旧・地球帝国主要惑星


惑星名: ブライアント (Bryant)
恒星型: F5IV
軌道番号: 4
ジャンプ・ポイント行程日数: 15日
リチャージ・ステーション: ナディール
現在の所属: カペラ大連邦国
人口: 23500000(星間連盟期) 63000(現在)
原生生命%、進化レベル: 40%、哺乳類

 植民リソース局――新世界への遠征の手配と調整を任されていた帝国の部局――は、“ブライアント”を魅惑的な存在であると見なした。それは、化学物質資源と金属資源、肥沃な土壌、壮大な海を持っていると伝えられていたのである。その輝きに満ちた報告に誘われ、多くの男女達が“ブライアント”への遠征参加に群れをなして並んだ。しかし、その報告では、言及がされていなかったのであった――“ブライアント”が厳しい気候をしており、その惑星の地表の大部分が嵐と時速300kmで吹きすさぶ風で激しく打ち付けられている事に。2世紀間に渡り、植民地建設は惑星の極地の地域に限定され、そこにてかの男女達は寒いが静かではある生活を送った。
 2478年、地球帝国は、“ブライアント”の静止軌道に最初の“ストーム・インヒビター”を設置した。この“ストーム・インヒビター”は、惑星の海の上に集まる雲を照射する1枚の反射鏡というものであった。その雲に集中された熱が嵐を防ぐ事はなかったが、その激しさを減少させはした。そして、この天候への変化は、入植者達に惑星の温帯地域への居住を始める事を可能にしたのであった。
 一度、入植者達がより温暖な土地で農業を始めるのが可能になるや否や、“ブライアント”は帝国にとっての重要な農業の中心地となった。クローリー・リザードカウやジュエル・バスと言った、この惑星原産の生物の多くは御馳走となった。また、“ブライアント”には多数の浜辺があった為に、観光事業はこの惑星の経済にとって重要なものとなった。
 そして、ステファン・アマリスの軍勢が襲来した。共和国のパイロット達は、“ストーム・インヒビター”群を射的演習に使用した。その残存するインヒビター群は、SLDFの最後の拠点となった。その兵士達は、拡大鏡の下にいる虫の様に死んでいった。“ストーム・インヒビター”が失われた事により、この惑星の気候は再び激しいものとなった。
 その悪化しつつある気候の所為で、この惑星の住民達は極地に向かって後退し続けている。彼等はその後に放棄された都市群を残して立ち去っており、勇敢なコムスターの調査員達は自らの生命を危険に晒しつつも星間連盟の遺物を求めてそこの探索を続けている。

 

惑星名: カーヴァーV (Carver V)
恒星型: K0V
軌道番号: 5
ジャンプ・ポイント行程日数: 5日
リチャージ・ステーション: ゼニス
現在の所属: カペラ大連邦国
人口: 119580000(星間連盟期) 130000000(現在)
原生生命%、進化レベル: 90%、爬虫類

