恒星連邦主要星系


惑星名: ニューアヴァロン (New Avalon)
恒星型: G5V
軌道番号: 4
ジャンプ・ポイント行程日数: 8日
リチャージ・ステーション: ゼニス、ナディール
領有貴族: ハンス・ダヴィオン国王、ニューアヴァロン公爵
政治指導者: 上記と同一
コムスター施設: A級
コムスター代表者: 最高大使ヒュースリン・ヴァンデル司教、ニューアヴァロン基地司教
原生生命%、進化レベル: 50%、哺乳類

  “ニューアヴァロン”は2205年、地球同盟の探査船TAS“キャメロット”によって最初に発見された。軌道からでさえも惑星の瑞々しさは明白に見て取れるものであった。“キャメロット”がこの惑星について提出した報告書は非常に賞賛に満ちたものであり、それ故に“ニューアヴァロン”は2213年から2221年に掛けて“テラ(地球)”を出発した船数隻分の入植者達にとって最も重要な目的地の1つとなった。そして、入植者達が到着した時に見出したものは、5つの大陸、4つの海、穏当な気候パターン、豊富で新鮮な水、多様な生物を持つ世界であり、入植者達に非常に適している様に見えたのである。
 この惑星が農業に最高に適しているとの事実は素早く判明した。そして、“ニューアヴァロン”の多様な原産植物と“テラ(地球)”のものを交配させる事により、入植者達は程無く幾つかの重要な穀類の作物を生み出した。これらの内で最も有名なものは“ニューアヴァロン小麦”である――この小麦は非常に頑丈で、現在は中心領域全域で栽培されている。この時以来、開けた起伏の緩やかな広大な面積の土地を持っている“ニューアヴァロン”は戦争により引き起された農業技術の衰退にも拘らず、自分自身と5つの近隣惑星に十分な食料を供給する事を常に為し遂げている。その農業能力は大抵の場合に於いて“ニューアヴァロン”が恒星連邦の首都であるとの事実により覆い隠されてしまっているが、この惑星の肥沃さは南十字星境界域全体の幸福にとって極めて重要である。
 ニュースコットランドは、最も南に位置している大陸である。1年の内の9ヶ月間の多くが深い雪で覆われているこの大陸は、その広葉樹の森林と動物の毛皮で高名である。その毛皮の中で最も価値のあるものは、伝説的なシルバーアイス・スネーク=ウィーゼル――2メートル近い全長と危険な性質を持っている悪魔の様な生物――のものである。この大陸はまた、惑星で唯一の大規模な貴金属の鉱脈も持っている。このスコットランド大陸の首都はダンディーである。
 ニューヘブリディーズは、この惑星の最大の海に存在している群島である。“ニューアヴァロン”の赤道近くに位置しているこの群島は暑い気候を持っており、それは熱帯植物と果物をこの地域の主な輸出物へとしている。ニューヘブリディーズはまた、高い山脈も幾つか持っている。この群島の位置と相まって、これらの山脈は些か激しいハリケーンを引き寄せ、しばしば、現地のコミュニティに大きな損害を引き起している。これらの島々の内で最大のものは、カーライルである。このニューヘブリディーズの大陸式の首都は、トマスビルである。
 ロストック大陸は、“ニューアヴァロン”で3番目に大きな大陸である。広大かつ平坦な土地のこの大陸は惑星で唯一の砂漠、“ドライランズ”と惑星で唯一の巨大な峡谷、“ゲイヴストンズ・ゴージ”を持っている。また、ロストクは“ニューアヴァロン”の食用動物の相当な割合を生産している。この大陸の広大な地域が複数の貴族の一族によって所有されていて、彼等は様々な種類の動物を飼育しており、それらは恒星連邦中の飢えた一般市民達を満足させる為に惑星外へ輸出されている。このロストクの大陸首都は、フレンスブルクである。
 ブラウンシュヴァイクは、2番目に大きな大陸である。この大陸は、惑星の初期の歴史の際の途方も無い土地所有者であったブラウンシュヴァイク一族に因んで名付けられている。今日、ブラウンシュヴァイクは幾つかの大規模な石油生産センター、2つの宇宙港、3つの大規模都市、惑星の多くの産業の大多数を持っているのを誇りにしている。この大陸はまた、小規模の農場と牧場を多数持っている。このブラウンシュヴァイクの大陸首都は、ブラウンシュヴァイク・シティーである。
 アルビオンは、“ニューアヴァロン”の最大の大陸である。この大陸はまた、地理学上で最も多様であり、3つの山脈、多数の大きな河川、深い森林、広大な大草原を持っている。また、アルビオンには“ニューアヴァロン”の産業の大部分が位置している。そして、その“アヴァロン・シティー”は、恒星連邦の首都、惑星の首都、ダヴィオン一族の故地と、三重の名誉を与えられているのである。
