PERSONALITY: Hanse Davion


名前: ハンス・ダヴィオン
称号: ニューアバロン公
地位: 恒星連邦国王
生誕地: 惑星“ニューアバロン”、ロイヤル・パレス
年齢: 42
性別: 男性

身体的特徴:
 ハンス・ダヴィオン国王は、毎日訓練をし、自身の軍事技術を鋭い状態に保っている、長身で幅広の肩を持つ男である。この身長、体格、身体的活力の組合せは、彼の風格を非常に堂々としたものにしている。
 この国王は彼の母親であるジェニファー・キャンベルに非常に似ているだけではなく、ダヴィオンの赤髪も有しており、彼はこの髪を短く刈り込んでいる。また、彼はダヴィオンの幅広の骨格を有しているが、彼の表情の豊かな顔には母親と同じダヴィオンでは稀な青い眼が輝いているのであった。
 ハンス・ダヴィオンは、幾つかの目立つ傷を持っている。彼の首の後ろ、左肩の近くには、NAIS訓練軍団での幹部候補生の日々の間に命中した鋭い破片によって残された、ぎざぎざの傷が刻まれている。彼の右眼の真正面には、幼年時に木から落ちた事によりできた小さな傷がある。

略歴:
 ハンス・ダヴィオンは、アンドリュー・ダヴィオン国王とジェニファー・キャンベルの次男である。次男である事により、彼は兄のイアンとは違い、恒星連邦の指導者となる為に備えるのを強制されはしなかった。ハンス自身を含む誰もが、彼にAFFS(恒星連邦軍)の指揮官か恒星連邦の官僚になるのを期待していたのである。
 王子としての期待を背負わされなかったハンス・ダヴィオンは、明らかに幸福な幼年時代を楽しんだ。彼の父は、ダヴィオンは他の人がどのように生活と仕事をしているのかを理解しなければならないと堅固に信じる人物であったが故に、若きハンスは多様な人々と場所に触れさせられたのである。彼の初期の親しい友人達の多くは、惑星“ニューアバロン”の漁師であるキンケード・フェスールやエキゾチックなダンサーであるヴィヴィアン・ソール――ハンス・ダヴィオンは彼女の事を“ヴィヴィおばちゃん”と呼ぶのが常であった――の様な異例の友人であった。
 青年時代の彼の親しい友は、アーダン・ソーテックとシャロン・ブライアン教授であった。アーダン・ソーテックは、アンドリュー国王の親友の息子である。彼より10歳程年下のアーダンは、若きハンス・ダヴィオンがくつろぎを感じられる数少ない人々の中の1人であるが故に、重要な友であった。彼等は共に、“オルセン海峡”を泳ぐ事を試みるといった様な、数々の腕白な冒険に赴いたのである。シャロン・ブライアン教授はハンス王子の個人的な家庭教師であり、彼女は特に、王子の天性の好奇心を伸ばさせた。故に、多くの者が、ブライアン教授が彼に過去の数世紀間で失われた恒星連邦の知識と技術の再発見を開始させたいとの欲求を目覚めさせたと信じている。
 10代の時には、ハンスは自身の時間を学業――彼は陽気に活動的な若い女性の追求をした――と政治への関心を深める事に分けた。未だに若き男であるとはいえ、彼はダヴィオン一族の和解をうまく処理してロイヤル・パレスの和を維持し、厄介事が引き起されるのを阻止した際に、その外交術の素質を明らかにした。そして、この件は、若きハンスが兄のイアンに非常に欠けていると思われる政治的手腕を有していると見て取った多くの政治家達の注意を彼にもたらしたのであった。
 ハンス・ダヴィオンはアルビオン軍士官学校に入学し、優等でそこを卒業した。彼の初期の軍での行動は近衛旅団の第3連隊戦闘団の小隊指揮官としてのもので、その時期に彼は戦場での慣習を少ししか尊重しない事を見せた。彼は奇妙な攻撃や防御をし、そうでない場合も全くの奇怪な戦術を行ったのである。そして、この若きダヴィオンの一種独特のアイディアがしばしば目覚ましい成功を導いたとの事実のみが、軍事法廷の厄介になる事から彼を救ったのであった。3011年、彼は第3旅団メック連隊の指揮官となった。若干28歳であるのだが、彼は既に“マークスマン”(“エース”に相当するメック戦士の呼称)と2回以上呼ばれるのに十分な戦闘を生き抜いてきたのである。そして、経験が彼に、古来の戦法がどれだけしばしば実際に機能するかを教えた事により、彼の定石から外れた戦術をとる初期の傾向は丸いものへとなっていたのであった。
 彼の政治的技能は言うまでもなく、彼が軍人としての経歴を歩んでいる際にも衰える事はなかった。3011年、彼は惑星“ニューアラゴン”の軍長官に任じられた。その翌年、彼はカペラ境界域部の全軍事機構の再建をするという任務も与えられた。敵対的な住民と軍部隊の再建の為の兵站業務といった、惑星“ニューアラゴン”の複雑極まる政治的環境の間で、ハンスは事実上の政治教育を得たのである。かような火薬樽での2年間の統治は、3013年に自身の兄が死亡したとの報が届いた時には、既に彼を熟達した行政官へとしていたのであった。
 ハンスは玉座の正当な地位の取得を可能とする前に、自身が軍長官として学んだ全ての技能が必要であったであろう。自身を新たな国王へとした運命の捩れを思い起こす僅かな時間しか持てずに、彼は“ニューアバロン”へ帰還した――そして、その場にてすぐに、彼はマイケル・ハセク=ダヴィオン公の手先によって試みられた暗殺に遭ったのである。
 彼の統治の最初の月々は、緊張の多いものであった。連邦政府の要となる地位の支配権を巡って彼とマイケル・ハセク=ダヴィオン公が格闘をしている間、国土の全てがその息を潜めて観察している様に見えた。そして、混乱が収まった時、ハンス国王はほぼ完全に中央政府の支配権奪取に成功し、マイケル・ハセク=ダヴィオン公は孤立して以前よりも弱体化していたのであった。
 その時以来、国王は、才能のある並外れた指導者としての自身の初期の名声に応え続けている。彼は、長期間沈滞している恒星連邦の経済――特に貧しい奥地の世界の経済を甦らす為に開始した新方針に責任を負っている。彼の指導力の下、新方針と新装備により、AFFSはほぼ一日毎により強く成長している。政治の領域に於いては、彼は3020年のカトリーナ・シュタイナーの休戦提議の可能性を支持するとの返答をする事が出来たのみである。まだ比較的若い男ではあるのだが、彼は恒星連邦の為に多大な事を為しており、より多くの能力がある様に思える。

