氏族本国主要惑星(3062年)
エデン (EDEN)
恒星系: F4Ib
星系内位置: 1 (2個中)
地表水: 40%
大気圧: 標準 (ウイルス汚染)
表面重力: 1.1G
赤道気温: 30℃
最高原生生命: 哺乳類
領有氏族: ヘルズホース、ジェイドファルコン、ウルフ
人口: 61,000,000
“ペンタゴン”の惑星群の最後のものである“エデン”は、かの亡命者達の2786年の到着から2801年に掛けて、その首都の役割を果たした。この惑星の降水の多くは赤道周辺の狭い地帯に落ちるものであり、その結果として全く対照的な植生パターンが生じている。赤道の20度以内には、青々と生い茂ったジャングルと緑の平原が存在している――しかし、この地域の外になると明確に降水がなくなり、その結果として岩石砂漠の広大な帯状地帯が生じているのであった。現地の小気候は赤道地帯の外部に植生を生じさせているが、その植物の寿命は大抵は季節的なものである。
様々な陸生動物種が“エデン”上では進化したが、それらの内で認められる程の大きさのものは極少数である。その最大の陸生動物は、昆虫と魚を食べて生きている半水生哺乳類のエデン・ビーバーである。そして、この惑星上で最大の種は、地下に生きる無脊椎動物のバロックである。見掛けられる事が稀であるこのバロックは、その適応性と不撓不屈さで高く評価されている。入植者達はまた、多数の“地球”の種を導入しており、それらの中ではウィドウメイカー・スパイダー(“地球”の同類の3倍の大きさにまで成長している)とジェイドファルコン(遺伝子改造されたハヤブサ)が最も有名である。
“バビロン”や“アルカディア”と同様に、“エデン”原生の生命の多くは人類にとって敵対的なものである。所謂“カース・オブ・エデン”――脳炎の一種――は、アレクサンドル・ケレンスキーの妻のカチューシャの命を奪い、ニコラスを死の瀬戸際に追いやった。また、それを生き残った者達も、大抵は脳に相当なダメージを被ったのであった。この病気を引き起こす病原体は今尚この惑星の環境へ積極的に関わるものであり続けており、この惑星を訪問する者達は予防接種をしなければ感染する危険を負う事となる。
この惑星の住民達は、複数の都市化した包領――それらの大部分はその創設日を亡命星間連盟にまで遡る事ができる――に集中している。パーガトリー半島に存在するヘルズホースが所有する惑星首都のハデス(以前はヴェスタとの名で知られていた)は、未だに使用されている最古の都市化された包領として著名である。その他のものの多くは、“ペンタゴン”の内戦の破壊の中で失われてしまった。氏族達は“クロンダイク作戦”後、アレクサンドル・ケレンスキーの首都であったノーヴィモスクワへの再居住は行わない事を決定した。代わりに、その廃墟はウルフ氏族の管理の下に記念物としての役割を果たしている。その都市の大部分は自然に還る事が許されているが、アレクサンドルの指揮所の様な重要な場所は特別に訓練された管理者達によって整備維持がされている。この場所へは招待者のみが入れるものであり、この場所の守護者達――ストラナ・メクティ・ウルフの群れ――は管理者を伴わない如何なる者に対しても攻撃をする様に訓練がされている。
ストラナ・メクティ (STRANA MECTY)
恒星系: G3VI
星系内位置: 4 (7個中)
地表水: 70%
大気圧: 標準
表面重力: 1.1G
赤道気温: 25℃
最高原生生命: 哺乳類
領有氏族: 全氏族(ウルフ氏族とダイヤモンドシャーク氏族の首都の役割を果たしている)
人口: 136,000,000
2792年、調査団の1つは氏族の首都へなる事になる惑星を発見した。アレクサンドル・ケレンスキーの妻のカチューシャは、それを“ストラナ・メクティ”――“夢の地”――と名付けた。“地球”より僅かに寒冷であったが“ストラナ・メクティ”は入植をするのに申し分なく適しており、2800年には繁栄していた。その在来種の大部分は害のないものである事が判明したが、クラナ――病気を媒介する事で知られているネズミ大の昆虫――は(その総数を抑制する為のスターアダーが導入されるまでは)問題である事が判明した。その他に導入された種も繁栄し、その環境条件に良く適応していった。氏族のトーテム動物の多くは、この“ストラナ・メクティ”に導入された地球系種から進化したものである。