 アヴァロン・シティーは、テーマパークとしてその存在を開始した。この惑星の人類生活の最初の1世紀の際に、1人の奇矯な大金持ちは、“ニューアヴァロン”に於いてその惑星の名前に適合するのは恐らくこの場所である、と決断したのである。彼は自分のテーマパークの立地として、この大陸の3つの主要な河川、“アルビオン”、“テムズ”、“クリス”が集まっている1つの広大な島状の土地を選択した。そして、この場所は“アイル・オブ・アヴァロン”と名付けられたのであった。このテーマパークの建造物が廃墟となってから長い年月が経過しているが、その中世趣味は留められている。ダヴィオン一族がこの地域の支配権を得た時、彼等は花開いた騎士道の美徳を賞揚するフェスティバルの伝統を奨励したのである。
 ルシアン・ダヴィオンが権力を握った事は、ダヴィオン一族がこの惑星を長年に渡って支配するであろう事を明白にした。その為、彼は以前のテーマパークの中世趣味を新たな首都の建築様式に組み入れる事を決断した。“マウント・ダヴィオン(ダヴィオン山)”の頂から都市を睥睨しているのは、“ロイヤル・パレス”であり、幾人かは未だにそれを“キャメロット”と呼んでいる。これは、ルシアンが若き日に“テラ(地球)”へ旅行した際に見たイギリスの中世要塞の拡大されたコピーである。“ロイヤル・コート”は、恒星連邦の省庁を収めているビルディングとホールの複合施設である。これはマウント・ダヴィオンの麓、“ロイヤル・パレス”の真下に建設されている。この“ロイヤル・パレス”、“ロイヤル・コート”、アヴァロン・シティーを防衛しているのはダヴィオンのエリート近衛旅団の1個大隊であり、それは“ロイヤル・コート”とアヴァロン・シティーの丁度中間に駐留している。
 2390年代後半のアヴァロン・シティーの完成以来、(都市の)拡大はその中世風味をゆっくりと減じさせている。都市の中心部――“オールド・シティー”、もしくは“政府街”として知られている――の外に建設されたビルディング群は中世的な外観の組み込みを義務づけられてはおらず、それ故に現代的な様式を採用しているのである。
 アヴァロン・シティーの南、約30km離れた場所――かつてダヴィオン一族の私的なゲーム用の禁猟地域であった場所は、“ニューアヴァロン科学大学”である。その7つの学部はそれぞれ特定の分野に専門化しているが、学部間での学習も奨励されている。大学の多数の建物は、広大で快適なキャンパスの周りに立ち並んでいる。この大学の近くに存在しているものは、バトルメックや気圏戦闘機の操縦士用の訓練場と大学の専用宇宙港である。
 この大学の多数の秘密プロジェクト周辺の警備は厳しいものである。実際、NAISは地下鉄道を経由するか大学の宇宙港への飛行を経由するかのみで到着する事が可能なのである。そして、この事は、何者が大学に出入りしているのかを政府が密に追跡する事を可能にしているのであった。また、抑止力かつ最終手段の暴力として、大学構内には警備へ助力する為に2個バトルメック大隊が駐留している。彼等はまた、“NAISバトルメック訓練学校”用の熟練した対戦相手としての任も務めている。
 マウント・ダヴィオンから西に伸びている山脈に隠されているのは、ダヴィオンの軍司令部である。この“ザ・マウンテン”、もしくは“フォックスズ・デン(狐の巣)”として知られているものは、花崗岩の山の奥深くに存在している巨大な洞窟と輸送トンネル群の複合施設である。磁気浮上式の地下鉄がそれらを結びアヴァロン・シティーまで通じており、同様に2個メック大隊と付属する戦闘機群が山脈の峡谷全域へ戦略に基づいて設置されている洞窟に隠されている。この重度に要塞化されている軍司令部の必要性は第1次継承権戦争の際に明白なものとなったものである――その時、防備が弱体であった“ニューアヴァロン”の1ジャンプの間合いにまでドラコ連合軍は突進してきたのであった。
 星間連盟の崩壊と続いての3回の戦争にも拘らず、“ニューアヴァロン”はかなり高度な技術水準の保持を為し遂げている。この惑星の人口は大きなものではあるが、4つの大陸に散在して快適な生活を送っている。公衆のモラルは高く、反体制派はゴッホ=ブコフスキー大学の若々しい過激派の間に少数しか存在していない。アヴァロン・シティーは国の最高の芸術家達の多くを引き寄せており、彼等は自分達の芸術で以ってアヴァロン・シティーに光彩を添えている。“ニューアヴァロン”とアヴァロン・シティーは恐らく、継承国家達の5つの首都の中で最も心地の良いものであろう。

