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第4次継承権戦争: ノースウィンド戦 |
ノースウィンド
DCMSは、惑星“ノースウィンド”が“地球”、カペラ大連邦国、恒星連邦の多数の星々に対する一連の分断攻撃を実施するのに完璧な拠点になる事から、惑星“ノースウィンド”を欲した。(この時)チーム・バンザイとブラッドリー・ブラボーズによって増強された第5デネブ軽機隊が、惑星“ノースウィンド”に駐留していた。惑星“ノースウィンド”を攻撃したのは、第36ディーロン連隊、第5光の剣連隊、最近になり創設されたエリート・メック部隊のゲンヨウシャであった。
戦闘は、ニューラナーク大陸のケアンゴーム山脈を中心に展開した。ドラコ連合軍は、ニューラナーク大陸で最大の都市であるクロマーティにいる駐留軍の東方と南方に着陸をした。AFFSの部隊は、初期の段階に於いてはドラコ連合軍と互角に戦った。そして、これにドラコ連合の士官達は、自分達が劇的な新戦略を考案しない限り、惑星“ノースウィンド”を巡る戦闘が長期に渡る犠牲の大きなものになるであろうと感じたのであった。
(後の)その非道行為に対して誰に責任があるのかについては不明であるが、全ての証拠は第5光の剣連隊とその指揮官のパルマー・コンティ将軍を指し示すものである。攻勢の第2週の最中、光の剣連隊の1個中隊が、都市クロマーティによって使用されている遠く離れた貯水湖を攻撃する為に転用された。一度その湖の守備隊を蹴散らした後、そのドラコ連合の各メックは腰部が水に浸かるまで水の中を歩き、そこで数分間静止をし、その後に水の中から出て行った。この時、これを監視していた者達は、ドラコ連合のメック戦士達は自分達のメックを冷却したに過ぎないと判断していた。
プトマイン中毒が発生したとの最初の報は、その翌日にもたらされた。程無くして、第5デネブ軽機隊の半数を含む都市全体が致死的な疾病に襲われる事となった。病院は溢れ、死体は都市内の建造物の炉で焼却せざるを得なくなった。治療と予防接種も、僅かな者達しか救えなかった。
惑星“ノースウィンド”の守備隊は、貯水湖に浸かったドラコ連合のメック群は冷却ではなく水を汚染したのだ、との結論を導き出した。その湖にいた監視者の幾人かは後に、それらのメックの脚部にはプトマイン・バクテリアの特殊な菌が含まれたペーストが塗られていたのだ、との告発をしている。それらのメック群が水に浸かった時、そのペーストは溶解し、バクテリアは放たれたのである、と。
その湖から来る水が停止させられた時には、クロマーティの5000人の市民が死亡していた。そして、第5デネブ軽機隊の兵士達の半数以上が、死亡するか瀕死の状態にあった。デネブ軽機隊の4個中隊、チーム・バンザイ、ブラッドリー・ブラボーズのみが、防御線のその担当地域が水を井戸から得ていた為に、健康な状態にあった。
その後、間もなくして、第36ディーロン連隊が攻撃を行った。しかし、防衛側の状況にも拘らずこの攻撃は無残な失敗をし、第36ディーロン連隊は混乱をしている様を見せつつ撤退していった。ここで、経験の不足しているコリンズ少佐の指揮下にあった第5デネブ軽機隊は追撃をしたが、第5光の剣連隊に待ち伏せ攻撃をされる羽目となった。第5デネブ軽機隊は蹂躙され、散り散りになった。
チーム・バンザイは第5デネブ軽機隊を救うべく戦ったが、ゲンヨウシャによって阻止された。そして、ゲンヨウシャは、この傭兵部隊に重い損害を与えた。この損害の中には連隊の指揮官であるDr.B・バンザイ――彼は3機の強襲メックに対して持ち堪えるのを試みた――も含まれていた。チーム・バンザイの生き残り達は、自分達が見つけ出せられる可能な限り多くの第5デネブ軽機隊とブラッドリー・ブラボーズの隊員達と共にケアンゴーム山脈へと後退した。彼等はロックスパイアーズと呼称されている起伏に富む地区を選び、敵を待ち受けた。
しかし、チーム・バンザイの隊員達がその最終戦闘への準備をした時、バグパイプの演奏音が彼等の通信システムを満たした。ノースウィンド・ハイランダーズ――偉大な名声を持っている4個メック連隊――が、その忠誠の対象をカペラ大連邦国から恒星連邦へと変え、数世紀振りに自分達の故郷の地へと帰ってきたのである。
チーム・バンザイとドラコ連合軍は、ノースウィンド・ハイランダーズを運んできた降下船群が着陸をした際に、彼等を凝視した。その一瞬の間、ドラコ連合の兵士達はノースウィンド・ハイランダーズが自分達の味方としてここに来た事を願った。しかし、最初の小隊が降りた瞬間にその降下船は射程内に存在する全てのDCMSのメックに対する射撃を開始し、友軍が到着したのではないかというドラコ連合のその幻想を全て吹き飛ばしたのであった。惑星“ノースウィンド”は恒星連邦の手の中に留まり、それは今や歴戦の戦士達の4個連隊によって防衛されていた。そして、その戦士達の全ては自分達の新たな君主に対して自分達の真価を証明する事を熱望していた。ここに、恒星連邦をライラ共和国から分断するという如何なる望みも潰えたのである。