トール・ハンマーズ
(THOR'S HAMMERS)


 3048年から3052年に掛けての氏族侵攻は、傭兵と王家の区別なく、多くの部隊を壊滅させた。このホロコーストの犠牲者の中には第12星間防衛軍も含まれており、3050年3月にウルフ氏族が攻撃してきた時にはその第3連隊(“パジェット・ウォーポニーズ”)は惑星“アイカー”に駐留していた。ほぼ即座にそのウォーポニーズの第3大隊は蹂躙される事となったが、ハンナ・ケイトリン大佐は反撃用に自らの残りの2個大隊を結集してウルフ達を一時的に食い止めた――氏族のエレメンタル部隊が第12星間防衛軍の地上にあった降下船群を蹂躙したという報告が届き、降伏するのを彼女に強要する事になるまでは。しかしながら、第12星間防衛軍の1隻の降下船、フォートレス級降下船“ガンナーズ・ドーター”が、この大惨劇から逃れていた事は見逃していたのであった。支援人員を積み込んでおり、離脱するのにどうにか間に合うだけの警告を受けていた“ガンナーズ・ドーター”は、第12星間防衛軍の航宙艦と会合して“アイカー”から逃走し、第12星間防衛軍の他の連隊との合流を企図した。しかし、その生存者達がライラ領域の奥深くにジャンプした時に、彼等の下には悪い知らせが届いた――第12星間防衛軍の他の部隊も侵略者達により壊滅させられていたのである。
 ここでナポレオン・ホーバートは、自身が第12星間防衛軍の生き残りの中で最先任士官になっているのを見出した。間接砲中隊の大尉であったホーバートはウルフのエレメンタル部隊が攻撃をしてきた際には自部隊の間接砲の荷揚げを監督しており、彼の迅速な思考こそが“ガンナーズ・ドーター”の離脱を間に合わせたのである。生き残りの内の幾人かはホーバートに第12星間防衛軍の名を消さずに維持する事を求めたが、この大尉はそうするには余りにも多くのものが失われ過ぎていると感じていた。代りに、彼は間接砲中隊を中心に新たな傭兵部隊を創設する事を提案した。ホーバートは自分を少佐に昇格させ、惑星“アウトリーチ”――氏族というジャガーノートにより壊滅した傭兵部隊で今や溢れている惑星――へと率いていった。当初、バトルメックやメック戦士に対して興味を抱いていなかったホーバートは、その新兵募集に於いて入念に選択をした。彼にとって重装甲部隊は魅力的なものではなく、自分達のビジネスを知っている火砲と砲兵のみが魅力的であった。そして、それぞれが6門の砲を持つ間接砲中隊2個を中心に創設された、トール・ハンマーズと名付けられたこの新部隊は、氏族の侵攻が惑星“ツカイード”で停止させられた丁度その時に作戦可能状態へとなった。
 契約に次ぐ契約を果していったトール・ハンマーズは程無く、正確性と破壊性という点で名声を築き上げた。セントアイヴズ協定で仕事をした彼等の破滅的な砲撃は惑星“ブライトン”に於けるカペラの進撃を遅滞させた。しかし、その後間もなくしてトール・ハンマーズのその契約の期限は切れ、リャオ首相はこの傭兵部隊により良い条件を持ち掛け、カペラのセントアイヴズ協定の征服は完了したのであった。
 第2次星間連盟の解散後は数ヶ月で、自由世界同盟/ライラ同盟国境沿いにて戦闘が勃発する事となった。トール・ハンマーズは惑星“マカフィー”、その後は惑星“シェリダン”のライラの侵攻を支援する為に雇用された。彼等はその後者の惑星に留まり、3068年後期の自由世界同盟の反撃が彼等に撤退を強要するまで、そのライラ同盟による僅かな獲得物であったものを保持し続けた。
 しかしながら、ライラ領域に戻って以降、トール・ハンマーズは姿を消している。彼等はジェイドファルコン戦線の惑星の1つの防衛を強化する為にモーガン・ケルによって雇用されたのである、との噂が存在している。

ドラグーン・レーティング: B−

トール・ハンマーズ
 その創設以降に、トール・ハンマーズは各間接砲中隊に支援部隊を追加する事によって1個諸兵科連合大隊へと拡大している。エイブル間接砲中隊は、ビッグガン――6輌の巨大な機動型ロングトム砲で構成されている。ベイカー間接砲中隊は、自力移動型のスナイパーとサンパーの集合体である。チャーリー間接砲中隊――ホーバートがセントアイヴズにてメック搭載型の長距離兵装の有効性を見て取った後に加えられた彼の最新の追加部隊――は、アローIV長距離ミサイルを搭載するべく改修されるか、甚だしくはスナイパー野戦砲を搭載するべく改修されるかした、重量級バトルメックと強襲型バトルメックで構成されている。“ホーバートズ・ファニーズ”との愛称が付けられているそれらのメック群は、歩行する一時凌ぎのコンポーネントの寄せ集めの悪夢の様に見えるものであるが、彼等の命中率はエイブル中隊やベイカー中隊と全く同等に良好なものである事が証明され続けている。
 ホーバートはまた、各間接砲中隊の周りに偵察兵、観測航空機、偵察車輌、弾薬運搬車、その他の種別の支援ユニットを集めている。1個歩兵中隊と対空車輌群が、それら間接砲群に追加の防護を提供している。最後に、各間接砲中隊は対空防御用に1個小隊のバトルメックの支援を求める事ができる。(小隊の)その2機の軽量級メックは観測機として行動し、一方、2機の重量級メック――ライフルマンとジャガーメック――は対空任務を果している。


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