ウィンフィールド連隊
(WINFIELD'S REGIMENT)


 ウィンフィールド連隊はジェレミア・ウィンフィールドにより、ジェイドファルコンを攻撃してウィンフィールド一族の故郷――3050年に失われた彼の父親と他の一族郎党達については言及をしていない――を奪還する為に当初は創設されたものであるが、やがてカトリーナ・シュタイナー国家主席の忍耐力を尽きさせる事となった。余りにも限度を越えて多数の無許可攻撃を実施した事によりライラ宙域から事実上追放された(LAAFは彼等がやがてジェイドファルコンの圧倒的な報復攻撃を招く事になるのではないかとの懸念を深めていたのであった)ウィンフィールド連隊は、“ケイオス・マーチ”にて幾つかの短期契約をこなした――以前はイリュリアン・パラティネートであったマリア帝国のその占領地の駐留部隊を支援させる為にマリア帝国により雇用されるまでは。マリア帝国のゲルマニウムが惑星“ウィンフィールド”を奪還するという自分の夢への資金をもたらす光景が心に浮んだ事から、ジェレミアはマリア帝国との契約を喜んで結んだのであった。
 しかし、ウィンフィールド連隊がマリア帝国へ最終的に到着した時、彼等は即座にイリュリアン・パラティネートではなく“アルファード”へ配置換えされた。コンパス座人達の攻撃の所為で、マリア帝国は自らの中心世界を守るべく幾つかの傭兵部隊を引き戻し、それにより守備から解放された(正規の)軍団を元・イリュリア宙域を含む2国間の国境に配置したのである。そして、ウィンフィールドのゲルマニウム鉱床と惑星“アルファード”の計り知れない富への夢は、惑星“アルファード”の鉱床の大多数は遙か昔に枯渇しており僅かな資源しか産出していないのを彼が知った時に消え去る事となった。
 ウィンフィールド連隊はやがてイリュリアの惑星“マクシミリアン”へ回され、そこにて彼等はマリア帝国の第IV軍団と訓練を積んだ。時折、彼等は暴動鎮圧に参加したが、マリア帝国軍の高圧さはウィンフィールド連隊を不快にさせた。程無くして、ジェレミア・ウィンフィールドは、自分の部隊が辺境の2流国家での駐留任務と教導任務に身を堕しつつあり、惑星“ウィンフィールド”を奪還するという自らの夢がゆっくりと手から零れ落ちていくのを悟る事となった。
 3068年中期、皇帝はウィンフィールド連隊とその他の小規模傭兵部隊群に対して幾つかの無人星系の探査を命じた。(この時)マリア帝国の諜報ネットワークは、最近になり存在が確認されたが所在が不明であったコンパス座からの離反者であるブラック・ウォリアーズがそれらの中に存在する、と確信していた。そして、かのエリート部隊の捕縛か撃滅を熱心に望んだ皇帝は、彼等を見付け出す為にそれらの傭兵部隊を派遣したのであった。これにウィンフィールド自身としては、ウィンフィールド連隊を2つの任務部隊に分割し、第3大隊を惑星“マクシミリアン”に残す一方でそれ以外は航宙艦“ハートフォード”と共に出発させた。
 3069年1月、ウィンフィールド連隊は400年前に滅びた古い植民惑星である“コーパス・モーツーム”に到着した。辛うじて居住可能であるこの植民惑星の唯一のバイオドームは壊れ、致死性のメタン大気がその居住者達を損なうのを防ぐ事ができなくなっていた。その先進的な濾過機構を複製する事ができなかったマリア帝国は、それ以来この星系に再植民を実施する事は決してなかった。しかしながら、ここにて、ジェレミアはコンパス座連邦の海賊達の一団を発見した。彼等は不十分なレーションで辛うじて暮らしてきており、何とか通信手段を保有しており、接近するウィンフィールド連隊に降伏をした。
 “ハートフォード”が再充填をしている時に、その無法者達はウィンフィールドに対して、逃走前のキリオン(注:ブラック・ウォリアーズ指揮官)から自分達はチップを受け取っている事、かのブラック・ウォリアーズの指揮官は非常に恐ろしい何らかのものを発見した事、それ故に彼はコンパス座連邦から逃走した事、を説明した。それらの情報は(ライラ同盟からもたらされる散漫なニュースを合わせて)、コンパス座連邦内にマリア帝国の侵攻に備えて装備を整えている拠点――ブレイク教徒の大規模な複数の基地が存在するのを示唆するものであった。ウィンフィールド自らが“サーサナス”へ遠征してウィンフィールド連隊と無法者達で以てそれらのワード・オブ・ブレイクの基地を襲うのを率いていった――彼は自分の連隊が十分な量のワード・オブ・ブレイクの装備を回収する事が可能であり、一族の故郷への2度目の攻略を行える力を自分に与えるであろうと信じていた。
 2月後期、この傭兵部隊は無法者達に案内されてパイレーツ・ポイントにジャンプし、2週間に渡る慎重な観測を行った後に出撃し、ワード・オブ・ブレイクの秘密の複合施設を目指して着陸をした。しかし不幸な事に、無法者達の情報は不正確であり、コンパス座連邦人達の防御はウィンフィールドが想定し得たものよりも遥かに強力であった。コンパス座連邦とワード・オブ・ブレイクの軍に包囲され、ウィンフィールド連隊とその案内をした無法者達は殲滅された。“ハートフォード”への帰還を為し遂げられたのは3人の気圏戦闘機パイロットのみであり、それらの戦闘機が着艦すると即座に“ハートフォード”はジャンプを行った。
 その同年の10月、“ハートフォード”は惑星“ブラントレフ”に帰還した(“ハートフォード”は、急速充填ジャンプするという酷使の所為でそのK−Fコアが遂に壊れた為に修理が必要な状態になっていた) その生き残り達はアンカー・ウー軍団長(少佐)に事態を報告し、彼はウィンフィールド連隊の第3大隊にそれを通報した。そして、マリア帝国の許可により第3大隊は惑星“ブラントレフ”に移動し、一方、マリア帝国のオルド・ヴィジリ(注:マリア帝国の情報機関)は大惨事となった“サーサナス”襲撃の3人の生き残り達の情報聴取を6ヶ月以上に渡り行った。
 そして、この収集された情報は“最高機密”扱いにされたのであるが、どういう訳かワード・オブ・ブレイクはウィンフィールド連隊の攻撃についてを漏らした様である。3070年3月、海賊団の群れが惑星“ブラントレフ”に集まってウィンフィールド連隊の作戦基地を激しく攻撃する一方で、そこに存在する他のマリア帝国軍の部隊とはろくに交戦をしなかったのである。海賊達の撤退後、ゾンビ兵と無武装の男達が跳梁跋扈してメックのコクピットを叩き潰したとの話が、生き残りのウィンフィールド連隊の兵士達に衝撃を与え、茫然自失にし、士気を挫いた。
 マリア帝国はウィンフィールド連隊の損害の補償をするのを拒否し、現在の所は、エヴァン・バートン少佐(現在のウィンフィールド連隊の指揮官)がその国民の間から新兵徴募をするのを認めてはいない。ウィンフィールド連隊はゆっくりと再建中であり、また、イリュリアン・パラティネートの幾つかの反抗的グループがこの打ちひしがれている部隊へ加入したとの噂が流れている。

ドラグーン・レーティング:

戦術
 疲弊し意気も阻喪しているウィンフィールド連隊は、現在は如何なる分類に於いても戦える状態にはない。伝えられる所によれば、この状態がすぐに改善しないのならば、皇帝はこの部隊にその契約違反を告げる間際にまでなっているとの事である。


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