 惑星“カーヴァーV”の地表の85%以上はパールブルーの海で覆われており、この事はそれを帝国のより乾燥している惑星に対する水の重要な供給源へとしていた。この惑星の多数の水生生物――中でもクロカルスと呼称された外洋を行く大型の爬虫類の生物は最も壮観であった――は、程無くして入植者達によって活用された。クロカルスはその皮を目当てに狩られ、それで作られた光沢のある緑皮は星間連盟の富裕者に非常に愛された。
 帝国政府は、惑星“カーヴァー”がカペラ大連邦国――信頼し難い隣人と言える国家――と接していたが故に、それに複数の防御施設を建設した。この惑星の特質は、通常のキャッスル・ブライアンを非実用的な存在にするものであった。2402年、この惑星の最大の島を中心としてクアンティコ・マリーンフォーティフィケーションの建設が開始された。
 この独特な要塞の防衛の最初のラインは、島を取り巻く多数のウェポン・タワー群である。大きく開かれている口の中の歯の様に見える、それらの各タワーの頂部には、接近してくる船舶や航空機を撃ち抜く為の砲塔が少なくとも1基はあった。各タワーは、複数のトンネルによってクアンティコと繋がっていた。山々と豊かな熱帯生物を持つその島自身は、2つの大きな宇宙港、エル・トーロとバクーを有していた。それはまた、潜水艦やその他の艦船を発進させる為の要塞化された海軍基地を幾つか有してもいた。
 星間連盟が創設された時、クアンティコは星間連盟海兵隊の軍政と訓練のセンターになるべく選ばれた。キャンプ・ペンドルトン――この惑星の最大の都市であるベラシクーの郊外に存在した――は、SLMC(星間連盟海兵隊)の司令部となった。クアンティコのすぐ隣にある小さな島はパリス・アイランドと改名され、大規模なブート・キャンプへと変わった。
 辺境世界共和国の兵士達はクアンティコを奪取するべく、その攻撃の中で最も容赦のないものの1つとなったものを浴びせた。そして、3個CAAN連隊によるその頑強な防戦は、かの内戦の暗黒期に発せられる最も感情を奮い立たせる物語となった。自分達と共に島内に駐留していた共和国部隊を撃滅した後には、それら海兵達は共和国軍による再三再四の強襲を撃退したのである。続いての6年間に渡り、アマリス軍は自らを海兵達にぶつけたが、海に叩き返されるのみに終わった。
 海兵達の部品と補給物資が払底し始めた丁度その時、第3連隊戦闘団――エリダニ軽機隊――が共和国軍を強行突破して海兵達に装備を運び込んだ。この新たな補給により、2773年にケレンスキー将軍によって救援されるまで、海兵達はクアンティコを保持した。
 今日、その要塞に関する物は極少数しか残存していない。長年の戦闘後に残っていたものも、ケレンスキー将軍の部隊によって“エクソダス”の前に引き剥がされ、島の周囲に突き出る空っぽのタワー群しか残されなかったのである。

 

惑星名: ヘレン (Helen)
恒星型: M0V
軌道番号: 4
ジャンプ・ポイント行程日数: 3日
リチャージ・ステーション: ゼニス
現在の所属: 恒星連邦
人口: 30000000(星間連盟期) 200000(現在)
原生生命%、進化レベル: 30%、哺乳類

 その惑星の発見者であるドナルド・マシューの妻に因んでその名が付けられた“ヘレン”は、小型の赤色の恒星を周回する小さな惑星である。この惑星に存在するリソースは極少数であり、その地表を這い回る動物も即座に利用できる様な商業的価値を持ってはいなかった。“ヘレン”に来た極少数の入植者達は、この惑星上での営利的活動を余りせず、その鈍く輝く太陽の下で閑静な生活を送った。そして、“ヘレン”は、その閑静な田舎の風景と商業的な騒がしさがない為に、地球帝国と隣国の恒星連邦から芸術家達を惹き付け始めた。
 “ヘレン”は、星間連盟期の最中には芸術上の表現の重要な中心地となった。芸術家達のグループはこの惑星上に複数の集団居住地を開設し、それはやがてそれぞれ特定の芸術形態に専念する都市へと成長していった。ホワイトウェイは役者達の都市、セントゴードンは造形家達の都市、ヴァン・ゴッホは画家達の都市、ジャガーは音楽家達の都市、アトウッドは詩人と著述家達の都市へとなった。“ヘレン”の首都であるパルナッソス・シティーは、芸術が集まる地であった。この都市は、その有する多数の美術館、劇場、庭園、図書館により、“地球”のユニティ・シティーと同等の美しさを持っていると見なされた。
 (アマリス)内戦の最中、“ヘレン”はバーニング・タイガーズ――犯罪者とカペラ大連邦国の追放された兵士達による傭兵団――の支配下に置かれた。彼等は、この惑星に対して殆ど慈悲を示さなかった。
 “ヘレン”はケレンスキー将軍のお気に入りの惑星であり、彼はそこにて多くの幸福な時を過ごしていた。彼はこの惑星を非常に深く愛していたが故に、彼は恒星連邦任務部隊に他の惑星よりも先に“ヘレン”を解放する事を命じた。正規軍は2773年に“ヘレン”を解放したが、その惑星の大部分が略奪され尽くしているのを見出す事となった。パルナッソス・シティーとその他の主要な都市群は、破壊されていた。芸術家達の多くは、殺害されていた。SLDFは、瓦礫の中から極少数の芸術作品しか見付け出せなかった。それ以外のものは、タイガーズによって盗まれるか破壊されるかしていたのであった。
 ケレンスキー将軍は自分と自分の兵士達が中心領域を離れる時も、“ヘレン”とその生存者達の事を忘れてはいなかった。SLDF艦船の内の数隻は“ヘレン”を訪れ、その士官達は残存する僅かな芸術家達に“エクソダス”へ加わる事を提案した。300人以上の芸術家とその家族達が、その提案を受け入れた。
 今日、“ヘレン”は尚も重要な芸術の中心地ではあるが、かつての姿には及ぶべくもない。都市の廃墟を調べる考古学者達は尚も時折、バーニング・タイガーズの到来よりも前に芸術家達によって隠された芸術作品の隠し場を発見しているものである。