 

惑星名: ニューシルティス (New Syrtis)
恒星型: K5IV
軌道番号: 4
ジャンプ・ポイント行程日数: 4日
リチャージ・ステーション: ゼニス
領有貴族: マイケル・ハセク=ダヴィオン、ニューシルティス公爵
政治指導者: 上記と同一
コムスター施設: A級
コムスター代表者: ロベルタ・ヒロ司教
原生生命%、進化レベル: 10%、植物

 “ニューシルティス”は、氷河時代に捕らわれている大きな惑星である。巨大な氷の層が惑星の大部分を覆っており、温暖気候や熱帯気候は赤道周辺の狭い帯域にしか存在していない。“ニューシルティス”は地球同盟時代の最中に最初に発見されたが、2260年代後半になるまで入植はされなかった。最終的にここに住み着いた者達は、氷と雪の下に埋蔵されていると言われた鉱物や貴金属の鉱床を発見する事によって裕福になるのを望んだ。そして、最初の開拓移民達が大規模な金属の鉱床を惑星全域で見つけ出した時に、この賭けは報われたのである。
 “ニューシルティス”は一夜にして活況を呈す惑星へとなった。数千人が富裕になるとの大いなる望みを抱いてここに向かった。数ヵ月の孤独な奮闘後、鉱夫達はこの小地獄を罵りつつ、大量の鉱石と共に氷と雪の中を重い足取りで歩く事となった。そして、ピンク・パッション、レディーズ・フェイバー、ハングオーバー・ヘル等の都市が温暖な地域に生れ始めたのである。それらは1つの機能――可能な限り素早い方式で鉱夫達の財産を奪う為の機能のみを持っていた。しかし、容易に採掘可能な鉱床の金属は程無く掘り尽され、この活況は終った。その後、良好に組織された採掘企業群が深層の鉱石を採掘する為に移動を為し、そして、この事は独立採掘師とそれらの雑然とした歓楽都市の終焉を意味したのであった。
 現在、“ニューシルティス”はハセク一族にその称号を与えている。この常に(特に誠実という訳ではないが)理知的であったハセク一族は、この惑星のリソースに対する統制をゆっくりと獲得していった。彼等は、その利益の為に惑星の地表を大量に引き剥がす――そして、惑星の脆弱な生態系を破壊しかける――という様な金属企業の貪欲さを抑制する事ができるのである。ハセク一族が、自らの故郷の為、惑星の富の全てを自分達のものにするとの欲望の為、そのどちらの考えからそれを行っているかについては不明である。確かなのは、彼等の政策が数世紀間以上にも渡るこの惑星の莫大な金属と鉱物資源の配給を生み出し、それにより“ニューシルティス”が恒星連邦にとって今日も初期の時代と同様に重要なものとなっている事である。
 “ニューシルティス”はその重要性により、頻繁に隣国のカペラ大連邦国による攻撃目標へとなっている。攻撃を受けた際、この惑星はそのほぼ途切れる事の無いブリザードと骨の髄まで凍らせる魔法という恐るべき援軍を得る。侵攻して来たカペラの全メックや戦車の5機の中の1機がこの気候に遭遇した為に失われている、と推定されている。
 極寒の気候による防御上の利点は、ハセク一族がその首都のサーソをより温暖である赤道地域の代りに北方大陸に建設した理由の1つとなっている。この都市は、ハセク一族が都市を見下ろす丘陵に小規模の複合建築物を建設し、近くにサーソ大学を建設した事により、幾つかの点に於いてアヴァロン・シティーを連想させるものとなっている。現在のニューシルティス公爵であるマイケル・ハセク=ダヴィオンは、サーソ大学がライバルのニューアヴァロン科学大学を遥かに引き離す事を望んでいると思われる。この大学の近く、万年雪の地表の地下に隠されているのは“境界域軍司令部”であり、そこにてマイケル公爵は全カペラ境界域の軍事活動を調整している。

