 トゥース・オブ・イミル指揮官デイヴィス・ヘラー大佐は、その年老いた祖父母達と箸が転げても笑う年頃の孫達で構成される10個市民軍連隊と共に取り残されていたのであった。また、彼の航空宇宙部隊の全ては、素人によって飛ばされている年代物のシロネ6機で構成されていた。
 ナーハル機兵団とハンセン荒くれ機兵団が降下地域に着陸した時、ヘラー大佐は、自らの苦境を説明し惑星を巡る戦闘を“古来のルール――メック対メック、戦士対戦士で戦い、無辜の民達の生命を救い、プロフェッショナルの間に名誉をもたらすルール”で戦うのを求める使者として彼等を派遣した。ここでゲルハルト・ハンセン大佐とウィリアム・マシューズ少将は躊躇う事なくこのルールを受け入れ、自分達の歩兵/戦車連隊にそのまま留まるよう命令した。
 これら3個連隊は、休火山の底であるレッド・デザート平地にて3日間に渡り戦闘を行った。最終的には、ナーハル機兵団とハンセン荒くれ機兵団は1個大隊を失う事となったトゥース・オブ・イミルを包囲した。そして、ここで自らのメックの腕を上げて敬礼をしたこれら3個連隊の指揮官達は、停戦と協議を開く事を命じたのであった。
 惑星“ホイール”を巡る戦闘は、ヘラー大佐が他の2人の指揮官に敬礼をし、彼等がそれに答礼をした際に終結した。3人はその全員が自らの連隊へと戻り、両陣営は互いにゆっくりと距離を置いた。そして、トゥース・オブ・イミルは惑星“ホイール”から撤退し、ナーハル機兵団とハンセン荒くれ機兵団は静かに惑星の支配権を掌握したのであった。


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