 

惑星名: 火星 (Mars)
恒星型: G2V
軌道番号: 4
ジャンプ・ポイント行程日数: 9日
リチャージ・ステーション: ナディール、ゼニス
現在の所属: コムスター
人口: 71000000(星間連盟期) 1000000(現在)
原生生命%、進化レベル: 無し

 “火星”は2017年、“アルタイル”号の7人の乗組員がその赤い平野に降り立った時に人類によって踏査された最初の星となった。2110年、“ローウェル”計画――人類最初のテラフォーミングの試み――が、この惑星の両極の氷冠に“アークティック・ブルーモス”(遺伝子的に強化された植物)を蒔く事で開始された。その繁茂したコケはやがて氷を溶かして大気に蒸発させ、それをほぼ呼吸可能な気圧を持つまでに濃密にした。惑星のその他のエリアは頑強な草木で以て覆われ、二酸化炭素を酸素に変えると共に、その緑樹に太陽の熱を溜め込んだ。複数の氷でできた小惑星が、更なる水を供給するべく“火星”に激突させられた。そして、それらにより生じた深いクレーター群は、ドーム型都市の存在する場所となった。
 2201年には、呼吸器は不必要となり、気温も氷点下以上となった。そして、“火星”の活発な経済的開発が開始された。採鉱企業が先頭に立ち、惑星の地表の直下に埋蔵された多数の金属鉱床を採掘していった。製造企業もこれに追随した。星間連盟が創設された26世紀には、“火星”には100万を超える住民がその20のドーム型都市に存在していた。
 第一君主イアン・キャメロンは、“地球”、“火星”、“金星”に、それぞれの世界の独特の環境を徹底的に利用した軍士官学校の複合施設の建設を求めた。マーズ軍士官学校は、2601年にオリュンポス山の約100km南東に存在した巨大な峡谷内に完成した。この士官学校は、巨大なビル群、宇宙港、演習場、兵舎の広大な複合施設であった。その崖は刳り貫かれ、多数の階層の部屋、格納庫、補給廠、上の高原にまで通じるエレベーターが存在していたのである。
 アマリスの奇襲が開始された最初の数ヶ月の最中、マーズ軍士官学校に居た士官と候補生達は、苛立った辺境世界共和国軍の司令官が核爆弾の投下を命じるまでの6週間もの期間、第23共和国竜機兵隊を撃退し続けた。
 この軍士官学校で残存したものは非常に僅かであり、崖に刳り貫かれた空間と爆発から遮蔽されていた少数のビル群のみであった。それらでさえも、勝ち誇った共和国軍兵達により傷付けられた。考古学者達は、装備と記録――アマリス兵との戦闘の最中にかの軍士官学校の人員により置かれたと思われる――が詰め込まれている秘密のトンネル網を発見しているものである。
 共和国兵達は、11の都市を破壊した。これらの都市の廃墟からは、価値のある遺物や資料が出土し続けている。残存している9つの都市は、“火星”の大地で尚も営業を続けている6つの採鉱企業の労働者達の住居となっている。

 

惑星名: マーチソン (Murchison)
恒星型: F6V
軌道番号: 3
ジャンプ・ポイント行程日数: 14日
リチャージ・ステーション: ナディール
現在の所属: ドラコ連合
人口: 2983000(星間連盟期) 4673800(現在)
原生生命%、進化レベル: 45%、哺乳類