 

惑星名: ロビンソン (Robinson)
恒星型: G5IV
軌道番号: 3
ジャンプ・ポイント行程日数: 7日
リチャージ・ステーション: ナディール
領有貴族: アーロン・サンドヴァル、ロビンソン公爵
政治指導者: ハーリグ・デヴリン議長
コムスター施設: A級
コムスター代表者: ルドミラ・ロフタ司教
原生生命%、進化レベル: 40%、哺乳類

 “ロビンソン”は、温暖で大きな惑星である。この惑星の肥沃な黒の土壌は“エクソダス”初期の入植者達を惹き付けた。しかし、彼等が“ロビンソン”の真の宝がその埋蔵されている油田、レア・メタル、貴金属である事に気づくのにそれ程の時間は掛からなかったのであった。
 結果、利用可能な土地の大部分を既に権利主張していた農業者達は、その埋蔵されている富の入手を熱心に望む外国企業群と衝突する事となった。そして、この危機は惑星政府を崩壊させ、惑星市民軍の優れた指揮官であるデーヴィッド・サンドヴァルを著名にした。“護民官”の称号を帯びて政府の残余の指揮権を継承した後に、サンドヴァルは外国企業の資産と所有権を差し押さえたのである。彼は、彼等の負の影響は“ロビンソン”の生活水準まで脅かしている、と主張する事によってそれを正当化したのであった。
 その後、サンドヴァル護民官は、土地が売買されるごとに政府が自由に活用できる土地を次第に増やしていく事になる急進的な土地改革法案を成立させた。そして、政府は最終的に、それらの取引を通して取得した土地を採掘する事で財産を築いたのである。この土地改革法案はまた、サンドヴァル一族を富裕にした――彼等は政府所有の土地の採掘を合法的に認可された唯一の石油/鉱物採掘企業を所有していたのである。
 (その後の)より穏健な政策は、最終的には土地所有者の側に再びバランスを傾けたが、その間に、サンドヴァル一族は惑星の支配貴族へとなっていた。“ロビンソン”はその政治的・経済的重要性により、程無く貿易の重要な中心地となった。恒星連邦が5公国に分かれていた時代には、“ロビンソン”は“地球境界域”の首都となった。サンドヴァル一族の勢力は、“5公国時代”の混沌を通して継続した。サンドヴァル一族がロストフの熱心な支持者であったとの事実にも拘らず、彼等は“内戦”をも生き延びたのである。“内戦”後の恒星連邦の再編成の結果、“ロビンソン”は非常に広大であるドラコ境界域の首都となった。
 “ロビンソン”が採掘作業の為にその地表の相当な部分を失ってから久しく、この事はその原料の輸出能力と自らの食糧を生産する能力を限定されたものにしている。しかし、その代りに、“ロビンソン”は大規模な工業センターとなった。星間連盟の黄金時代、“ロビンソン”は航宙艦や降下船の建造に使用される洗練された金属製品の主要な供給地であった。また、“ロビンソン”は個人用のヴィークルや器具等の民間消費物資を製造する小規模な製造業を多数抱えていたのである。
 星間連盟の崩壊と共に、ドラコ連合軍が恒星連邦の奥深くに突進した際、“ロビンソン”は侵攻して来た彼等の前に陥落した。クリタ軍は現地の住民の抵抗の意志を粉砕させる為の活動に於いて、“ロビンソン”の重工業の大部分を破壊した。そして、飢餓や軍の犠牲者となって多数が死亡したのであるが、“ロビンソン”の住民達はクリタの占領軍に対して無数の攻撃を行ったのであった。
 “ロビンソン”は最終的には解放されたが、その前に惑星の工業能力の70%が破壊されていた。惑星の工業力を初期のレベル近くにまで引き上げるのに十分に、最初の戦争による損害の再建が進んだのは極最近の事である。