この惑星は、4つの主要な大陸――南半球の氷の多く鉱物に乏しいキャメロン大陸、赤道の温暖で湿潤なマッケナ大陸、北緯温帯のノーヴィ・テラ大陸とケレンスキー・プライム大陸――から成っている。多数の列島と群島がその淡水性の海洋に点在しており、それらの全てには星間連盟と地球帝国の英雄達に因んだ名が付けられている。“ストラナ・メクティ”上のその全ての氏族の間での平等な領土区分(しかし、これは資源的には平等なものではない)を維持する事には、大いなる注意が払われている。従って、各氏族はニコラス・ケレンスキーによって与えられた元々の領土区画を保持すると同時に、この惑星上に散在する包領の幾つかの支配権も握っている。南方のキャメロン大陸――以前はウィドウメイカーとマングースの所有地によって優位が占められていた――の支配権は、この方針の下に分割されていった。そして、SLDFが“大拒絶”を行った際には、最も低い人口を抱えていて全氏族の間で分割されていたキャメロン大陸が必然的な開催地となったのであった。
全氏族の首都であるカチューシャはノーヴィ・テラ大陸に位置しており、それは合法/非合法の市場として著名である。如何なる氏族の包領とも異なり、全ての氏族から抽出された特別な警察部隊――エボン・ケシークと関係を持っているがその一部ではない――がこの都市の秩序を維持している。彼等の責任範囲には、都市にそびえ立ちそしてスヴォボダ・ゼムリャ――族長ホール複合施設を取り巻く大公園――の境界の端にまでそびえ立つ氏族の主遺伝子貯蔵所が含まれている。この公園と複合施設は、高い敬意を払われているエボン・ケシークの管轄下にある。
両ケレンスキーの旗艦であった“マッケナズ・プライド”はカチューシャ上空の静止軌道に留められており、それは全ての氏族から集められた乗組員達によって整備維持と操艦が行われている。この艦は、地球”を奪取する事で1つの氏族が“イルクラン(ilClan)”に指名されるまでは大評議会に信託されているものである。
トーカシャ (TOKASHA)
恒星系: K5IV
星系内位置: 4 (5個中)
地表水: 60%
大気圧: 高 (呼吸可能)
表面重力: 0.8G
赤道気温: 35℃
最高原生生命: 鳥類
領有氏族: ゴリアテスコーピオン、ヘルズホース、ジェイドファルコン
人口: 14,600,000
2840年にマングース氏族のメンバー達によって入植された“トーカシャ”は、その大気に高レベルの酸素を有しており、それは植民地建設活動――特に海抜近くでの活動――を制限し続けた。主要な都市の大部分は、高地――そこでは低くなった大気圧により酸素含有量は毒性のないものへと減少している――に位置している。しかしながら、主要な採鉱場所とそれに付随するコンビナート群は、必要性から低地に位置している。その各複合施設に対してそれ独自の大気処理設備を与えるのは非実用的な事であったが故に、それらの内の幾らかはその場の大気を使用しており、そこの労働者達に呼吸装置を身に着ける事を必要とさせている。極少数の人々は空気を濾過するインプラントを有しており、それらの者達は嵩張る呼吸装置なしで働く事ができる。しかし、そのインプラントはそれらの者達のそれ以外の場所で生きる能力を制限してしまう為に、かような肉体改造は労働者階級に制限されている。
この大気の混合比に加えて、現地の植物相と動物相は人命に対して敵対的である。様々な爬虫類の動物と鳥類種達が、2つの主要な大陸の稠密なジャングルと森林の中で狩りをしている。ネズミから小型の馬にまで渡るサイズであるそれらの大部分は視界内の侵入者に攻撃をしてくるものであり、入植者達は彼等の領域を避ける事を学んでいった。これらの原生種の致死性は、地球の種の導入を人類の入植地周辺の小規模の飛び地に制限した。その顕著な例外は、亜北極のカッシェル半島――それは一連の巨大な山脈群によって大陸の主要部から隔離されている――の複数の羊牧場である。しかし、それらの原生動物よりも命取りであるのは、微生物である。“ラエンズ・リグレット”の名で知られている病気はその古典的な一例であり、それは微熱と発疹、譫妄、吐き気といった症状を持っており、治療をしないで放置した場合には死に至る。この病気は軽症の場合であっても、適切な治療がなければ中年期以降に再発する可能性がある。
マングース氏族は“マーシャルの大虐殺”の結果として“トーカシャ”の支配権を失い、遂にはこの植民世界から締め出される事となった。その歴史の多くに於いて、4つの氏族――ゴーストベアー氏族、ゴリアテスコーピオン氏族、ヘルズホース氏族、ジェイドファルコン氏族――が“トーカシャ”を統治していた。2921年、ゴーストベアーとヘルズホースの間での大規模戦闘は、印象的なトーカシャ・メックワークス・アルファを含む後者の側の所有地を失わせた。3060年にゴーストベアーが“トーカシャ”から退去した時、彼等は自分達の所有地をダイヤモンドシャークに譲渡した。しかし、ダイヤモンドシャークのガンマ銀河隊はその元・ゴーストベアーの領域の所有権を当初は握ったが、かの氏族は“トーカシャ”の急速に悪化しつつある状況――特に、ゴーストベアーの包領の所有権の主張をするヘルズホース氏族の到来――を自分達の長期的利益に反するものであると見なし、撤退する事を選んだ。