意欲/欲求/目標:
 ハンス・ダヴィオン国王は自身の意欲/欲求を隠すのに熟達しており、彼の“狐”との異名が付けられる理由の1つとなっている。多くの者が、彼の真の欲求の1つは恒星連邦を攻撃から安全にし、彼の市民達を繁栄させ、満足させる事であると信じている。しかしながら、彼はその目的を現実のものにする為に多くの事を為しているが、その様な純粋な実用主義的な政治がこの複雑な男を満足させるというのはありそうもない事である。
 また、彼が密かに星間連盟首長になるとの宣言をしたいと願っているのを示唆するものも存在しているが、かような余りにも壮大な欲求を心に抱くには、ハンス・ダヴィオンは理知的であり過ぎる。彼はあらゆる事を仮定しても、中心領域全ての国家に渡る首長統治権を再生するのは遥か未来の夢である事を理解している筈である。彼が現実的に望める最大のものは、恒星連邦とライラ共和国の間の同盟と、敵により彼の国家が直面する危険をライラ共和国が減少させる事である。
 この男が何を真に望んでいるにせよ、彼はそれを達成する為に、彼の持つ少なからぬ機知・知性・直観力を使用するであろう。恐らく、この得体の知れない指導者の唯一の真の欲求は、彼の敵対者達に可能なあらゆる状況を生じさせる事である。

性質:
 最初にハンス・ダヴィオン国王と対面した際には、即座に殆どの人々が彼の明らかな開放性(率直さ)に驚く事となる。彼の友好的で陽気な性質は、他人の長所と短所を突き止める彼の見事な能力を一切示しはしない。ハンス・ダヴィオンの洞察力は、彼の知性と他人が何を話しているかを深く聞く超人的な能力、この双方に基づいているのである。この他人を測る能力は、時折、全く不可解で神秘的なものとなる。実際、アーダン・ソーテックはしばしば、友人のハンスに「何故、君は恒星連邦国王の代わりに、酒場の主人か精神科医にならなかったのか?」と冗談混じりに訊ねている程である。
 親しい友人の中にいる際には、国王は緊張を解いて、その人の精神を照らし出す灯りの如き能力を消している。気を楽にしている際には、彼は自身の幼少時についての長話をするのと、多くの変わった人々と面会し賞賛をする以上の事は好まない温和な男である。

特技/能力:
 シャロン・ブライアン教授の薫陶により、ハンス・ダヴィオンは広範な好奇心を有している。その中でも、中世イタリア政治への興味の様なものは、彼の統治者としての能力に顕著に役立っている。その他の彼の興味――詩歌への深い愛好の様なものは、彼の恒星連邦の統治能力には然程助けにならないものである。彼の学習する事と書物への愛好は非常に大きなものである――それ故に、現在では“ホールステッド・ステーション事件”として有名なドラコ連合の鼻先から貴重な書物を盗む為の襲撃にて、ハンス・ダヴィオンは自身の生命の危険をも厭わなかったのであった。




評伝:
 



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