 

惑星名: マロリーズ・ワールド (Mallory's World)
恒星型: G2I
軌道番号: 6
ジャンプ・ポイント行程日数: 8日
リチャージ・ステーション: 無し
領有貴族: ロッドケル・ミラー、マロリーズ・ワールド公爵
政治指導者: キャサリン・ドブッシェル大統領
コムスター施設: B級
コムスター代表者: ジャスパー・ドレクセル司教
原生生命%、進化レベル: 80%、哺乳類

 “エクソダス”として知られている時代の初期に“マロリーズ・ワールド”は発見され、即座にヨーロッパとイギリスの移民達によって入植が為された。ダヴィオン家の最も農業が豊かな惑星の1つであるにも拘らず、“マロリーズ・ワールド”は大抵の場合に於いて侵攻軍の中継地点としての方で良く知られている。
 最初の入植者達は、惑星の美観の中で繁茂している危険な寄生体の宿主が多数の奇病のキャリアであるのを発見した事で衝撃を受けた。ベック・マロリー博士は、“テラ(地球)”での失敗した経歴から逃れる為に入植に参加した二流の寄生体学者であった。自分の同行入植者達が寄生体問題について相談を求めてきた時、マロリー博士の最初の反応はその様な責任からの解放を望むというものであった。しかし、紳士的な説得とそれ程紳士的ではない説得は、最終的には、解決法の発見を試みる事を彼に承知させた。全ての原生寄生体の間の共通点――単純なビタミン合成物の注射が免疫を与えられるであろうもの――を発見した時、恐らく彼は誰よりも驚いていたであろう。そして、感謝の気持から、入植者達は自らの惑星をマロリーに因んで名付けたのであった。
 彼等は惑星を素早く肥沃な地へと変えていき、その食料の余剰物を近隣の余り幸運ではない惑星に供給した。ドラコやカペラの連隊による何回もの抑圧的な占領がなければ、“マロリーズ・ワールド”は恐らく幸福な惑星のままであったであろう。しかし、その頻繁な戦闘にも拘らず、“マロリーズ・ワールド”は“戦争の時代”を生き延び、最終的には恒星連邦の一員となった。そして、星間連盟時代の最中には、“マロリーズ・ワールド”の人々は地球帝国構成国からもたらされた新技術を使用して、自分達の作物と家畜動物の産出量を上昇させる事ができたのであった。
 星間連盟の崩壊と継承権戦争の勃発は、その全てを変えるものとなった。最初の継承権戦争は、惑星のその人口とその農業センターの大部分に深刻な損害を残した。2回目の継承権戦争は、破壊はより少ないものであったが、更なる損害を与えた。ドラコ連合とカペラ大連邦国の間にある“マロリーズ・ワールド”の戦略的な位置はそれを非常に魅力的な目標にし、これら二国はその攻撃を無慈悲かつ頻繁に行った。そして、恒星連邦はこの戦略的に極めて重要である惑星を手放す気は全くなく“マロリーズ・ワールド”を強固に防衛したのである。
 第3次継承権戦争の開始時には、“マロリーズ・ワールド”の4つの大陸の内の3つは余りにも蹂躙されており、その地で再び生育できると思われるものは少数であった。近年、その4つ目の大陸はダヴィオン政府によって立ち入り禁止区域の宣言が為されており、それ故にやがて食料の生産開始が可能になるであろう。カペラ人やクリタ人達でさえも、この解放地域を尊重する事を決定している。
 惑星の首都は、ノーザン・オレゴン大陸に位置しているマロリー・シティーである。惑星のバトルメック派遣部隊の司令部である“フォート・ドジャー(ドジャー要塞)”は、首都からそれ程離れていない場所に存在している。

 

