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第4次継承権戦争: タマラー戦 |
タマラー
ティールが惑星“ラドシュタット”に攻撃を行っている時に、第13ラサルハグ連隊は惑星“タマラー”に降下していた。惑星“スタンザッハ”からの撤退命令に激怒したジャン・フィヨレク少将は自分の航宙艦群に惑星“タマラー”への長距離移動を命じており、その結果、第13ラサルハグ連隊はドラコ連合全体を感銘させる事になる大胆な攻撃を行えたのである。
自分達が数で圧倒されるであろう事を理解していたラサルハグ連隊は、惑星“タマラー”の首都郊外の広大な工業団地――惑星の生産力の1/5を占めていた――を目標にした。しかしながら、このドラコ連合の攻撃の僅か数週間前に惑星に到着していたグレイヴ・ウォーカーズの2個連隊はその目標を予想し、第13ラサルハグ連隊を阻止した。
ここでケルスワ公爵は戦場にやって来ると、タマラー協定領の指導者としてのその力と貴族としてのその権利により自分を惑星防衛の指揮官の地位に置く事を要求した。傭兵部隊指揮官デニス・マーウィン大佐は不承不承、それを了承した。
第13ラサルハグ連隊はこの指揮官変更の最中の躊躇に乗じて工業団地に突撃し、その通り道の全てを破壊していった。これにケルスワ公爵はグレイヴ・ウォーカーズにドラコ連合のメック群の追撃を命じた――建造物を遮蔽として使う事ができる敵に突撃するという危険があるにも拘わらず。
マーウィン大佐は、自殺的な任務で工業団地の灼熱地獄の中に自分の部隊を突入させる事よりも罪を犯す事を選んだ。彼は公爵を殴って気絶させ、グレイヴ・ウォーカーズの隊員達は公爵の護衛達を拘束したのであった。
グレイヴ・ウォーカーズは、工場群から流れ出る濃い煙を利用して自分達の進軍を隠した。気温逆転を起こし重い化学物質を含む煙は立ち上り続け、それはゆっくりと西に流れて地面を覆っていっていた。
第1連隊が北から攻撃をして撤退を装うと同時に、第2連隊は立ち上る煙の中に進入して工場群に向かって移動した。極めて簡単な遮蔽に過ぎないものであったが、それらの煙と熱はメックの赤外線痕跡を覆い隠し、ラサルハグ連隊に探知される事なく建造物群の遮蔽に到達するのを彼等に可能とさせた。
(この時)第1グレイヴ・ウォーカーズの見せ掛けの撤退により広がっていたラサルハグ連隊は、自らの側面を脆弱な状態にしていた。そして、第2グレイヴ・ウォーカーズは攻撃を行い、ラサルハグ連隊の位置の側面からの包囲を開始した。ここでグレイヴ・ウォーカーズは第13ラサルハグ連隊に降伏の機会を与えたが、クリタ人達は極少数の負傷した戦士のみが生き残っている状態になり降伏するまでの間、戦闘を継続した。
ケルスワ公爵は目を覚ました時に、マーウィン大佐を反逆罪により逮捕し、彼の翌朝の処刑を定めた。しかし、夜明けの直後、タマラー戦域副侯爵ミッチ・フェルスパー大将がその宮殿に現れ、公爵との謁見を要求した。その話し合いに於いて、フェルスパー将軍は公爵の軍事技能の明白な欠如について辛辣に批判した。そして、フェルスパー将軍は、ケルスワ公爵のマーウィン大佐を告発する権利に異議を申し立てるつもりはないが、その様な事をすれば、地位不適格の罪により公爵を軍事裁判に掛ける事をLCAFに強い、恐らくそれは公開された長い裁判になるであろう、と発言した。
――かような面目失墜に直面する事となった公爵は、静かにマーウィン大佐を解放した。