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第4次継承権戦争: ユトレヒト戦 |
ユトレヒト
惑星“ユトレヒト”の地表は、第14ドネガル防衛軍と第7光の剣連隊の両者にとって悪夢であるのを証明する事となった。この惑星の岩の多い地表と乾燥した台地は高低のある地形を作り出しており、更に戦闘環境を悪くしていた。
モシウ・ヨデトボ大将の古参部隊である第7光の剣連隊は、ユトレヒト市民軍――首都ナラガジャンが位置しているラビー台地を占めていた――の援軍として到来する事によりライラ人達を驚かせた。台地の高地を防衛するヨデトボ大将は、自分の部隊がライラ人達から難攻不落である、ライラ人達はドラコ連合宙域内に深く突出したこの惑星に留まり続ける危険は冒さないであろう、と考えていた。
第14ドネガル防衛軍は惑星の反対側で忙しく動いており、第7光の剣連隊を誘い出す事を望み都市バンドールを奪取していた。しかしながら、クリタ人達が首都の保持に惑星の残りを明け渡す事も厭わなかった為に、この戦法は失敗した。
従って、所謂“マーチ・オブ・ストーンズ(石の間を縫う行軍)”(もしくはセロス・アウバーンが実際に呼んだ所の“クロール・オブ・ストーンズ(石の間を這い進む行軍)”)は、開始される事になったのであった。W・J・ハーディ大佐は、自分の第14ドネガル防衛軍に対してラビー台地地域への長い陸路行軍を命じた。毎日行われる掃射と爆撃の下、第14ドネガル防衛軍はその目標への到達に5週間近くを費やした。この惑星の岩の多い地表は移動を遅々とした危険なものへとし、その道中で数機のメックが転倒により損傷を受けていた。
ライラ人達が惑星縦断を行っている時、第7光の剣連隊は自らの戦略に欠陥を見つけ出していた。ナラガジャンは自給自足には程遠い都市であり、惑星の他の場所から孤立させられた時から物資が尽き始めたのである。ハーディ大佐が包囲をして道路を封鎖した時、ヨデトボ大将は食料が僅か1週間で尽きる事を見出した。
クリタの航空優勢は“マーチ・オブ・ストーンズ”の最中には非常に有効なものである事を証明していたが、第14ドネガル防衛軍のバトルメック群が岩の多い台地の縁に密着した時には無価値になった。そして、ライラ人達が攻撃をせずに1週間を座して過ごした時、ヨデボト大将には総力をあげての攻撃を開始する以外の選択肢はなかったのであった。
ドネガル防衛軍は、岩の多い地形が低地の保持を台地から出る狭い道の近くの高地の保持と同じ位に容易にしている事に気付いた。連隊の大部分が第7光の剣連隊の先導中隊群を釘付けにしている間に、ナラガジャン西方のドネガル防衛軍は台地に駆け上がった。(この時)東方を攻撃していた為に、一握りの第7光の剣連隊のメックしかその道を防衛していなかった―――彼等は素早く後退をした。
ライラ人達は推進剤補給中のクリタの戦闘機群の大部分を捕捉し、それらを素早く破壊した。そして、第14ドネガル防衛軍が包囲された第7光の剣連隊に接近した時、ドラコ連合の降下船群が台地の東端から降下して自分達のメック群を救出していった。かくして、ドネガル防衛軍は第7光の剣連隊よりも高い損害を被っていたものの、LCAFは岩だらけの惑星“ユトレヒト”を支配したのであった。