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第4次継承権戦争: パロス戦 |
パロス
第12ヴェガ特戦隊のガンマ連隊とデルタ連隊、12個通常連隊が、第2大連邦国後備機兵隊と20個の古参の戦車/歩兵連隊によって防衛されている、資源に乏しく多数の人口を持つ惑星“パロス”を攻撃した。デルタ連隊の指揮官かつこの作戦任務の総指揮官であるミッチ・ネルソン大佐は、惑星の首都かつ工業センターであるエクサーの南方約200kmの不毛であるドカーション渓谷に降下する事を選択した。
ここでカペラの戦闘機群は降下船群を護衛するヴェガ特戦隊の戦闘機部隊の阻止線を突破し、レパード級の“レンジャーズ・クリード”とユニオン級の“ヴェガン・サンダー”に重い損傷を与えた。両降下船共に搭載しているメックの降下はさせたが、“レンジャーズ・クリード”は惑星“パロス”の大気圏に正面から突入し、地上に逆さまに墜落した。その生存者は皆無であった。
カペラの戦闘機群はエクサーの上空から後退し、それによりヴェガ特戦隊のメック群は広大な森林の近くに容易に降下地域を確保した。しかし、ヴェガ特戦隊がその進軍を開始した時、彼等は惑星“パロス”市民による激しい苦情の訴えに直面した。ダヴィオン軍に対する恐怖を全く見せずに、それらの怒れる農民達は、小麦が踏みつぶされる度に冬に子供達が飢える事になる、と嘆き悲しんだのであった。ここで敵対的になった人々の惑星を征服する事を望まなかったヴェガ特戦隊は、道伝いの移動と可能な限り平地の横断を避ける事を決断した。――ヴェガ特戦隊は、惑星“ウェイ”の住人に対するその虐待行為の所為でCOCによって譴責されていた為に、より配慮をする様になっていたのである。
最初の戦闘は9月9日の夜、ガンマ連隊のメック群が平地の端に集結し、前を先行する者達によって作られた1つの道を自分達が歩く番を待っている時に発生した。大連邦国後備機兵隊の戦闘機群は彼等を急襲し、混乱を作り出すと共に幾許かの損害を与えた。大連邦国後備機兵隊の軽量級メックの1個中隊は2つの集団に分かれ、ヴェガ特戦隊の方に向かい平地の縁に設けられた2つの道路を降っていった。ここでヴェガ特戦隊は戦闘機群に心を奪われていた為に、カペラのメック群は砲火が開かれるまでの間に数百メートルの地点に接近していた。そして、カペラのメック群は数発の射撃をすると逃走し、再び戦闘機群がそれに援護を提供した。彼等は如何なる損傷も受けずに、2機の重量級メックに損傷を与えた。
ネルソン大佐はガンマ連隊に何が起ったのかを聞いた時に激怒した――彼は農民達に対する全ての慰撫の試みを捨て、自分のメック部隊に標準の攻撃隊形をとる事を命じた。その後、ヴェガ特戦隊は素早くエクサーの砲撃距離にまで進軍し、そこにて自分達の次の行動の計画をする為に停止した。
翌日、それぞれ1個メック大隊、1個装甲連隊、2個歩兵連隊で構成された2つの攻撃隊はヴェガ特戦隊の本隊から分離し、その一隊は北東へと向かい、もう一隊は南西へと向かった。これらの敵の防備を探る為の探査攻撃隊は、1時間が経過した後も全くカペラ人達に遭遇しなかった。その代わりに、ヴェガ特戦隊の本隊が攻撃を受けた。巨大な複合貯蔵施設の隠れ場所から這い出た連邦国後備機兵隊の1個メック大隊は、エクセルティアン丘陵の下の幹線トンネルを通り突進してきた1個装甲連隊と1個歩兵連隊と合流したのであった。
カペラ人達によるこの探査攻撃は、そのアーロン・デルフィック少佐がヴェガ特戦隊が後退した時に自分の部隊に進軍続行を命じた事からすると、ヴェガ特戦隊の作戦計画を全く知らずに行われたものと思われる。カペラ人達がその退路から引き離された時にようやく、デルフィック少佐は自分が目前の敵に圧倒されている事と他の2つの分遣隊が後方から高速で接近してくる事を悟った。デルフィック少佐は自分の装甲連隊を後方のメック部隊と交戦させて遅滞させるべく送り出す事によって、閉じた罠からの脱出を試みた。しかし、重量級のヴェガ特戦隊のメック部隊は容易にその戦車部隊を蹂躙し、デルフィック少佐の部隊を包囲した。
デルフィック少佐は、ネルソン大佐の降伏勧告を拒絶する事によってその大敗北の総仕上げをした。(この時)ヴェガ特戦隊の戦闘工兵達は、降伏勧告とその後の大殺戮を含む戦闘の全てを、都市エクサーに向けてテレビ放送していた。そして、この彼等の放送は、望んだ通りの効果を発揮した。――第2大連邦国後備機兵隊の残存部隊は静かにかつ素早く荷を纏めると惑星“パロス”を離れ、惑星市民軍は降伏せざるを得なかったのであった。