 “マーチソン”は、普通ではない惑星である。この星系がまだ若かった時、その巨大ガス惑星の1つである“ヘブロン”は軌道から叩き出され、星系の恒星に向かって進んでいった。それは最終的にはより近くなった軌道に落ち着き、そこにて若き惑星であった“マーチソン”を一衛星として捕らえた。
 その結果として、“ヘブロン”は“マーチソン”の空を支配している。“マーチソン”は26時間周期でこの巨大ガス惑星の周りを回っており、また、自転もしている。そして、この2つの運動が合わさった事で、この惑星の生まれでない者達にとっての相当な体感時間上の混乱が作り出された。“ヘブロン”が昇り沈む光景、星々が廻る光景、その太陽が高速で動く光景は、人々の幾らかを身体的な不調――現地民達が呼ぶ所の“マーチソン・マドル”――に陥れるものであったのである。
 SLDFは、このユニークな惑星上に幾つかの重要な研究ステーション――基本的には時間ストレスの研究をする為のもの――を建設した。これらの研究所は(アマリス)内戦によって重い損害を受ける事はなく、ケレンスキー将軍の“エクソダス”後もその情報の多くは残されていた。研究者達は、時間生体心理学――人の感情と健康状態に対する時間の影響についての学問――に関する相当量の情報を回収しているものである。

 

惑星名: ヌサカン (Nusakan)
恒星型: K0V
軌道番号: 3
ジャンプ・ポイント行程日数: 5日
リチャージ・ステーション: 無し
現在の所属: ライラ共和国
人口: 4000000(星間連盟期) 20000(現在)
原生生命%、進化レベル: 40%、両生類

 “ヌサカン”は、目立たない小さな惑星である。その唯一の価値あるリソースは、高純度のシリコンであった。“ヌサカン”は、星間連盟期の最中にはコンピューター技術の中心地となった。“ヌサカン”の首都であるジョブズ・シティーは、インターステラー・ビジネスコンピューターズ社とポッター・ライトコンピューターズ社の本拠地であった。地球帝国はSDSシステムと3つのキャッスル・ブライアン、通常の2倍の数の軍事基地と宇宙港で以て、この惑星を堅く防衛していた。
 アマリスの奇襲の最中、“ヌサカン”は激しい戦闘の舞台となった。共和国兵達は、キャッスル・ブライアンの内の2つの内部にて配置に就いていたSLDFの部隊群を奇襲攻撃した。現代に伝えられる伝説の語る所によれば、その2つの要塞内での戦闘は数週間に渡り続き、地下での複数の爆発によりその付近の町々の大地に地震を引き起こした、との事である。その3つ目の基地であるフォート・ロマスは、核爆弾によって消滅させられるまでの1年間に渡り持ち堪えたものである。
 ケレンスキー将軍の軍勢がこの惑星を共和国軍から解放するべく到来した時、そのSDSは多数の星間連盟の戦闘航宙艦を破壊した。それらの内の2隻、巡洋艦SLS“ハヴァナ”と駆逐艦SLS“デュララム”は、自らのその最後の瞬間を“ヌサカン”の大気圏を通って落下する事に費やした。この2隻の艦の残骸は、今尚見る事ができるものである。
 それらキャッスル・ブライアンと戦闘航宙艦の廃墟/残骸は、多数の有用な遺物を出土し続けている。残念な事に、非常に巨大かつ必要不可欠なものであった、そのコンピューター産業は、アマリスの軍勢によって完全に破壊されてしまっている。それらの工場群の灰の中からは、何も見付け出されてはいない。

 

惑星名: シリウス (Sirius)
恒星型: A1V
軌道番号: 6
ジャンプ・ポイント行程日数: 47日
リチャージ・ステーション: 無し
現在の所属: 抗争中(自由世界同盟VSカペラ大連邦国)
人口: 700000(星間連盟期) 20000(現在)
原生生命%、進化レベル: 無し