惑星名: グルカナ (Gulkana)
恒星型: A5V
軌道番号: 5
ジャンプ・ポイント行程日数: 23日
リチャージ・ステーション: 無し
領有貴族: ケヴィン・サロース、グルカナ公爵
政治指導者: トーマス・ヤーボロウ大尉(次期大統領)
コムスター施設: B級
コムスター代表者: ウルヴァノン・リヴォス司教
原生生命%、進化レベル: 30%、植物

 “グルカナ”は現在、非常に政治的かつ宗教的な不穏の中心地となっている。リソースの少ない比較的小さな惑星であるこの星は恐らく、その1つの産業を除いては顧みられない存在であろう。そのエフター・ウェポンファクトリー社はあらゆる口径の降下船用オートキャノンを製造している。そして、その製品の大部分は“ギャラックス”へ行き、そこにてそれらはフェデレーテッド=ボーイング社の降下船に搭載されるのである。
 政治的な反乱の結果として昨年にエフターズ社の工場が操業を停止した時、ハンス・ダヴィオン国王自身をも含む恒星連邦の全ての者が驚愕し、注意を向けた。この惑星の民主政体の政府は惑星の現地の市民軍によって簒奪されていたのであった。貴族達――優柔不断かつ冷淡なサロース公爵を含む――は、その地位を保障するとの約束で以って懐柔されていた。民間政府の新たな支配者であるトーマス・ヤーボロウ大尉は、比較的道理をわきまえている人物として姿を現した――彼は、個人の自由を保護する事と、より安い税金を約束したのである。そして、その時は、政府の交代はより良いものであるかの様に見えていたのである。
 しかし、ヤーボロウ大尉が“能力法”――IQに基づいて住民を等級に分ける為の馬鹿げたテスト――を宣言した時、この見解は素早く変化した。これで高得点を挙げた者達は重要な職を与えられる――そして、低得点であった者達はシャベルを与えられるのである。このテストはヒンドゥー人口の大多数に対して不正確かつ偏見を持ったものであったが、ヤーボロウの狂信的で十分に武装している支持者達には受け入れられるものであった。この狂気の影響は即時のものであった。極めて重要な兵器産業を含む惑星の全ての地表が完全に停止したのである。
 明白な法律がその貴族の義務へのダヴィオン中央政府による介入を妨げている為に、ハンス・ダヴィオンの可能であった最大の手段はサロース公爵に抵抗を促す圧力を掛けるのを試みる事のみであった。しかしながら、この老公爵は国王の行動要求に抵抗した。また、その惑星の下位貴族の幾人かはその私設軍をヤーボロウに対して使用するのを望んでいたが、サロース公爵は主要な都市を直接的に支配しており、これは実質的には簒奪者を守っているのである。現時点では、この気の狂った大尉の打倒の為の草の根運動が存在しており、ダヴィオン政府の援助を求めているが、今の所はそれが調整の取れた活動を起こすのは不可能なのであった。
 “グルカナ”の首都は、カーンプルである。

 

惑星名: カシール (Kathil)
恒星型: F4V
軌道番号: 3
ジャンプ・ポイント行程日数: 10日
リチャージ・ステーション: ゼニス
領有貴族: コスター・ヴァンリーズ、カシール公爵
政治指導者: デクスター・メゾン議長
コムスター施設: B級
コムスター代表者: インドラ・シェーシュ司教
原生生命%、進化レベル: 30%、昆虫