 2167年に発見された際、“シリウスY”は植民をするには不十分な候補地と見なされた。その大気は酸素が欠けており、その地表は巨大な地震と火山による地殻大変動を殆ど絶えず被っているという特徴を持っていたのである。しかし、その多数の鉱物・金属・宝石の巨大な鉱床は、多くの人々に“シリウスY”の地表での非常に豊かな生活を営むべく自分の生命を危険に晒す事を促したのであった。
 苦闘する鉱夫達の小集団が窮屈な宇宙船とシェルターの中で生き延びてゆくのを50年間観察した後、主要な採鉱企業の群れは動いた。2220年、彼等は“シリウスY”のテラフォーミングを決定した。惑星の変動する地表上に酸素工場群が建設され、硫黄を貪欲に求める特別な藻がそのオレンジ色の平野に散布された。
 1世紀後、“シリウスY”は完全に変わっていた。草木は蔓延り、酸素含有量は十分に高いものとなり自力呼吸を可能にした。しかし、地上は依然として不安定であり、ほぼ1ヶ月毎に大災害を引き起こしていた。この惑星の地殻変動活動を理由に、ヒラーズ精錬社やM=F建設社と言った企業達は地上に工場を建設しない事とした。その代わりに、彼等は軌道工場群を建設した。これらの軌道工場群の労働者達は、帝国政府によって建造された“ザ・プロジェクツ”と呼称される2つの宇宙コロニーに住居を提供された。各コロニーは、“地球”の様な快適さで10000人の労働者を支える事ができた。
 アマリスの奇襲の最中、共和国の気圏戦闘機群は何の原因や理由もなく2つのコロニーを破壊し、8000人を殺害した。共和国人達は惑星のその手早く手に入る資源を奪い尽くした後、入植者達を独力で生き延びさせるままに放置した。アマリス軍は、この惑星に対する水や食料の輸出を停止させたのであった。入植者達の大部分は“シリウスY”から立ち去ったが、9000人以上がその惑星の地表にて死亡したものである。
 (後に)“シリウス”は取り戻され、カペラ大連邦国――星間連盟崩壊時にこの惑星の支配権を握った――への原料と製造品の重要な供給源になった。しかし、自由世界同盟が前進してきた事――今やこの星系を巡り抗争中である――と、その最後の酸素工場が崩壊した事は、“シリウス”の将来を必ずや危険に晒すであろう。
 考古学者達は、首都のヴァーターズ・ファインドの近くにて興味深い発見をしている。ある1つの丘に建設されて隠されていたそれは、無傷の“地殻変動抑制ステーション”であったのである。帝国の技術者達は、恐らく、迫り来る地震を検知しており、この惑星の多数の断層の中に一連の爆発物を埋設して待ち構え、それらを爆発させる事によって地震を緩和していたのではないかと思われる。このシステムが実際に地震を阻止できたかどうかは相当に疑わしいものであるが、その検出装置は今日入手できる如何なるものよりも遥かに先進的なものであり、それらは変動活動に関する我等の知識を増やす事ができるであろう。

 

惑星名: 地球 (Terra)
恒星型: G2V
軌道番号: 3
ジャンプ・ポイント行程日数: 9日
リチャージ・ステーション: ナディール、ゼニス
現在の所属: コムスター
人口: 12000000000(星間連盟期) 6000000000(現在)
原生生命%、進化レベル: 100%、哺乳類

 “地球”は疑いもなく、星間連盟全盛期には宇宙で最も美しい惑星であった。26世紀には、テクノロジーは環境汚染を克服した。この事と年月を経ての“地球”の人口の3/4以上の大移民が合わさり、“地球”はその本来の自然の美しさの幾らかを取り戻す事ができた。森林は放棄された農地に再び生い茂り、河川は自浄作用により浄化され、大気は再び清浄となったのである。
 余りにも多くの人々が“地球”を離れ植民地に移住した事により、多数の都市が放棄され、やがて母なる自然に還された。残存する都市群――それらの都市の大抵は歴史的に大きな重要性を持っていた――は修復がされ、近代的な輸送機関と衛生設備を徹底的に活用するものへと改善された。また、重工業は都市外に置かれる様に制限された。
 星間連盟期、“地球”には2つの首都が存在した。惑星首都かつ地球帝国政治上の首都は、ヨーロッパのジュネーブであった。そこは工業的な重要性は余り持たなかったが、100以上もの政庁舎が置かれる地球帝国官僚機構の中心地であった。2766年のステファン・アマリスの兵達による“地球”の占領は、この都市に甚大な損害を与えた――政庁舎のビル群とその貴重な記録には、特に。今日、ここは、メジャーな学芸大学であるアース・ユニバーシティの所在地となっている。
 ステファン・アマリスから“地球”を解放する為の戦闘は、地球帝国の幾つかの惑星に対するもの程の甚大な損害は与えなかった。そのあらゆるクレーター、あらゆる破壊された都市、“地球”のランドマークに対するあらゆる損壊は、それが“人類の揺籃地”に対する傷であったが故に、(実際の)倍は心を痛ませるものとして見られたのである。5大陸の全ては、アマリスの占領もしくはこの惑星解放の為の戦闘によって何らかの影響を受けた。北米、特に星間連盟の首都の周辺が、最大の損害を被った。星間連盟議会――“母なる大地に身に着けられた輝ける宝石”とかつて呼ばれた地――は、奇襲によりゴースト・シティーと化した。その初期に行われた戦闘は、都市に重大な損害を与えた。そこにて、征服者達は破壊をする事に於いて非常により効率的な存在となったのである。建造物は気紛れで取り壊された。もしくは、幾つかの汚らわしい方法で以て冒涜をする為だけに、敢えて放置されもした。
 2780年のその解放後、その都市は尚も何千人も支える事ができたが、逃げた人々は戻らなかった。アマリスの占領中にこの都市に残留していた極少数の人々も、砲戦が終わった後には程無くして立ち去った。彼等は言った――「あの都市では、余りにも多くの邪悪な物事が起こりすぎており、それにより祟られているに違いない」と。
 何故、彼等がそう考えたのかは、容易に推測が可能である。かのビル群の高層建築様式は、彼らの内面に巣くう恐怖を引き立たせるものであったのである。現在、好奇心の旺盛な者や聖域を探し求める犯罪者達、もしくは我々の考古学者達のみが、この星間連盟の議会への危険な冒険行を進んで行うものである。長年に渡り、この都市より持ち帰られた遺物は多数の発見を我々にもたらしている。程無く、この都市は空っぽになると思われる。
 その他に大きな重要性を持つものとしては、この惑星に散在する20のHRAD(地球帝国研究開発所)の施設と、既知の10のHMSL(地球帝国軍事科学研究所)と、20のキャッスル・ブライアン、500のSLDF基地がある。

 

惑星名: 金星 (Venus)
恒星型: G2V
軌道番号: 2
ジャンプ・ポイント行程日数: 9日
リチャージ・ステーション: ナディール、ゼニス
現在の所属: コムスター
人口: 202500000(星間連盟期) 9000(現在)
原生生命%、進化レベル: 無し

 “金星”をテラフォームする活動は、2100年代後半に開始された。この惑星の分厚い大気への閉じ込められた酸素を自由にする為の浮遊性の藻類の散布と無数の氷小惑星の地表への激突を続けて20年が経過した後、2203年にはこの惑星の気候は人による踏査が行える程に穏やかなものとなっていた。そして、大気の変更を継続するべく、20の巨大な大気改造工場が建設された。
 入植者達が来始めた時、その彼等の主な関心は採鉱にあった。しかしながら、2245年、ティモシー・ゴシックはこの惑星の化学物質だらけの地表から高品質の化学肥料が作れる事を発見した。彼と彼の友人達は、地球から土壌を輸入する事で“金星”に最初の農場を開き、それは即時の成功を収めた。“金星”に於いて人工土壌の製造方法が開発された時には、地球の農業関連産業は激しい興味を抱いた。そして、巨大な船の群れにより、その惑星の地表の広大な面積に人工土壌が幾層も敷き詰められた。“金星”は、“地球”や“火星”、それと自らも養える程に十分な量の食料の生産を開始し、それは開拓中の植民地としては無視できないものであった。アフロスは、2232年にこの惑星の首都になった。
 その10年後、アフロス軍士官学校(MAA)が完成した。その“地球”や“火星”の姉妹校と同じ様に、MAAはSLDF用の兵士達を訓練した。また、他の士官学校と同様に、それは核兵器によって奇襲の最初の数ヶ月の最中に破壊された。その遺跡への研究は殆ど成果を挙げていないが、調査は継続されているものである。
 崩壊以後、“金星”はゆっくりと過去の地獄の様な姿に戻りつつある。その自動大気改造施設群の内の10箇所が故障をしており、この惑星の大気は相当に変化をしている。人工土壌をベースにした何ヘクタールもの農地も、ゆっくりと縮小しつつある。苛烈な風は、その放棄された土壌の土地を削っている。そこには、人の居住する都市が3つ――アフロス、キリック、ジェニー――のみ存在している。その他の都市や町は、放棄されている。それらの都市への調査は、進行中である。最近の測定は、40年でこの惑星は最早居住不可能になるであろう事を指し示している。

 


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