 “カシール”は、かつてはカペラ国境近くの小さく平凡な惑星であると考えられていた。レア・メタルの少数の鉱床は少人数以上の入植者を引き寄せるのに十分ではなく、それらの入植者の大部分も生き残る為に農業をしなければならなかったのである。しかし、星間連盟の成立と“再統合戦争”の戦闘により、“カシール”の重要性は急上昇した。
 遠方の辺境国家達を星間連盟に引き入れる為の戦闘は、星間連盟海軍の航宙艦と降下船群に重い負担を掛けた。それらの艦船が修理の為に移動しなければならない広大な距離――大抵の場合に於いて遥かな“テラ(地球)”までのもの――は、それらを数年間に渡って戦闘から遠ざける事になるものであった。この理由により、2596年、星間連盟は地球帝国の構成国外に大規模な造船所を建設する事を決定したのである。そして、星間連盟海軍修理/改装施設用の場所として選ばれた惑星群の中に含まれていたのが、“カシール”であった。近隣の他の惑星ではなく“カシール”が選ばれたのは、その星系が繊細な航宙艦へ容易に損害を与えられる小惑星やダストが著しく存在しなかった為である。また、“カシール”はフレアやストームが殆ど無い非常に安定している恒星も持っていた。2602年、この施設は公式に“ジェームズ・マッケナ造船所”と命名された。
 この施設は、実際は2つの別個の造船所で構成されていた。1つ目は、ゼニス・ジャンプポイント近くの軌道に乗っている航宙艦用の1つの巨大な複合修理ドックと機械工場群である。もう1つの方は、降下船用の一連の軌道修理ベイである。そして、惑星自体は修理工場と部品貯蔵所の複合施設となっていた。星間連盟時代を通じて、このマッケナ造船所は星間連盟海軍の艦船にサービスを提供し、同様にカペラ大連邦国と恒星連邦の私設海軍の艦船、民間の貿易企業の艦船にもサービスを提供したのであった。
 その他の多くと同様に、この全ては星間連盟の崩壊と共に終りを告げた。カペラの戦闘艦群は“カシール”に向かって進み、恒星連邦の戦闘艦群の激しい抵抗にも拘らず、彼等は航宙艦造船場を無力化する事を為し遂げた。また、その後の両造船所を狙った数度の攻撃は、更にそれらの機能を低下させたのである。航宙艦造船所は艦船の定期整備と数回の大規模な分解修理を行うのに十分な程には修理が為されているのであるが、その大部分が損傷しその大部分が放置されており、それ故に造船所の大部分は人も配置されず使用もされてはいない。降下船造船所はそれよりも良好な状態にあり、恒星連邦で最大かつ最良の状態を維持している降下船修理施設として存在し続けている。
 カペラのメック部隊による数度の襲撃は惑星上の貯蔵所と部品工場の大部分を破壊した。航宙艦部品のほぼ全てが、破壊されるか持ち去られるかしている。そして、降下船用の非常に少数の部品は尚も存在しているのであるが、技術の劇的な喪失はこれらの部品の幾つかの使用を全くの神秘にしているのである。
 “カシール”の首都はディストリクト・シティーであり、その近くにはカシール・ジェネラルモーターズのエンジン工場が存在している。

 

惑星名: ホフ (Hoff)
恒星型: G4III
軌道番号: 4
ジャンプ・ポイント行程日数: 8日
リチャージ・ステーション: ゼニス
領有貴族: ブラッドレー・チール、ホフ公爵
政治指導者: 無し
コムスター施設: B級
コムスター代表者: ロセック・トライヴ司教
原生生命%、進化レベル: 30%、哺乳類

 “ホフ”は、元々は農業に適した面を注目され入植が進められた。複数の小さな河と小川が交差しているその広大な平地は、素晴しい農地と放牧地を作り出していたのである。“ホフ”が持つその他の金属や石炭の鉱床の適度なリソースは、農業惑星としてのその可能性により二の次のものとなった。
 3019年初頭、NAISから来たチームが長年放置されていた北方大陸に存在するフリーデン航空宇宙廠を再度開く為に“ホフ”を訪れた。そして、この小規模の宇宙港は整備され、NAISの科学者達――あの有名なチーム・バンザイのメンバーが含まれている――が新たな軍技術の実地試験をする事を可能とするテスト施設になった。この事は“ホフ”を、ドラコ連合が攻撃を遅らせられない優先目標にした。3022年、ドラコ連合の傭兵部隊である高名なウルフ竜機兵団は、それと同様に有名であるエリダニ軽機隊が防衛している“ホフ”を攻撃した。このウルフ竜機兵団の黒のメック部隊は研究施設の奪取を為し遂げた――しかし、彼等は科学者達や彼等が試験していた研究成果の何れかを捕獲する程に素早くはなかったのであった。
 その時以降、恒星連邦は“ホフ”を強化し、クリタ人達が更なる攻撃を試みる可能性をないものにしている。我等のコムスター司教の報告書は、ダヴィオンがフリーデン航空宇宙廠を再開し、そこにて最近チーム・バンザイがハチェットマン・バトルメックの派生機のテストを完了した、と述べている。

 


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